更新日:2017年04月11日

緊急帝王切開の費用は?原因と手術の流れ、保険の適応について

元々母子どちらかにリスクがあって予定帝王切開になっていた場合はある程度覚悟もできますし、費用面でも準備がしやすいと思います。しかし、分娩中に緊急に帝王切開になった場合は動揺も激しいと思います。そこで、ある程度予備知識を持って分娩に挑めれば多少は動揺が押されられるかもしれません。帝王切開について学びましょう。

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緊急帝王切開とは

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緊急帝王切開とは、赤ちゃんとお母さんを守るための手術です。理由は大きく分けて2つあります。

分娩中に母子どちらかが危険な状態になった場合

妊娠中、分娩中を問わず何らかの原因で赤ちゃん、あるいはお母さんが危険な状態となり、緊急に赤ちゃんを娩出しなければならない、ないし分娩を終了してお母さんの安全確保をしなければならない場合に行います。

分娩が進まず、経膣分娩が難しいと判断された場合

陣痛が来ているのに、回旋がうまくいかない(本来は、赤ちゃんは自分で頭を回転させて産道を通り抜けてきます。それを「回旋」と言います)、児頭が骨盤より大きい(児頭骨盤不適合)などの理由で分娩が進行せず、経膣分娩を期待できない場合に行います。

緊急帝王切開になる母体側の原因

①分娩停止、遷延分娩

分娩停止とは、十分な陣痛がきているにも関わらず、2時間以上にわたって分娩の進行が見られない場合で、回旋異常(赤ちゃんは自分で頭の向きを変えながら出てきます。これを回旋と言います)や児頭骨盤不均衡(CPD)などが原因となります。
まったく分娩が進まず、吸引分娩や鉗子分娩のできない状況では、緊急帝王切開が選択されます。

また、初産婦で30時間以上かかるのを遷延分娩と言います。時間が長いだけでは緊急帝王切開をしなくてもいいのですが、遷延分娩では母体疲労に加えて、胎児機能不全に陥るリスクも高くなるので、状況に応じて緊急帝王切開が選択されます。

②重症妊娠高血圧症候群

妊娠中、分娩中に関わらず血圧が160/110以上で、特に頭痛や高度の蛋白尿が見られる場合には、母子の安全のことを考えて緊急帝王切開が選択されます。

この場合、胎児機能が低下していることが多く、赤ちゃんは小さめ(子宮内胎児発育遅延:IUGR)で、胎児機能不全のリスクも高いので緊急帝王切開の適応になります。

③常位胎盤早期剥離

胎盤が常位にあるとは前置胎盤や低位胎盤に対する言葉で、胎盤が子宮口付近でなく、通常の位置にあるということです。胎盤は、通常赤ちゃんが生まれた後に子宮から剥がれますが、何らかの理由で分娩前に剥離することを常位胎盤早期剥離と言います。(前置胎盤などは、予定帝王切開の適応になります)

剥離の程度が大きいほど、子宮内の出血が多量となり、腹痛や貧血などもひどくなります。
妊娠高血圧症候群、絨毛膜羊膜炎などが誘因となるようです。

④切迫子宮破裂

児頭の圧迫などで子宮の下部筋層が薄くなり、子宮破裂の危険性が考えられる場合です。

子宮下部、恥骨上に圧痛を認めます。子宮筋が薄くなるので、子宮収縮(陣痛)が微弱、またはなくなり分娩が進みにくくなります。
そのまま収縮が強くなると(膨らんで薄くなった風船のように)、子宮が破裂する可能性が出てくるので、緊急帝王切開の適応となります。

ただし、子宮破裂兆候はVBAC(一度帝王切開したあとに、経膣分娩を試みること)に見られることが多いので、VBACを選択することが少なくなってきた今では、この症例は減っています。
VBAC後の子宮破裂の頻度は約1%ですが、特に既往の無い自然子宮破裂は0.007~0.2%と言われていて、そのリスクは極めて低いでしょう。

緊急帝王切開になる赤ちゃん側の原因

①胎児機能不全(NRFS)

妊娠中あるいは分娩中に、赤ちゃんの状態に問題がある、あるいは将来問題が生じるかもしれないと判断された状態です。
分娩が進行し、子宮口が全開大し赤ちゃんが十分に降りてきている状態であれば、吸引分娩か鉗子分娩で経膣分娩にしますが、降りてきていない状態の時は緊急帝王切開になります。

退治心拍のモニタリングや超音波検査で、胎児が元気なのはすぐに分かるのですが、赤ちゃんが元気でない状態というのは、実はわかりづらいのです。分娩に問題が生じ、胎児の状態がわかりづらくなったとき「胎児機能不全」という表現を使います。

②臍帯下垂・臍帯脱出

胎盤から赤ちゃんに酸素を送る命綱である臍帯(へその緒)が子宮口付近まで下がってきたり、子宮口から膣内で脱出した場合、赤ちゃんに絡まって赤ちゃんが出られない、窒息してしまうことにもなりかねません。
この場合も緊急帝王切開の適応となります。

緊急帝王切開の費用は?

費用の平均は?

緊急帝王切開の手術は自然分娩と比べると高額ですが、自然分娩とは違い健康保険の対象となるため、自己負担は3割です。全額を自己負担する必要はありません。

緊急帝王切開の場合は自然分娩に比べて入院期間が2~3日間長くなりますので、その分かかる費用は高くなりますが、補助制度がありますので費用的にはほとんど変わらないと思っても良いのではないでしょうか。

●出産育児一時金→これは全妊婦対象に支給されるもので「42万円」です。

●高額医療費補助制度→ある一定金額以上の費用がかかった場合、補助が出ることがあります。なので、産婦人科の通院時からすべての領収書(検診にかかったものだけではなく、交通費なども含め)をとっておきましょう。

●乳児医療費補助制度→胎児に高度な医療が必要となった場合、国から補助が出ます。

逆に、下記のような加算がつく場合があります。これは、産院によってその費用は異なるので確認んしておきましょう。
●緊急加算→予定ではなく緊急で帝王切開となった場合につく加算です。

●深夜加算→深夜にわたって分娩が続いた場合につくことがあります。時間区分も費用もまちまちですので、確認しておきましょう。
 上記以外にも、産院によっての決まり事がありますので、費用の確認は緊急事態があった時のことも踏まえてしておく必要があります。

保険の適応はどれくらい?

保険適応となるのは、緊急帝王切開手術、手術に関する投薬(抗生物質など)、検査、処置、入院費のみです。
それ以外の費用は食事や部屋代、分娩介助や新生児の保育料などは、自然分娩と同じく自由診療費(産院が決められる)となり、保険の適応外となります。

健康保険適用の緊急帝王切開の手術代は「22万1600円」です。この3割が自己負担です。一般的な産院で緊急帝王切開で出産した場合の費用は「50万円」から「75万円」程度です。ここから保険適用分を引くと「35万円」から「60万円」程度で、さらに出産育児一時金をひくと自己負担はかなり少なくなるとお分かりいただけると思います。

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帝王切開に保険は適応される?帝王切開の保険のポイント6つ

緊急帝王切開の費用についてちょっと注意!

産院と言うのは、自由診療費が認められてるので、産院によって費用はかなり変わってきます。セレブな病院だとかなり高額になってしまうかもしれません。

実際にかかる費用を「自然分娩」の場合と、緊急帝王切開など緊急事態があった場合を療法確認しておくとよいと思います。

また、緊急帝王切開は、医療保険の給付対象となることがあります。この給付対象の保険に加入していると受け取ることができます。
ただ、この保険は緊急帝王切開手術が決まってから入ることはできません。医療保険には、自己申告義務がありハイリスクな人は入れないので、「妊娠前に加入しておく」必要があります。妊娠を考えたら、保険を見直すと良いと思います。

緊急帝王切開の手術の流れとは?

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予定帝王切開の場合は、心の準備もできますが、緊急の場合は予期せぬ出来事に戸惑うことがあるかもしれません。万が一に備えて、心の準備をしておきましょう。

緊急帝王切開手術開始

緊急帝王切開の場合は、緊急事態を伴うことも多いので、親族を含めて説明して同意を得られればすぐに開始、ということが多いです。

立ち会うのは、執刀する産科医(大抵数人)、麻酔科医1名、看護師2~3人、常時では無いですが小児科医と助産師も出入りすると思います。

緊急帝王切開の麻酔

●全身麻酔
点滴に麻酔薬を入れます。点滴をしながら、すーっと眠ってしまうような感じです。麻酔が早いのがメリットで、緊急時には全身麻酔せざるを得ないことがあります。点滴以外の痛みを感じることが無いのでお母さんも楽かもしれません。

ただ、お母さんが眠ってしまうので産声が聞けないのと、麻酔中に呼吸を確保するため気管内に管を入れるので喉の違和感が残ることがあります。(大抵数時間です)

●腰椎麻酔、硬膜外麻酔
背中の脊椎から麻酔を投入し、胸の下から足まで麻酔をかけます。背中から麻酔薬を注射をしますが、最初に局所麻酔をしてから本番の麻酔注射をするので、痛みは最大限抑えて施行します。

腰椎麻酔は即効性がありますが、持続時間は短めです。硬膜外麻酔は持続性があり長時間の手術も可能です。術後、しばらく下半身の感覚が無い状態が続きますが、次第に冷めていきます。

また、意識がある状態で手術が進行していくので産声を効けるメリットがあります。

緊急帝王切開の切開

切り方は二通りあります。下腹部の皮膚を縦に切るか、横に切るかです。どちらになるかは施設や医師の考え方、お母さんや赤ちゃんの状況、緊急度によって選択されます。

●縦切開
おへその下から恥骨に向かって切ります。皮膚から腹膜までは縦に切りますが、子宮壁は横に切ります。
手術時間が短く、赤ちゃんを安全に早く取り出せるため、緊急時には縦切開になります。

●横切開
皮膚から筋膜までを横に切ります。その下の腹膜は縦に切り、子宮壁は再び横切りにします。縦に比べて時間がかかるので、トラブルの可能性の低い予定帝王切開の時に選択されることが多いです。

赤ちゃん誕生!

実際にお腹を切り始めてから、赤ちゃんが生まれるまでは2~3分くらいです。お母さんの意識がある場合には、産声も聞けますし、小児科医のチェックの後赤ちゃんの顔を見ることもできます。

緊急帝王切開の縫合まで

赤ちゃん誕生後、胎盤を取り出し子宮内を綺麗にして縫合となります。ここで、意識があると辛いという場合は、軽い睡眠剤を投与してもらうことも可能です。

通常、子宮の縫合には溶ける糸を使い、お腹の縫合には通常の糸を使うかステープラー(医療用のホチキス)が使われます。

30分から1時間程度で手術は終了となります。

緊急帝王切開の手術後

全身麻酔の場合はすぐに起こしてもらえます。麻酔が切れると、どうしても傷の痛みが出てきますので鎮痛剤を投与します。

腰椎麻酔の場合は、睡眠薬で眠っている場合もありますし、意識があれば徐々に下半身の感覚が戻ってくるのを実感できるでしょう。その時、痛みが出てきますので適宜鎮痛剤を使用します。

血圧などのチェックをして、病室へ戻ります。(おおよそ手術してから1時間から1時間半後です)
病室では面会も可能となります。

当日は、身の回りのお世話は看護師が手伝いお母さんはゆっくり休みます。導尿カテーテルでトイレに行く必要もないでしょう。(違和感が出てきたら言いましょう)

緊急帝王切開をしたママさんの声

胎児機能不全の可能性で緊急帝王切開になったママさん

私は妊娠中はとても元気で、検診でも母子ともに異常無いといわれていました。

しかし37週と3日目のお昼過ぎに突然の腹痛があり、NST(ノンストレステスト)を受けると異常な胎児の心拍と原因不明の母体の発熱が分かり、誘発分娩を試みましたが、「このままの状態では明日まで待てない。胎児が弱ってしまう前に早く外に出した方が良い」と言われたため、緊急帝王切開を決め、30分後に手術となりました。

術後は後陣痛と傷の痛みがひどくてまったく動くことができず、2日間ベットに寝たきりだったため、子どもに会うことができず辛い思いもしましたが、その後の回復は順調で心配していた母乳もきちんと出ましたし、体の痛みはありますが子どものお世話も問題なくできました。

今回は予定外の緊急帝王切開でしたが、もし私が自然分娩にこだわっていたら子どもが危険なことになっていたかもしれない、と思うと、帝王切開で産むことにとやかく言う人もいるようですが、私は子どものために一番良い選択をしたと思います。

あと、分娩費用は高額医療費療養制度を使ったので、出産一時金との差額で11万円ほど返ってきました。
病院に預けていた保証金もすべて返ってきて、保険金もおりたので、金銭面ではかなりのプラスになりました。

胎盤早期剥離で緊急帝王切開となったママさん

3人目の予定日前日の就寝中に、大量の生暖かいものが出たので破水と思い確認したら大出血。身近に早期胎盤剥離経験者が居て、話を聞いていたので早期剥離だと確信した。
もう胎児は駄目だと思いながらも、お腹の張りが無いことへのわずかな期待と、最低限他の二人の子どものために自分は生きなければ、という思いがあり冷静に病院へ連絡。

病院では退治心拍もあり、お腹の張りも無いため一時は普通分娩の方向で進むことになったが、12時間後、心拍が微弱なため緊急帝王切開へ。下半身麻酔がよく効かず、全身麻酔へ切り替えて無事に出産。

早期剥離の原因は妊娠中毒症などともいわれているが、私は妊娠中一度も異常がなかった。突発的に起こる早期剥離は怖いし、つらい思いをした経験者も多いはずだ。これからを楽しみにしている妊婦をみると、不安が増すかと思いなかなか経験を話さない。
確かに怖いし、不安にさせてしまうかもしれないけど、胎児と自分を守るための知識と心構えを、と思い書き込ませてもらいました。

無事生まれた子どもが話せるようになったときに、お腹の中で何してた?と聞くと、「紐があったから引っ張ったら真っ暗になった」といわれました。へその緒を引っ張ったために、出血したということかもしれませんが、命について家族みんなが考えさせられた早期剥離でした。

お母さんと赤ちゃんの命をまもるために

出産前はナーバスになりがちです。スムーズに生まれた話は良い励みになりますが、かなり危険な思いをして産んだお母さんも実際にはいます。そして、自分がそうなる可能性はあるのです。

緊急帝王切開になったお母さんで、妊娠中には異常がなかったのに、という方は多く、気をつけていたのに何故?という思いを抱くこともあるでしょう。それでも、緊急時にはそんなことを考えている暇なく、説明、同意書、手術と進んでしまいます。

医療者にまくしたてられていつの間にか手術されていた、というのではなく、赤ちゃんとお母さんを守るために最善の選択をした、と胸を張って言えることは大切です。

緊急時は正直言って医療者も急いでいます。
この時に、医療者が何を言っているのかさっぱり分からない…というのと、そういえば体験談や調べたときに聞いたことがある、と思えるのとでは大分違うのではないでしょうか。
そして、手短でも聞いた話を理解して「緊急帝王切開が最善だ。お願いします。」と言えたら、産後の気持ちが違うように思います。

この内容は敢えて最悪のこともありますので、読みづらいこともあるかもしれませんが、赤ちゃんとお母さんと守るのは知識です。だれに何を言われようと、自分たちで納得した出産にするために役立てばうれしいと思います。

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