更新日:2017年07月06日

卵子の老化を予防するには?検査方法は?年齢と妊娠率の関係について

卵子の老化は、年齢とともに進んでいきます。卵子の質の低下、数の低下、女性ホルモンの乱れなどがいわゆる卵子の老化現象といえるでしょう。卵子の老化が問題になるのは、35歳からといわれ、染色体異常が明らかに多くなるうえに、妊娠率が低下し、流産率が上がります。卵子の老化を遅らせる生活習慣や必要な栄養素をご紹介します。

監修 : mamanoko 医師・専門家
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目次

    卵子の老化とは

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    精子と違い、卵子は新しく生成されるというわけではありません。胎児のときに、700万個ほどあった卵子は、生まれたときにはすでに200万個ほどに減少し、初潮時には30万個にまで減少してしまいます。それ以降も、生理周期にともなって卵子の数は減っていく一方です。つまり、女性は年齢を重ねるほど、卵子の数が少なくなり、細胞も年を取ってしまうのです。

    卵子老化のサインは?

    卵子の老化は、目に見えてわかるものではありません。卵子の老化は卵子の質の低下ともいえますが、残念ながらその「質」を診断するのは、現在の医学でも難しいのです。確かなのは、卵子は実年齢と相関して老化していくということです。

    卵子の老化が進むと、女性ホルモンの乱れも起きてきます。更年期障害は、このホルモンのバランスが崩れることが要因ともいわれています。閉経の兆候は、卵子老化の兆候とも重なります。その兆候のひとつが、生理周期の変化です。一ヶ月に生理が二回くるなど、周期が短くなったり、逆に周期が長くなったりして頻度が少なくなるケースもあります。

    生理痛や、経血の量も変化します。それらの兆候全てが、卵子の老化が原因とは限りませんが、不妊につながる可能性はあります。生理周期が乱れがちな人は、できるだけすみやかに婦人科で診察を受けてみましょう。

    染色体への影響は?

    加齢にともなって卵子の老化は進み、受精が起こりにくくなったり、受精しても発育が悪くなったり、止まったりしやすくなります。さらに見逃せないのは、染色体の異常です。

    排卵後の卵子は23本の常染色体と1個の性染色体を持ちます。これが同じく23+1本の精子の染色体とあわさって、人のDNAを形作るのです。卵子のもとになる「卵母細胞」は、卵巣の中で染色体の数を減らし、排卵をじっと待っている状態です。

    染色体が数を減らして分裂することを「減数分裂」と呼びます。加齢にともない、卵巣が長い時間さまざまなストレスにさらされることで、減数分裂時にトラブルが起こってしまいます。これにより、年齢と比例して、染色体の異常が増加するといわれています。

    染色体の異常が起こると、受精の確率が大幅に落ちてしまいます。他にあげられるのは、受精後にうまく成熟できずに流産になってしまうケースです。運良く出産にいたったとしても、先天異常を引き起こす可能性があります。母体年齢が上がるにつれて減数分裂がうまくいかない卵子が増えることで、ダウン症(常染色体が47本あります)等の遺伝子異常が増えることになります。これは遺伝子レベルの問題なので、誰しも避けようがなく、現代の医療でも治療は難しいとされています。

    何歳から老化が始まる?

    年齢と同じで、卵子も一気に老化するというわけではなく、生まれてから少しずつ年齢を重ねていくことになります。ただし、一気に妊娠率が下り、流産率が上がってしまう時期があります。それが一般的には、35歳を超えるあたりといわれています。

    2014年の日本産科婦人科学会のデータでは、体外受精などの生殖補助医療(ART)を施したケースで、20代の妊娠率が25%から30%の間でした。それが35歳を超えるとどんどん下がり、38歳ごろには20%を下回り、44歳ごろには5%を切ってしまいます。

    さらに流産率も、40代で20%を超える結果となっています。一般的に「卵子の老化」が妊娠率などの数字として問題になってくるのは、30代後半と考えてもよいでしょう。

    検査方法はどのようなもの?

    卵子の老化は、卵子の質だけではなく、他にもいくつかの要素が絡んできます。卵巣からのホルモンの低下も、卵子老化の一側面といえるでしょう。これを検査するには、血液検査が有効です。婦人科で採血することで、ホルモン検査が受けられます。

    エストラジオール、LH、FSH、プロラクチンなどの分泌量を調べることで、排卵の状況や卵巣の機能のチェックが可能です。

    さらに、卵巣の中にあとどのくらい卵子が残っているかも、老化の指標となるでしょう。卵巣に残っている卵子の数は、AMHH(抗ミューラー菅ホルモン)検査というもので予測が可能です。月経周期に関係なく行える血液検査です。検査自身体は30分前後ですみますが、保険適用外となっているので自費になることが多いようです。

    卵子数の低下は、かならずしも妊娠率や卵子の質とは結びつきませんが、不妊治療の残り時間の目安にはなります。

    卵子の老化の予防は可能か?

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    食べものや生活習慣は関係ある?

    卵子の老化は年齢とともに進むものなので、若返らせるということはできませんが、老化のスピードを遅くすることは可能です。卵子の質の低下の原因はまだ明らかにされていませんが、女性ホルモンの乱れや、活性酸素の増加が影響する可能性があるとされています。

    これらは、食生活や生活習慣を整えることで、防げるのです。たとえば、強いストレスやアルコールやタバコの過剰摂取は、活性酸素を過剰に発生させます。それによって、身体が酸化し、老化の原因となります。できるだけ規則正しい時間に食事や睡眠をとり、軽い運動をすることで、身体も卵子も錆びつかせないことが大事です。

    食事には、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボン、ホルモンのバランスを整える亜鉛やビタミンを摂り入れてみましょう。また、体温の低下も問題になります。根菜など、身体を温める食べものを摂りましょう。飲みものは、夏場も常温又はホットがおすすめです。

    サプリや漢方で改善できる?

    必要な栄養素をサプリで補うことで、身体の酸化を防げます。これは卵子の老化を遅くする可能性があります。活性酸素のバランスを調整してくれるサプリには、コエンザイムQ10、カルニチンなどがあげられますが、医学的に明らかな効果は証明されていません。また、「睡眠ホルモン」ともいわれるメラトニンが卵胞内の酸化ストレスを抑えてくれるという研究データもあるようです。

    漢方薬も身体を温めて、卵巣の状態を良くしてくれるという点でおすすめです。たとえば、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、血のめぐりを良くし、生理不順などにも効果があるといわれています。

    どの漢方が自分にあっているかを判断するのは難しいので、漢方は専門家に処方してもらったほうが良いでしょう。

    ピルが卵子老化を防止できるの?

    ピル(経口避妊薬)は、妊娠したようなホルモン環境を作ることで、着床や排卵を抑制する効果があります。妊娠とは真逆の効果ですが、最近ではピルを服用することで卵子の老化が防げるのではないかという意見も出ています。

    しかし残念ながら、卵子の老化は年齢とともに自然に進んでいくものです。排卵を抑制しても、退化していくだけなので、数の温存にもつながりません。

    ただ、まったく無意味というわけでもありません。ピルは子宮内膜症の治療と予防に大きな効果を発揮します。子宮内膜症は、子宮内膜が子宮内ではなく、骨盤の腹膜や卵巣などに入りこむ疾患で、不妊の原因のひとつと考えられています。子宮内膜症は治療に時間がかかるので、不妊治療も長引き、年齢も上がってしまいます。

    ピルは卵子の老化を防げませんが、将来妊娠を希望する時期まで、子宮内膜症の発症を抑えることは可能といえます。ピルの服用は副作用もともないますので、まずは医師に相談してみましょう。

    妊娠はできる?妊娠率は?

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    自然妊娠できる可能性はある

    卵子の老化が進んだとしても、自然妊娠できる可能性はあります。自然妊娠の妊娠率を見ていくと、25歳~30歳で25%~ 30%となっています。これが35歳になると18%、40歳になるとまたぐっと下がって5%になります。しかし、ゼロではありません。これらは1回の月経周期での確率なので、長い目で見ればまた変わってきます。

    ただし、自然妊娠ができたとしても、流産率や染色体異常の発生率も年齢によって上がってしまいます。妊娠の可能性はあるとはいえ、やはり適齢期をすぎると、条件は厳しくなると思ったほうが良いでしょう。

    不妊治療をすすめられることも

    卵子の老化が進んでいくと、自然妊娠の確率は下がっていきます。それゆえに、30代を超えてから、不妊治療を受ける夫婦の数も多くなります。不妊治療は、まずタイミング療法から始まり、人工授精、体外受精とステップアップしていきます。

    体外受精では、卵子を包む袋である「卵胞」の大きさが、18mm前後に到達したのを確認してから採卵を行います。採卵した卵子と精子を受精させ、受精卵(胚)を成熟させます。このとき、受精卵の質を5段階評価のグレードに分けます。

    評価の仕方は、均等に分割しているか、細胞の破片が少ないかなどです。1~3グレードは、移植の適用範囲になりますが、それ以外は使わないことがほとんどです。この受精卵のグレードには、精子や卵子の質が関係しています。つまり、体外受精においても卵子の老化は問題となってきます。

    最近では結婚をしないカップルや、結婚が遅いカップルも多く見られ、妊娠適齢期に子どもができない状況も多くあります。そのため、若い時点で卵子を凍結保存するという方法をとることもあるようです。

    卵子の老化以外の不妊原因

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    排卵や卵管に原因があるもの

    年齢が若くても、不妊に悩む女性は多く見られます。加齢以外に、どのような原因があるのでしょうか。代表的な女性不妊の原因として、排卵障害があります。女性側の不妊原因の30%近くはこの排卵障害ともいわれています。

    排卵に関係しているホルモンが正常に分泌されていないために、妊娠にいたらないという症状です。ホルモン検査などで原因がわかることもあります。

    また、多囊胞性卵巣症候群(PCOS)も増えているようです。卵巣を覆う膜が厚くなり排卵しづらくなって、卵巣に卵胞がたくさんできてしまう状態です。卵管が閉じていたり、狭くなっていたりする場合も、排卵が難しくなります。

    女性の20%近くに見られる子宮筋腫も、不妊の原因となることがあるようです。気になる症状があるときは、早めに婦人科を受診してみましょう。

    男性側にも不妊の原因が

    WHOの調査によると、男性のみに不妊の原因がある場合が24%、男女ともに原因がある場合が24%となっています。つまり、50%近くの男性が問題を抱えているというわけです。それゆえに、不妊治療においては、男女ともに検査を受け、しっかり協力しあうことが重要となってきます。

    男性不妊の代表的な原因としては、精子をつくる機能に問題がある「造精機能障害」、精巣まわりにこぶができる「精索静脈瘤」などがあげられます。他にも、EDなどの「勃起障害」、精液が膀胱に逆流する「逆行性射精」、精子の通り道がふさがる「閉塞性無精子症」などがあります。

    精子の老化も不妊に関係があるのか?

    卵子の老化があるように、精子も老化はあるのでしょうか。男性の精子は、減っていく一方の女性と違い、射精のたびに新しいものが作られます。しかし、その精子を作りだす精巣自身体は年齢を重ねていくため、精子にも老化現象はあるとされています。

    ただ、明らかな「妊娠適齢期」がある女性に比べると、精子の老化はゆるやかな衰えといえるでしょう。精子の老化が始まる年齢は、一般的には35歳~40歳ごろといわれています。精子が老化すると、受精能力が落ちたり、染色体の異常が出たりして、不妊や流産の原因となります。

    高齢出産を女性だけの問題ととらえず、男性側にも当てはまるということは知っておきましょう。

    卵子にはタイムリミットがあるということを知っておこう

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    卵子の老化は、年齢とともに進んでいきます。卵子の質の低下、数の低下、女性ホルモンの乱れなどが卵子の老化現象といえるでしょう。卵子の老化が問題になるのは、35歳からといわれています。染色体異常が多くなり、妊娠率が低下し、流産率が上がってしまいます。

    卵子の老化を防ぐことはできませんが、規則正しい生活や必要な栄養をしっかり摂ることで、遅らせることは可能です。

    卵子にはタイムリミットがありますが、さまざまな生殖補助医療がすすめられています。卵子の老化を知識として身につけ、パートナーや病院と協力することが不妊治療では重要だといえるでしょう。

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