中絶できる期間はいつからいつまで?中絶手術の方法とリスクとは

妊娠の中絶。出来る事なら避けたい事ですが、やむ得ないケースもあります。そして中絶はいつでも出来る訳ではありません。母体へのダメージや負担、リスク等も知識として知っておくのはとても大切な事です。今回は妊娠の中絶手術や期間、リスクについてまとめてみました。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 人工妊娠中絶とは
  2. 中絶手術のできる期間
  3. 中絶手術の方法
  4. 中絶手術のリスク
  5. 中絶手術の費用
  6. 避妊がうまくいかなかったら、アフターピルを検討して
  7. 母体の安全を最優先に
  8. 中絶の関連記事はこちら
  9. あわせて読みたい

人工妊娠中絶とは

人工的に妊娠を中絶させること

人工妊娠中絶とは、母体の外で生存することの出来ない時期の胎児を中絶を目的とした人工的な手術や意図して服用する薬等によって妊娠を中絶させることです。胎児の発育が止まり、母体内で死亡してしまった場合は、流産、または自然流産といい人工妊娠中絶とは異なります。

日本では、母体保護法という法律に基づき人工妊娠中絶を行っても良いとして認められている理由があります。

法律で認められている中絶理由

母体保護法で中絶が認められているのは以下の通りです。

① 母体健康上の理由
② 経済的理由
③ レイプや性被害などの理由

基本的には上記以外の理由での人工妊娠中絶は認められていません。つまり、胎児に身体的な障害があった場合などは認められていません。ですが、胎児の身体的障害で母体の健康を及ぼす恐れがある場合には上記の理由に当てはまるとされています。

中絶を受けられる病院

人工妊娠中絶の手術は、各都道府県の医師会が認めた「母体保護法指定医」でなければ実施出来ません。病院を選ぶ際は、必ず「指定医」であることを確認しましょう。中絶当日は、基本的には手術後は内容によっては入院などせずに帰宅となる場合があります。そうなると麻酔などの影響で体が思うように動かないことも考えましょう。

帰りはタクシーを使うことを視野に入れて、帰れる距離内にある病院を選ぶようにするのがおすすめです。

中絶手術のできる期間

妊娠21週6日まで

母体保護法という法律により、中絶手術ができるのは妊娠22週未満(妊娠21週6日まで)に限るとされています。それ以降は母体へのリスクも大きいことと、倫理的な問題から中絶することはできません。それを超えて中絶した場合は犯罪として扱われます。

妊娠週数が進むほど母体への負担が大きい

妊娠週数が大きくなればなるほど中絶する際の母体への負担が大きくなるため、実際には「妊娠11~12週目」までが目安だと考えられています。

中絶手術の方法

掻爬(そうは)法

搔爬法はスプーンの形をした器具で胎児や胎盤を子宮内から掻き出す方法です。

搔爬法も器具を使用して行うものですが、シンプルな器具のため感染症などの心配が吸引法よりは低いとされています。しかし、子宮は非常に柔らかいので傷付ける可能性もあります。また、子宮に良性の腫瘍があったりや子宮形状が異常であったりする場合には非常に難しい手術となります。

日本では昔から中絶手術に搔爬法が用いられていますので、中絶手術を扱っている病院やクリニックは基本的にこの方法が多いようです。

吸引法

吸引法は、子宮内に吸引器具を入れて胎児や胎盤を吸い出す方法です。手術時間がとても短く10分程度で終わる手術です。吸引器具を子宮内に入れて吸い出すので、手術の内容自体は搔爬法よりシンプルで母体への負担が少ないと言われています。

しかし、妊娠8週以上は胎児が大きいため吸引がしづらくなります。また麻酔はしますが、器具を入れる際に子宮口を広げるために痛みを感じることがあります。その他も吸引力が非常に強い為、柔らかい子宮を傷付ける恐れがあり手術後に大量出血となることがあります。

中期中絶手術

婦人科の診察を受けた後に血液検査、心電図検査、尿検査、血液の固まりやすさを調べる血液凝固検査を行います。検査で問題がなければ、手術日が決まります。

手術1~2日前からラミナリアという子宮口に細い棒のようなものを子宮口に入れて広げます。手術当日、陣痛誘発剤などの投与によって人工的、強制的に陣痛を誘発させて流産させ、胎盤やその他の子宮内容物の除去をおこないます。

中絶手術のリスク

まれに合併症を引き起こすことがある

妊娠中絶手術は、決して難しい手術ではありませんが、リスクは伴います。手術では子宮に傷がついたり、出血多量になったり、子宮内容物(赤ちゃんに付属しているもの)が中に残ってしまったりなどのリスクがあります。また、薬剤によるショックや呼吸障害など麻酔に関わるリスクもあります。

手術は必ず100%成功するというわけではなく、リスクが伴うものだということをしっかり理解しておく必要があります。

後遺症がでる人もいる

目に見える大きな後遺症は、あまり残らないことが多いようです。中絶手術の後に妊娠ができなくなることはあまりなく、手術がトラブルなく終われば、ほとんどの方は前と同じ状態に戻ります。ただ女性の体の仕組みは非常に複雑で、中絶手術を受けた後、ストレスからホルモンバランスが崩れることや、卵巣機能に異常が出ることもあります。

また、ほとんどの女性はできる範囲で最善の選択をしたことにほっとしたと報告していますが、中絶後に心身症や精神病を引き起こす場合もあるので注意が必要です。中絶を経験した方の約2割は心的外傷後ストレス(PTSD)で悩んでいるといわれています。

中期中絶手術場合

中期中絶は分娩と同じ方法をとるため、生理の様に出血が起こる「悪露」が4週間ほど続きます。また、母乳が出ることもあるため病院からは母乳を抑えるための薬が処方されますが、乳腺炎にかかる方もいるため、胸に違和感を覚えたら早めに受診をしましょう。


中絶手術の費用

20万前後が目安

中期中絶手術は時間もお金もかかります。目安は、術前検査と手術、入院費で20~50万円ほどです。一般的に妊娠週数が進むほど、費用も多くかかり、12~14週の場合は手術費用だけで30~35万円ほど、16~21週の場合は45万円ほどかかると考えておきましょう。

他にも、事務処理費用や入院費が発生します。最初の診察時の週数や赤ちゃんの大きさ、病院によって金額は変動しますので、必ず事前に確認してください。

保険は適応外

中絶手術には保険が適用されませんので、全額負担となります。中絶の費用が確定申告や医療費控除の対象になるのは、母体保護法に基づき病院で手術を行った場合にのみ可能となりますので、病院で領収書を発行してもらうと良いでしょう。

出産一時金がもらえるケース

出産予定ではあったが母体か胎児のどちらかに病気や異常が見つかってしまい母体が危険にさらされてしまう場合か、性犯罪などによる中絶は出産育児一時金がもらえる可能性が高いです。

中絶で出産育児一時金がもらえる条件
① 妊娠4ヶ月(妊娠12週)以降に中期中絶を希望する方
② 経済的な理由による人工妊娠中絶ではない方

避妊がうまくいかなかったら、アフターピルを検討して

アフターピルとは?

アフターピル(緊急避妊薬)はその名の通り、何らかの事情で避妊に失敗した際、望まない妊娠のリスクを下げるために作られた薬です。性行為後に飲むことで効果を発揮しますが、これは早く飲めば飲むほど効果があります。

服用する期間

セックス後72時間以内に1~2錠服用します。なお、アフターピルは中絶薬ではないので、受精卵が着床してからでは効果がありません。

副作用

アフターピルは低用量ピルより女性ホルモンも3~4倍ほど強く、強制的に生理を起こして妊娠を防ぐという性質上、その分副作用も出やすいです。症状としては、嘔吐、胃のむかむか、頭痛が主な副作用ですが、1日以上続くものではないといわれています。

費用

アフターピルは、現在のところ、特定の婦人科で自費診療のみの扱いで、薬局やドラッグストアでは販売していませんので、心配なことがあったらすぐに婦人科を受診しましょう。薬代は1~2万円程度です。

母体の安全を最優先に

妊娠中絶手術は、妊娠してから時間が経過するほど、身体的にも金銭的にも負担がかかります。できるだけ早く手術を受けて、母体の安全を最優先させることが大切ですね

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