おりものの変化は妊娠初期症状?生理前の変化と妊娠・病気の可能性について

おりものは女性の身体と切っても切れない関係にあり、生理周期によって量や性状が変化します。妊活中の女性は、生理前におりものに変化があると「妊娠したかもしれない」と思うかもしれません。ここでは、妊娠初期症状としてのおりものの変化とともに、おりものの役割と、おりものが知らせてくれる病気のサインについて解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. おりものの役割と生理周期による変化
  2. 妊娠するとおりものはどう変化する?
  3. 妊娠するとおりものが変化する理由は?
  4. 病気の可能性があるおりものとは?
  5. 妊娠初期のおりものの変化に関する体験談
  6. おりものは女性の健康のバロメーター
  7. あわせて読みたい

おりものの役割と生理周期による変化

おりものとは、腟内や子宮頸管から出る粘液や細胞の一部が混ざりあった分泌物です。腟内を掃除し細菌などの侵入から腟内を守る「腟内のクリーニングと保護」と、妊娠のための「受精の手助け」という役目を持っています。生理周期にしたがい、排卵が近づくとおりものの量が増えたり、透明でサラサラの水っぽいおりものになったりします。

排卵後のおりものは細菌などの侵入から腟内を守るために、乳白色でドロッとした性状に変わります。妊娠が成立しなかった結果である普段の生理では、生理前におりものの分泌量は徐々に減ります。

妊娠が成立した場合、「受精の手助け」というおりものの役割が一気に高まります。そのため、妊娠すると普段の生理前とは違ったおりものの変化がみられることがあります。

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妊娠するとおりものはどう変化する?

妊娠の超初期症状のひとつとして、おりものの変化をあげることができます。早い人では受精からおよそ2週間ほどで、妊娠したかも、と微妙な変化に気がつくようです。普段の生理前とは違った妊娠のサインとしてのおりものの変化には、どのようなものがあるのでしょうか。

普段の生理前に見られるおりものの変化には、女性ホルモンの「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」とが関係しています。エストロゲンは、妊娠に向けて卵胞の成熟を促したり、子宮内膜の壁を厚くしたりして排卵期にかけて活発な活動を見せます。そして排卵後は徐々に減っていきます。反対に、排卵後に卵巣から産出されるプロゲステロンは、排卵後に量が増え、生理前に減っていきます。

妊娠すると、いずれの女性ホルモンも分泌が盛んになります。そのため、おりものもいつもとは違った妊娠独特の状態になります。妊娠を通じてエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌は続き、良好な妊娠状態の継続を促します。

生理前に次のようなおりものの変化がみられるときは、妊娠の兆候かもしれません。

サラサラした状態になる

妊娠の成立によってエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が盛んになると、おりものがサラサラした状態になる傾向があります。排卵日から約2週間経過してサラサラした水っぽいおりものが増えた場合、妊娠の超初期症状である可能性があります。

ただし人によっては、妊娠してもおりものがサラサラにならなかったという場合があります。妊娠したら必ずしもサラサラのおりものが増えるというわけではありません。

量が多くなる

妊娠が成立したときは、生理予定日前なのにおりものの量が増える、という傾向があります。本来ならば減っていくはずのエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が、受精卵の着床後に増えるからです。

ただし、妊娠していてもおりものの量が変わらない人もいます。妊娠すると必ずしもおりものの量が増えるわけではありません。

色が変わる

おりものの量だけでなく色も変わった場合、妊娠の超初期症状である可能性が高くなります。妊娠すると、透明だったおりものに少しにごりが出て、色が濃くなる傾向があります。

気をつけたいのは、「おりものがこのような色に変わると妊娠」といった絶対的な基準はないということです。いつもの生理前に比べて白濁していたり、クリーム色がかかっていたり、茶色がかかっていたり、「いつもとは違うおりもの」の状態であれば妊娠しているサインかもしれない、ととらえましょう。

妊娠のサインをいち早くキャッチするためにも、自分の普段のおりものの状態を知っておくことが大切です。

においが変わる

妊娠したときにおりもののにおいに変化があったという人もいます。妊娠していないときの腟内は酸性が強いので、おりものもどちらかというと酸っぱいにおいがするのですが、妊娠によって酸性の状態が弱まると、おりもののにおいが弱くなるという変化がみられる場合があります。

おりもののにおいというよりは、妊娠によってデリケートゾーンのにおいが変わる、という体験をする人もいます。おりものとデリケートゾーンのいずれも、妊娠・出産を経たのちに元のにおいに戻ったそうです。

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妊娠するとおりものが変化する理由は?

妊娠が成立すると、胎児を守り妊娠状態の継続を助けるために、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増え、結果としておりものが増えることになります。

胎児を細菌などの侵入から守るのがエストロゲンの役目、子宮内膜内で胎盤が完全に形成されるのを助けることで妊娠を安全に進めていくのがプロゲステロンの役目となります。受精直後から生理予定日前にかけてサラサラのおりものが増えるのは、このエストロゲンの分泌量の増加による作用なのです。

妊娠が成立すると、ホルモンの乱れから母体の抵抗力はどうしても低下してしまいがちです。そのような状態では、細菌の侵入やもともと腟内に存在する真菌の繁殖などが比較的容易に起こってしまいがちになります。そのため、妊娠期間を通じておりものの量は増える傾向にあります。おりものが増えることで腟内を清潔に保ち、健康的な妊娠状態を維持するのを助ける役目を果たしてくれているのです。

病気の可能性があるおりものとは?

妊娠を心待ちにしている場合、おりものの状態が変化すると妊娠の超初期症状かと期待を高める人もいるでしょう。しかしおりものの変化によっては、妊娠ではなく病気のサインであることもあります。

デリケートゾーンの病気は見過ごしがちといわれますが、放置してしまうと将来的には不妊や流産といった妊娠に関するトラブルを引き起こす可能性があります。次のようなおりものの変化に気がついたときは、早めに婦人科に相談するのがおすすめです。

白くボロボロした状態のおりもの

おりものの色が白く、カッテージチーズのようにボロボロした状態のときは、腟カンジダ症が疑われます。腟カンジダ症ではおりものの変化だけでなく強いかゆみを伴うことが多いです。

腟カンジダ症は、抵抗力が低下する妊娠中にも比較的起こりやすい症状です。妊娠中の腟カンジダ症でもすぐに治療を受けることができます。かゆみを伴うおりものの変化に気がついたら、妊婦健診のときに相談してみてください。妊娠後期に発症した場合は、出産時に赤ちゃんに悪影響をおよぼすことがありますので、早めに治療を受けるようにしましょう。

黄色や緑色、黄緑色、灰白色のおりもの

おりものの色が明らかに普段と異なっていて、黄色や緑色、黄緑色、灰白色である場合は、トリコモナス腟炎や淋病といった性感染症や細菌性腟炎などが疑われます。

性感染症は、治療せずに放置すると不妊や流産など妊娠・出産をさまたげる原因になることもありますので、早めに婦人科で診察を受けることをおすすめします。

においが鼻につくおりもの

おりものが、何かが腐ったようないやなにおいであったり、ツンと鼻につくようなにおいや生臭いにおいがしたりするときは、クラミジアなどの性感染症の疑いがあります。

細かい泡状のおりもの

おりものが細かい泡状で、強いにおいを伴う場合は、トリコモナス腟炎が疑われます。トリコモナス腟炎は不妊や流産などの原因になりうる性感染症のひとつなので、将来の妊娠に備えるためにも早めの治療が望ましいです。

妊娠初期のおりものの変化に関する体験談

おりものの変化について、ままのて編集部に寄せられた体験談を紹介します。二児の母である先輩ママに、妊娠に気づいたときと腟カンジダ症を体験したときについて教えていただきました。一人目と二人目での違いも参考になりますよ。

妊娠の超初期症状にいち早く気づけた

私が妊娠したかも、と気がついたのは、おりものの変化からでした。

第一子のときは、生理予定日近くになってもおりものが増え続けておかしいな、と思っていました。そのまま予定日が来ても生理が始まらなかったので、一週間待って妊娠検査薬を使ったところ妊娠が判明しました。

第二子のときは、おりものの量にはあまり変化がなかったのですが、生理予定日近くに茶色が混じったおりものがあり、着床出血が混じったおりものなのかも、とドキドキしました。予定日から数日で妊娠検査薬を使ったところ、陽性反応が出て妊娠が判明しました。

もともと比較的生理の周期が安定していましたが、30代を超えたころから、いつか妊娠するときに備えて基礎体温と生理の記録を取り始めました。そのため、実際に妊娠したときにおりものの変化に気がつくのも早かったのかもしれません。

最近は、スマホのアプリで簡単に記録を残すことも可能になってきているので、おすすめです。同じアプリで、普段は生理周期の記録、妊娠が始まると、妊娠・出産までの記録に引き続き使用できる場合もあり、大変便利です。

デリケートゾーンの洗い過ぎで腟カンジダ症に

実は10代のころから、疲れがたまるとデリケートゾーンのかゆみやおりものの増加、不快感を覚えることがありました。大っぴらに家族に相談できず、ひとり暮らしを始めた20代も後半、初めて婦人科を訪れて、腟カンジダ症と診断されました。その後も再発を繰り返したのですが、デリケートゾーンの洗浄にやっきになりすぎて、おりものの持つ自浄作用などを逆に弱めていたのも一因だったのかもしれません。

第一子を妊娠したときには、産婦人科医に腟カンジダ症を発症したことがあると話し、妊娠中に再発する可能性が高いことを覚悟していました。疲れをためない、無理をしない妊娠生活を送れたためか、幸い妊娠中に再発はありませんでした。

第二子を妊娠中の現在は、まだまだ手のかかる幼児の世話と妊娠生活の両立で疲れを感じることが多いです。そのため、かゆみを伴ったおりものの変化にはよく注意しています。

おりものの変化で身体の不調を知る

妊娠の超初期症状に気づいたときも、腟カンジダ症を発症したときも、身体の異変を教えてくれたのはおりものの変化だったそうです。

不調とはまでもいかなくても、少し無理しているな、と思っていたら、やはりという感じでおりものの量が増えていたこともあります。おりものの変化に敏感に気がつくことで、日常生活を見直すきっかけになることもあります。

妊娠中の現在は、上の子の育児との両立でついつい無理を重ねてしまうことが多く、それに応えるように、おりものにも頻繁に変化がみられます。

身体が重いなと思っているとピンク色が混じっていたり、量が増えたりと、まるで「少し休んだほうが良いよ」というサインを私に送ってきているようです。おりものからのサインに耳を傾けつつ、健康な妊娠生活を続けて無事に出産できるように心がけています。

おりものは女性の健康のバロメーター

妊娠の超初期症状のひとつであるおりものの変化に気がつくためには、自分自身の普段のおりものの状態を知っておくことが大切です。そして、いよいよ妊娠が成立した後も、母体とお腹の赤ちゃんの健康を守って妊娠を維持するために、おりものは大切な役割を担っています。

疲れやストレスがたまっていると、おりものに変化がみられることがあります。妊娠や病気のときだけでなく、普段から女性の健康のバロメーターとしても活躍してくれるのですから、女性の身体にとっては「たかがおりもの、されどおりもの」と言えますね。

妊娠を希望している人は、基礎体温などとあわせて自分のおりものの周期をチェックするのも一案です。妊娠期間を通じて、おりものの変化から身体の疲れやストレスを素早く読み取り、順調な妊娠生活を送れると良いですね。

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