更新日:2017年09月07日

血液型不適合妊娠とは?二人目以降に多い?検査法やリスクについて解説

親と子の血液型の違いでどんな影響が出るかを考えたことがある人は少ないのではないでしょうか。母体と胎児の血液型の違いによって起こる「血液型不適合妊娠」は、場合によっては胎児や新生児に重度の疾患を引き起こします。血液型不適合妊娠の症状やリスク、検査法、治療法、一人目と二人目での違いについて解説します。

監修 : mamanoko 医師・専門家
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血液型不適合妊娠とは?

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母体の中にはない血液型抗原が胎児にある場合の妊娠を「血液型不適合妊娠」と呼びます。O型の人のお腹にA型かB型の胎児がいる場合や、Rh(-)の人のお腹にRh(+)の胎児がいる場合に発生します。

Rh型の血液不適合妊娠では、胎児の赤血球が破壊されて胎児が貧血になったり、出生後に病的な黄疸(おうだん)が出たりすることがあるため、しっかりと検査し、治療が必要な場合には早めに治療を行う必要があります。

血液型不適合妊娠の種類は?

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Rh型血液型不適合妊娠(D型不適合妊娠)

Rh(-)の女性がRh(+)の赤ちゃんを妊娠する場合を「Rh型血液型不適合妊娠(D型不適合妊娠)」と言います。配偶者がRh(+)のときには、赤ちゃんもRh(+)となり血液型不適合妊娠の症状が出る可能性があるため、検査を行うことになります。

そもそもRhの(+)と(-)は、血液中に「D抗原」という物質があるかどうかで決まります。胎児にD抗原があるのに母体にはない場合、胎児の持つD抗原が母体に入ることで母体の中でD抗原に対抗する「抗D抗体」が産生され、D抗原と抗D抗体が免疫反応を起こし、胎児の赤血球が破壊されてしまうことになるのです。

日本における血液型不適合妊娠の中でもっとも頻度が高い種類で、胎児や新生児に重度の症状が出る可能性があることから注意が必要です。特に二人目の妊娠で発生することが多いため、一人目で症状が出なかった場合でも予防する必要があるでしょう。

ABO式血液型不適合妊娠

「ABO式血液型不適合妊娠」とは、O型の女性がA型かB型の赤ちゃんを妊娠した場合に起こります。初回の妊娠のときから発生することが多いですが、胎児の貧血の程度は軽く、ほとんどの場合は無症状だといわれています。

症状がある場合には、胎児の皮膚に光を当てて新生児の黄疸の原因となる「ビリルビン」を体外に排出させる治療をしたり、新生児の血液を取り換える「交換輸血」を行ったりすることがあるでしょう。

血液型不適合妊娠の症状・リスクは?

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血液型不適合妊娠になると、胎児や新生児にどのような症状があらわれるのでしょうか。Rh型血液型不適合妊娠の場合について確認していきましょう。

溶血性貧血

胎児の赤血球が破壊(溶血)されるため、胎児が貧血になります。溶血性貧血が起こると胎児の全身が酸素不足になり、酸素を補うために心臓が過剰に活動することによって心不全につながってしまうリスクがあるでしょう。

免疫性胎児水腫

胎児の溶血性貧血が進行すると、「免疫性胎児水腫」という状態にいたる恐れがあります。貧血を補うために肝臓で血液を作ろうとすることにより、肝臓に水がたまり、最終的には皮下や胸、腹にまで水がたまってしまうことが考えられます。

黄疸(高ビリルビン血症)

血液型不適合妊娠の症状は、出生後もみられます。新生児にみられる代表的な症状が「黄疸(おうだん)」です。

新生児の赤血球が破壊されると「ビリルビン」という物質が生み出されますが、新生児の未熟な肝臓ではビリルビンをすばやく処理しきることができません。ビリルビンの値が高くなると、「高ビリルビン血症」になり、目の結膜や皮膚が黄色く変化してきます。

ただし、黄疸は血液型不適合妊娠でなくても多くの新生児にみられる症状です(=生理的黄疸)。「生理的黄疸」は生後2~3日からあらわれ始め、放っておいても治りますが、血液型不適合妊娠による病的な黄疸の場合には治療が必要になるでしょう。

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ビリルビン脳症(核黄疸)

高ビリルビン血症が悪化すると、ビリルビンが脳にまで沈着し、中枢神経に障害が出てきます。初期症状は、意識障害、筋肉のゆるみ、おっぱいに吸い付く力の弱さで、進行するとけいれんや発熱といった症状が出てきます。

治療が遅れると脳性麻痺や聴覚障害、精神の遅れなどが残るリスクもあります。近年では、新生児の黄疸をしっかりと治療・管理するようになったことから、ビリルビン脳症が進行する例は少ないですが、確実に防ぐために早期の治療が大切です。

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血液型不適合妊娠は二人目以降の妊娠で起こる?

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妊娠回数を重ねるごとに反応が起こりやすくなる

Rh型血液型不適合妊娠(D型不適合妊娠)は、二人目以降の妊娠では特に注意が必要です。初回の妊娠、出産時の出血などで胎児のD抗原が母体の中に入ることでD抗原に対抗するための「抗D抗体」が作られ、D抗原を記憶することにより次回妊娠時に胎児のD抗原に対して抗D抗体が反応してしまうからです。この反応は妊娠回数を重ねるごとに起こりやすくなると考えられています。

二人目の血液型不適合妊娠の予防が大事

初回の妊娠では抗原と抗体の反応が起こらなかった場合でも、初回の妊娠の影響で二人目以降には反応が起こってしまうリスクがあります。そのため母体がRh(-)で初回妊娠時にRh(+)の赤ちゃんが生まれた場合は、分娩後72時間以内に母体に「抗ヒト免疫グロブリン」という物質を投与して予防を行います。

近年では「抗ヒト免疫グロブリン」の投与が普及したことにより、血液型不適合妊娠による新生児の疾患は少なくなっています。

血液型不適合妊娠の検査とは?

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Coombs試験

妊婦がRh(-)で配偶者がRh(+)のときには、母体の血液中に抗赤血球抗体があるかどうかを調べる「Coombs試験」という検査を行い、胎児に症状が出るリスクを判断します。Rh型の血液型不適合妊娠では、母体の血清の中にある抗D抗体を調べる「間接Coombs試験」という種類が選択されます。抗D抗体が存在した場合には血液型不適合妊娠が疑われ、胎児の貧血の程度をさらに調べる必要があります。

超音波検査(エコー検査)

胎児の貧血や水腫の状態を調べるために、超音波検査(エコー検査)を行うこともあります。皮下や胸、腹に水がたまっていたり、羊水の量が多すぎたりする場合には、免疫性胎児水腫が疑われます。血流の速度を測定して胎児貧血があるかどうかを判断することもあるでしょう。

血液型不適合妊娠の治療法は?

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経過観察

胎児貧血の程度が軽い場合には、出産まで経過観察となります。次回の妊娠で血液型不適合妊娠になるリスクがある人に対しては、分娩後72時間以内に「抗Dヒト免疫グロブリン」を投与して未然防止をはかります。

血漿交換(けっしょうこうかん)

母体の血液中にある血漿(けっしょう)を交換し、抗体を除去するケースもあるでしょう。母体から抗体を減らすことで胎児に抗体が移らないようにし、胎児の赤血球が破壊されるのを防ぎます。

子宮内胎児輸血

妊娠34週未満で胎児に重度の貧血がみとめられた場合には、胎児の臍帯(さいたい)の静脈から輸血を行うこともあります。臍帯静脈からの輸血が難しい場合には、腹腔内に輸血する場合もあるでしょう。

子宮内胎児輸血には前期破水や子宮内感染、早産といったリスクがあるため、行う場合はしっかりと安全を確保する必要があります。もともと破水していたり陣痛があったり、感染症にかかったりしている人は受けることができません。

新生児の交換輸血

妊娠34週以降で重度の貧血があるケースでは、出産予定日に達していなくても分娩を行い、体外で治療を行うことが考えられます。新生児の血液を交換する「交換輸血」を行い、高ビリルビン血症が悪化しないようにします。

血液型不適合妊娠は予防と管理が大事

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血液型不適合妊娠は二人目に起こることが多く、一人目の出産時にしっかり予防処置を行えば防げる可能性の高い異常妊娠です。Rh(-)の女性で配偶者がRh(+)の場合には初回出産時に予防を行い、二人目以降の妊娠では検査を受けて異常がないかどうかを確認しましょう。

血液型不適合妊娠と診断された場合には、重症の場合は輸血などの治療、軽症の場合には経過観察を行うのが基本です。医師の指示に従って適切な治療を受け、胎児や新生児の管理を徹底すれば、赤ちゃんが大きくなった後にも残るような障害や疾患につながることはまずありません。

異常がない場合でさえも不安や心配が大きい妊娠中にこうした診断が下されると、ますます心細くなってしまうかもしれませんが、医師や家族に頼りながら、落ち着いて治療に臨みたいですね。

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