妊娠後期の腰痛の原因は?すぐにできる対策と改善方法【産婦人科医監修】

妊娠後期に入るとどんどんお腹が大きくなってきますよね。それにつれてさまざまな身体の不調が出てきます。一番多いといわれているのが腰痛です。腰痛が悪化すると身体を動かすのも大変になり、眠れないほどになる方もいるそうです。今回は妊娠後期に腰痛が起こる原因と、改善方法について産婦人科医監修で解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 妊娠後期の腰痛の原因は?
  2. 妊娠後期の腰痛予防の対策は?
  3. すぐにできる腰痛の改善方法
  4. 激痛を伴う腰痛の場合は病院へ
  5. 筆者が試して効果があった腰痛軽減方法
  6. ひとりで悩まず、周りの人に協力してもらいましょう
  7. あわせて読みたい

妊娠後期の腰痛の原因は?

お腹が大きくなったことによる姿勢の変化によるもの

妊娠後期になると胎児の成長とともに子宮も大きくなり、お腹がどんどんと前にせりだしてきます。骨盤や腰椎が前に向かって傾斜するため、バランスをとるために背中を反り返したような姿勢になります。

また、体重も増えるために身体の重心が変化し、背骨や頸椎に負担がかかるようになり腰痛が起こることが多くなる可能性があります。

ホルモンバランスの変化によるもの

妊娠するとリラキシンというホルモンが分泌されます。リラキシンとは卵巣や子宮、胎盤などから分泌される女性ホルモンのひとつで、関節や靭帯を緩める作用があります。妊娠後期に特にリラキシンの分泌量が増えるのは、お産に向けてこのリラキシンが骨盤を緩める作用があるからです。赤ちゃんがスムーズに産道を通るためにとても必要なホルモンですね。

しかし、このリラキシンに骨盤を緩める作用があることで身体を支える力が弱まり腰痛が起こってしまう原因になるといわれています。さらに、骨盤を支えるために周辺の筋肉が緊張することで血流も悪くなり、腰痛が悪化するのです。

運動不足や心理的なストレスによる筋肉の緊張によるもの

妊娠後期になりお腹がどんどん大きくなるにつれて、身体を動かすのが億劫になってきます。すると、長時間座ったり横になったりする時間が増え、身体を動かさなくなります。それにより腰や背中あたりの筋肉が緊張し、腰痛を引き起こしてしまいます。

また、妊娠後期に入ると出産や育児に対する不安やホルモンバランスの変化によりちょっとしたことでイライラするようになります。このような心理的なストレスが続くと無意識的に筋肉が収縮し、筋肉の緊張状態が続くことで腰痛が引き起こされるといわれています。

妊娠後期の腰痛予防の対策は?

妊娠後期の腰痛を事前に予防する方法をご紹介します。少しでも腰痛を和らげられるように、ぜひ試してみてくださいね。

筋力をつけておく

「妊娠をしたら安静にしておく」と思っている妊婦さんは多いでしょう。しかし、安静にしておく必要があるのは医師からの指示があった場合のみです。健康な妊婦さんはできるだけ身体を動かして筋力をつけておくことが必要です。とくに足腰の筋力を鍛えておくことは妊娠後期の大きくなったお腹による腰痛を軽減したり、出産時にいきむ力をつけたりするのにとても大切なことです。

妊婦さんでも簡単にできる筋力トレーニングとして「スクワット」があります。足を肩幅に広げ、椅子の背もたれなどにつかまります。ゆっくり息を吐きながら腰を落とし、ゆっくり元の姿勢に戻るという動きを1日50回~100回くらいやると良いでしょう。自分の体調と相談しながら無理のない範囲で筋力トレーニングをするのがおすすめです。

腰に負担をかけない生活習慣に変える

妊娠後期になってお腹が大きくなることで動きが制限されてしまうこともあります。妊娠中はお腹に力が入る行為はできるだけ避けるようにといわれていますが、それは腰痛軽減にもつながります。

小さい子どもがいる場合、妊娠することで赤ちゃん返りをしてしまい抱っこをせがまれることもあるでしょう。そのときはできるだけ座ったままでぎゅっと抱きしめてあげるようにして、子どもを持ち上げて抱っこするのは避ける方が良いです。もし持ちあげて抱っこしなければならない場合は自分の身体を低くしてから抱っこして、足の筋力を使って持ち上げるようにしましょう。

また、冷えも腰痛のもとになります。妊娠中は特に子宮を冷やさないことが大切なので、下半身を冷えから守るように気を付けましょう。

すぐにできる腰痛の改善方法

ストレッチをする

ストレッチをして腰回りの筋肉をほぐすことで、腰痛が軽減することがあります。また、血流をよくする効果もあるので崩れた姿勢によって悪化した血流を改善して腰痛を軽減することができます。ストレッチは自宅で簡単にできますので、体調の良いときにぜひ試してみてください。

腰回りをあたためる

冷えは腰痛の大敵。冷えによって血流も悪くなるので悪循環が起こります。それを改善するにはまず身体をあたためることが必要です。一番簡単な方法は、湯船につかることです。シャワーで済ませる方も多いでしょうが、毎日ゆっくりと湯船につかることで冷えを改善することができます。

マッサージをしてもらう

横向きになって寝た状態で、背中や腰回りのマッサージをしてみましょう。自分で行うことが難しい場合にはパートナーにしてもらいましょう。おしゃべりをしながらマッサージをすることで、出産前のスキンシップにもなりますよ。マッサージをしてもらうことで血流が良くなり、腰痛を軽減することができます。妊婦さん専門のマッサージ店もあるので、そちらを利用するのも良いですね。

抱き枕を使う

妊娠後期にお腹が大きくなることで、仰向けやうつ伏せで寝ることが難しくなります。この時期の妊婦さんが比較的楽に寝られる体制が「シムスの体位(横向き)」です。そのときに抱き枕を使うことで腰痛を軽減することができます。

シムスの体位は、身体の左側を下にして横向きに寝転がり、左手足を伸ばして少し後ろに下げます。それから右手足を前に出して肘・膝を曲げて、お腹に負荷をかけない程度にうつ伏せ気味になります。抱き枕を左足と右足のあいだに挟んで包み込むようにすると、血流が良くなり寝やすくなります。

骨盤ベルトを使う

妊娠後期に分泌が多くなるリラキシンの影響で、骨盤あたりの関節がゆるみ腰痛が引き起こされます。そこで骨盤ベルトを使って骨盤あたりを外から支えてあげることで腰痛を軽減することができます。

骨盤ベルトにはさまざまなサイズがあるので専門店できちんと計ってもらう必要があります。また、正しい使い方をすることで効果を発揮するため、病院などでベルトの使い方を相談してみましょう。骨盤ベルトは産後にも使えるのでひとつ持っておくと便利ですよ。

マタニティーヨガやスイミングなどのプログラムに参加する

マタニティーヨガやスイミングは適度に身体を動かすことで身体中の緊張がほぐれたり血流が良くなったりするため、腰痛を軽減することができます。健康な妊婦さんはぜひこれらのプログラムに参加してみてくださいね。

マタニティーヨガは自宅でひとりでできるDVDもありますし、教室も多数あるので比較的簡単に挑戦できます。スイミングは、妊婦さん専用のインストラクターが教えてくれるため安全に運動することができます。

激痛を伴う腰痛の場合は病院へ

妊娠後期に腰痛で悩まされる妊婦さんはたくさんいますが、まれに激痛を伴うほどの腰痛に襲われることがあります。そのようなときは、自己判断で我慢せずに病院へ行きましょう。

筆者が試して効果があった腰痛軽減方法

妊娠後期真っ最中の筆者も腰痛に悩まされています。特に仙骨あたりの痛みがひどくて、妊娠後期になりその痛みが増してきました。そこで、紹介した軽減方法をいくつか試してみました。その中で一番効果があったのが「骨盤ベルト」です。骨盤ベルトで骨盤あたりを支えることで腰まわりが軽くなり、痛みも軽減されていきます。

そのほかにも、旦那さんにマッサージしてもらうのも腰痛軽減だけでなく夫婦間のスキンシップとしてとても楽しめました。みなさんも、自分にあった腰痛軽減方法を見つけてみてくださいね。

ひとりで悩まず、周りの人に協力してもらいましょう

妊娠後期に入ると行動にいろいろ制限がでてきますよね。それでも頑張ってしまうのが妊婦さん。お仕事で忙しい旦那さんも頑張っているのだから、自分も頑張らなきゃと思ってしまう妊婦さんも多いのではないでしょうか。

しかし妊娠中はホルモンバランスや身体の変化による不調でストレスが増えます。特に腰痛は自分ひとりで対処できるものではありません。そのためパートナーの方やご家族の方に協力を求めることが大切になってきます。ひとりで悩まず周囲の人に協力してもらってストレスフリーな妊娠生活を送れると良いですね。

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