妊娠性痒疹とは?原因や治し方、薬について解説!よもぎが効果的?

妊娠性痒疹は、妊娠初期から後期にかけてできる、強いかゆみをともなう湿疹のことです。引っかくことで治りにくくなるため、どう対処すべきか悩んでいるママが多いかもしれません。また「妊娠性痒疹と胎児の性別は関係する」という噂は、本当なのでしょうか。ここでは、妊娠性痒疹の原因や治し方・使用する薬、胎児への影響について解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠性痒疹(ようしん)とは?いつなる?
  2. 妊娠性痒疹の原因は?
  3. 妊娠性痒疹の治し方、薬は?皮膚科を受診する?
  4. 妊娠性痒疹には、よもぎが効果的?
  5. 妊娠性痒疹は産後はどうなる?跡は残る?
  6. 妊娠性痒疹は赤ちゃんの性別に関係する?
  7. 妊娠性痒疹の対策は?
  8. 妊娠性痒疹は早めに対処して跡が残るのを防ごう
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妊娠性痒疹(ようしん)とは?いつなる?

妊娠初期に、顔や胸、お腹や足、陰部などさまざまなところに強いかゆみをともなう湿疹ができることがあります。これを妊娠性痒疹(ようしん)と言い、かゆみによって眠れない日々を過ごす人もいます。妊娠後期まで症状が続き、妊娠中はずっとかゆみに悩まされていたというママもいるようです。妊娠性痒疹は、産後に改善する傾向がありますが、次の妊娠のときに再発する場合があります。

また、妊娠性痒疹は、引っかくことで赤茶色の固い湿疹になることがあります。写真や画像を本やインターネットで確認し、自分の症状と照らし合わせてみると良いかもしれませんね。妊娠中に気になる湿疹ができた場合は、悪化する前に一度病院に相談してみましょう。

妊娠性痒疹の原因は?

妊娠性痒疹の詳しい原因はわかっていません。一説では、アトピ-性皮膚炎の患者にみられることが多いため、「アトピ-性皮膚炎がなんらかの形で関係している発疹」と考えられているようです。妊娠してからアトピー性皮膚炎が悪化したというママや、妊娠性痒疹だと思っていたら実はアトピー性皮膚炎だったというママもいるようです。

また、アトピ-性皮膚炎でないママでも、妊娠によるホルモンバランスの変化やストレスなどが原因で、妊娠性痒疹になる可能性があります。

妊娠性痒疹の治し方、薬は?皮膚科を受診する?

妊娠性痒疹は、皮膚科で治療を受けられます。治療では、炎症を抑える効果があるステロイド外用薬を使用します。そして、ヒルドイド軟膏などの保湿剤で皮膚を保護することで、新たな炎症を防ぐというのが基本的な治療方針です。また、赤ちゃんへの影響を考慮しつつ、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を使用することもあります。

妊娠性痒疹が仮にホルモンによって引きおこされる病気だとすると、産後までに完治させることは難しいかもしれません。現在炎症が抑えられており、保湿剤によって炎症がおこらないようにケアを続けることができているなら、完治したと言ってもよいでしょう。

市販薬の効果はある?

手に入りやすい市販薬で治したいと考えるママは、少なくないでしょう。保湿剤として有名なニベアの製品や、かゆみ止めのムヒソフトなど、自宅にあるものでとりあえずかゆみを抑えたい、と考えているママもいるかもしれません。

人によっては、こうした市販薬で妊娠性痒疹の症状がおさまることがありますが、反対に市販薬を使用したことで症状が悪化してしまう場合もあります。市販薬で治そうとするのではなく、まずは皮膚科を受診して処方薬を使うことをおすすめします。

ステロイドを使っても大丈夫?赤ちゃんに影響はある?

妊娠性痒疹を治したいけれど、ステロイドの副作用が心配という妊婦さんもいるでしょう。ステロイドの副作用が懸念されるのは、飲み薬を長期的に服用した場合です。外用剤の場合は、皮膚から体内へと吸収される量が少ないため、強い副作用がおこる心配は少なく、赤ちゃんに悪影響がおよぶこともないといわれています。

ただし、ステロイド外用剤を長期間使用した場合には、皮膚が萎縮する、産毛が太くなる、毛細血管が拡張して透けて見えるといった副作用が、ママに現れることがあります。また、保湿剤で皮膚の乾燥を防ぐことも大切です。皮膚が乾燥すると外部刺激を受けやすくなるため、保湿ケアは欠かせません。

妊婦さんには漢方薬は使える?

漢方薬の効果は高いとは言えませんが、副作用がおこりにくいものが多いため、妊娠中でも使われることがあります。妊娠性痒疹そのものに対処する漢方薬はありませんが、かゆみを抑える漢方薬を使うことで悪化を防げることがあります。

皮膚のかゆみや炎症を抑える効果が期待できる漢方薬は、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、消風散(しょうふうさん)、真武湯(しんぶとう)、当帰飲子(とうきいんし)などです。ただし、妊婦さんに対しての安全性が確立しているわけではないため、自己判断での使用は控えましょう。医師に処方してもらった場合は、用法・用量を守って服用してください。

妊娠性痒疹には、よもぎが効果的?

妊娠性痒疹の症状を抑えるために、よもぎが効果的であるとの噂があるようです。これは本当なのでしょうか。

このような噂があるのは、よもぎに抗炎症作用があるといわれているためでしょう。医学的な効果を証明するデータはありませんが、よもぎは古くから民間療法で用いられてきた植物です。人によっては効果的だと感じる場合があるかもしれません。

アルテニーニローションというよもぎローションや、よもぎ茶を試しているママもいるようです。また、よもぎを使った草もちやよもぎのパンなどを普段の食事に取り入れる方法もあるでしょう。

ただし、よもぎローションは医師に相談してから使用することをおすすめします。また使用したことにより症状が悪化した場合は、すぐに使用を止めるようにしましょう。

妊娠性痒疹は産後はどうなる?跡は残る?

妊娠性痒疹は、強いかゆみをともなうため引っかいてしまいがちです。引っかいて皮膚を壊したことで、色素沈着によるシミができてしまう可能性があります。産後に妊娠性痒疹の症状が消失しても、「シミや跡が残るのでは?」と心配になる妊婦さんもいるでしょう。

産後、妊娠性痒疹の跡は、自然に消えるといわれています。しかし、色素沈着が濃いシミになってしまっていると、消えるまでに時間がかかります。できるだけ引っかかないように薬で症状を抑えることが大切です。また、残ってしまった跡を早く消すために、皮膚のターンオーバーを促しましょう。

ターンオーバーは新陳代謝による皮膚の生まれ変わりのサイクルのことで、不規則な生活や栄養が偏った食事、運動不足などによって乱れます。規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、適度な運動習慣を心がけましょう。また、色素沈着の原因となるメラニン色素の生成を抑えるビタミンCをしっかり摂ることも大切です。

妊娠性痒疹は赤ちゃんの性別に関係する?

世間では、妊娠性痒疹になると男の子が生まれやすいとの噂があるようです。これも本当なのでしょうか。

実際のところ、男の子が生まれたとの声はあるものの、女の子が生まれたという声もあり、医学的根拠はないようです。なかには、妊娠性痒疹になったことと、両親の血液型が赤ちゃんの性別に関係しているという噂もあるようですが、こちらも医学的根拠はありません。

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妊娠性痒疹の対策は?

妊娠性痒疹をできるだけ発症させないためには、日ごろからの対策が大切です。どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。確認しておきましょう。

肌の保湿

外的刺激から皮膚を守るために、肌を保湿しましょう。石油を精製して作られるワセリンがおすすめです。石油と言えば、身体に悪そうなイメージがあるかもしれませんが、軟膏の基材としても使われており、比較的安全性が高いといわれています。

また、妊娠線のケアにも保湿をすることが良いとの見解があります。妊娠線に加えて、妊娠性痒疹もお腹にできることがあるため、一度の保湿で2つの症状を抑えられる場合があります。お腹の保湿は習慣づけるようにしましょう。

刺激が少ない素材の服を着用する

外的刺激を抑えるために、肌に優しい刺激が少ない素材の服を着用しましょう。ザラザラとした素材の服やウールのセーターなどは避け、比較的肌への刺激が少ない綿の服を着ることをおすすめします。また、縫い目や金具、サイズが合わない下着による締め付けなども刺激になるので注意しましょう。

妊娠性痒疹は早めに対処して跡が残るのを防ごう

妊娠性痒疹は、強いかゆみをともなう湿疹ができる病気です。あまりのかゆみに耐えられず、睡眠不足になることも珍しくありません。また、引っかいてしまうことで色素沈着による跡が残ることがあります。妊娠性痒疹は、薬でかゆみや炎症を抑え、早めに対処することが大切です。また、ワセリンやヒルドイド軟膏などで保湿して、妊娠性痒疹の症状を抑えるようにしましょう。

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