つわりで入院が必要になることも!つわりで入院する目安と治療法

人それぞれといわれるつわりですが、つわりで入院する人もいることはあまり知られていません。今回はつわりの症状や入院の目安、そしてその際の治療法についてお伝えします 。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. つわりとは
  2. 入院を必要とするつわりは「重症妊娠悪阻」と呼ばれる
  3. つわりで入院となる目安
  4. つわりで入院する期間
  5. つわりでの入院には保険が適用される
  6. つわりでの入院中の治療
  7. まずは担当医に相談を
  8. あわせて読みたい

つわりとは

つわりの症状は人それぞれ

つわりはホルモンバランスの変化が一因といわれていますが、原因がはっきりとわかっていないのが現状です。そしてつわりの種類や重さも人それぞれ。さらに妊娠ごとにその症状も変わるといわれています。まれにストレスや疲れからつわりの症状が重くなることもあるといわれています。

つわりが重症化することも

つわりは重症化することもあります。症状がひどくなると何度も嘔吐を繰り返し、栄養障害や体重減少、脱水などにもつながっていきます。それにより日常生活に支障が出てくると入院しての治療が必要になることもあるのです。

経産婦は重症化しやすい?

つわりが重症化するのは経産婦に多いという声を聞くことがあります。また、経産婦だけでなく、多胎妊娠もつわりがひどくなる傾向があるといわれています。しかし、これらの説に医学的根拠はありません。人それぞれ異なります。

つわりによる赤ちゃんへの影響はない

つわりによる赤ちゃんへの影響はほとんどありません。また新しい調査では、つわりのある妊婦はつわりがない妊婦に比べて流産の確率が低くなり、大きくて健康な赤ちゃんを産む傾向があるようです。つわりがあることにより出生異常の確率も下がるという調査も。つわりはママにとって大変なものですが、元気な赤ちゃんが産まれると思うと乗り切れそうな気がしますよね。

入院を必要とするつわりは「重症妊娠悪阻」と呼ばれる

妊娠悪阻には3つの段階がある

つわりを医学的に言うと妊娠悪阻(にんしんおそ)ですが、妊娠悪阻には3つの段階があり、それぞれ、「第一期(嘔吐期)」、「第二期(肝腎障害期)」、「第三期(脳障害期)」にわけられます。第一期はいわゆる吐きづわりのひどいパターンで、血が混じったものが出るまで吐き続け、水分も取れないような状態です。また、だるさやめまいなども併発したり、水分量の減少により、尿の量が減り、尿中にたんぱくが混じったりすることもあります。

第二期では、第一期よりさらに症状が悪化し、尿検査でケトン体やたんぱくが陽性になるほどの状態を指します。ケトン体が大量に出ている状態とは、食事ができず、身体が飢餓状態に達していて身体の脂肪を燃やしてエネルギーにしていることを意味します。また、次の第三期では、幻覚や幻聴、記憶喪失や昏睡状態に陥るほどの状態になります。この時点では脳神経症状が現れ、妊娠の継続すら危険な状態になる可能性もあります。また、母体を守るために中絶手術を行わなければならないケースもあります。

これらはつわりではなく重症妊娠悪阻と言います。

入院が必要となるのはすべての妊婦さんの0.1~1%ほど

しかしそれほど心配する必要はありません。入院が必要になるほどの「重症妊娠悪阻」の人は、全体の0.1~1%ほど。アメリカやカナダ、スウェーデンなどでは1%前後といわれており「重症妊娠悪阻」になる可能性があるのは妊婦さんの100人に1人程度となります。

つわりで入院となる目安

つわりで入院が必要になるのは以下のような場合です。

妊娠前から体重が3kg以上減少

まずは「妊娠前から体重が3kg以上減少している」ことです。特に一週間で3kg減など、短期で減少している場合は要注意です。医師にその状況を伝えましょう。体重の減少は一番わかりやすい入院の目安となります。

何も食べられず水分もとれない

体重減少とともに目安となるのは「何も食べられず、水分もとれない」状態であることもあげられます。多少偏った食事内容でも、食べられているなら安心です。もし水分も食事もすべて受けつけない状態なら入院が必要となることもあります。

尿検査で「ケトン体」が陽性

妊娠悪阻の第一期~第二期では食事がとれないことにより炭水化物や糖質が少なくなり、ケトン体が陽性となることがあります。そのような場合は外からの栄養ではなく体内の脂肪がエネルギーとなっているため、結果的にケトン体が尿中にでてくるという状態になります。これはかなり症状が進行しているため、尿検査でケトン体が陽性であることが入院をするひとつの目安になります。

つわりで入院する期間

つわりで入院する期間は人それぞれですが、大まかには第一期で数日~1週間程度。第二期や第三期になると、1~2ヶ月の入院が必要となります。また、退院できたとしてもまったく食べ物を受けつけないという理由で再入院となるケースもあります。さらにひどい人の場合は出産まで入院が続いてしまう場合も考えられます。

つわりでの入院には保険が適用される

妊婦健診や通常の出産では保険が適用されないことがほとんどです。しかし、妊娠中に病気やトラブルが生じたときには健康保険が適用されます。それは重症妊娠悪阻も含まれます。

この場合は健康保険が適用されるため1ヶ月を超える入院や高額な医療費については高額療養費制度を利用することもできます。他に民間の保険でも重症妊娠悪阻について補償されている場合があるので自分の保険内容を確認してみましょう。

つわりでの入院中の治療

次に、つわりでもし入院した場合の治療法について紹介します。

点滴療法

まずは一般的な点滴療法です。嘔吐や吐き気により食べ物だけでなく水分もとれない場合は、身体が脱水状態になります。その対処として水分や糖分、ビタミンなどが含まれた点滴を行うことがあります。さらに症状がひどい場合は制吐剤の投与も行われます。しかし制吐剤を投与されたからといって、吐き気が完全に収まるものではありません。

安静療法

つわりは疲れやストレスとも関係があるケースがあるともいわれています。入院でしっかり安静できることで気持ちが安定する人も多くいます。

食事療法

食事療法も一般的な治療法です。食べたいときに食べたいものを食べたいだけ食べることが重要です。妊娠中はバランス良く食べなければいけないというプレッシャーがありますが、食べられないときはまず自分のことを優先にしましょう。食べられるものを食べられるだけ食べるようにし、できるだけ空腹の状態を作らないことが重要です。また、どうしても固形食が無理なときには、水分を中心にスープなどの消化しやすく栄養価の高いものから徐々に固形食へと移していく方法もあります。

まずは担当医に相談を

つわりの症状はひとそれぞれとはいえ、あまりにひどい場合は悩まず担当医に相談をしてください。重症妊娠悪阻の場合は症状が進んでしまうと取り返しのつかないことにもなりかねません。特に、食べ物が食べられず水分もとれないときはいつから食べられないのか、一日に何度吐いてしまうのかを担当医にしっかり伝えましょう。

つわりは大変ですが、つわりを乗り越えて元気な赤ちゃんに出会えたときの感動は言葉では言い表せられないほどのものですよ。

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