【小児科医監修】RSウイルス感染症とは?普通の風邪と症状の違いはある?

RSウイルスは秋から冬に流行する感染症ですが、季節に関係なく発症することがあります。乳幼児にかかりやすく、重症化すると入院ということもあります。赤ちゃんがいるなら知っておきたいRSウイルスについて、感染の原因や治療、予防法について小児科医監修で解説します。

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この記事の監修

眞々田 容子
小児科医
眞々田 容子

目次

  1. RSウイルスとは
  2. RSウイルス感染症の主な症状
  3. RSウイルス感染症は他の病気と併発しやすい!
  4. 赤ちゃんのRSウイルス感染に要注意
  5. RSウイルスの感染源は?
  6. RSウイルス感染症の治療
  7. RSウイルス感染の予防法
  8. RSウイルスに感染しても焦らず受診しよう
  9. あわせて読みたい

RSウイルスとは

ほぼ2歳までに100%感染

RSウイルスとは秋から冬にかけて乳幼児が感染しやすい呼吸器感染症のことをいいます。RSウイルスは感染力が非常に強く、1歳までに半数以上、2歳までにはほぼ100%がRSウイルスに感染するといわれているのです。

赤ちゃんはRSウイルスにかかりると重症化しやすい

風邪の原因となるウイルスはたくさんあり、その中のひとつがRSウイルスです。RSウイルスは一度感染しても免疫が十分にできないため、何度も感染を繰り返してしまいます。しかし、感染の都度免疫ができることで次第に症状が軽くなっていきます。乳児期は重症化するリスクが高くなります。

RSウイルス感染症の主な症状

鼻水

RSウイルスに感染すると、初期症状として鼻水が出るようになります。鼻水は、鼻に入ったウイルスを外へ排出しようとするために出ます。そのため鼻水が出たときはすすらず、鼻をかんでウイルスを外へ出しましょう。赤ちゃんの場合は、できる範囲で吸引してあげましょう。

発熱

一般的にRSウイルスによる感染症はウイルスに感染して2~8日ほどの潜伏期間のあとに発症するといわれています。RSウイルスに初めて感染した乳児の場合、約7割は発熱などの風邪症状がみられます。

しかし、鼻水やくしゃみ、発熱といった上気道炎症状が数日みられた後は、ほぼ回復していきます。高熱でウイルスの増殖を抑えようとしているので、ぐったりしていなければ無理に下げる必要はありません。

RSウイルスに感染すると、咳がひどくなる場合や長引くこともあります。気道に侵入したウイルスを体外へ排出しようとするため、咳や痰(たん)といった症状があらわれます。また、気道に炎症が起こると粘り気のある痰(たん)が増えます。「ゼイゼイ」といった喘鳴(ぜんめい)を伴うこともあります。

RSウイルス感染症は他の病気と併発しやすい!

肺炎・気管支炎

RSウイルスに感染すると、約30%の乳幼児は肺炎や気管支炎を併発するといわれています。特にRSウイルスに初めて感染して免疫がない乳幼児の病状は悪化しやすく、気管支炎や肺炎へとつながり、咳き込んだり呼吸が苦しくなったりすることで夜に眠れなくなってしまうということもあるようです。

しかし一度でもRSウイルスに感染したことがある場合は、肺炎や気管支炎まで重症化することは少ないといわれています。

急性細気管支炎

急性細気管支炎は、RSウイルスに感染した場合に発症するのが典型的で、咳が続き呼吸が苦しいといった症状がみられ、喘息発作のような状態になることもあります。呼吸をするときに「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」と音がする喘鳴(ぜんめい)の症状が出ます。

赤ちゃんのRSウイルス感染に要注意

初めてRSウイルスに感染した場合

初めてRSウイルスに感染した場合、赤ちゃんは免疫がないため症状が重症化しやすいといわれています。先ほど述べたように、何度も感染を繰り返すことで免疫ができ、次第に症状が軽くなっていきます。

生後3週間未満は特に注意

特に生後3週間未満の赤ちゃんがRSウイルスに感染した場合、細気管支炎や肺炎といった重い病気になるリスクが高くなります。また、症状が重症化すると無呼吸発作や突然死となる危険も考えられるため、低月齢の赤ちゃんに風邪のような症状がある場合は早めに受診することが大切です。

基礎疾患がある赤ちゃん

心臓や肺、神経、筋の疾患を持っている赤ちゃんや免疫不全の赤ちゃんは、RSウイルスに感染すると重症化するリスクが高まるそうです。

RSウイルスの感染源は?

飛沫感染

RSウイルスに感染している人が咳やくしゃみをして、その飛散したウイルスを直接吸い込むことによって感染します。ウイルスは鼻や咽頭(いんとう)の粘膜で増殖し、潜伏期間を経て発症します。

接触感染

鼻水や痰(たん)に含まれるRSウイルスは、外に排出されたからといっても4~7時間はウイルスが生きています。そのため、RSウイルスに感染している人の鼻水や痰(たん)に触れることで感染することがあります。おもに目や鼻、喉の粘膜に付着することで感染します。

RSウイルス感染症の治療

RSウイルスには対抗できる抗ウイルス薬がありません。そのため解熱剤や痰(たん)を切る薬を飲んだり、食事が摂れない場合は点滴を受けたりと、多くの場合は症状を抑える対症療法となります。そのため自宅で安静にして、水分をしっかり摂ることが大切です。脱水があり薬が飲めなかったり、呼吸困難があったりする場合、二次感染が重篤な場合は入院となる可能性もあるでしょう。

RSウイルス感染の予防法

手洗い・うがい

風邪の予防として当たり前のことですが、手洗い・うがいは習慣づけることが大切です。赤ちゃんがうがいをするのは難しいため、RSウイルスの感染源を作らないためにも家族がしっかりうがいをするようにしましょう。

風邪をひいている人との接触

RSウイルスに感染し症状が良くなったからといっても、外出や家族との接触には注意が必要です。RSウイルス感染症は症状が消えた後も、1~3週間は人へ感染する力を持っているといわれています。そのため、風邪をひいている人の接触は控えるようにしましょう。

予防薬の投与

RSウイルスを予防するワクチンはありませんが、シナジスと呼ばれる予防薬を月一回注射することで、RSウイルス感染による肺炎などの重篤な症状を抑えることができます。

シナジスは重症化のリスクが高いと認定された早産児と心疾患を持っている赤ちゃんのみ保険適応です。それ以外の赤ちゃんは一定の負担が必要となることがあるので事前に確認しておきましょう。一般的にシナジスは、体重による使用量により1回の注射に8~25万円程度かかります。

RSウイルスに感染しても焦らず受診しよう

赤ちゃんがRSウイルスに感染してしまい、パニックになってしまうママやパパも少なくないでしょう。ママやパパの不安は赤ちゃんに伝達することもあります。落ち着いてかかりつけの小児科で診てもらいましょう。

また、普段の手洗い・うがいなどで予防をすることも可能です。赤ちゃんだけでなく家族全員が感染しないために手洗い・うがいなどの習慣をつけると安心ですね。

※この記事は2023年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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