更新日:2017年09月25日

体外受精とは?費用やスケジュール・流れは?リスクや痛みについても解説

2012年に生まれた子どものうち、27人にひとりが体外受精で生まれた子どもたちです。それだけ私たちの身近になっている体外受精ですが、その方法や流れ、費用、リスクについてはあまり知られていないかもしれません。今回は、体外受精について詳しく解説していきます。

監修 : mamanoko 医師・専門家
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体外受精とは?

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体外受精は、排卵する前の卵子を体内から取り出し、精子と結合させることで受精を体外で行う方法です。体外受精=In Vitro Fertilizationから、IVFと呼ばれることもあります。

不妊症には、女性側の卵子、卵巣、子宮などの問題、男性の精子側の問題が潜んでいますが、その詳しい不妊原因については不明となっているものも多くあります。それらのものに対して、体外受精を行うことで卵子と精子の出会いをサポートしたり、体外受精をしたからこそわかる不妊の原因を突き止めたりすることができます。

体外での受精が成功すると、細胞分裂を繰り返す段階で女性の体内に移植します。一般的には2~5日間ほど体外培養したあとに移植をします。その培養日数や凍結したものを使うかどうかによって移植の名称は違います。移植の名称は以下の通りです。

初期胚移植

初期胚移植は、受精後2~3日目に胚移植を行う方法です。2~3日目には、胚は4~8細胞に分割されています。それを子宮内膜に戻すことで、うまくいけば、胚は子宮内膜に潜って細胞分裂をまた始めます。

培養日数が少ないこと、費用が他の体外受精に比べに低いことから、初期胚移植は比較的多く行われます。

胚盤胞移植

胚盤胞移植は、受精後5~6日目に移植を行う方法です。初期胚移植でなかなか妊娠に結びつかない場合に取られることがあります。妊娠率は上がるのですが、初期胚移植と比べてリスクが高くなります。そのリスクのひとつが多胎児の確率が上がることです。

ちなみに、胚移植では可能な限り良好な胚を選んで移植します。胚は分裂などの状態によってグレード1~5と分けられていて、1が一番状態がよく、4~5となると妊娠は難しくなります。

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胚盤胞移植とは?移植後の着床時期や症状は?フライング検査についても解説

凍結胚移植

胚移植可能な良好な胚ができた場合、次の周期や次の妊娠のために、その胚を凍結しておくことがあります。その胚を必要なときに移植するのが凍結胚移植です。良好な胚の凍結胚移植の妊娠成績はよく、新鮮胚と変わらないため、余剰で良好な胚があれば凍結がすすめられます。

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凍結胚移植とは?着床時期と妊娠確率、メリット・デメリットは?

体外受精のスケジュール・流れは?

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それでは、体外受精は、基本的にどのようなスケジュールで行われるのでしょうか。その流れをみていきましょう。

排卵誘発

採卵をする前に排卵誘発を行う場合があります。基本的には、卵胞の自然の発育を待って身体に負担の少ない形で採卵するのですが、良い卵胞を選ぶために薬剤を使用した「排卵誘発」を行うことがあります。

ひとつは、低刺激クロミッド法と呼ばれ、月経開始3日目よりクロミッドを服用する方法です。35歳以下の若い女性に対して行うことの多い方法です。年齢が上がると、月経開始2日目より点鼻薬を使用するショート法や、月経開始3日目より毎日注射の排卵誘発剤を使用する方法もあります。どの方法であっても、卵胞が一定の大きさになると採卵をします。

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排卵誘発剤とは?注射するの?効果や副作用、妊娠確率、使うタイミングは?

採卵

いよいよ採卵を行います。大きく成長している主席卵胞の平均径が18mmを超えた時点でhCG注射を行います。これを行うことで、約40時間後に排卵が起こります。日本産婦人科学会によると、採卵は約36時間後とされています。

自宅でその時間過ごした後、外来で局所麻酔、または静脈麻酔を行い、経腟超音波を見ながら、非常に細い針を刺して採卵します。異常がなければ、麻酔がきちんときれた時点で帰宅することができます。そのとき、付き添いが居れば安心ですね。

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体外受精の採卵とは?痛みや採卵数、採卵の方法は?

採精

次は精子の処理となります。精子は4~5日の禁欲期間の後の朝、自宅や病院でマスターベーションをして、精液を容器に取ります。その中から精子だけを取りだし、元気な精子を集めて、精子を培養中の卵子にかけます。特に問題がなければ、卵子1個当たり、5~10万個ほどの精子をかけます。

受精

精子をかけ、17~20時間後、2前核という卵子と精子のふたつの核を確認します。これらは合体して受精卵となります。この受精卵を培養液の中で培養します。

胚培養

受精卵の培養は、「胚培養」といわれ、正常な受精卵は約12時間後には2個に細胞分裂し、2日目には4細胞、3日目には8細胞胚となります。ここで、初期胚移植をする場合には、胚移植に移ります。胚盤胞移植を実施する場合は5日目の胚盤胞期まで待ちます。

胚移植

状態にあわせて「初期胚移植」や「胚盤胞移植」を行います。状態の良い胚がたくさんできたら、多く移植したいという思いを持つ方もいますが、移植は日本生殖医学会倫理委員会が2007年3月に発表した「多胎妊娠防止のための移殖胚数ガイドライン」にのっとり、移植胚数は厳しく制限されています。

黄体ホルモンの補充

胚移植をした後、着床を助けるためにも、外因性にエストロゲンとプロゲステロンを補うこともあります。プロゲステロンは、経口薬、経腟薬、筋肉注射のうちの必要な方法で補い、エストロゲンについては、経皮薬や経口薬のいずれかで補います。

妊娠判定

体外受精児の妊娠判定は、自然妊娠時の妊娠判定とは少し異なります。というのも、hCGホルモン注射を行った場合に、妊娠検査薬などに現れる妊娠判定が正確に出ない可能性があるからです。hCG注射によりますが、注射後大体1~2週間ほどで判定が可能となります。具体的な時期は、注射の種類や時期にもよるので、医師にもいつ妊娠判定できるのか聞いてみましょう。

体外受精にかかる費用は?補助金はある?

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では実際、体外受精にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。補助金はあるのでしょうか。

保険適用はなく30~100万

体外受精や、病院や方法にも寄りますが、採卵までに5~10万円、採卵~妊娠判定までに20~50万かかるといわれています。胚移植の方法や回数によっては100万近くかかることもあります。体外受精は「保険適用外」です。治療実績は高いとはいえ、非常に高額ですよね。

特定不妊治療費助成制度(補助金)

「特定不妊治療費助成制度」は、厚生労働省の「不妊に悩む方への特定治療支援事業」の中で、各県や市が主体となって不妊治療に関する補助金給付をしているものです。それぞれの県や市で年齢や回数、制限、給付金額は違いますが、国からの助成範囲は1回15万円とされています。ちなみに、国の不妊治療の助成金は、平成28年から43歳未満という年齢制限が付きました。

自治体によっては、国の給付金に加えて給付金を出したり、独自の不妊治療補助金を給付したりしているところもあります。保険適用外の高額治療なだけに、そのような補助金も使っていきたいですね。

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不妊治療の助成金をもらうには?助成額・申請方法は?医療費控除できる?

体外受精のリスクは?痛みはあるの?

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体外受精にはどのようなリスクがあるのでしょうか。

障がい児のリスクは自然妊娠と変わらない

体外受精では、障がい児のリスクは自然妊娠と変わりません。また、体外受精で妊娠した子どもが大きくなって、同じように体外受精を必要とするようになるかは、親とは関係ないともいわれています。その点は安心していただいて大丈夫ですよ。ただ、自然妊娠と同じなので、年齢が高くなればなるほど、染色体異常がおこる確率は上がってしまうのも事実です。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

体外受精のリスクとしてよくいわれるものは、「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」となる可能性があるということ。体外受精で用いられることの多い「排卵誘発剤」の副作用として、OHSSが起こる可能性があります。OHSSは、卵巣刺激によって、卵巣が膨れたり、胸水や腹水につながったりする病気です。

採卵時の出血

卵胞を穿刺する際に、出血が起こってしまうことがあります。通常は軽い出血が多いのですが、出血が起こった場合は、無理をせずに病院に相談してください。

細菌感染による発熱や腹痛

穿刺の際に、細菌感染を起こしてしまうことがあります。そのとき、発熱や腹痛を伴う場合も。まれなケースですが、骨盤腹膜炎をおこしている可能性もあります。

子宮外妊娠

自然妊娠では0.3~0.7%と発生頻度は低めの「子宮外妊娠」ですが、新鮮胚の移植では子宮外妊娠の発生率は5%となっていることもわかっています。自然妊娠と比べて高いことがおわかりいただけるのではないでしょうか。この場合も下腹部痛が起こるので、気になる症状があれば、担当医師に相談しましょう。

体外受精の移植後の過ごし方は?

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体外受精後は、いつも通りに過ごして大丈夫なのでしょうか。してはいけないことはあるのでしょうか。

普段通りでリラックス

体外受精移植後は、普段通りの生活で構いません。ストレスは着床の妨げになりうるので、できるだけリラックスして過ごしましょう。

移殖当日はお風呂に入らない

移殖当日は細菌感染の予防などの観点から、お風呂には入らないでおきましょう。シャワーは可能です。

激しい運動はさける

激しい運動はさけましょう。軽いストレッチなどのリラックスできる身体に負担のない運動は可能です。性行為もなるべく控えましょう。

喫煙、過度の飲酒はしない

喫煙や過度の飲酒は控えましょう。喫煙が着床に影響を与えるといわれているため、喫煙は特に控えるようにしましょう。

体外授精での妊娠率はどれくらい?

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体外受精での妊娠率がどれくらいなのかを見ていきましょう。

およそ20~40%

日本産婦人科学会によると、2006年の治療実績で採卵当たりの妊娠率は20.2%、2011年には新鮮胚を用いた体外受精では移植当たりの妊娠率が21.3%、凍結胚を用いた移植当たりの妊娠率は34.2%となっています。

妊娠率はおよそ20~40%となっていて多少の幅があります。それは、年齢やその医療機関、方法などによっても違うからです。

年齢によって妊娠率は違う

年齢によっても妊娠率は変わります。妊娠は受精卵が着床することで成立しますが、受精卵を体内に戻しても、なんらかの原因で着床しないことがあります。原因のひとつは、年齢が上がれば上がるほど、染色体異常の確率が増えること。受精卵自体に着床能力がない場合があります。

体外受精について夫婦で真剣に話し合ってください

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日本でもメジャーな治療になってきている「体外受精」。タイミング法や人工授精でも妊娠できない場合には、体外受精が選択肢のひとつとなります。しかし、保険適用外で費用が高額になりやすく、また他の不妊治療同様にリスクもあります。実際に体外受精をするかどうかは、夫婦できちんと話し合いましょう。

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