更新日:2017年07月03日

卵巣がんになったら妊娠はできないの?卵巣がんの症状と原因、治療法

卵巣がんは、知らないあいだに進行してしまうがんといわれています。また、卵巣という女性特有の特殊な個所なだけに、がんになってしまうと、妊娠はできないのでは?と思う人も多いですよね。ここでは、卵巣がんの症状、原因、治療法、妊娠の可能性についてもお伝えします。

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卵巣がんとは

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悪性度の高い卵巣腫瘍の総称

卵巣は、腫瘍の巣窟と呼ばれるほど、女性の身体の中でも腫瘍ができやすい臓器です。これは、卵巣から排卵するたびに、卵巣の上皮が損傷と修復を繰り返すことに理由があるのではないかと考えられています。

「がん」と「腫瘍」はしばしば混同されがちですが、がんは腫瘍の一種で、腫瘍=がんではありません。また、「がん」と「癌」も平仮名と漢字の違いだけではなく、がんは悪性腫瘍の総称、癌は上皮細胞にできた悪性腫瘍を指すというように、それぞれ別の意味合いを持っています。そのため、卵巣がんというと、卵巣にできた悪性度の高い腫瘍全般を指します。

卵巣には腫瘍ができやすいとはいえ、すべてがんというわけでななく、ほとんどが良性のものです。割合にして8~9割と、悪性であるのは珍しいともいえるでしょう。しかし、近年の生活スタイルの変化から、卵巣がんの発生率はだんだんと上昇しています。

良性腫瘍であっても、後になって悪性化することも否定できません。卵巣に腫瘍が見つかったからといって悲観しすぎることはありませんが、ひとつひとつしっかりと対処していくことが大切です。

卵巣の構造と卵巣がんの分類

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卵巣の構造

卵巣の表面は、表層上皮という膜で覆われています。卵巣の内側にあるのは、卵子のもととなる卵胞や、排卵後にできる黄体などが含まれる卵巣皮質です。卵巣皮質と卵胞のあいだは、卵巣間質という結合組織になっています。

卵胞のなかには生殖細胞である胚細胞があり、卵胞の周囲は性索間質細胞が膜のように取り巻いている状態です。卵巣の腫瘍はこの中のどこにでも発生しうるもので、どこに発生したのか、どのような性質をもっているかで種類が細かく分類されます。

4種に大別される発生部位

卵巣腫瘍は発生する部位によって表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細胞性腫瘍に分けられます。ここに、発生場所がはっきりしない「その他」のタイプが加わり、全部で4つの種類に分類されます。

4種に分類された腫瘍はさらに、良性と悪性、良性と悪性の中間的な境界性の性質を持つ境界性悪性腫瘍に分けられます。このうち、卵巣がんは良性のものを除いた悪性腫瘍と境界性悪性腫瘍ということになり、腫瘍の組織の型によってより細かく区別されます。臨床学的には悪性腫瘍、境界性悪性腫瘍の数は38種類です。

卵巣がんの70~80%を占める上皮性卵巣がん

卵巣にできる腫瘍のほとんどは、表層上皮や間質にできる腫瘍です。悪性または境界性悪性の性質に絞ってみても、表層上皮性・間質性の腫瘍は卵巣がん全体の70~80%と高い割合で発生します。

20~30代に多い胚細胞腫瘍

胚とは卵胞の中にある生殖細胞のことで、卵細胞とも呼ばれます。胚細胞腫瘍は卵巣腫瘍全体の約20%ほどに見られ、悪性のものはごくわずかです。割合的に20~30代の若い女性に多く発生するのが特徴ですが、化学療法による治療成績が良好で比較的治りやすいがんといわれています。

まれにみられる性索間質性腫瘍

性索間質腫瘍は、卵巣腫瘍の中でも発生頻度が一番低い腫瘍です。代表的な腫瘍が顆粒膜細胞腫で、性索間質腫瘍の大半を占めます。症例の半数以上は閉経後に見られますが、まれに思春期を迎える前の小児でも発症することがあります。

腫瘍によっては女性ホルモンのエストロゲンや、男性ホルモンのアンドロゲンを産生することがあり、無月経などの症状が見られるのも特徴です。

嚢胞性腫瘍と充実性腫瘍

腫瘍は発生場所、良性・悪性などの性質の分類に加え、状態によっても分類されます。それが嚢胞性腫瘍と充実性腫瘍です。卵巣腫瘍に占める割合的には嚢胞性腫瘍の方が多く、約85%が嚢胞性腫瘍です。

嚢胞性腫瘍は、成熟した卵子が表層上皮を破って飛び出したときに形成されます。破けた上皮が間質の中に落ち込んで袋状になり、そこに液体がたまると嚢胞となるのです。液体がサラサラしている嚢胞は漿液性腫瘍、粘り気のある液体が入ったものは粘液性腫瘍、歯や髪の毛の成分が入ったものは皮様嚢腫といいます。嚢胞性腫瘍のほとんどは良性のものですが、約10%が悪性度の高い卵巣がんとなります。

卵巣腫瘍にはもうひとつ、充実性腫瘍と呼ばれる型があります。充実性腫瘍は嚢胞性腫瘍と異なり、固形の塊を含む腫瘤で、全体がこぶのようになったもの、一部にかたまりを含むものと形状はさまざまです。充実性腫瘍はおよそ70%が悪性腫瘍です。

主な悪性腫瘍

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漿液性腺がん

表層上皮にできる卵巣がんで、卵巣がん全体でも一番発症数が多く、約40%がこのタイプです。30代後半~60代にかけて多く見られます。進行が早いため、発見されたときにはすでに広範囲に広がっているということも少なくありません。両側の卵巣に発生することでも知られています。

粘液性腺がん

表層上皮にできるがんですが、悪性のものは間質にも浸潤する傾向があります。たくさんの嚢胞が固まってひとつの腫瘍を作る多房性となるのが特徴で、進行度が遅いため、早期に発見されれば完治も見込めるがんです。卵巣がん全体では10~15%を占め、30代以降に発症例が多く報告されています。

類内膜腺がん

卵巣がんのうち、約10%の割合で発生するのが類内膜腺がんです。20~30%が両側の卵巣に見られ、卵巣にできる子宮内膜症(チョコレート嚢胞)が悪性化するとなりやすいのが特徴です。比較的若い世代で発生しやすく、卵巣がんの中でも治りやすいがんといわれています。

明細胞腺がん

近年、日本で増加傾向にあるのが明細胞腺がんです。表層上皮に見られるがんで、卵巣がん全体では25~30%にのぼります。明細胞腺がんもチョコレート嚢胞から発生する確率が高く、血栓症や肺塞栓症を合併しているケースもみられます。

悪性度は高めで化学療法が効きづらいという傾向があり、リンパ節への転移も多いがんです。ただし、進行度は遅いため、早期の発見で腫瘍をすべて取りきることができれば、治癒の可能性もゼロではないでしょう。

主な良性腫瘍

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漿液性嚢胞腺腫

表層上皮にできる嚢胞性の腫瘍で、中の液体成分がサラサラのものです。卵巣腫瘍全体では15~25%に見られ、片側の卵巣に発生するケースが大半です。嚢胞がひとつだけの単房性となることが多い腫瘍です。

粘液性嚢胞腺腫

中の成分が粘性を示す嚢胞性腫瘍で、表層上皮にできる代表的な卵巣腫瘍です。ほとんどが片側の卵巣にだけ発生し、10~30cm以上の大きな腫瘍に成長して発見されることがあります。閉経後に発症することはまれです。

成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫)

胚細胞にできる腫瘍で、別名を「ベルモイド」といいます。卵巣腫瘍全体では20~30%と比較的多く発生する腫瘍です。卵細胞に由来していることから、体の組織と同じ成分が含まれているのが特徴で、毛髪や脂肪、歯や骨が肉眼で確認できることもあります。妊娠に合併する卵巣腫瘍としても知られており、妊娠中の健診で発見されるケースもみられます。

卵巣がんの原因

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生涯にわたる排卵の回数

卵巣がんの発症には排卵の回数が大きく関係しており、一般的に排卵回数が少ないほどがんの発症リスクは低下するといわれています。これは、表層上皮が排卵のたびに傷つき、そのつど修復が繰り返されるためです。傷ついた表層上皮が修復されるとき、細胞の異常増殖や嚢胞の形成が起こると、卵巣がんに発展しやすいと考えられています。

妊娠中や授乳期間中は基本的に生理がなく、排卵は起こりません。そのため、妊娠や出産回数が多かったり、授乳期間が長かったりすると生涯を通じた排卵回数が減り、卵巣がんを発症する率も低くなります。同様に低用量ピルを利用している人も排卵回数が減ることから、卵巣がんの発症リスクは低くなるといえます。

近年卵巣がんが増加傾向にあるのは、平均的な出産回数が減ったことにあるという見方もあります。以前は、たくさん子どもを産み、授乳期間も長かったことから、卵巣がんのリスクは自然と下がっていました。しかし、現在は少子化や子どもを持たない女性も増加しています。生涯にわたる排卵回数が増えたことで、卵巣がんの発生リスクは社会全体で高まっているのです。

遺伝によるもの

卵巣がんは乳がんなどと同じく、遺伝のリスクがあります。遺伝性のがんの場合、BRCA遺伝子もしくはMMR遺伝子に異常があると、発症リスクが高まることがわかっています。

母親や姉妹など近親者に卵巣がんや乳がんにかかる人が多い家系ではMRCA遺伝子の異常が、子宮体がんや大腸がんにかかった人が多い家系では、MMR遺伝子の異常がみとめられるケースが多いため、近親者でがんが多発している家系では、定期的な検診を受けることが重要となってきます。

生活習慣

卵巣がんのうち上皮性腫瘍に関しては、発症リスクを高める要因となるものがいくつかわかっています。そのうち動物性脂肪の多量摂取や肥満、喫煙などの生活習慣が、卵巣がんの発生に影響しているという研究データが報告されています。

また、7時間以上の睡眠が卵巣がんの発症リスクを低下させるという報告もあり、生活習慣と卵巣がんの発症リスクは注目を集めている分野です。

生活習慣の乱れはほかの病気を引き起こす原因ともなり、身体の免疫力の低下やホルモンバランスの乱れをも招きます。胚細胞性腫瘍や性索間質性腫瘍の危険因子や、卵巣がんの予防法も解明されていないことから、普段からバランスの取れた生活を心がけたいものです。

加齢

統計的に、卵巣がんは閉経を迎えた女性に多く発症しています。これは若い女性と比べて排卵回数が多いことが原因としてあげられます。また、閉経を迎えると女性ホルモンや性腺刺激ホルモンの分泌量が変化します。年齢を重ねた女性に卵巣がんが多いのは、閉経後のホルモンバランスが何らかの形で影響しているという説もあります。

既往症

チョコレート嚢胞は卵巣にできる子宮内膜ですが、チョコレート嚢胞や子宮内膜症があると、卵巣がんの発症リスクが高くなることがわかっています。また、表層上皮性腫瘍は子宮体がんと合併することがあり、子宮体がんに罹患したことがある人も注意が必要です。

卵巣がんの症状

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初期は自覚症状がないことも多い

卵巣は別名「沈黙の臓器」、卵巣がんは「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」と呼ばれ、腫瘍や炎症が起きても自覚症状がほとんどあらわれません。これは、卵巣が子宮の奥の腹腔内にぶら下がっているような状態でまわりにスペースがあること、卵巣が左右に2つずつあり、一方がダメージを受けても卵巣機能が維持されていることが理由です。

そのため、初期のあいだは自覚症状がないまま症状が進行し、気づいたときには卵巣以外の臓器にがんが発展していることも珍しくありません。生理痛や排卵痛と混同したまま過ごしてしまうこともあり、なかなかがんの可能性までたどりつけない厄介な臓器なのです。

下腹部にしこりや圧迫、痛みを感じる

卵巣がんが大きくなるにつれ、下腹部にしこりや圧迫、痛みなどを感じるようになります。しかし、卵巣がんに起因する痛みはなんとなくだるくて重いような鈍痛で、早急に受診の必要性を感じさせるものではありません。

ただし、大きくなった腫瘍の重みで卵巣の付け根部分がねじれる茎捻転が起こると、吐き気や痛みなどの急激な症状があらわれます。茎捻転を起こす腫瘍は良性のものが多いといわれていますが、放置しておくと茎捻転を起こしている卵巣が壊死してしまうため、早急な措置が必要です。

卵巣の腫れや水がたまる

卵巣がんによる卵巣の腫れは、腹部の膨満感となってあらわれます。お腹が急にポッコリしてきたな、パンツやスカートのウエストがきつくなったなというときは注意が必要です。

また、がんが点々とばらまかれたように転移する「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」があると、腹膜の機能が低下して腹腔内に腹水がたまりやすくなります。腹水は漿液性腺がんや移行上皮がんに多く見られます。

漿液性腺がんは進行が速く、腹水がたまるころには症状が進んだ状態です。少しでも早く対処をするために、異変を感じたら、すみやかに医療機関で検査を受けるようにしましょう。

トイレが近くなる

大きくなった卵巣がんが膀胱付近を圧迫することで、トイレが近くなる頻尿を訴える方が多いようです。逆に、排尿や排便障害があらわれることもあります。

産後のゆるみで頻尿などのトラブルを抱えていると、こうした悩みに気が付きにくいものですが、これまでと比べてトイレの回数が増えたと感じたら、ささいなことでも医師に相談してください。

胃腸の不調

見逃されがちですが、胃腸の不調が続くことも多くなります。卵巣がんが胃腸を圧迫するためで、最近食欲が落ちたな、と感じることが増えます。さらに、体重減少も卵巣がんに見られる症状のひとつです。小さなことでも、身体からのサインを見逃さないようにしたいですね。

不正出血

卵巣がんでは、腰痛を伴う不正出血も見られます。しかし、卵巣がんによる不正出血は周囲の臓器との癒着などで起こり、両側の卵巣が機能を停止していなければ生理は正常に起こるため、初期の段階で出血が見られるのはまれです。不正出血が起きたときは、がんがかなり進行していることが考えられます。

卵巣がんの診断

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問診

産婦人科の問診では、初潮の時期や閉経した時期、月経周期、最終月経日などを聞かれます。問診表に記入することがほとんどですが、正確な情報を把握するためにも、生理日の把握をしておきましょう。

また、出産経験や性行為の有無、ホルモン療法といった産婦人科系の治療履歴についても情報が必要です。卵巣がんは遺伝性という危険因子があることから、家族や親族の病歴も参考になります。もしもわからないことがあったら、産婦人科にかかる前に確認しておくことも大切です。

画像診断

卵巣は子宮の奥にある臓器です。直接触れたり、細胞組織を取って検査したりすることができません。そのため、診断は膣に手を入れてお腹の中と外から圧迫する内診と、超音波検査による画像診断を行うのが通常です。

超音波検査は腟の中から管を入れて検査する経腟超音波検査と、お腹の上から器具をあてる経腹超音波診断が使われます。腟の内部に手や器具を挿入されるのは抵抗があるかもしれませんが、正確な情報を得るためにも必要なことです。

受診の際には性器の周囲を清潔にし、リラックスして診察を受けましょう。ただし、ビデなどで腟の中を洗浄するのはありのままの状態がわからないため、避けてください。超音波検査で卵巣の腫れや腫瘤が確認されたときは、さらに精密な検査をするためMRIやCT検査、PET検査を行いがんの多いさや転移の有無などを調べます。

腫瘍マーカー

腫瘍マーカーとは、血液を採取して行うがんの検査です。腫瘍はタンパク質などの固有物質を作り出す性質があります。こうした物質は血液中に流れ込むため、血液検査で血中にある特定の物質の量を測定し、がんの存在や種類をつきとめます。

腫瘍マーカーはがんの診断に有効ではありますが、がんがあっても反応しなかったり、がんではないのに数値が上がってしまったりすることがあり、確定診断の材料としてはやや力不足です。腫瘍マーカーの数値はあくまで参考値なので、仮にがんという測定結果が出ても不安になりすぎず、画像診断などの検査結果を待ちましょう。

悪性卵巣がんの臨床進行期別分類

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進行度は手術で摘出した細胞の病理検査で確定

卵巣がんは細胞を採取して悪性か良性かを判断することはできないため、治療の基本は手術となります。開腹をして腫瘍や腹水を取り出し、病理検査などによってがんがどの程度進行しているかを見極めてから、今後の治療の方針を決めていきます。

卵巣がんの進行度は4期に分かれ、それぞれがさらに細かくステージ分けされています。転移する可能性がある範囲は非常に広く、しかも顕微鏡で見なければわからない細かいものも含まれます。

手術をしなければ進行度がわからないとなると、自覚症状がないうちは腑に落ちないこともあるでしょう。しかし、予後をよくするためにも開腹して精密な検査を行うことはとても重要なのです。

がんが卵巣だけにとどまっているI期

進行が極めて限定的で、卵巣がんの中でも初期に当たるのがI期です。がんは卵巣内にとどまっていて、転移は認められません。片側の卵巣か、両側の卵巣か、また浸潤の程度によってIa~Ic期に分かれます。

5年生存率はIa期では極めて高くなりますが、Ib、Ic期になると5年生存率は60~70%ほどとなり、同じステージでも大きな開きがあるのがわかります。

骨盤内への進展があるII期

II期では骨盤内の臓器への転移が見られます。ステージはI期と同様にa~c期に区別され、IIa期では子宮や卵管への転移がみとめられます。IIb期になると、骨盤内のほかの臓器へのがんが転移しています。がんが皮膜の表面を侵しており、腹水や腹腔洗浄液の細胞診でがん細胞がみつかるとIIc期と診断されます。

骨盤外やリンパ節への転移があるIII期

III期にステージが進むと、がんは骨盤外の腹膜や鼠径部のリンパ節などに転移しています。腹膜への転移は顕微鏡下でしか見えないような細かいもので、種をまくように腹膜にがんが点在していることから、「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」とも呼ばれます。

遠い臓器への転移があるIV期

卵巣から遠い肺や肝臓などへの遠隔転移が伴うものを、IV期と定義しています。胸水が溜まっている場合は、その中に悪性細胞が認められます。ここまでくると5年生存率は著しく低下します。

卵巣がんの治療法

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卵巣がんは摘出手術が基本

卵巣がんの治療法としては、手術療法と化学療法を取り入れるのが基本です。卵巣がんは発見が遅れがちな腫瘍なだけに、治療では開腹手術を行ってその場で細胞や組織を検査し、良性か悪性か、手術の方式はどうするか、今後の治療方針などを判断していきます。

手術で腫瘍が悪性または境界性悪性と判断された場合は、腫瘍は摘出されます。卵巣や卵管、場合によっては子宮や腸など広範囲の脂肪組織を切除することもあります。摘出される可能性があるのは、腹膜播種、胃からぶら下がっている脂肪組織の大綱、ときにはリンパ節も含まれます。

手術前にどの範囲を切除するのかを確定させることは難しく、治療に望む前にどのような可能性やリスクがあるのか、医師から十分に説明を受けておくことが求められます。

抗がん剤による化学療法

化学療法とは、いわゆる「抗がん剤治療」のことです。卵巣がんの治療では、手術で腫瘍をできるだけ摘出したあとに化学療法を組み合わせるのが基本です。卵巣がんは抗がん剤が効きやすく、再発や転移を予防するために使われます。

抗がん剤の種類は多く、容量や使用期間は細かく決められています。全身状態、がんの種類などによって2種類以上の薬剤を併用して治療をすすめていきます。

抗がん剤の治療は卵巣がんと闘うためには欠かせないものですが、大変な副作用をともないます。血液や髪の毛、消化器などに影響が出てくるため、精神的な負担も相当なものです。治療を始めるに当たってはあらゆる場合を想定し、きちんと納得したうえで行うことが大切です。

化学療法との併用による放射線治療

以前は、卵巣がんに対する放射線治療も行われていましたが、現在では手術と化学療法が主となっています。これは、卵巣がんに対して放射線治療の効果があまり高くないためです。卵巣がんの転移がみとめられ、なおかつがんの範囲が限定される場合に限り、化学療法と併用して放射線治療が多なわれることがあります。

卵巣がんになっても妊娠できる?

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基本的には難しい

悪性の卵巣がんの場合は、卵巣と子宮を切除してしまうために、卵巣がん治療後の妊娠は難しくなります。しかし、妊娠を希望している女性の場合は、進行度や腫瘍タイプにもよっては片方の卵巣と卵管、子宮を温存する「妊孕能(にんようのう)温存手術」が行われることもあります。

一定条件を満たせば妊孕能温存が可能

手術で両側の卵巣や子宮を摘出してしまうと、将来の妊娠を望むことはできません。これは若い女性や子供を望む方にとっては大きな問題です。そこで、妊孕性を温存できる症例について、日本婦人科腫瘍学会ではいくつかの必要条件を提示しています。

ひとつが、患者本人やその家族が子どもをもつことを強く希望していることです。さらに、妊孕性の温存は標準的な治療ではないことを理解すること、長期的なフォローアップを行うことも検討材料としてあげています。

臨床学的な条件としては、Ia期でなおかつgrade1に分類されるおとなしいタイプのがんであることが求められます。こうした条件がそろえば、卵巣を残しておくことは可能です。

妊婦健診でがんがみつかることもある

卵巣がんの症状を自覚しないまま妊娠し、妊婦健診で卵巣に腫瘍が見つかることがあります。妊娠初期の卵巣は腫れていることが多く、超音波検査のみでは悪性か良性かの区別がつきません。胎児の放射線被曝の可能性を考えると、CTの利用も避けたいものです。

また、妊娠の影響で血液検査の数値も通常と異なることが多く、腫瘍マーカーによる検査も正確性にかけるのが実情です。そのため、悪性の所見がなければある時期まで経過を観察し、腫瘍が小さくなるか見極めます。

腫瘍が小さくならず残った場合は、安定期に入るまで待ってから、卵巣を摘出する手術を行うことがあります。出産後に治療ができるケースや、出産を断念せざるをえないケースがあるため、医師や家族と十分に検討を重ねるようにしましょう。

良性でも卵巣嚢腫茎捻転は注意が必要

腫瘍が良性であっても、卵巣を摘出しなければいけないケースがあります。それは、茎捻転を起こしてしまったときです。

茎捻転は、子宮と卵巣をつないでいる管がねじれてしまう減少です。血流が滞り、放置しておくと卵巣は壊死してしまいます。壊死した卵巣は摘出しなければならず、下腹部に急激な痛みや吐き気を感じたときは、注意が必要です。

卵巣がんに関する体験談

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がんになると「なぜ私が…」と誰しもが思うことでしょう。想像するだけでもつらいですよね。特に、自覚症状も少ない「卵巣がん」の場合、これまで気づかなかった自分への自責の念や、気づいたときのショックは計り知れないものです。

気になる症状があれば婦人科へ

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卵巣がんは「乳がん」や「子宮がん」より認知度は低いものの、気づいたときには症状が進行してしまっていることが多いのが現状です。今のところ、卵巣がんを知る手立ては、検査しかありません。

特に、近親者に卵巣がんになったことがある人や、喫煙している人などは卵巣がんになるリスクが比較的高いので、定期的に検査を実施しましょう。また、「下腹部痛」「下腹部のしこり」「頻尿」「胃腸の不快感」「不正出血」のひとつでも症状があられたときは、なるべく早い段階で婦人科の先生に相談してください。

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izumi

子育て奮闘中の2児の母です。教育関係職に勤めた後、現在は主…

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