子どもの睡眠時間はどれくらい必要?2・3・4歳では何時間寝れば良い?目安と日本の子どもの睡眠の実態

睡眠は子どもの健全な成長に欠かせないものです。これまでの調査によると、日本の子どもは諸外国の子どもに比べて睡眠時間が短く、睡眠不足が指摘されています。ここでは、子どもの睡眠時間の目安を知りたい方のために、子どもの睡眠に関する基本的な情報や、睡眠不足を解消するためのポイントをお伝えします。

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この記事の監修

染谷 朋之介
小児科医
染谷 朋之介

目次

  1. 子どもを何時に寝かせている?日本の子どもの睡眠事情
  2. 子どもの年齢別の必要な睡眠時間は?
  3. 子どもの睡眠の役割と睡眠不足の影響
  4. 子どもの睡眠不足を疑うべきサイン
  5. 子どもの睡眠時間を確保するためのコツ
  6. 十分な睡眠時間を確保しよう
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子どもを何時に寝かせている?日本の子どもの睡眠事情

「寝る子は育つ」といわれるように、子どもの睡眠は健やかな成長・発達に大きく関係しています。しかし、最近では各国で子どもの不眠が問題視されており、睡眠不足によるさまざまな弊害が心配されています。

子どもが夜ふかししてしまうことや、スムーズに寝てくれないことに対し、悩みを持つ方は多いでしょう。では、ほかの家庭では何時ごろに子どもを寝かせているのでしょうか。

日本小児保健協会が平成22年に実施した調査によると、子どもの就寝時刻を午後9時と回答した人が最も多く、全体の49%を占めていました。次いで午後10時が23%と多く、平成12年に実施した前回調査に比べると、やや就寝時刻は早まっていることがわかっています。

昼寝を除いた睡眠時間については、10時間と回答した方が最も多く、1歳から5歳~6歳児までの年齢ごとでも多くの割合を占めています(※1)。

一方で、2010年のデータでは、世界16ヶ国で0歳~3歳児の睡眠時間を比較したところ、日本の乳幼児の睡眠時間が11.37時間で一番短いことがわかりました(※2)。また世界各国と比べると、22時以降に寝る子どもの数が日本は多いようです。日本における子どもの睡眠不足は、大きな社会問題としてとらえられています。

子どもの年齢別の必要な睡眠時間は?

子どもの睡眠時間はどれくらい必要なのでしょうか。必要睡眠時間についてはさまざまな見解がありますが、ここでは米国の国立睡眠財団(NATIONAL SLEEP FOUNDATION)が提唱している年齢ごとの目安をご紹介します(※3)。

年齢睡眠時間の目安
0ヶ月~3ヶ月14時間~17時間
4ヶ月~11ヶ月12時間~15時間
1歳〜2歳11時間〜14時間
3歳~5歳10時間~13時間
6歳~13歳9時間~11時間
14歳~17歳8時間~10時間

多少の個人差がありますが、睡眠時間があまりにも目安とかけ離れている場合は、睡眠不足に陥っている可能性があります。子どもの様子に心配な点はないかチェックしてみましょう。

昼寝がなくなってから睡眠時間が不足してしまった

もうすぐ3歳になるうちの下の娘の場合は、1ヶ月ほど前からお昼寝をしない日が増えてきました。本当ならお昼寝をしない日は早く寝かせたいのですが、お姉ちゃんがいるので、実際はベッドに入るのは変わらず21時です。

眠りにつくまでに15分ほどかかり、朝もお姉ちゃんの登校に合わせて7時には起きているので、睡眠時間は10時間に満たないことになります。目安では3歳児は最低12時間必要となっているので、2時間も足りません。12時間眠らせるためには、19時就寝7時起床が理想的ですが、19時に寝かせるのはなかなか難しいですよね。

子どもの睡眠の役割と睡眠不足の影響

睡眠の役割や睡眠不足が子どもにもたらす影響について解説します。

睡眠が子どもの成長に与える役割

睡眠は、成長過程の子どもたちの健全な発達や、こころの安定と深く関係しています。睡眠には、大きく分けて次のふたつの役割があります。

1.身体を休める(レム睡眠時)
脳の情報処理(学習・記憶の定着や消去など)を行う

2.大脳を休める(ノンレム睡眠時)
身体の成長や修復(成長ホルモンの分泌や免疫・代謝機能の増強など)を行う

特に深いノンレム睡眠時には成長ホルモンが分泌され、脳内の神経ネットワークの形成や、細胞の修復・育成、骨や筋肉の形成が行われます。子どものころに夜ふかしを続けると、脳や身体の発育に悪い影響を与えるといえるでしょう。

一方で十分に睡眠時間をとっている子どもは睡眠時間が短い子どもに比べて、記憶を司る「海馬」と呼ばれる脳の領域の体積が大きいといわれています。

子どもの睡眠不足の影響

子どもが睡眠不足に陥ると、成長の遅れや注意力・集中力の低下、眠気やだるさなど、さまざまな悪影響がもたらされます。さらに、肥満や生活習慣病(糖尿病・高血圧)、うつ病など、子どもにとって深刻な病気の発症リスクを高めることがわかっています。また睡眠障害のひとつとして、ねぼけやおねしょ(夜尿)が引き起こされることもあります。

子どもの睡眠不足を疑うべきサイン

子どもが睡眠不足かもしれないと思ったら、子どもの様子をしっかり観察してみましょう。子どもの睡眠不足を疑うサインについて、ひとつずつ紹介します。

朝なかなか起きることができない

子どもは、睡眠時間が十分に取れていれば、自然にすっきりと目覚めることができます。就寝時刻が遅いなどの理由で寝不足になると、起床時刻になってもなかなか起きられません。起きていても眠気が続くので、朝食や朝の支度が進みにくくなります。就寝時刻を早めるなどして、しっかり眠れるように心がけましょう。

日中眠そうにしている

夜間の睡眠時間が足りず、日中に眠くなるケースです。低年齢のうちは昼寝をさせることで睡眠時間を調節できますが、年齢によっては園生活や学校生活に影響が出ます。就寝時刻を早めて1日の睡眠時間をしっかり確保できるようにしましょう。

食欲がない

睡眠不足になると、いつもより食欲がなかったり、好物でも食べようとしなかったりするなど、食欲低下のサインが見られます。食欲低下は風邪などの病気の兆候かもしれないので、ほかに異変がないか子どもの様子をしっかり観察しましょう。

注意や集中力の低下

日中の眠気が強く残っていると、頭が働かず注意力や集中力が低下してしまいます。前日の疲労感が取れないため、園生活や学校生活に影響が出ることがあるでしょう。

イライラして落ち着きがない

寝不足は、攻撃的にさせたり衝動的にさせたりと、子どもの性格に悪い影響を与えます。少しのことで興奮する、何でもないことで機嫌を損ねるなどのサインが見られたら、睡眠不足を疑いましょう。

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子どもの睡眠時間を確保するためのコツ

子どもの寝不足を解消し、睡眠時間をしっかり確保するためには、どのようなポイントに気を付ければ良いでしょうか。具体的なコツをお伝えします。

しっかりとお昼寝をさせる

お昼寝は、昼食後に1時間半~2時間程度が理想です。なるべく毎日決まった時間にお昼寝させるようにしましょう。3歳頃になるとお昼寝をしたがらない子どもが増えます。しかし、日中眠そうにしていたり、夜間の睡眠時間が不足したりしていれば、お昼寝をさせて睡眠時間を補ってあげましょう。

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添い寝をやめる

欧米の子どもたちの多くは、小さいうちからひとりで寝るようにしつけられています。特に睡眠トラブルを減らすためには、子どもを個室で寝かせることが有効として推奨されています。

一方で、日本では親が子どもと添い寝する家庭が多く見られます。そのため、パパやママが寝るまで子どもが寝ない、一緒の時間に起きてしまうなど、添い寝が子どもの睡眠時間に影響すると指摘されています。

日本では昔から添い寝をする文化が根付いていることから、なかなか添い寝をやめられないという方は多いでしょう。しかし、子どもの睡眠時間が不足する状態が続くのであれば、ネントレを行うなど、ひとり寝のトレーニングをしてみても良いかもしれませんね。

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ママやパパの睡眠時間を増やす

ママやパパをはじめとした一緒に住む大人の就寝時間が遅いと、つい子どもも夜ふかしをしてしまいますよね。子どもの睡眠不足を防ぐには、まずはママやパパが規則正しい生活を送り、しっかりと睡眠時間を確保することが大事です。特に添い寝をしている場合は、パパやママも早めに就寝し、夜ふかししないように働きかけてみてはいかがでしょうか。

アメリカ国立睡眠財団の発表内容によると、大人も7~9時間の睡眠が必要とされています。子どもと一緒にママやパパも睡眠時間を増やすことで、子どもの睡眠時間も十分確保できるでしょう。しかし共働きで帰宅が遅いなどの理由で、どうしても寝る時間が遅くなりがちな家庭もありますよね。なるべく朝に家事などを行い、少しでも早く寝るのがおすすめです。

眠る環境を整える

お布団に入ってからスムーズに寝つけるよう、環境を整えましょう。具体的には、就寝時間を一定にする、寝る前に照明を暗くする、入眠儀式(絵本・子守唄など)をつくるのが良いとされています。

特に注意したいのが、就寝前に液晶テレビやスマートフォンなどのデジタル機器の画面を見ることです。液晶画面の光に含まれるブルーライトを浴びると、睡眠を促すホルモンが出にくくなり、寝つきを悪くするといわれています。

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早起きをする

子どもの睡眠時間を確保するには、規則正しい生活を送ることが大事です。そのためには、早起きして太陽の光をしっかり浴びるようにしましょう。特に重要なのは、朝食をきちんと食べることです。バランスの良い朝食は、体内時計のリズムと生活リズムのずれを解消するという働きがあります。

ある研究では、生活が朝型の人と夜型の人を比べた場合、朝型の人の方が勉強やスポーツの成績が良い傾向にあると報告されています(※4)。なるべく早起きし、朝型の生活を送ることを心がけられると良いですね。

十分な睡眠時間を確保しよう

日本の子どもたちは海外に比べて睡眠時間が短い傾向が強いですが、睡眠不足を認識している人はあまり多くないと考えられています。子どもにとっての睡眠は、脳や身体の健全な発達に関係している重要なものです。睡眠不足のサインが見られたら、いつもより早く寝かせ、しっかりと睡眠時間を確保できるように促してあげてくださいね。

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