涙嚢炎とは?新生児が発症することもある?涙嚢炎の症状と原因&治療法

涙嚢炎(るいのうえん)とは、目頭のあたりにある涙が出る部分である涙嚢に細菌が入り炎症が起こる病気のことをいいます。涙囊炎は急性のものから慢性のもの、また新生児でもかかることのあるとされ、気をつけたい病気のひとつです。ここでは涙嚢炎の種類や原因、症状や治療法を紹介します。

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目次

  1. 涙嚢炎とは?
  2. 涙嚢炎の種類
  3. 涙嚢炎の症状
  4. 涙嚢炎の原因
  5. 涙嚢炎の治療法
  6. 子どもの涙嚢炎・新生児涙嚢炎の自宅でのケア
  7. 赤ちゃんの目ヤニが増えてきたなと思ったらやるべきこと
  8. 涙嚢炎かもしれないと思ったらすぐ病院へ
  9. あわせて読みたい

涙嚢炎とは?

涙が流れる仕組みとして、目の中にある涙腺(るいせん)から分泌され眼球を潤してから涙点という部分に吸い込まれます。その後、涙嚢などがある細い管(鼻涙管)を通って鼻の方へと流れ、鼻の粘膜に吸収されるのが一般的です。

涙嚢炎(るいのうえん)とは、鼻涙管(びるいかん)の途中にある涙嚢が細菌感染し炎症することを言います。涙囊部分が突然強く痛んだり皮膚が赤くなって腫れたりする場合があります。

涙囊炎は新生児にも見られることがあります。これは、本来開通しているはずの鼻涙管に薄い膜のようなものが残るなどして、開通していないことが原因とされています。鼻涙管がふさがっていることで涙が鼻へ流れず涙囊内に止まって細菌感染し、炎症を起こすとされています。

涙嚢炎の種類

涙嚢炎には慢性的に起こる慢性涙嚢炎と、突然発症する急性涙嚢炎の二種類があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

慢性涙嚢炎

涙には、目の表面の汚れやばい菌を洗い流してくれる働きがあります。その涙が流れていく鼻涙管が生まれつき細かったり、なんらかの原因で細くなったりした場合、涙がスムーズに流れずに細菌や汚れとともに管に詰まるケースがあります。

こういったことから細菌などが涙嚢にたまって炎症を繰り返すと、慢性涙嚢炎と診断されることが多いでしょう。

急性涙嚢炎

急性涙嚢炎は、慢性涙嚢炎に比べるとあまり頻繁には発症しないといわれています。しかし、鼻涙管閉塞によって涙嚢の細菌感染が急激に進むことで起こりやすくなります。症状としては、目頭が痛くなったり顔が腫れ上がったりするなど目の周辺に不快が起こることがほとんどでしょう。

涙嚢炎の症状

目ヤニ

涙嚢炎の主な症状は目ヤニが多くなることです。朝起きたときに大量の目ヤニが目にこびりついてスムーズに開けることができなかったり、目頭を押さえると目ヤニが逆流してでてきたりすることがあります。あまりにも症状が続くようであれば涙囊炎の疑いがあるため、眼科を受診するようにしましょう。

痛みや腫れ

急性涙嚢炎になった場合、目のあたりが赤くなり痛みを伴うことがあります。目頭周辺が赤く腫れたり、ひどい場合は頬のあたりまで腫れが広がったりした場合は、迷わず眼科を受診しましょう。

涙嚢炎の原因

そもそもなぜ赤ちゃんは涙嚢炎になるのでしょうか。主に新生児でも起こりうる原因を3つご紹介します。

鼻涙管閉塞

涙嚢炎になる主な原因は、鼻涙管が細かったり詰まったりして涙がスムーズに流れない鼻涙管閉塞といわれています。

新生児涙嚢炎

新生児の場合は鼻涙管が開通していないケースもあり、涙嚢にたまった涙が細菌感染を起こして涙嚢炎になります。しかし、先天的に鼻涙管閉塞が見られることが多く、成長とともに自然と開通する場合がほとんどのため、まずは経過観察を促されることも多いでしょう。

手術などは赤ちゃんの症状の経過によるため、医師と慎重に検討することが必要です。

結膜炎・蓄膿症などの病気

生まれたときは正常であっても、成長とともに涙囊炎の症状が現れることもあります。これは後天性の鼻涙管閉塞のケースが多く、下記の原因が考えられるでしょう。

・結膜炎などの炎症が涙嚢にまで広がって涙嚢炎になってしまう場合
・慢性鼻炎、急性鼻炎、または蓄膿症などが原因で涙嚢が詰まり涙嚢炎になる場合

涙囊炎かどうかを判断するのは家庭では難しいため、子どもの目に異変を感じたら迷わず眼科を受診するようにしましょう。

涙嚢炎の治療法

涙嚢炎と診断された場合どのような治療があるのでしょうか。ここでは涙囊炎の主な治療法をご紹介します。

薬物療法

涙嚢炎は細菌感染によって起こるため、抗生物質などの薬を使って治療するのが一般的です。涙嚢炎は目の病気ですが、点眼薬ではなく全身的な投薬で治療します。

手術

涙嚢炎が悪化し、膿瘍を形成してしまった場合は、涙道へ細い針を通して膿を外へ出す治療をします。ただし、この治療は一時的に涙嚢炎を解消するだけで根治しにくいので、手術で涙嚢を除去したり、鼻腔への通り道を新たに作る手術をしたりします。

手術の費用は、手術内容にもよりますが、鼻涙管の閉塞を開くチューブを入れる手術の場合は3割負担で7,000円程度、涙嚢鼻腔吻合術という手術を行う場合は3割負担で70,000円程度かかるようです。病院によっても異なるので一度問い合わせてみると良いでしょう。

子どもの涙嚢炎・新生児涙嚢炎の自宅でのケア

新生児が涙嚢炎になる原因は生まれたときから鼻涙管が細いためですが、自宅で簡単なケアをすることで症状を和らげることができます。どのような対処法があるか確認しておくと、症状が悪化するのを防ぐことができるでしょう。

清潔なガーゼで目ヤニをふき取る

赤ちゃんが朝起きたら目ヤニがびっしりで目を開けられないということがたまにあります。そんなときには白湯で湿らせた清潔なガーゼで優しくふき取ってあげましょう。また、母乳育児をしているママなら母乳を湿らせたガーゼでも大丈夫です。母乳には殺菌作用もあるので一石二鳥ですね。

症状が悪化したらすぐに病院を受診する

ほとんどの場合、成長とともに自然と治っていきますが、目が赤く腫れたり大量の膿が出たりするようになったらすぐに眼科や小児科を受診するようにしましょう。

薬は用法・用量を守って使用する

薬が処方されたら、用法や用量をきちんと守って正しく使用するようにしましょう。なかなか治っていないように見えるからといって量を増やすのは危険なので十分に気を付けましょう。

赤ちゃんの目ヤニが増えてきたなと思ったらやるべきこと

目ヤニがたくさん出ました

カナダで2児の育児をしています。つい最近目ヤニが大量発生して目が開けられなくなり、小児科に連れて行きました。幸いなことに涙嚢炎などの細菌感染はしてなかったのですが、生まれつき鼻涙管が細いため涙がたまりやすく、目ヤニがたくさん出ていると先生に言われました。

この場合は点眼薬などの薬などは使わずに清潔なガーゼで目ヤニをきれいにとってあげること、目頭あたりの鼻涙管を優しくマッサージしてあげて管を通りやすくすること、また、母乳点眼をしてあげると良いと教えてくれました。その結果3日ほどで目ヤニの量が激減しました。

小児科に連れていく前に自宅でできるケアで少しでも症状を軽くすることができると良いですね。

涙嚢炎かもしれないと思ったらすぐ病院へ

涙嚢炎という名前を初めて聞いたという方も多いかもしれませんが、新生児から大人まで幅広い年齢で起こりうるものです。目が赤く腫れて痛みを伴う場合にはすぐに病院へ行きましょう。重症化すると手術などのコストもかかりますし、危険度も増すのでできるだけ早く治すようにしたいですね。

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