更新日:2017年07月06日

子宮腺筋症とは?症状や原因、治療・手術方法は?妊娠できる?

「子宮腺筋症」について知っている人は少ないのではないでしょうか。以前は「子宮内膜症」の一種として扱われていたため、まだまだ聞き馴染みのない人が多いことでしょう。子宮腺筋症は子宮内膜が子宮の筋肉の層にできる病気で、不妊の原因となることがあります。子宮腺筋症の症状や原因、治療法や手術、妊娠との関係について確認しましょう。

監修 : mamanoko 医師・専門家
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子宮腺筋症とは?

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そもそも子宮腺筋症とはどのような病気なのでしょうか。子宮内膜症や子宮筋腫とはどう異なるのでしょうか。

子宮内膜が子宮の筋肉の中にできる病気

子宮内膜のような組織が子宮の筋層の中にできる病気のことを「子宮腺筋症」と呼びます。以前は子宮内膜が子宮内以外の場所にできる「子宮内膜症」と同じものとして扱われていましたが、子宮内膜の発生の仕方や治療薬に対する反応が異なることから、現在では独立した別の病気として「子宮腺筋症」と呼ばれるようになりました。

子宮腺筋症は子宮内膜症や子宮筋腫を併発することがあり、特に子宮筋腫とは症状や見た目が似ているため判別しにくい場合があります。

30代後半~40代の出産経験のある人に多い

子宮腺筋症は、30代後半~40代前半で出産経験のある人に発症しやすい傾向があります。分娩や人工中絶手術など、子宮の中で何かしらの操作や手術を行ったことがある人は、子宮腺筋症になるリスクが高いといえるでしょう。

しかし最近では出産経験のない人でも子宮腺筋症になる例が増えてきており、妊娠・出産の希望がある場合にはその点を考慮した上で治療を行う必要が出てきます。

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子宮内膜症の原因と症状、治療法は?妊娠はできるの?

子宮腺筋症の症状は?

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強い月経痛

子宮腺筋症の代表的な症状のひとつが、強い月経痛です。突然月経痛が強くなったと感じる人もいれば、もともとあった月経痛が生理を経るごとに強くなっていくと感じる人もいます。

生理の際の下腹部痛や腰痛が日常生活に支障をきたすほどに激しい場合は、一度病院を受診してみましょう。たとえ子宮腺筋症でないとしても、子宮筋腫や子宮内膜症を発症している可能性があります。

月経量の増加(過多月経)

生理時の月経量の増加も子宮腺筋症の特徴的な症状です。あまりにも出血量が多い場合や出血が長時間続く場合には、貧血を起こすこともあるでしょう。

普段から月経量が多い人もいるため一概には言えませんが、短時間でナプキンを取り換えなければならない、出血が続くせいでトイレから出るタイミングをはかれない、といった異常な過多月経で貧血になっている人は、早めに病院で診てもらいましょう。

不正出血

生理以外での性器からの出血である「不正出血」が起こることもあります。生理周期を確認するように心がけ、生理とは違うタイミングで出血があるときにはすぐに気づけるようにしておきましょう。不正出血は、子宮腺筋症だけでなくさまざまな婦人科系の病気の兆候となることがあるため、見逃さないようにしたいですね。

自覚症状がない場合もある

子宮腺筋症になったとしても、症状がほとんど出ない場合もあります。子宮腺筋症は閉経すれば自然となくなる病気なので、日常生活に支障をきたすような症状が出ない限りは治療を行わないこともあるでしょう。しかし症状がなくても不妊の原因となることは考えられるため、妊娠を希望する人は不妊治療の一環として治療を行うことが考えられます。

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子宮腺筋症の原因は?

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子宮腺筋症の原因ははっきりとは解明されておらず、いくつかの説が唱えられていますが、何らかの原因で子宮内膜の組織が子宮筋層の中に侵入するという説がもっとも有力であると考えられています。

子宮内膜の組織が子宮筋層に潜り込むきっかけとしては、分娩や人工中絶手術、流産などで子宮の内部の状態が変化することがあげられるでしょう。そのため子宮腺筋症は出産経験のある人に発症しやすい傾向があるのです。

子宮腺筋症になると妊娠できない?

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子宮腺筋症になっても妊娠できるのでしょうか。子宮腺筋症を発症しているからといって必ずしも妊娠できないとは限りませんが、妊娠の可能性が低くなることは予想されます。また、たとえ妊娠できたとしても、流産のリスクが高まることが指摘されています。

子宮腺筋症は不妊原因としてあげられる病気のひとつなので、症状がなくても妊娠を希望する人は治療を行う必要があるでしょう。

子宮腺筋症の検査方法は?

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強い月経痛や過多月経、不妊に悩んで子宮腺筋症が疑われる場合、クリニックではどのような検査が行われるのでしょうか。代表的なものについて確認していきましょう。

内診

子宮腺筋症が疑われるときにクリニックで最初に行われるのが、症状や子宮の状態を確認するための内診です。子宮を触って大きさや固さ、形、子宮の動きやすさ、痛みがないかといった点を調べていきます。

経腟超音波検査

腟にプローブという超音波を出す器具をいれ、子宮の状態を画面に写す検査を行うことがあります。子宮の壁が厚くなっている場合には子宮腺筋症や子宮筋腫を疑います。子宮腺筋症の種類によっては経腟超音波検査で判別がつきやすいものもあるため、有効な検査方法です。

MRI検査

子宮腺筋症を確定させるためにもっとも有効であると考えられる検査はMRI検査です。子宮腺筋症の場合にはMRI検査で特徴的な像があらわれるため、内診や超音波検査のみでは子宮筋腫との判別がつかなかったものでも、MRI検査をすれば判別できる可能性が高まります。

血液検査

血液を採取してCA125という物質の値を調べることもあります。子宮腺筋症や子宮内膜症の場合では陽性反応が出ますが、子宮筋腫では反応しないため、子宮筋腫と区別するために行われることもある検査です。

子宮腺筋症の治療方法は?手術する?

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子宮全摘術

子宮腺筋症の一般的な治療法は、子宮を全摘出する手術です。出産経験があり、さらなる妊娠・出産を望まない場合には、基本的には子宮を全摘出することになります。子宮を全摘出することで月経痛や過多月経がなくなるほか、再発のリスクもなくなるため、子宮腺筋症を根本から治すためには子宮全摘術がもっとも効果的な治療法であると考えられています。

子宮腺筋症核出術

妊娠希望があり子宮を全摘したくない人の場合には、「子宮腺筋症核手術」と呼ばれる子宮腺筋症の病変の部分のみを切除する手術が選択されることもあります。ホルモン剤や鎮痛剤を用いた薬物療法だけでは効果が少なかったり、副作用が強かったりすることがあるため、症状を抑えつつも子宮を残すためにこの手術を行います。

ただしこの手術は先進医療とされているため保険は適用されず、設備が整っている病院が少ないため、手術が行われる頻度はそれほど多くありません。

ホルモン療法

エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンを配合したホルモン剤を投与して治療を行うこともあります。卵胞ホルモンと黄体ホルモン両方を含む「低用量ピル」や、黄体ホルモンのみを含む「ディナゲスト」などを服用して症状を抑えます。

ただしこれらのホルモン剤の子宮腺筋症に対する効果はあくまでも症状に対するものであり、根本から治すことにはつながりません。またホルモン剤を服用しているあいだは妊娠できないため、妊娠を希望する場合には中断することがあります。

鎮痛剤 

子宮腺筋症による月経時の下腹部や骨盤、腰の痛みを緩和するために、ロキソニンやボルタレンといった鎮痛剤を服用することもあるでしょう。鎮痛剤も対症療法でしかないため、服用をやめれば症状が再び出てきます。人によっては効きやすい薬と効きにくい薬があるため、自分にあった薬を処方してもらうことが大切です。

ミレーナ

過多月経を抑えるために、子宮内に装着する「ミレーナ」という避妊具を使用することも考えられます。ミレーナには黄体ホルモンが染み込ませてあり、黄体ホルモンが子宮内膜に作用することで生理の経血量を減少させる効果があります。

しかし子宮腺筋症になると子宮が大きくなってしまうため、通常の大きさの子宮にあわせて作られているミレーナが抜け落ちてしまう可能性があります。そのため子宮腺筋症の治療で使用するには限界があるといえるでしょう。

漢方薬

月経困難症や子宮内膜症、子宮腺筋症による月経痛を和らげるために、漢方薬を処方する場合もあるようです。具体的には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)といった漢方薬があげられます。

子宮腺筋症の手術後の再発率や妊娠率は?

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子宮腺筋症の手術を行った場合、再発のリスクはどのくらいあるのでしょうか。また、手術後には妊娠できるのでしょうか。

子宮を残した場合は再発の可能性がある

子宮全摘術をした場合は再発の可能性はありませんが、子宮を残して異常のある部分のみを摘出する手術を行った場合には、再発するリスクがあります。手術をしてすぐに症状があらわれることはまれですが、手術後時間が経てば経つほど再発率が高くなると考えられます。再発率は一概には言えませんが、10%前後を目安と考えておくと良いでしょう。

子宮腺筋症の術後に妊娠しやすくなることも

子宮腺筋症が不妊の原因となっていた場合には、治療によって妊娠しやすくなる可能性があります。しかし子宮内膜症や子宮筋腫と合併している場合には、こうした子宮腺筋症以外の原因も取り除かない限りは妊娠しやすくなるとは考えにくいでしょう。

また、加齢によって妊娠率が低くなることも考えられるため、子宮腺筋症だけでなくさまざまな要素が関連していることを頭にいれておく必要があるでしょう。

子宮腺筋症の症状が出たら我慢せずに病院へ

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子宮腺筋症は放っておいても閉経すれば治ることが多い病気ですが、強い月経痛や過多月経による貧血で悩んでいる人は、我慢せずに病院へ行きましょう。子宮腺筋症は子宮内膜症や子宮筋腫と併発する場合が多いことに加え、不妊の原因となることもある病気です。

たまたま生理がひどいだけだろう、と無理に我慢していると、症状がますます悪化して日常生活に支障をきたしてしまうかもしれません。つらい症状がある人は検査を受けにいってみてくださいね。

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