更新日:2017年08月01日

人工授精・体外受精・顕微授精の違いは?妊娠確率や費用は?

不妊治療の方法である人工授精、体外受精、顕微授精の3つの違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。それぞれの違いをきちんと理解して、不妊治療に取り組んでいきたいですね。この記事では、この3つの不妊治療方法の違いを解説していきます。

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目次

    人工授精・体外受精・顕微授精とは?

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    不妊治療は、不妊原因によって治療を選択してから始めます。とくに原因が明確でなければ、最初はタイミング法や排卵誘発剤の使用などから始め、人工授精、そして、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療にステップアップします。これらの中でも、人工授精、体外受精、顕微授精の3つは間違えられやすい言葉ですので、この3つの違いを先に簡単に解説していきます。

    人工授精

    人工授精は、子宮腔内に細い管を通して精子を直接注入する方法です。精子はあらかじめ取り出して、運動している成熟精子を選んで回収・洗浄し、妊娠しやすい期間にこれを女性の子宮内に戻します。乏精子症、精子無力症、性交渉障害、精子警官粘液不適合、抗精子抗体保有症例、原因不明不妊症例などが適応となります。

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    人工授精とは?費用や流れ、タイミングは?痛みはあるの?

    体外受精

    体外受精は、排卵前の卵子を体外に取り出し、精子を振りかけることで体外で受精させる方法です。受精すれば、その受精卵は2~5日培養液内で培養し、良好な胚をまた体内に戻します。確実に受精した良好な状態の受精卵を体内に戻せるという点がメリットです。

    体外受精では、すでに全世界で400万人もの子どもが誕生していて、初期の体外受精によって生まれた子どもは次々と成人している状況です。体外受精で生まれた子どもが、自分自身が子どもを持つときにも体外受精が必要かといえば、必ずしもそうではないこともわかっています。長期的な成長のモデルケースも増えてきている技術なので、より安心して治療にあたれるのではないでしょうか。

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    体外受精とは?費用やスケジュール・流れは?リスクや痛みについても解説

    顕微授精

    顕微授精は、排卵前の卵子を取りだす「採卵」までは体外受精と一緒ですが、精子を直接卵子に注入して受精させる点が体外受精と異なります。精子が卵子と受精するのを待つので待つのではなく、確実に精子が卵子の中に入るので、不妊治療の中でももっとも受精率が高い方法といわれています。

    受精した受精卵は、体外受精と同様に、2~5日間培養液内で培養し、体外受精と同様に良好な胚をタイミングを見て体内に戻します。ただし、技術が高い分、費用もかかってしまうことから、顕微授精でないとどうしても受精が不可能という場合に適用されます。

    体外受精や顕微授精は「生殖補助医療(ART)」といわれています。生殖補助医療は、近年進歩した新たな不妊治療法です。これらは1980年代までは大学病院や大病院など、限られた期間でしか行えませんでしたが、培養器具や試薬、その技術が一般化してきたことから、大病院でなくても同じように生殖補助医療が受けられるようになっています。より不妊治療が身近に感じられますね。

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    顕微授精とは?費用やリスク、妊娠する確率は?どんなスケジュール?

    人工授精とは?

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    人工授精は子宮腔内に精子を注入するという、体外受精や顕微授精に比べると、より自然に近い状態の治療方法です。人工授精の方法や妊娠確率を詳しく解説します。

    人工授精の方法・流れ

    人工授精では、まず精液を取り出します。精液を直接子宮内に注入するのですが、精子にはプロスタグランジンという子宮内にけいれんを起こしやすい物質が含まれているため、注入前に精液を洗浄してプロスタグランジンなどを除去することがあります。そして運動率の良い精子を選別して、その精子0.2~0.5mL程度をカテーテルという細い管を通して子宮内に直接注入します。

    人工授精の妊娠確率

    人工授精の妊娠確率は、周期あたり約5~10%程度といわれています。ただ、自然妊娠同様、高齢になればなるほど妊娠確率は下がります。人工授精では42歳くらいまでが妊娠・出産可能といわれています。

    人工授精に成功する状態の場合は、5回目までに約9割が妊娠します。そのため、5回を超えても人工授精で成功しない場合は、次の治療にステップアップすることを考えなければいけません。自然下では精子が自力でうまく卵子に入れないなどの不妊原因によって人工授精では難しい場合も、ステップアップの対象になります。

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    人工授精による年齢別の成功率。何回くらいで成功する?成功率を上げるには

    人工授精のリスク

    どの不妊治療にもいえるのですが、治療の過程で排卵誘発剤を使用する場合は、排卵誘発剤によるリスクがあります。排卵誘発剤の副作用としては、双子や三つ子を妊娠する多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があげられます。

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    多胎妊娠とは?リスクや妊娠検査薬への反応は?産休は長く取れる?

    人工授精の費用

    人工授精は自由診療ですので、健康保険の適用はありません。自費で15000円~30000円程度ですが、これも病院によって大きく違います。正確な金額が知りたい場合は、病院に直接確認していただくことが近道です。

    体外受精とは?

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    体外受精は、採卵した卵子に精子を振りかける方式を取ります。実際に受精をさせて、分割した2~5日目の良好な胚を移植します。人工授精に比べて費用は高めになります。

    体外受精の方法・流れ

    体外受精では排卵誘発を行って、主席卵胞が18mmを超えた時点でhCG注射をして、36時間程度で採卵を行います。取り出した卵子に精子をふりかけ、卵子と精子が受精したら、培養液内で受精卵を培養していきます。培養2~5日後の良好胚を体内に戻すというスケジュールとなっています。胚移植1~2週間後に妊娠判定が行われます。

    体外受精の妊娠確率

    体外受精での妊娠の可能性ですが、約20~40%といわれています。この数値は病院によっても変わりますし、年齢による影響も大きく受けます。

    また戻す胚によっても妊娠率が変わり、日本産婦人科学会の発表によりますと、2006年の治療実績で採卵当たりの妊娠率は20.2%、2011年には新鮮胚を用いた体外受精では移植当たりの妊娠率が21.3%、凍結胚を用いた移植当たりの妊娠率は34.2%となっていました。

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    体外受精で妊娠する確率は?30代・40代の成功率、妊娠率を上げる方法は?

    体外受精のリスク

    体外受精のリスクは、基本的に自然妊娠と変わりません。それはリスクがないということではなく、年齢によるリスクなどの自然妊娠下でも起こるリスクは、体外受精下でもあります。また、他の不妊治療同様、排卵誘発剤を使用する際には、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多胎妊娠の可能性があります。

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    体外受精のリスクとは?母体の健康や赤ちゃんの障がい、流産にかかわる?

    体外受精の費用

    体外受精や、病院や方法にもよりますが、採卵までに5~10万円、採卵~妊娠判定までに20~50万かかるといわれています。胚移植の方法や回数によっては100万近くかかることもあります。そのため30~100万程度と考えておくのが賢明でしょう。

    ただし、体外受精は、厚生労働省の「不妊に悩む方への特定治療支援事業」の中で、各県や市が主体となって不妊治療に関する補助金給付をする「特定不妊治療費助成制度」の対象となっているため、助成が受けられる可能性もあります。それぞれの県や市で年齢や回数、制限、給付金額は違いますが、国からの助成範囲は1回15万円とされています。ちなみに、国の不妊治療の助成金は、平成28年から43歳未満という年齢制限が付きました。

    自治体によっては、国の給付金にプラスで給付をしていたり、自治体独自の女性も行っているところがあります。自分の住む自治体がどのような条件で、どのような助成をおこなっているのか、調べてみてくださいね。

    顕微授精とは?

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    精子が自力で受精するのではなく、精子を卵子に直接注入し、精子の受精を助けてあげる方法が顕微授精です。顕微授精は、その方法から「細胞質内精子注入法(ICSI)」ともいわれます。顕微授精はどのような流れで、どのようなリスクがあるのでしょうか。解説していきます。

    顕微授精の方法・流れ

    顕微授精では、体外受精と同じように主席卵胞が18mmを超えた時点でhCG注射をして約36時間後に採卵を行います。ただ精子に関しては、振りかけて精子自身が受精するのを待つのではなく、元気に運動している形が正常な精子を1個つかまえて卵子に注入します。注入の際は、顕微鏡で観察しながら、細いガラス針に精子を1個吸引して入れ、ガラス針を卵子に刺して精子を注入する方法をとります。

    注入後は、受精卵を2~5日間培養液で培養し、胚ができ上がれば子宮に移植します。うまくいけば2~3日で着床しますので、移植後1~2週間後に妊娠判定が行われます。

    顕微授精の妊娠確率

    顕微授精での受精率は50~70%となっていて高く感じますが、着床率、妊娠・出産率は下がる傾向にあります。これは顕微授精だから、という問題よりも、顕微授精をする年齢層が自然妊娠と比べて高いということからだと考えられています。顕微授精では、受精率が50~70%であるのに対して、妊娠率は約10%前後といわれています。

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    顕微授精で受精する確率は?受精しないのはなぜ?

    顕微授精のリスク

    顕微授精下でも、胎児異常のリスクは自然妊娠と変わりません。自然妊娠同様、年齢リスクはあるため、年齢によって染色体異常のリスクも高まります。排卵誘発剤によるOHSSや多胎妊娠などのリスクは、他の治療と同等です。

    顕微授精を成功させるには、病院選びも重要なポイントのひとつです。技術や症例がホームページに掲載されている病院もあるので、検討中の病院の症例がどの程度なのか確認してみましょう。

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    顕微授精にリスクはあるの?障がい児が生まれる可能性は?

    顕微授精の費用

    顕微授精も自由診療のため、自費となり1周期40~60万程度かかります。病院や方法によっては1周期に100万以上かかる可能性もあります。

    顕微授精では50~70%の高い受精率がでているため、他の治療ではなく顕微授精をしたいと考える場合もありますが、費用も他の不妊治療に比べて高額になっています。基本的には、顕微授精でないとどうしても受精が不可能という場合にされる治療法と考えておきましょう。

    なお、顕微授精も体外受精と同じく条件を満たしていれば助成金の対象となります。国やお住まいの自治体のHPなどで確認してみてくださいね。

    人工授精・体外受精・顕微授精の違いを知って自分に合った治療を

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    人工授精、体外受精、顕微授精の違いを解説していきました。人工授精より体外受精、体外受精より顕微授精がより高度な不妊治療法だと思っておくと良いでしょう。

    これをすれば絶対に妊娠できるというわけではありませんが、不妊原因を知り、それに合った治療をすれば、妊娠する可能性が上がるかもしれません。ぜひ、パートナーやかかりつけ医に相談しながら、不妊治療を選択し治療を進めていってくださいね。

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    子育て奮闘中の2児の母です。教育関係職に勤めた後、現在は主…

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