子どもの虫歯は放置しても大丈夫?乳歯の虫歯治療について徹底解説!

子どもが虫歯になった場合、歯医者さんに連れて行って治療をしてもらうママやパパがほとんどだと思いますが、「まだ乳歯だしどうせ永久歯に生え代わるから放置しても大丈夫なのでは?」と思っているママやパパもいるのではないでしょうか。そこで今回は乳歯の虫歯は放置して大丈夫なのか、乳歯の虫歯について解説します。

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この記事の監修

雨森 洋貴
歯科医
雨森 洋貴

目次

  1. 乳歯は虫歯になりやすい
  2. 痛がっていない乳歯の虫歯は放置しても大丈夫?
  3. 乳歯の虫歯の見分け方
  4. 乳歯の虫歯は永久歯にも影響する場合がある
  5. 虫歯の予防
  6. 虫歯をみつけたら放置しない
  7. 虫歯に関する体験談
  8. 乳歯の虫歯を見つけたら早めに歯医者さんへ
  9. あわせて読みたい

乳歯は虫歯になりやすい

乳歯の虫歯の原因は母乳や粉ミルク、炭酸飲料やその他の甘い飲み物や食べ物に含まれる糖分と汚れです。これらの糖分に乳歯が長時間さらされると口の中にいる細菌が糖分を利用して歯を攻撃する「酸」を作り出し、何度も攻撃することで虫歯になってしまうのです。乳歯は永久歯よりも虫歯になりやすい特徴があるのですがそれはなぜなのでしょう。

永久歯よりエナメル質が薄い

歯の表面は「エナメル質」で覆われています。エナメル質は身体の中で一番硬いといわれています。もちろん乳歯もエナメル質で覆われているのですが永久歯に比べてとても薄く、厚さは永久歯の1/2程度です。さらに歯の質も永久歯に比べて柔らかいため虫歯菌が作る「酸」にとても弱いのです。

痛みがあっても気づきにくい

乳歯は虫歯になりやすいうえに進行がとても早いです。歯の内部にある歯髄腔(しずいこう・神経の部屋)が大きいためすぐに神経まで達してしまいます。虫歯が神経までくると普通痛みを伴いますが、子どもはまだ痛みの感覚が発達していないため大人に比べて痛みを感じにくいようです。

虫歯ができていても痛みがあまりなかったり、今日は痛くても次の日には治まったりするので気づきにくいこともあり見過ごしてしまう可能性もあるのです。

痛がっていない乳歯の虫歯は放置しても大丈夫?

乳歯はそのうち永久歯と生え代わるので抜け落ちる歯です。もし子どもの乳歯に虫歯ができてもあまり痛がっていないし「このまま様子をみよう」と放置してしまうママやパパがいるかもしれません。しかしそれは大きな間違いで、いくら生え代わる歯であってもやはり歯医者さんで早めに治療してもらうのが望ましいのです。

乳歯の虫歯の見分け方

根元が白い

虫歯とは歯が黒くなったり茶色っぽくなったりと想像する方がほとんどだと思いますが、乳歯の場合は違っていて虫歯の初期だと白い色をしているのです。歯の表面のツルツル感が失われ白く濁ったような感じになるのでこの時点で気づいてあげられたらいいですね。

白い虫歯は黒い虫歯より早く進行してしまいます。乳歯は永久歯に比べて歯が柔らかいのでなおさら虫歯の進みが早いそうです。乳歯のツルツル感がなくなり、白く濁ったような歯になったと感じたら念入りに仕上げ磨きをしてあげましょう。しっかり磨いてあげることで進行を遅らせることができます。

茶色や黒っぽい歯は虫歯が進行している

乳歯の虫歯が茶色や黒っぽい色になっていたら象牙質(ぞうげしつ)まで虫歯が進行している状態です。子どもは痛みの感覚が未発達なのでここまで虫歯が進んでいても痛がらないことも多く、知らないあいだに虫歯が進行している場合があります。

目で見てすぐに虫歯だとわかるところまで進んでいたら迷わず歯医者さんで診てもらいましょう。

噛み方がいつもと違う

虫歯の痛みは感じなくても虫歯が進んだことによって子どもたちは歯に違和感を覚える場合があります。この場合子どもたちは食べるのを嫌がったり、噛み方がいつもと違ったりします。子どもたちは言葉では伝えられなくても身体や表情で表すことがありますので注意してみましょう。

また歯磨きを嫌がるようになるのも要注意です。歯ブラシが虫歯のある歯に当たり痛みがあるのかもしれません。このように食べるときや歯磨きの時間にいつもと違うサインが子どもから出された場合は虫歯を疑ってみましょう。

乳歯の虫歯は永久歯にも影響する場合がある

虫歯は放置せずに治療してもらうことが大切ですが、そのまま放置してしまうとこれから生えてくる永久歯にも影響が及ぶことがあります。どんな影響があるのでしょうか。

虫歯菌が増える

虫歯とは虫歯菌による感染症です。ということは乳歯の虫歯を治療せずに放置していれば口の中に虫歯菌が増え続ける結果となります。虫歯菌だらけの口の中に永久歯が生えようとしていることになります。これはとても恐ろしいことですね。

歯並びが悪くなりやすい

乳歯には永久歯がきちんと生えてこられるようにスペースを確保したり永久歯を生えるべき場所に誘導したりする役割があるのですが、虫歯を放置して乳歯の形が崩れた結果、崩れたスペースに両隣の歯が倒れ込んでくる現象が起こります。これにより永久歯が生える十分なスペースが確保できなくなるので歯並びが悪くなってしまう可能性があるのです。

また乳歯の虫歯を放置したままさらに進行すると歯の神経にも虫歯菌が感染してしまいます。歯の根っこに膿がたまる影響で永久歯が曲がって生えてしまうこともあるのです。

歯の質が悪くなりやすい

乳歯の虫歯が神経まで進み、歯の根っこに膿がたまってしまうと、これから生えてこようと乳歯の下で発育中の永久歯が形成不全に陥ることもあるということです。このような歯を「ターナー歯」と呼ぶのですが、歯の上の部分が変形していたり茶褐色に変色していたりと永久歯の質が悪くなってしまうこともあります。

口臭がきつくなる

子どもの口臭の原因は不衛生な歯によるものが最も多い原因だそうです。歯みがきがきちんと行われていないと虫歯ができますよね。その虫歯を治療せずに放置しておくと歯の神経にまで虫歯菌がおよび、乳歯の神経が死んでしまうことがあります。その腐敗臭が口臭の原因となるのです。

虫歯の予防

親が虫歯のない清潔な口を保つ

子どもの虫歯の予防にはまずママやパパが口の中を清潔にしておく必要があります。前述しましたが虫歯は虫歯菌による感染症です。ママやパパの唾液を介して子どもに虫歯菌が感染してしまうこともあるので、常に口の中を清潔に保つ生活を心がけましょう。

間食の種類や回数を考える

母乳を飲んでいた赤ちゃんが離乳食を経て幼児食へと進み、さまざまなものを口にするようになりますよね。味覚の刺激や発達のためにいろいろな食材を口にすることはとても大切です。さまざまな栄養を摂るために間食も重要な時間なのですが虫歯を予防するためには少し考えなければなりません。

虫歯菌が大好きな糖分が多く含まれているものを毎日のように食べていたり、1日に何回も間食の時間を与えたり、ダラダラと時間をかけて間食したりしていると虫歯ができやすくなってしまいます。間食はあまり甘くないものを選んでみたり間食する時間をきちんと決めたりするなど間食の種類や回数を考えることも虫歯の予防につながります。

仕上げ磨きで口内を清潔に保つ

磨き残しは虫歯の原因になってしまいます。仕上げ磨きをしっかりしてあげることで子どもの口の中を清潔に保ってあげましょう。特に寝ているあいだは殺菌作用のある唾液も減少し、虫歯菌が活発になる時間だそうです。寝る前に歯磨きは念入りに行うようにして虫歯菌の繁殖を抑えてあげましょう。

歯科でのフッ素塗布や定期検査

子どもは痛みの感覚が未熟なので虫歯があっても痛みが出ない場合もあります。気づかないうちに虫歯になっていることもありますから定期的に虫歯がないか検査してもらうことをおすすめします。歯垢をとってもらって虫歯を予防したりフッ素を塗ってもらって歯を強くしてもらったりすることも可能なのできちんと診てもらいましょう。

虫歯をみつけたら放置しない

乳歯の虫歯を放置すれば永久歯に影響してしまうこともあるので、虫歯をみつけたら早めに歯医者での治療をおすすめします。仕上げ磨きをしていて「虫歯かな?」と思っても子どもが痛がらないから様子をみるというようなことは永久歯のためにも避けるようにしましょう。

虫歯の初期の段階で治療をすれば痛みもさほどなく短時間で治療が終わります。虫歯が進行していればそれだけ治療も時間がかかることから子どもにも負担がかかってしまいますよね。歯医者さんが嫌いになってあとあと大変な思いをしないためにも虫歯を見つけたら放置せずに早めに受診をしましょう。

虫歯に関する体験談

筆者にはふたりの子どもがいます。上の子は幼稚園の年中さんのときに初めて虫歯になりましたが、下の子は幼稚園に上がる直前に前歯が黒くなっていることに気づいて歯医者へ連れていきました。こんなに早く虫歯にさせてしまったことにものすごいショックを受けたのを覚えています。上の子の場合は初めての育児ということもあり、おやつにチョコをあげないようにしたり、ジュースも控えたりしていたのですが、下の子はもっと早い時期からお菓子やジュースを口にしていたのもひとつの原因だと思っています。幸いなことに虫歯の進行がそれほど進んでいない段階で治療ができたので子どもが痛い思いをすることなくすんなり終わってくれました。上の子はもう小学3年生ですが1週間に1度は仕上げ磨きをするようにしています。虫歯にならないようにするのはもちろんですが、たとえ虫歯になったとしても早期に発見できれば子どもにも負担にならずにすみますからね。

乳歯の虫歯を見つけたら早めに歯医者さんへ

乳歯はエナメル質が薄く歯も柔らかいため虫歯ができやすく、また進行も早いのです。放置すれば神経にまで達し、永久歯にも影響が出てしまいます。乳歯の虫歯は気づかずに進行している場合が多いので仕上げ磨きのときに念入りに確認したり、定期的に歯科医を訪れて虫歯がないか確認したりすることがとても大切です。

日ごろから虫歯になりやすい食べ物や飲み物を控え、仕上げ磨きで子どもの口内環境を清潔に保ち、同時に私たち親の口内環境も整えることが大切です。乳歯の段階で健康な歯を保つ生活を身につけていれば永久歯になっても健康な口内環境を守り続けることができます。親子で健康な歯を保つ生活を心がけてみてください。

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