小規模保育や事業所内保育とは?地域型保育事業の種類やメリット・デメリットを解説

待機児童問題が深刻になっているなかで、地域のニーズにきめ細かく対応する保育施設として、0~2歳児の保育を行う小規模保育や事業所内保育、家庭的保育といった地域型保育事業が注目されています。ここでは、地域型保育の違いや、小規模保育や事業所内保育を利用するメリット・デメリットを解説します。

39495

本ページはプロモーションが含まれています

目次

  1. 地域型保育事業とは?
  2. 小規模保育・事業所内保育を利用できる条件は?
  3. 小規模保育・事業所内保育の申し込み方法は?
  4. 小規模保育・事業所内保育の保育料は?
  5. 小規模保育後の3歳以降の預け先の確保は?
  6. 小規模保育・事業所内保育のメリット
  7. 小規模保育・事業所内保育のデメリット
  8. 小規模保育や事業所内保育も選択肢にいれて
  9. あわせて読みたい

地域型保育事業とは?

共働き家庭の増加とともに、大都市部では待機児童問題が上がっています。一方で、子どもが少なくなっている地域では、幼稚園や保育園が統廃合され、地域の教育・保育施設がどんどん減っているという問題もあります。

そのような状況のなか、2015年度から施行された「子ども・子育て支援新制度」では、幼稚園・保育園(保育所)・認定こども園の3つの施設のほかに、0~2歳児の保育の受け皿として地域型保育事業を公的給付の対象とすることになりました。

地域型保育事業とは、保育園よりも少人数で、0~2歳の子どもを保育する事業です。それぞれの地域の多様な保育ニーズに、きめ細かく対応することを目的としています。待機児童の多い3歳児未満の保育の受け皿としても注目されています。

地域型保育には下記の4つがあります。
■家庭的保育(保育ママ)
■小規模保育
■事業所内保育
■居宅訪問型保育

家庭的保育事業(保育ママ)

家庭的保育事業は、家庭的保育者の自宅や専用スペースで子どもを預かるという制度で、「保育ママ」とも呼ばれます。定員は1~5名で、非常に家庭的な保育を受けることができます。

子ども・子育て支援新制度での家庭的保育事業は、認可保育園や認定こども園と同様の認可保育施設です。しかし、保育ママ自体は、以前から各自治体で運用されていました。自治体によっては、保育ママを子ども・子育て支援新制度のもとで運用せずに、独自の制度で運用している場合もあります。

保育ママとは?家庭的保育の時間や料金!家庭的保育事業のデメリット・メリ…

小規模保育事業

小規模保育とは、0~2歳の3歳児未満児のみを保育する小規模な認可施設のことで、「小規模認可保育所」と呼ばれることもあります。定員が6~19人の少人数で、家庭的保育に近いアットホームな雰囲気のもと保育を行います。定員が少ないため、子どもの発達に応じた質の高い保育ができると期待できます。

待機児童の多い都市部では、新しい保育施設を作ろうとしても大型の土地の確保ができず、園庭の確保が難しいのが現状です。小規模保育は園庭の基準がない0・1歳児を中心としており、たとえばマンションの一室や空き家となった一戸建て住宅などを利用して開業することも可能なため、認可保育園にくらべて新規園が作りやすいと考えられます。

待機児童の問題が深刻な都市部では、待機児童の多くが3歳未満の子どもです。0~2歳児の保育を行う小規模保育が増えることが、待機児童問題の解消にもつながると考えられています。

小規模保育には、A型、B型、C型の3種類があります。それぞれの小規模保育の基準の主な違いは下記の通りです。

【A型】
・定員6~19名
・配置基準
 0歳児…子ども3人:保育スタッフ1人
 1・2歳児…子ども6人:保育スタッフ1人+1人
・保育スタッフはすべて保育士の資格を持つ

【B型】
・定員6~19名
・配置基準
 0歳児…子ども3人:保育スタッフ1人
 1・2歳児…子ども6人:保育スタッフ1人+1人
・保育スタッフの半分は保育士の資格を持つ

【C型】
・定員6~10名
・配置基準
 子ども3人:保育スタッフ1人(補助者をおく場合は、子ども5人:保育スタッフ2人)
・保育スタッフの資格条件はなし。家庭的保育所の件数を実施。

事業所内保育事業

事業所内保育とは、もともと会社や病院などが従業員のために開設していた企業内保育所・院内保育所などをその他の家庭も利用できるようにした施設です。2015年より、基準を満たした事業所内保育施設を認可する仕組みになりました。しかし現在も、認可外の事業所内保育施設も多くあります。

事業所内保育事業の大きな特徴のひとつが、「従業員枠」と 「地域枠」があることです。もともと会社や病院などの従業員の子どもを預かる施設のため、従業員枠の利用に関しては自治体が利用調整を行わず、園が利用者を選定することができます。ただし、従業員枠を利用する場合も、自治体で保育の必要性の認定を受ける必要があります。

従業員枠と地域枠の定員は、国の基準で決められています。たとえば15名定員の場合、従業員枠が11名、地域枠が4名程度とされています。しかし、どちらかの枠がいっぱいになっても、もう一方に空きがあれば、柔軟に受け入れることができます。

居宅訪問型保育事業

居宅訪問型保育は、保護者の自宅に保育者が訪問し、1対1で保育を行うというものです。障害や疾病で集団生活が難しい場合や、保育所の閉鎖により保育を利用できなくなった場合、ひとり親家庭の保護者が夜間・深夜に勤務するために保育が必要な場合などに利用されます。

市町村が定める研修を受け、保育士や保育士と同等以上の知識や経験があると市町村長が認める者が保育にあたります。また、障害児を保育する場合には、専門的な支援を受けられる施設と連携する必要があります。

小規模保育・事業所内保育を利用できる条件は?

小規模保育や事業所内保育などの地域型保育事業の利用の申請をするためには、認可保育園と同じように、自治体により保育の必要性があると認められなければなりません。就労や病気・障害、介護や通学など、保護者が子どもの保育を行うことができない場合に、支給認定を受けることができます。

また、地域型保育事業は0~2歳児の保育の受け皿として設置されており、4月1日時点で3歳未満の乳幼児が保育の対象となっています。地域型保育事業は、保育の必要性がある0~2歳児の認定区分である「3号認定」を受けた子どもが利用することができます。

保育園の入園条件は?審査の点数・ポイントの計算方法!入りやすい時期はあ…

小規模保育・事業所内保育の申し込み方法は?

小規模保育や事業所内保育といった地域型保育施設は認可施設のため、認可保育園と同じように住んでいる自治体に利用の申し込みをします。自治体によって、保育課や生活支援課などの窓口に直接申し込まなければならない場合もあれば、郵送による申し込みを受け付けている場合もあるでしょう。自治体によっては、第一希望の認可園で申し込みを受け付けるケースもあります。

ただし、事業所内保育事業の従業員枠を利用する場合には、住んでいる自治体で保育の必要性の認定(支給認定)を受けたうえで、事業所に直接申し込みをします。地域枠の利用については、自治体が利用調整を行います。

地域型保育や認可保育園を利用するための詳細の申し込みの方法は、自治体によって違います。利用を希望する保育施設のある自治体と住んでいる自治体が異なる場合には、特に注意が必要です。利用案内の書類をしっかり確認したうえで、申し込みを行うようにしてください。

保育園の申し込みはいつから?書類の書き方のコツは?認可園・認可外園の手…

小規模保育・事業所内保育の保育料は?

地域型保育事業は認可の保育事業のため、ほかの認可保育園と同様、保護者の世帯収入に応じて住んでいる自治体が設定します。自治体によっては、認可の小規模保育や保育ママ(家庭的保育)、事業所保育を利用する場合には、認可保育園よりも保育料が安く設定されているケースもあります。

ただし事業所内保育に関しては、福利厚生や人材確保の一環として、従業員枠の子どもの保育料を自治他の定めた地域枠の子どもの保育料よりも安く設定できることになっています。

また、保育ママのなかには認可保育施設としてではなく、自治体の独自の運用を行っているケースがあります。その場合には、保育料は自治体によって異なるでしょう。

2019年10月より幼保無償化がスタート

2019年10月より、幼児教育・保育の無償化が始まりました。子どもの年齢や通っている園によって受けられる支援の内容が異なりますが、一般的に3~5歳と一部の0~2歳の子どもが無償化の対象となります。無償化の対象となる3歳以上の子どもについて、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する場合は上限月額2.57万円、認可外保育施設等を利用する場合は上限3.7万円の支援を受けることができます。

小規模保育・事業所内保育施設においては、各施設が定める利用料を支払うケースがほとんどです。ほかにも、保育料のみ無料で給食代は支払うという園もあるでしょう。

いくら程度を支払うことになるかは園によって異なるため、疑問に思うことは対象の施設に問い合わせると安心ですね。

【2021最新】保育園の料金は?年収によって費用が違うの?保育料の平均…

小規模保育後の3歳以降の預け先の確保は?

小規模保育や事業所内保育は3歳未満児を対象とした保育のため、3歳の4月には別の保育施設に移る必要があります。そのため原則的に、保育内容の支援を行い、卒園後に通う受け皿となる施設(保育園、幼稚園、認定こども園)が連携施設として設定されています。

しかし、2019年度までは経過措置として連携施設がなくても良いことになっています。また待機児童の多い地域では、連携施設を設けていても3歳児からの定員の空きがない場合もあるでしょう。最近では、待機児童問題が深刻な地域で小規模保育などの卒園児の3歳以降の居場所が見つからない「3歳の壁」が問題となっています。

ただし事業所内保育の従業員枠の子どもについては、保護者が希望したりする場合には、特例的に3歳以降も事業所内保育の利用が可能です。

自治体や園によっては、3歳以降の預け先がどうしても見つからない場合には、特例的に小規模保育や事業所内保育を継続できる場合もあります。「3歳の壁」の問題を受けて、小規模保育でも3歳以上の子どもを受け入れるべきだという声もあがっています。一方で、3歳以降は集団での保育が望ましいという考えもあることから、小規模保育の受け入れ年齢の緩和には慎重な声もあります。

待機児童問題が深刻な地域では、3歳からの新たな子どもの預け先を確保するために、再度保活を行う必要があるでしょう。

小規模保育・事業所内保育のメリット

きめ細かな保育

0~2歳児と3歳以上の子どもでは日中の過ごし方も違います。小規模保育・事業所内保育といった地域型保育事業は、基本的に0~2歳児を対象とした保育のため、0~2歳児に特化した保育を行うことができます。

また、小規模保育は定員が6~19人と少なく、一般的な保育所よりも保育スタッフの手厚い人員配置が定められています。事業所内保育には定員の決まりはありませんが、一般的な保育園に比べて受け入れられる子どもの人数が少ないケースが多いでしょう。

そのため、一人ひとりの子どもに保育者の目が届きやすく、きめ細かな保育を期待することができます。子どもの個性を尊重した保育をしてもらえたり、子どもの興味にあわせた活動をしてもらえたりすることができるでしょう。

アットホームな環境

小規模保育や事業所内保育では、一般的な保育園よりも子どもの人数が少なく、家庭的な雰囲気のなかで保育を受けることができるでしょう。保育者の人数も少ないため、子どもと保育者の距離が近く、愛着形成もスムーズな場合が多いようです。一人ひとりの子どもが先生全員から見守られて過ごすことができます。特に0~1歳の赤ちゃんの時期には、少人数の家庭的な環境は落ち着きやすいでしょう。

また、小規模保育や事業所内保育では異年齢保育を取り入れている園が多く、0~2歳児が同じ部屋で過ごすことが多いでしょう。子どもたちが兄弟姉妹のように過ごすなかで、年上の子どもが年下の子どもをかわいがったり、年下の子どもが年上の子どもに憧れていろいろなことを真似したりするという場面も生まれるものです。

保育者と子ども、子ども同士の距離が近く、大きな家のようなアットホームな環境が、小規模保育の魅力のひとつです。

縦割り保育とは?異年齢保育のねらいと、メリット・デメリット

先生とのコミュニケーション

小規模保育や事業所内保育では、通っている子どもの人数が少ないため、先生と保護者のコミュニケーションを密にとることができるという利点もあります。日々の送り迎えで保育園に出入りする保護者の人数も少なく、先生サイドも保護者の顔と名前が一致しやすいようです。担当以外の先生からも、日々の子どもの様子を聞いたりすることができるでしょう。

小規模保育・事業所内保育のデメリット

園庭がない場合がある

一般的な認可保育園には園庭があります。しかし、小規模保育は、園庭のかわりに近隣に公園などがあれば開設できることになっており、園庭がない園が少なくありません。事業所内保育でも少人数の場合には、小規模保育と同様でしょう。

園庭がないことを心配する方もいるかもしれませんが、晴れた日には近所の公園などに散歩に連れて行ってくれることがほとんどです。特に0~2歳児は3歳以降の子どもに比べて活動量も少ないため、園庭がないことが子どもに悪影響をおよぼすと心配しすぎなくても良いでしょう。

兄弟姉妹と別の園になる可能性がある

小規模保育や事業所内保育は原則的に0~2歳児を対象とする施設のため、家庭に3歳以上の兄弟姉妹がいる場合には、別々の園に通わなければならないでしょう。毎日の送迎をスムーズに行うために、夫婦で協力するなどの工夫が必要です。

小規模保育や事業所内保育も選択肢にいれて

子どもを保育園に入れたいと考えるときに、小規模保育や事業所内保育では、園庭がないことなどに不安を覚える人もいるかもしれません。しかし、地域型保育の小規模保育や事業所内保育は、認可保育園と同じように国の認可基準を満たした保育施設です。また、子どもの成長の基礎となる0~2歳児の時期に、少人数できめ細かな保育を受けられるという利点もあります。

小規模保育や事業所内保育といった地域型保育事業は、待機児童解消のひとつの方法として今後も増えていくと考えられます。産休・育休明けに復職するママは、子どもの預け先の選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。

小規模保育や事業所内保育に子どもが通うことになった場合には、3歳以降の子どもの預け先を確保するために、再度保活をする必要があるかもしれません。自治体の担当窓口に問い合わせてみて、3歳以降の預け先について相談して、早めの情報収集をすることができると安心かもしれませんね。

あわせて読みたい

【体験談】保育園落ちたらどうする?不承諾通知が届いたとき6つの対処法
https://mamanoko.jp/articles/28958
慣らし保育とは?期間や泣くときの対処法!仕事の都合でなしにできる?
https://mamanoko.jp/articles/28965
【体験談あり】一時保育とは?どんな理由で利用可能?書き方・料金・持ち物などを解説!
https://mamanoko.jp/articles/28893
保活とは?いつから始める&やることは?失敗しないためのコツややり方を解説!
https://mamanoko.jp/articles/28975