【産婦人科医監修】妊娠初期の風邪の症状や胎児への影響は?風邪薬を飲んでも大丈夫?

妊娠初期症状と風邪症状が似ているため、妊娠初期は風邪になっていることに気づきにくいものですよね。しかし、早めに気づいて早めに対処することが大事です。風邪薬の服用は大丈夫なのでしょうか。またくしゃみや鼻水などは、胎児への影響があるのでしょうか。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 妊娠初期症状とは?
  2. 妊娠初期症状と風邪の違い・見分け方は?
  3. 妊娠初期は風邪をひきやすい・治らない?
  4. 妊娠初期に風邪をひいたらどうする?
  5. 妊娠初期の風邪の影響は?流産・早産につながる?
  6. 妊娠初期の風邪薬の胎児への影響は?
  7. 妊娠初期の風邪を予防するには?
  8. 妊娠初期症状と風邪の症状との違いを知っておいて
  9. あわせて読みたい

妊娠初期症状とは?

妊娠初期とは妊娠2~4ヶ月(妊娠4週~15週)までをさします。妊娠が確定する妊娠初期には「母子手帳」をもらうなどして、母親になったのだと実感することも多いですよね。そんなときに起こる妊娠初期症状にはどのようなものがあるのでしょうか。

プロゲステロンの作用であらわれる症状

妊娠初期には、プロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれるホルモンが分泌されます。プロゲステロンは、普段の生理周期の中でも黄体期から月経期までの約2週間に多く分泌されるホルモンで、プロゲステロンの作用で下記のような症状があらわれます。

・熱っぽい(高温期が続く)
・おりものが変化する
・乳腺が発達して胸が張る
・便秘や下痢になりやすい
・胃が痛くなる

生理前の症状と似ている

プロゲステロンは生理周期の中で黄体期から月経がはじまるまでの約2週間に多量に分泌されるホルモンで、妊娠していない状態でも、排卵後に分泌量が多くなり生理が起こると減ります。プロゲステロンの影響で、生理前は基礎体温が上がる、胸が張るといった症状が現れます。

妊娠初期にもプロゲステロンの分泌量は増えるため、妊娠初期症状は生理前の症状と似ているといわれ、妊娠していてもただの生理前だと勘違いされやすいのです。いつもより生理前の症状が重い、3週間以上生理前の症状が続くといった場合には、生理前の症状ではなく、妊娠初期の症状である可能性が高まります。

風邪とも間違いやすいため注意

生理前にも少し熱っぽさを感じるように、プロゲステロンには基礎体温を上げる働きがあります。いわゆる高温期は、このプロゲステロンの作用で起こります。そのため、プロゲステロンの分泌量の多い妊娠初期には、熱っぽさを感じて風邪と勘違いしてしまうこともあるのです。風邪と思っていて風邪薬を飲んだら、妊娠していた、ということもあるので、妊娠の可能性がある場合は注意が必要です。

妊娠初期症状と風邪の違い・見分け方は?

どのように妊娠初期症状と風邪を見分ければ良いのでしょうか。風邪と妊娠初期症状との違い、そして気を付けるべきことについて知っておきましょう。

喉の痛み・咳は風邪の症状

熱っぽさに加え、のどの痛みや咳が伴う場合は風邪の症状であることがほとんどです。咳でも色のついた痰(たん)の絡んだ咳が続く場合には、細菌の二次感染が疑われますので、早めに病院を受診しましょう。

高熱は風邪やインフルエンザの可能性

熱でも38度以上の高熱が出た場合は、風邪だけでなく季節によってはインフルエンザの可能性もあります。インフルエンザであれば、38度以上の高熱に加え、関節痛などの症状があります。妊娠中にインフルエンザに感染すると、ママの心肺機能や免疫機能が変化して重症化しやすいということもわかっているため、妊娠中はインフルエンザの感染がないように予防をしっかり心がけましょう。妊娠中でもインフルエンザの予防接種を受けることができます。

鼻水やくしゃみだけでは判断しにくい

鼻水やくしゃみを伴い、鼻水などで頭がぼんやりとすることから風邪だと思ってしまうことがありますが、それは風邪ではなく「鼻炎」の可能性もあります。妊娠前まで鼻炎でなくても、妊娠してから体質が変化し、鼻炎になったという人もいます。

あらゆる症状で総合的に判断しよう

生理が遅れている、着床出血らしき出血がある、食べ物の好みが変わった、においの感じ方が変わった、情緒不安定であるなど、その他の症状を総合的に考慮して、風邪か妊娠初期症状かを判断しましょう。妊娠が疑われる場合には、市販の風邪薬を安易に服用することはやめてください。

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妊娠初期は風邪をひきやすい・治らない?

妊娠初期は妊娠前に比べて風邪をひきやすく、治りにくいということも耳にするかもしれません。実際に、妊娠初期は風邪をひきやすく、治りにくいのでしょうか。

免疫力の低下により風邪をひきやすい

妊娠中は免疫力が低下し、風邪をひきやすい状況になってしまいます。妊娠前なら大丈夫だったようなことでも風邪をひく原因になってしまうことも。妊娠初期には、いつも以上に風邪や感染症に気を付けて過ごすようにしたいですね。

つわりの影響で治りにくいことも

妊娠初期は「つわり」が起こる時期でもあります。食べ物を口にできなかったり、気持ち悪さからぐっすり眠れなかったりするので、体調が回復しにくく風邪が長引いてしまうこともあるでしょう。軽い風邪でもなかなか回復しない人もいるかもしれません。少し体調が悪いな、と思ったときは、無理をせずに思い切ってしっかり休みましょう。

妊娠初期に風邪をひいたらどうする?

妊娠初期、気を付けていても風邪をひいてしまうこともありますよね。では、実際に妊娠初期に風邪をひいた場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。

軽微なものなら自宅で安静に

軽い風邪症状であれば、無理をせずに自宅でゆっくり安静に過ごしましょう。免疫力が落ちている妊娠初期に病院にいくことで、また別の病気に感染してしまうかもしれません。自宅での療養では、水分をしっかりとって、ゆっくり寝ていることをおすすめします。家事も気になるかもしれませんが、無理をすると余計に長引いてしまうこともあるので、早めにしっかりと療養してください。

なかなか治らないとき・高熱のときは病院へ

風邪が長引いてしまっては、ママも体力を消耗してしまいます。風邪が長引いてしまった場合は産婦人科か内科を受診してみてください。産婦人科では、自分が感染源となって他の妊婦さんにうつしてしまわないように注意しましょう。マスクをつけて病院に行く、インフルエンザの可能性があるときは先に病院に連絡して指示を仰ぐ、といった配慮をすると良いでしょう。内科にかかる際には、かならず、妊娠中であることを伝えてくださいね。

妊娠初期の風邪の影響は?流産・早産につながる?

咳やくしゃみ、長引く熱などで、赤ちゃんに影響があるのではないかと心配になるママも多いですよね。風邪からの赤ちゃんへの影響はどのくらいあるのでしょうか。

軽微な風邪の妊娠への影響はほとんどない

軽い風邪の場合、妊娠への影響はほとんどありません。咳やくしゃみで腹部に圧力がかかることを心配するママも多いですが、普通の咳やくしゃみで胎児に影響することは滅多に考えられません。相当強い咳やくしゃみが続くときは念のため病院で相談してみましょう。

重症化すると胎児に影響が出ることも

風邪が長引いたり、風邪が重症化したりすることで子宮収縮が誘発される場合は胎児に影響が出る場合もあります。風邪がひどくなる前に治す努力をすることが大切です。

感染症の場合も注意

妊娠初期だけでなく妊娠期すべてを通して、インフルエンザなどの感染症には注意が必要です。妊娠初期の場合は、子どもに影響があるというよりも、ママのほうが心肺機能や免疫機能の変化により重症化しやすい傾向があります。また、妊娠中におたふくかぜにかかると、流産する危険性が高まるといわれています。

妊娠初期は特に不安定な時期ですので、おたふくかぜやインフルエンザだけでなく、細菌やウイルス感染に注意しましょう。なるべく人ごみに入ることは控え、マスクなどの着用を心がけましょう。

妊娠初期の風邪薬の胎児への影響は?

妊娠初期、風邪の諸症状がつらいので風邪薬を飲みたいと感じることもあるかもしれません。しかし、風邪薬を飲んでも大丈夫なのかと心配になるママもいるでしょう。風邪薬の胎児への影響を解説していきます。

風邪薬は必ず病院で処方してもらう

風邪薬によっては「妊娠中には服用しない」旨が記載されている薬もあります。妊娠初期に風邪にかかって風邪薬を服用したい場合は、市販薬を自己判断で服用するのではなく、必ず病院で処方してもらってください。病院は、産婦人科でなく内科でも大丈夫です。妊婦である旨をきちんと伝えることで、妊娠中でも服用できる薬を処方してもらうことができます。

漢方薬も病院や漢方薬局で

妊娠中でも漢方薬なら飲んでも大丈夫と考えている人もいますが、妊婦さんは飲まない方が良いとされている漢方薬もあります。漢方薬であっても自己判断で飲まず、病院や漢方薬局に相談しましょう。

妊娠初期の風邪を予防するには?

風邪にかかってしまうと薬を飲むのにも気を遣いますよね。まずは風邪をひかないように気を付けて過ごしたいものです。しかし、どのようにすごせば風邪が予防できるのでしょうか。

うがい・手洗い

外から帰ってきたら必ず手洗いとうがいを行いましょう。目に見えないウイルスが手につき、その手で口や顔を触ることで風邪の感染を引き起こします。手洗いやうがいをすることは風邪の予防に有効です。

栄養バランスの良い食事

妊娠初期は免疫力が低下しがちです。暴飲暴食はせず、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。つわりがひどい場合は、食べられるときに食べられるだけで構いません。体調の良いときだけでも栄養バランスを考えてみましょう。

規則正しい生活・十分な睡眠

規則正しい生活を送り、十分な休息や睡眠をとることで風邪は予防できます。ただし、妊娠初期はつわりなどで体力も消耗しやすい時期です。つわりで夜も眠りにくいということがあるかもしれません。そのような場合は少しずつでも眠れるときを見つけて、休息するようにしましょう。

マスクを使用する

マスクの着用ですべてのウイルスの侵入を防ぐわけではありませんが、3割程度は防げるといわれています。また、自分自身のウイルスをくしゃみなどで他の人にまき散らさないように予防する観点からもマスクの着用は有効です。

妊娠初期症状と風邪の症状との違いを知っておいて

妊娠初期症状と風邪の症状は似ているので気づきにくく、放置することで風邪が悪化してしまうこともあります。妊娠初期症状と風邪の症状の違いを知っておき、風邪であれば早めに対処するようにしましょう。また、そもそも風邪をひかないようにする努力も大切ですよ。

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