妊娠していないのに母乳が出ることがある?高プロラクチン血症とは?妊娠以外で母乳がでる4つの原因と対処法【産婦人科医監修】

妊娠・出産したら母乳の分泌が促されることは皆さんご存知の通りですが、まれに、妊娠・出産をしていないのに母乳が出ることがあるのです。このような場合は、怖い病気がひそんでいる可能性もあるので注意が必要です。今回は、妊娠・出産していないのに母乳が出る4つの原因について、産婦人科医監修の記事でお伝えします。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 妊娠・出産していないのに母乳が出る?
  2. 母乳が出る原因1.乳頭の刺激によるもの
  3. 母乳が出る原因2.脳の腫瘍によるもの
  4. 母乳が出る原因3.薬の副作用によるもの
  5. 母乳が出る原因4.高プロラクチン血症によるもの
  6. 妊娠・出産していないのに母乳が出て不安を感じたら病院へ
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妊娠・出産していないのに母乳が出る?

妊娠していないのに母乳が出る背景には、「乳頭の刺激」「脳の腫瘍」「薬の副作用」「高プロラクチン血症」の4つの原因が考えられます。それぞれの原因と対処法について解説していきます。

母乳が出る原因1.乳頭の刺激によるもの

乳頭を刺激し続けると、母乳が分泌される可能性があります。特に妊娠経験者は、妊娠未経験者より母乳が分泌しやすい傾向にあるようです。乳頭の刺激によって一時的に母乳が作られた場合は、放っておいても治るケースが多いようです。乳頭への刺激を極力減らしてみましょう。

乳頭への刺激がなくても、母乳が出る場合があります。筆者の知り合いも、母乳が出たことのある経験者がいます。彼女は3児なのですが、友人の赤ちゃんが生まれてお祝いに行ったとき、かわいい赤ちゃんの顔を見て少し母乳が出たというのです。赤ちゃんを見て、本能的に母乳を作り出す命令が脳から下ったのかもしれませんが、このあたりの原因はまだはっきりと解明されていないようです。

母乳が出る原因2.脳の腫瘍によるもの

まれなケースですが、脳腫瘍によって母乳が分泌されている場合もあります。それは、脳腫瘍がプロラクチンを産生し、母乳の分泌を促進するために起こるのです。そのような場合は命の危険を伴うので、注意が必要です。脳腫瘍は、良性であっても悪性であっても、脳にあるだけで危険と隣り合わせになることが多いものです。

病院を受診すると、まずは一番原因が多いとされる「高プロラクチン血症」ではないかどうかを調べます。原因が不明の場合は、脳の精密検査をすすめられることがあります。

母乳が出る原因3.薬の副作用によるもの

胃薬、胃潰瘍、精神安定剤、抗うつ剤、ピルなどの薬が原因となり、母乳が分泌されるケースがあります。薬のせいで母乳が出る可能性があるなんて、びっくりしてしまいますよね。また、これは女性に限らず、男性でも起こるケースがあるようです。

薬の副作用により母乳が出ていることが疑われる場合は、まずは薬が処方されたかかりつけの病院に行き、医師の判断を仰ぎましょう。

母乳が出る原因4.高プロラクチン血症によるもの

妊娠していないのに母乳が分泌されている場合で最も多いケースは、この「高プロラクチン血症」です。何らかの原因によって、「プロラクチン」という妊娠・出産時に分泌されるホルモンが増えてしまう病気です。「高プロラクチン血症」は、不妊の原因となることもあります。

プロラクチンとは

プロラクチンとは、脳下垂体から放出されるホルモンのことです。このプロラクチンは、女性の「妊娠・出産」とは切り離せないホルモンで、妊娠中に乳腺を発育させてくれ、出産後には母乳の分泌を促してくれる、女性にとっては大切なホルモンです。

プロラクチンとは?正常値より高いと男性・女性ともに不妊の原因になる?

高プロラクチン血症とは

妊娠出産していないにもかかわらず、何らかの原因でプロラクチンが過剰に分泌されることがあります。それが「高プロラクチン血症」という病気です。

「高プロラクチン血症」かどうかを調べる検査は簡単で、月経周期の初期に採血することで検査することができます。治療は高プロラクチン血症の原因を調べてから、内服薬、手術などが選択されます。

高プロラクチン血症と不妊症

「高プロラクチン血症」は不妊の原因にもなるといわれています。「高プロラクチン血症」が原因で不妊に陥っている場合は、治療により妊娠の可能性が高くなるでしょう。実に排卵障害の10~20%は、この「高プロラクチン血症」が原因ともいわれています。

妊娠・出産していないのに母乳が出て不安を感じたら病院へ

突然母乳が出た場合は、先に妊娠の有無をきちんと確認することが大切です。そして、妊娠していないにも関わらず母乳が出る場合、病院の受診をおすすめします。

原因のひとつである「高プロラクチン血症」が不妊症の原因となることは、見逃せない問題です。また、少数とはいえ「脳腫瘍」が潜んでいる場合もありますので、軽く考えずに医師の判断を仰ぐことが大切です。

※この記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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