更新日:2017年09月14日

トリコモナス腟炎とは?治療や検査方法は?おりものはどうなる?

トリコモナス腟炎は、比較的患者数の多い性感染症です。おりものや腟への違和感以外に、どのような症状があるのでしょうか。妊婦への影響や検査方法、治療法について詳しくみていきましょう。

監修 : mamanoko 医師・専門家
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トリコモナス腟炎とは?症状は?

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トリコモナス原虫が引き起こす感染症

性感染症のひとつである腟トリコモナス症(腟トリコモナス感染症)は、「腟トリコモナス原虫」という肉眼では認識することができない微生物が寄生することで起こります。男女ともに感染する可能性のある病気です。ほかの性感染症と比べて感染が報告される年齢層が広いのが特徴で、中高年にも感染がみられます。

女性は比較的強い症状があらわれますが、症状は多様です。腟トリコモナス原虫に感染し、腟に炎症が起こると、トリコモナス腟炎と診断されます。

男性は自覚症状がないことが多く、感染に気づかないこともあります。そのため自覚症状のない男性と性交をして、女性が感染してしまうケースもみられるため注意が必要です。男性に症状があらわれた場合、一般的にみられるのは尿道炎です。

また、トリコモナス感染症には腸や口腔に感染するものもありますが、これらは別の原虫が原因となっているため、性感染症のトリコモナス腟炎とは区別されます。

おりものが変化

トリコモナス腟炎の症状として一般的なのが、悪臭のあるおりものが増えることです。おりものは黄色~黄緑色を帯びていて、ときに魚のようなにおいがすることもあります。膿性はそれほど高くありませんが、30%前後の割合でクリームのような泡状になることが特徴です。

外陰部の違和感

トリコモナス腟炎では炎症の影響でかゆみや痛みがあらわれ、熱を帯びたように感じたり刺激感を訴えたりする人もいます。痛みやかゆみなどの症状があらわれるのは20~30%ほどで、なかにはこうした症状を感じない人もいます。

腟炎を起こしている人に多くあらわれるのが、腟の発赤です。およそ75%にみられる症状です。また腟が腫れて、違和感や不快感に悩まされることもあります。トリコモナス原虫が尿道に寄生して尿道炎になると、排尿時の痛みにつながります。

不正出血がある

トリコモナス腟炎の症状が進むと、子宮腟部に点状出血もしくは斑状出血がみられ、おりものが血性となります。性交時の出血も起こりやすくなります。生理以外の性器からの出血は、すべて不正出血です。腟が炎症を起こしていると、ほかの病原菌への抵抗力が弱まるため、たとえ出血が少量であっても早めに医療機関を受診しましょう。

自覚症状がないことも

トリコモナス腟炎は、感染してから10日~1ヶ月の潜伏期間を経て発症します。長いと半年ものあいだ、自覚されるような症状がないケースも報告されています。

全体の20~50%は自覚症状がないまま菌を保有しているといわれており、自覚症状の訴えがなくても、検査を受けると軽い炎症がみられることもあります。感染が疑われる場合は身体の変化をチェックして、不安な場合は産婦人科で相談してください。

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トリコモナス腟炎は放置しても大丈夫?

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トリコモナス腟炎は放置していても、自然に治癒することはありません。適切な治療が必要となります。放置したままにすると、大切なパートナーへ原虫をうつしてしまうかもしれません。

尿道や膀胱など腟と隣接する臓器へ感染が及んでしまったり、ほかの細菌性感染症との合併を起こしやすくなったりと、深刻な症状となることも考えられます。腟トリコモナス症に感染していると、HIVへ感染しやすくなるという報告もあるため、早めに対処していくことが大切です。

トリコモナス腟炎の原因・感染経路は?

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性行為

トリコモナス腟炎の主な感染経路は、性交によるものです。挿入だけではなく、オーラルセックスやキスでも感染する可能性があります。

トリコモナス原虫は乾燥には弱いという特徴がありますが、水の中では比較的長く生存しています。感染がみとめられる相手と一緒に入浴することや、手技などによる性行為も感染の可能性を高めるため、避けたほうが良いでしょう。

タオルや浴槽から

トリコモナス腟炎は、性的経験がなくても感染が報告されている病気です。感染者が利用したタオルや下着への接触、お風呂の椅子などを共有することから感染が広がると考えられます。

浴槽や便器なども感染源となりうるため、不衛生な環境での利用は避けたいものです。

トリコモナス腟炎の検査方法は?

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病院でおりものを採取して調べる

トリコモナス腟炎が疑われたら病院で検査を受けるようにしましょう。陽性だった場合、スムーズに治療へと移行できます。

検査は検査用の綿棒で、腟の分泌液を採取して行います。腟の分泌物と生理食塩水を混ぜ、顕微鏡下でトリコモナス原虫の動きを観察して、原虫がみとめられると腟トリコモナス症と確定されます。

顕微鏡検査による診断率は約60~70%のため、トリコモナス原虫がみとめられなくとも症状から感染が疑われるときは、培養検査を実施します。培養法による診断率はおよそ90%です。

自宅で検査キットを使う

自宅で採取した腟分泌液を検査機関に郵送して、トリコモナス腟炎の検査を行うキットが販売されています。プライバシーが保護され、医療機関を受診する時間がなかなかとれない方には便利なシステムです。

一方で、保険は適用外で目視による診察ができないため、感染を見逃す可能性があります。トリコモナス腟炎で確定診断の目安となるのは、おりものの状態と腟の発赤です。医師に直接診察してもらうことが、確実な治療へとつながります。心配なときは時間をつくって、医療機関を受診してください。

トリコモナス腟炎の治療法は?どんな薬を使う?

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抗生物質を使用する

トリコモナス腟炎の治療は、抗生物質の一種である抗原虫剤が用いられます。一般的に処方されるのはメトロニダゾールもしくはチニダゾールです。メトロニダゾールは1回250mgを1日2回10日間、チニダゾールは1回200mg、1日2回7日間を1クールとして経口投与します。

治療では内服薬だけではなく、腟へ局所的に作用する腟錠と併用されることがあります。内服による全身投与と腟への局所投与により、再発率の低下が期待されています。

腟の内部は、腟内を清浄に保つ作用がある乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)のはたらきにより、通常は酸性に保たれています。乳酸桿菌が優勢になると、トリコモナス原虫は劣勢になります。ところが生理期間中は腟内がアルカリ性に偏りやすく、乳酸桿菌のはたらきが弱まりやすいのです。

生理になり乳酸桿菌が弱まると、残存していたトリコモナス原虫が増殖することがあります。治療を行ってトリコモナス原虫の消失が確認されても、治療後の最初の生理では改めて原虫が消失しているか確認することが推奨されています。

妊娠初期には腟錠を用いる

腟の内部は妊娠によってアルカリ性に傾くため、乳酸桿菌のはたらきが抑制されます。腟内の抵抗力が弱まり、細菌性腟症などの感染を合併しやすい環境です。妊婦が細菌性腟炎を発症した場合、早期破水や早産を引き起こす原因となります。

また、トリコモナス原虫は、分娩時に新生児が産道を通ることで母子感染を起こします。新生児が女の子の場合、腟や尿路に感染する可能性が2~17%と報告されています。生まれてくる子どもの健康を守るためにも、トリコモナス腟炎に対する適切な治療が必要です。

妊娠12週までの内服薬の使用は、胎児や胎芽への安全性が確立されていません。また、メトロニダゾールは胎盤経過性があるので、原則として妊娠中の使用は推奨されていません。そのため、妊娠初期の治療においては腟錠が選択されます。

しかし、日本産科婦人科学会がまとめた産婦人科診療ガイドラインでは、再現率の高さから腟錠だけでの治療は推奨されていないことと、妊娠14週~27週にあたる第2三半期、妊娠28週目以降の第3半期では安全性が認められたという報告があることから、経口投与の有益性が危険を上回ると判断された場合は内服薬での治療が選択されることもあります。

いずれにしても、妊娠中の治療については、タイミングや使用する薬剤について、慎重に検討されることが望ましいといえます。

パートナーと一緒に治療しよう

トリコモナス腟炎を発症しているときは、パートナーと同時に治療することが求められます。たとえパートナーが症状を感じていなくても、尿道や膀胱にトリコモナス原虫が寄生していることがあるからです。

トリコモナスは一度感染しても免疫はできず、何度も感染を繰り返します。そのため、片方が治療をして薬の効果を得ても、相手が感染したままの状態では、再び治療を施した相手にうつしてしまうリスクがあるのです。

病原菌がカップルのあいだをいったりきたりすることを「ピンポン感染」と言います。治療の効果をあげ、複数回の感染を防ぐためにも治療はふたりで行っていきましょう。

トリコモナス腟炎の予防法は?

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コンドームをつけて性交

トリコモナス腟炎への感染を防ぐには、性交のときにコンドームを着用することが第一です。オーラルセックスでも感染する可能性があるため、挿入時だけではなく、性行為のはじめからコンドームを着用するようにしましょう。

身の回りを清潔に保つ

トリコモナス原虫は性行為をともなわずに発症するケースがあります。タオルや下着などは、清潔なものを使用するようにしてください。家族内での感染を防ぐため、浴槽や便器などもしっかり清掃し、乾燥させるようにしましょう。

トリコモナス腟炎の症状に敏感になろう

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トリコモナス腟炎は特徴的な症状であるおりものの増加も、すべての人にあらわれるわけではありません。症状に気づくのに遅れると、隣の臓器やパートナーへと感染を広げてしまう可能性もあるため、少しでも身体に違和感を覚えたら医療機関を受診するようにしましょう。

なにより、うつらないようにすること、うつさないようにすることがいちばん大切なことです。性感染症を防ぐためにも、信頼できるパートナーと良い関係性を築いていきたいものですね。

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