臨月の前駆陣痛・陣痛の兆候は?陣痛がこない場合の促進方法・臨月に起こる不調についても解説|産婦人科医監修

産婦人科医監修|臨月に入ると、いつ陣痛が始まるかと気になるママも多いことでしょう。特に初産の場合、陣痛と前駆陣痛の区別がつくかどうか不安なこともありますよね。陣痛の前に起こる兆候や、臨月に入ってからの身体の不調など、臨月特有の身体の変化について解説していきます。知識を身につけて、リラックスしてお産に臨みたいものですね。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 臨月とは?
  2. 臨月に起こりやすい前駆陣痛とは?
  3. 臨月に起こりやすい陣痛の兆候は?
  4. 陣痛が来ない場合の陣痛促進法は?
  5. 臨月に起こりやすい身体の不調は?
  6. 臨月の陣痛待ち妊婦の過ごし方
  7. 臨月に起こった前駆陣痛・陣痛の体験談
  8. 臨月に入ったら入院準備を進めよう
  9. 陣痛の関連記事はこちら

臨月とは?

妊娠36週(妊娠10ヶ月)に入ると、「臨月」と呼ばれます。臨月は医学用語ではありませんが、「もういつ産まれてもおかしくない」とママがお産を強く意識するころかもしれませんね。

赤ちゃんが十分に成熟し、いつ産まれても問題ない時期とされる「正産期」も臨月の一部です。しかし、正産期は一般的に妊娠37週0日〜41週6日と考えられているので、もし妊娠36週に産まれた場合は「早産」となります。

さらに、出産予定日を二週間以上過ぎて妊娠42週となると、母体や赤ちゃんにとってリスクが高い「過期産」となる可能性が出てきます。臨月とは「妊娠して10ヶ月を過ぎた」というひとつの目安であり、出産に適した期間は「正産期」と覚えておくと良いですね。

臨月に起こりやすい前駆陣痛とは?

前駆陣痛とは、子宮収縮により本陣痛と似た痛みを感じる症状です。間隔が不規則であり、お産にいたらないまま痛みが遠のいていくのが特徴です。前駆陣痛は本陣痛の兆候のひとつであり、予行練習のような存在といえるかもしれません。

前駆陣痛は臨月に起こることが一般的ですが、時期には個人差があります。経産婦か初産婦かどうかも関係がなく、初産のときに前駆陣痛を感じても、二度目は起こらない可能性もあります。

前駆陣痛の痛み方はそれぞれで、チクチクした腹痛だったり、生理痛のような痛みだったり、お腹が張ったような痛みだったりします。胎動や本陣痛との違いがわからないこともあるようです。

痛みの間隔が徐々に縮まり、痛みが強くなっていくのであれば本陣痛の可能性があります。また、内側からグーッと押されるような痛みは胎動の可能性がありますね。どうしても判断ができずに不安な場合は産院に相談してみましょう。

臨月に起こりやすい陣痛の兆候は?

臨月に入ると、いつ陣痛が始まるのか気になってしまうママもいるでしょう。初産のママにとっては、陣痛がきちんとわかるかどうかが心配かもしれません。陣痛が始まる前には、なにか決まった予兆があるのでしょうか。

前駆陣痛

前駆陣痛は、本陣痛が始まる兆候のひとつです。しかし、前駆陣痛が起こる時期は個人差あります。前駆陣痛が起こったその日に本陣痛が始まることもありますし、本陣痛が起こるまで数週間かかるケースもあるようです。

人によっては前駆陣痛を感じないこともあります。前駆陣痛が起こることで、ママの子宮頸管は少しずつ柔らかく伸びるようになり、赤ちゃんが通りやすくなっていくといわれています。

粘液栓

粘液栓とは、透明で粘度の高いゼリー状のかたまりです。子宮頸部を覆って赤ちゃんを守っています。ねっとりしたおりものが出たら、粘液栓の可能性があります。粘液栓が出た後、陣痛が起こるタイミングは個人差があるようです。

粘液栓が出てすぐに陣痛がくる人もいますし、数週間経っても陣痛が始まらない人もいます。粘液栓に気づかなくても、おりものが増えたと感じるママは多いようなので、清潔なナプキンやおりものシートなどを用意しておきましょう。

おしるし

陣痛の兆候でよく知られているのが「おしるし」です。子宮下部が少しずつ開いてくると、卵膜が子宮壁からはがれ、出血が起こります。その血液と粘液栓が一緒に出てきたものが「おしるし」です。量や色には個人差があり、ピンク混じりのおりものが出ることもあれば、生理中のような鮮血が出ることもあります。おしるしが起こった後は、数日以内に陣痛が起こるのが一般的です。

破水

赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れ、羊水が体外に流れ出ることを「破水」と言います。破水は陣痛が始まった後、子宮口が全開大になった時点で起こるのが適切なタイミングといわれています。

しかし、陣痛がくる前に破水が起こる「前期破水」、子宮口が開ききる前に破水が起こる「早期破水」となることも珍しくはありません。前期破水が起こった後は、24時間以内に陣痛が起こるのが一般的です。

基本的に、破水が起こった場合はすぐに入院となります。卵膜というバリアがなくなり、赤ちゃんやママの子宮が細菌に感染するリスクが高まるためです。尿漏れと区別がしにくいかもしれませんが、チョロチョロと生温かい液体が腟を伝ってくる症状がみられたときは、医師に連絡して指示を仰ぎましょう。

お腹のふくらみが下がる

お産が近づくに伴って、赤ちゃんは骨盤のほうに少しずつ下がっていきます。すると、お腹のふくらみの位置が下がったと感じるママもいるようです。赤ちゃんが下がることで圧迫されていた胃も元に戻り、食欲が増すこともあります。食べ過ぎによる体重の増加には気をつけたいものですね。

お腹のはり

臨月に入ると、お腹の張りも頻繁に起こるかもしれません。強い胎動や前駆陣痛をお腹の張りと感じることもあるでしょう。また、便秘が続くことで、お腹にガスがたまったように感じることもあります。

子宮の収縮もお腹の張りの一因です。お腹が張ったら、しばらく横になって様子を見ましょう。休んでいても定期的にお腹が張り、痛みが徐々に強くなるようであれば、陣痛の可能性がありますから注意しましょう。

胎動の減少

臨月になると、胎動の感じ方が変わることもあります。赤ちゃんが大きくなって、骨盤の中に頭が入りこむと、今まで自由に動き回っていた赤ちゃんの動きが少なくなることがあるからです。しかし、出産直前まで胎動が全くなくなるということはありません。胎動が極端に少なくなった場合は医師に相談するようにしましょう。

陣痛が来ない場合の陣痛促進法は?

臨月に入って、赤ちゃんが十分に成熟しても、陣痛がなかなかこない場合もあります。出産予定日を大幅に過ぎても子宮口が開いていないときは、医師が陣痛を促進する処置をすることもあります。

内診ぐりぐり

「内診ぐりぐり」は、正式には「卵膜剥離」と呼ばれる医療処置です。出産予定日を超えても陣痛がこないとき、内診時に卵膜剥離を実施することがあるようです。医師が指や器具などで、子宮の下部から卵膜を引き剥がし、陣痛の始まりを促します。人によっては、痛みを感じたり出血が起こったりしますが、陣痛促進剤よりもリスクは少ないとされています。

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バルーン・ラミナリア

医療器具で人工的に子宮口を広げて陣痛を誘発する方法もあります。そのひとつがバルーンです。風船のような器具を子宮に挿入し、滅菌水を入れてふくらませることで子宮頸管が開いていきます。

ラミナリア桿(かん)も子宮頸管を拡張する医療器具です。ラミナリア桿を子宮頸管に差し込むと、少しずつ水分を吸って膨張します。バルーンやラミナリア桿は、陣痛誘発剤と併用して使用するのが一般的です。

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陣痛促進剤

陣痛を促進させるために、薬剤を点滴で注入することもあります。陣痛促進剤は、オキシトシンやプロスタグランジンを使用するのが一般的です。どちらも陣痛時に分泌されるホルモンです。

陣痛促進剤は陣痛誘発に大きな効果を発揮します。しかし、子宮頸管の裂傷や胎児機能不全などのリスクもあるので、医師としっかり相談し、納得してから使用を決めましょう。

自分で陣痛は促進できる?

出産予定日が近づいていても陣痛が起こらないときは、適度な運動をしたり、「三陰交」と呼ばれるツボを刺激したりすることで、お産が早まる可能性もあります。

また、オーガズムを感じることで陣痛を促すというジンクスもありますが、医学的な根拠はありません。ストレス発散や、気分転換のひとつとして試してみても良いですが、お腹の張りを感じたときは止めておきましょう。

臨月に起こりやすい身体の不調は?

頭痛

臨月に入ったという精神的な緊張から、頭痛を起こす妊婦さんも多いといわれています。育児や出産へのストレスだけではなく、運動不足や睡眠不足も頭痛の原因となります。頭痛がひどくてゆっくり休めないようなら、担当の医師に相談してみても良いでしょう。

貧血が原因で頭痛が起こることもあります。臨月に入ると赤ちゃんにたくさん酸素や栄養を送り込む必要があるため、一時的に鉄が不足し貧血となることがあります。鉄分をしっかり摂るように心がけてみましょう。

胃痛・吐き気

臨月を過ぎて、胃痛や吐き気、胸焼けが気になっているママもいるかもしれません。ホルモン分泌の変化によって胃腸の働きが鈍くなったり、子宮が大きくなることで消化器官が圧迫されたりするのが一因といわれています。食べ物がうまく消化されないと、逆流性食道炎などの原因にもなるので、一回の食事を小分けにしたり量を減らしたりしてみましょう。

また、お産に対する不安や恐怖心が、胃痛や吐き気の原因となることがあります。ストレスは自律神経をみだすため、胃酸の分泌にも影響します。リラックスできる環境を整えて、ストレスがたまらないように心がけましょう。激しい胃痛や、痛みがおさまらない場合は病気の可能性もあるので、医師に相談してみましょう。

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便秘

臨月になると、便秘や下痢に悩まされるようになったというママもいます。妊娠中はプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が盛んになり、消化器官の働きが弱まります。さらに臨月になると大きくなった子宮が、胃や腸を圧迫することもあるためです。

消化器官の働きが鈍くなると、便秘になったり、下痢になったりします。軽い腹痛を感じたときは、食べる量を調整し、少し休んで様子を見ましょう。もしいつもと違う腹痛や激痛を感じたときは、すぐに医師に相談したほうが安心ですよ。

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恥骨痛・腰痛

お腹が大きくなってくると、赤ちゃんの体重や羊水の量が増えるため、ママの腰には大きな負担がかかります。また、赤ちゃんの頭が下りてくることで骨盤が緩み、「恥骨」という骨盤の下にある骨にも影響が出てくることがあります。

子宮を支える骨盤底筋が弱っている場合も、恥骨痛や腰痛につながることがあります。経産婦さんも要注意です。前の出産による骨盤の開きが、腰痛や恥骨痛につながることもあります。激痛を感じたり、出血を伴ったりする場合は、病気のサインかもしれません。すぐに病院で診てもらいましょう。

眠気

臨月に入ると眠気が増したというママもいます。妊娠中は、体温を上げる効果があるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が徐々に増えていきます。眠気は体温が下がったときに感じやすいので、プロゲステロンの分泌量が多い妊娠中は、眠りにつきにくく睡眠の質が悪くなることがあります。そのため、昼間も強い眠気を感じることが増えたというママが多いのです。

また、臨月の時期は、赤ちゃんが下りてきたことで膀胱が刺激されたり、胎動やお腹の張りを感じたりして、夜にぐっすり眠れなくなることもあります。また、もうすぐお産が近いという不安や緊張感で眠れなくなるママもいるようです。

臨月の陣痛待ち妊婦の過ごし方

臨月に入ったら、まずは入院の準備をしましょう。産院からもらうパンフレットなどに、必要なものが書かれているはずです。おでかけのときは、病院の診察券と保険証、母子手帳を忘れずに持ち歩くと良いでしょう。肌着やおむつ、ベビーベッドなど、赤ちゃんを迎える準備もしておきたいですね。

適度な運動は安産につながることがあります。お腹が張らない程度に、ウォーキングやストレッチをしてみても良いですね。ママは落ち着かない気分かもしれませんが、できるだけリラックスして陣痛を待ちましょう。

お気に入りの音楽やアロマなどを楽しみながら、赤ちゃんと会える日を想像してみても良いですね。陣痛が来たときに慌てないように、陣痛計測アプリをダウンロードしておくのも良いでしょう。

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臨月に起こった前駆陣痛・陣痛の体験談

前駆陣痛はわからないけれど陣痛はわかった

臨月に入って、筆者は頻繁にお腹の張りを感じました。なかには軽い痛みを伴うお腹の張りもありましたが、それが前駆陣痛なのかどうかは判断できませんでした。初産のときも二度目のときも、前駆陣痛が起こったのかどうか、結局最後までわからないままでした。

しかし、本陣痛に関してはすぐにわかりました。最初は生理痛のような痛みが、どんどん強くなっていったのです。これまでの子宮収縮の痛みは、少し休めば消えていくものだったので「これは陣痛かも」とピンと来ました。痛みの間隔は15分になったり8分になったりと不規則でしたが、それも少しずつ規則正しいものに変化していきました。

陣痛が来たとき、わからなかったらどうしようと心配しすぎる必要はないかもしれません。どうしても判断できないときは、病院で聞けば良いですし、たとえ前駆陣痛だったとしても本番の予行練習ができたと思えば良いですよ。

臨月に入ったら入院準備を進めよう

臨月に入ると、ママはいつ陣痛が始まるのかドキドキしますね。いつお産が始まっても大丈夫なように、入院準備を進めておくと良いでしょう。外出時は保険証や母子手帳を持ち歩くことも忘れずに。

胎動や前駆陣痛と区別がつくのか、心配なママもいるかもしれません。陣痛の兆候について知識を持っておけば、本番でパニックになるのを防げるかもしれませんね。陣痛かどうかわからないときは、迷わず産院に相談しましょう。

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