帝王切開の術後の過ごし方は?痛みや食事、むくみについて

帝王切開での出産は、今や5人に1人のママが経験しているといわれています。しかし、自然分娩と帝王切開での分娩は勝手が違うため、術後の過ごし方について不安に思うママも多いのではないでしょうか。ここでは、そんな帝王切開の術後の過ごし方や疑問点について、医師監修の記事でご紹介します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 帝王切開術後から退院までの流れ
  2. 術後の過ごし方と育児について
  3. 1.後陣痛はある?
  4. 2.傷はどれくらいで治る?
  5. 3.傷口から出血することはある?
  6. 4.食事はいつから食べられる?
  7. 5.歩いたり、シャワーを浴びたりできるのはいつから?
  8. 6.骨盤ベルトはいつからする?
  9. 7.帝王切開出産後、むくみは起こりやすい?
  10. 8.赤ちゃんはすぐ抱っこできる?
  11. 9.赤ちゃんにいつから母乳をあげる?
  12. 10.いつから子作りしても大丈夫?
  13. 11.次の妊娠はいつからできるの?
  14. 12.VBACって本当に安全なの?
  15. 13.帝王切開は何回までできる?
  16. 帝王切開に関するおすすめ本
  17. 帝王切開についての正しい知識を身に付けよう
  18. あわせて読みたい

帝王切開術後から退院までの流れ

帝王切開は、あらかじめ日にちが決まっている「予定帝王切開」と、通常分娩中に何らかのトラブルがあり緊急に決まる「緊急帝王切開」があります。予定帝王切開の場合、妊娠37~38週のあいだに行われることが多いです。入院する前に、血液検査や心電図検査などを行います。

入院

帝王切開の入院は出産の前日にすることが多いようです。前日に、赤ちゃんやママの身体の様子をチェックします。次の日はいよいよ手術になります。当日は麻酔をかけるため、飲食は禁止です。

術後1~2日で食事が普通食となります。ママの身体の状態が落ち着いたら、赤ちゃんのお世話を開始します。入院の流れや術後のケア、赤ちゃんのお世話の開始時期は、病院やママの体調によって異なります。入院中の流れについて気になることがあったら、あらかじめ質問しておくと安心です。

抜糸

傷口を止める方法は、ステープラーという医療用のホチキスや、糸で縫う方法があります。抜糸は帝王切開の術後の傷の状況にもよりますが、だいたい術後5~8日が目安です。傷口の様子をみて、問題なさそうな場合は抜糸をしたり、ステープラーの針を外したりします。

ステープラーや溶けないの糸の場合は、抜糸の際にチクチクした感覚があります。痛みは個人差があり、ものすごく痛かったという方もいますし、思ったより痛くなかったという方もいます。最近は自然に溶ける糸を使って縫合し、抜糸が不要な場合もあります。

退院

入院中は帝王切開の術後の傷が痛んだり、精神的にもつらくなったりすることもあるかもしれません。基本的に、下記の条件を満たせば退院できるといえるでしょう。

●抜糸をしている
●傷の状態が良好
●悪露が正常に出ている
●子宮内に胎盤が残ってない
●赤ちゃんのお世話ができるくらい体力が回復している

帝王切開の場合は平均すると術後5~10日で退院できる場合が多いようですが、人によってはもっとかかる場合もあるそうです。

術後の過ごし方と育児について

帝王切開の場合、術後の日常生活では何をどのくらいしていいのか、どういった状況になるのか、不安な点も多いかもしれません。ここでは、術後の過ごし方の疑問点について解説します。

1.後陣痛はある?

後陣痛の感じ方に個人差はありますが、後陣痛がある場合もあります。帝王切開の出産であっても、自然分娩と同じく子宮はもとの大きさに戻ろうと収縮するからです。術後の傷の痛みと後陣痛の痛みで、出産後2~3日はつらいことが多いようです。

つらいときは無理せず、病院で処方される痛み止めを上手に活用して対処してください。痛み止めの種類によって授乳中は避けるべきものがあるため、必ず医師に処方された痛み止めを服用するようにしてください。

安静期間が過ぎたら、子宮の戻りをよくするためにできるだけ身体を動かすと良いでしょう。

2.傷はどれくらいで治る?

帝王切開による傷は、退院前に抜糸をします。術後の傷の痛みは個人差がありますが、だいたい2週間ほどで痛みが気にならなくなるようです。帝王切開の際の傷がちょうど下着にあたったり、サージカルテープがかぶれたりすることもあり、傷周辺の皮膚が赤くなることもあります。

傷の赤みは3ヶ月ほどで改善します。術後1年ほどで傷口は目立たなくなりますが、体質によっては傷が赤く盛り上がったり、傷口が少し広がって傷跡になったりする場合があります。

3.傷口から出血することはある?

通常はありませんが、まれに傷口から出血がある場合があります。傷口から出血した場合、ジュクジュクする、チクチクとした痛みを感じる、腫れてくるなどの症状があります。術後しばらくは傷口から出血しないように、無理に重いものを持つなどしないようにしましょう。

傷口の腫れがどんどん悪化していく場合は、細菌に感染している可能性があります。早めに産婦人科を受診するようにしましょう。

4.食事はいつから食べられる?

個人差はありますが、帝王切開手術の翌日から食事がとれることが多いようです。

5.歩いたり、シャワーを浴びたりできるのはいつから?

歩くのは、特に問題がなければ手術の翌日から可能です。術後早めに歩くことによって、悪露を早く体外に出し、腸閉塞や深部静脈血栓症を予防する効果があります。重力により、歩くと自然に悪露が出てくるためです。横になっているといつまでも悪露が出てこず、逆に子宮が出そうと収縮するので後陣痛がきつく感じられる場合があります。そういったリスクを軽減するため、術後早くから自力でトイレに歩いて行くことから始めていくというママが多いそうです。

シャワーの時期は病院によっても異なります。シャワーの際に、傷口に防水テープを貼ってから浴びることもあります。帝王切開の術後は抜糸までシャワーは禁止、という病院もあるので、事前に確認をしてくださいね。

6.骨盤ベルトはいつからする?

帝王切開の場合でも臨月になると赤ちゃんがおりてくるため、自然分娩と同じように骨盤はゆるくなり、若干開いています。骨盤をもとに戻すには骨盤ベルトをするのが良いのですが、手術後すぐにつけるのはやめておいた方が良いでしょう。傷口に負担がかかる可能性があります。

骨盤ベルトは種類にもよりますが、1ヶ月たったころからの着用が無難でしょう。もし、どうしてもすぐに着用したいのであれば、締め付けが緩めのものを選んでください。

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7.帝王切開出産後、むくみは起こりやすい?

手術後安静にしている時間が長いほど、むくみやすくなります。

<むくみが起こりやすい原因>
●安静にしている時間が長いと、足の筋肉が動かず、ポンプ機能が働かないことがあるため。
●手術により身体に刺激が加わり、血管の外に水分が出て行きやすくなるため。

<むくみを早く解消するには>
●痛みが少ないときはできるだけ歩く
●母乳を出す
●着圧靴下を履く
●足湯をして温める
●足のマッサージをする

8.赤ちゃんはすぐ抱っこできる?

自然分娩のように、出産した直後に分娩台での抱っこは難しいです。手術後は血圧を測ったり、身体には点滴がついていたりするので、すぐには抱っこできません。麻酔が効いているとはいえ、お腹の傷が痛む場合もあるかもしれません。

どうしても抱っこをしたい場合は、背中を押さえてもらうなどのサポートをしてもらい、短時間の抱っこにしておきましょう。

9.赤ちゃんにいつから母乳をあげる?

体調にもよりますが、術後2~3日であげることができます。帝王切開も自然分娩も、産後24時間ほど経つと母乳が出てきます。胎盤が身体の外に出ると、黄体ホルモンなどの働きが減少するためです。赤ちゃんがおっぱいを吸い始めると、脳の下垂体前葉から分泌される催乳ホルモンが働くようになるため、母乳が出てきます。

10.いつから子作りしても大丈夫?

ママと赤ちゃんの1ヵ月健診を終えたころから、セックスを再開しても大丈夫です。しかし、帝王切開の場合、子宮に大きな傷を作っています。出血や感染の心配があるため、痛みやつらさを感じた場合は、無理に行わないようにしましょう。

生理が再開していなくても、妊娠してしまうこともあります。妊娠した場合は、子宮の状況を確認するためにも、産婦人科を受診し相談をしましょう。ママの身体のためにも避妊をしたり、話し合ったりすることが大事ですね。

11.次の妊娠はいつからできるの?

帝王切開後の妊娠は、1年以上はあけた方が良いとされています。帝王切開は子宮を切開して赤ちゃんを取り出しますね。時間が経つにつれ子宮はもとの状態に戻りますが、術後1年ではまだまだ傷がある状態です。自分の身体のためにも、2年はあけるようにしましょう。

帝王切開後1年以内に妊娠した場合は、次回の妊娠が癒着胎盤になってしまったり、子宮破裂を起こしたりといったリスクが高くなるといわれています。

12.VBACって本当に安全なの?

VBACは「ブイバック」と読みます。VBACは、帝王切開での出産をしたママが次の出産を経腟分娩で行うことをいいます。タレントの坂下千里子さんや木下優樹菜さんは、2人目をVBACにて出産したようです。

VBACはリスクを伴います。そのため実施している産婦人科も少なく、いくつかの基準をクリアしないとできません。通常、産婦人科の先生はあまりすすめていません。

VBACの一番のリスクは、子宮が破裂することです。子宮は傷ついたり破裂したりすると大量に出血をしたりするため、ママが大変危険な状態になる可能性があります。また、VBACでお産を進めていたけれど途中で帝王切開になることもあります。

もし、VBACでの出産を希望される場合は、リスクにすぐに対応できる医院を受診してくださいね。

13.帝王切開は何回までできる?

子宮の状態は個人差があるので、何回まで、という決まりはありません。昔は3回までといわれていましたが、実際には5回帝王切開をした方もいらっしゃいます。ですが、帝王切開の回数が多くなるほど胎盤の癒着や膀胱損傷、子宮の摘出、といったリスクが大きくなるといわれています。

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帝王切開についての正しい知識を身に付けよう

帝王切開は出産の他に手術が加わるため、身体や精神に負担がかかりやすくなります。術後は自分の身体と赤ちゃんのことなどいろいろ考えることがありますが、基本的には退院すれば自然分娩の場合と変わりはありません。

帝王切開の術後に関してさまざまな悩みは出てきます。また、「帝王切開で大丈夫かな」と不安になることもあるかと思います。最近は帝王切開をする方が増えているので、先輩ママに話を聞いたり、悩みを共有したりするのも良いと思います。帝王切開は怖いものではありません。正しい知識を身に着けて、安心して出産を迎えてくださいね。

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