妊娠後期・臨月に眠れないときはどうする?不眠の原因と解消法を解説|産婦人科医監修

産婦人科医監修|妊娠後期・臨月に入って眠れなくなった、という話を耳にすることがあります。どうして妊娠後期・臨月には眠れなくなるのでしょうか。なにか原因があるのでしょうか。不眠の解消法とともに、妊娠後期の過ごし方にも触れていきます。

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この記事の監修

池田 貴子
産婦人科医
池田 貴子

目次

  1. 妊娠後期~臨月はどんな時期?
  2. 妊娠後期・臨月に眠れない原因は?
  3. 妊娠後期・臨月の不眠対策・解消法は?
  4. 妊娠後期・臨月の過ごし方
  5. 妊娠後期・臨月に眠れないときはリラックスを心がけて
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妊娠後期~臨月はどんな時期?

妊娠8ヶ月(妊娠28週)からを妊娠後期、妊娠10ヶ月(妊娠36週)からを臨月と言います。妊娠後期に入ると、いよいよ妊娠期間もあと少しというところまできた感じがしますね。妊娠後期~臨月とは一体どのような時期なのでしょう。

母体は分娩に向けて準備

妊娠後期~臨月には子宮底(子宮の上部分)がみぞおちの下あたりまで大きくなり、胃が圧迫されて苦しいと感じるママが増えます。変化の大きいお腹に妊娠線ができ始めるのもこのころです。乳輪も大きくなり、乳頭が黒ずんできて、母乳が少しずつ分泌され始める場合もあります。胎児同様、母体の体重増加も著しくなります。体重管理について厳しく言う病院もあるかもしれません。

そして臨月に近づくと、胃の圧迫感が消えてきます。分娩に向けて、胎児が下がってきた証拠です。ただ、次は胃の代わりに膀胱を刺激されるため、尿意が頻繁になります。この時期起こることの多くが、分娩に向けて胎児とともに母体が準備し始めたことによる現象なのです。

胎児はお腹の外に出る準備

妊娠8ヶ月(妊娠28週)になると、肺の機能が成熟し、聴覚も発達します。妊娠10ヶ月(妊娠36週)を超える臨月になると、胎児には皮下脂肪や筋肉がついて、頭が下がり、いよいよ胎児がお腹の外にでる準備を始めます。37週を超えると、胎児は予定日より早く生まれても外の環境で十分成長してくれる時期である「正期産」となります。この時期になると、毎日のように「いつ出てくるのかな」と楽しみになったり、逆に「出産って痛いかな」と怖くなったりもするでしょう。

妊娠後期・臨月に眠れない原因は?

妊娠後期・臨月になると不眠症状がでてしまうママもいます。その原因には一体どのようなものがあるのでしょうか。

お腹が大きく寝方が安定しない

妊娠8ヶ月になると、子宮底はみぞおちの下くらいまで高くなります。お腹も大きくなるので、寝返りが打ちづらく、寝方が安定しません。そのため眠りに入りづらく、深い眠りが継続しにくいので、少しのことですぐに目が覚めてしまうのです。

胎動が激しい

妊娠後期、大きくなった胎児は、力も強くなっていますので蹴られて痛いと感じることがあるでしょう。胎動が原因で眠れなくなったり、目を覚ましてしまったりすることもあります。激しい胎動に、ぐっすり眠っていても途中で目が覚めて、次は眠れなくなってしまうこともしばしばあります。

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こむら返りが増える

こむら返りは、筋肉の疲れ、ストレスなどからも起こります。胎児の体重が一気に増えるこの時期、普段の生活の中でも体重を支えるために足の筋肉に力が入ります。そのため、夜寝ているときにこむら返りが増えるのが妊娠後期の特徴のひとつでもあります。こむら返りは痛いので、夜中に何度も起こってしまうと眠れなくなる人もいるかもしれません。

女性ホルモンの影響

妊娠後期・臨月になると、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)というふたつのホルモンが増えることがわかっています。エストロゲンは、女性らしさを作るホルモンで、通常の生理周期では生理の終わりから排卵期に向かって分泌が増えるホルモンです。エストロゲンには基礎体温を下げる働きがあります。

プロゲステロンの分泌が増えると、精神的に不安定になったり不快症状を引き起こしたりすることがあります。これらの作用が、不眠につながることがあります。

ストレス・不安

出産予定日が近づけば近づくほど、妊婦さんは出産に対する不安や恐怖が増していくことが多いものです。不安やストレスは、不眠症状を引き起こす原因となりえます。ストレスがかかったから、すぐに不眠に陥ることはありませんが、過度のストレスをためてしまうと不眠を引き起こすだけでなく、早産や流産をひき起こすことがわかっています。ストレスは妊娠生活の大敵です。上手に発散していきたいですね。

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妊娠後期・臨月の不眠対策・解消法は?

妊娠後期・臨月に不眠になってしまっては、これから先の出産後の授乳時期もつらいですよね。不眠の対策方法や解消法にはどのようなものがあるのでしょうか。

寝方を工夫する

お腹が大きくなり、上を向いて眠りにくくなる時期なので、自分の寝やすい体位を探してみましょう。その際、シムスの姿勢(シムズ体位)と呼ばれる姿勢が楽だと感じるママも多いようです。シムスの姿勢は、婦人科医・マリオン・シムズに由来する姿勢で、左を下にして右半身を上にし、左足はまっすぐ伸ばし、右足、右ひざは曲げて右肘も曲げます。救急法などでもよくとられる姿勢です。少しうつぶせ気味にしたり、クッションを使ったりしても良いですよ。

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軽い運動をする

お腹が大きくなると、つい運動を控えてしまう人もいますが、ウォーキングなどの軽い運動は、不眠対策になります。自宅安静などの特別な指示が出ていなければ、少しでも運動をするようにしましょう。夫婦でウォーキング、ストレッチなどをするのも良いでしょう。

リラックスする

リラックスすることは、ストレスを和らげ、不眠を解消する手立てのひとつです。お風呂でぬるめのお湯にゆっくりつかる、好きなアロマオイルをたく、好きな音楽を聴くなど、自分がリラックスすることが眠る上で大切です。自分がリラックスできる方法を探してみましょう。

妊娠後期・臨月の過ごし方

不眠にも悩む時期ですが、妊娠後期・臨月の過ごし方で気を付けておくべきことを解説します。

陣痛や破水に注意

妊娠後期や臨月などの呼び方とは別に、37週0日~41週6日までのお産を「正期産」と言います。正期産は出産するのにもっとも適した期間のお産であり、胎児が母体から外に出ても十分外の環境に適応できます。

妊娠後期は妊娠28週~をさしますが、妊娠後期であっても胎児は生まれてしまうと外の環境に適応できる状態とは言い切れないのです。最近は医療技術の進歩で早産であっても育つようになってきましたが、やはり正期産までは母体の中で安心して過ごしてほしいものですよね。そのため、妊娠後期に無理することは禁物です。

無理をすることで、陣痛や破水が早い時期に始まってしまったり、切迫早産と診断されて入院を余儀なくされたりすることもあります。破水や陣痛には注意しながら妊娠後期を過ごしましょう。

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外出は近場で

妊娠後期に突入したら、母子手帳、健康保険証、診察券、財布、携帯電話は必ず持って外出をしましょう。破水対策のバスタオルもあると便利です。なにかあったときにはタクシーをすぐ呼べるように、番号を控えておくことも大事です。地域によりますが、女性の運転手や、妊婦さん専用のタクシーなどを展開しているタクシー会社もあります。

基本的に妊娠後期には遠出は控えてください。何かあったときもかかりつけの病院にすぐにいけるように、外出はなるべく近場ですませましょう。

好きなものを食べる

妊娠後期から臨月にかけて、食べられるようであればぜひ好きなものを食べてください。というのも、赤ちゃんが生まれると外食しにくくなったり、授乳のために食べられるものが制限されたりするからです。

好きなものと言っても、飲酒や塩分は控えましょう。また、食べ過ぎで肥満になると出産のリスクが上がる可能性もあるため、肥満や病気などが原因で医師から食事を制限するように指導されている場合は指示に従ってください。

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無理な体勢や危険な作業は控える

出産前にあれもこれもしたい、という気持ちがあるかもしれませんが、無理な体勢を続けたり、危険な作業をしたりするのは控えましょう。また、厚生労働省は、妊娠中の女性の勤務に関して「重量物を扱う作業」「外勤等連続的歩行を強制される作業」「常時、全身運動を伴う作業」「頻繁に階段の昇降を伴う作業」「腹部を圧迫する作業」「全身振動を伴う作業」などに対して、適切な措置を行うように事業者に義務付けています。

妊娠後期・臨月に眠れないときはリラックスを心がけて

妊娠後期、臨月に眠れないときは、リラックスすることを心がけることで、眠りやすくなります。また、無理に眠ろうとせずに、一度しっかり身体を起こしてみることも、打開策のひとつとなるかもしれませんよ。

妊娠後期は、破水などのトラブルも起こりやすい時期。きちんと「正期産」に入るまで、できるだけお腹の中にいてもらえるようにする努力とともに、何かあったときにどうするかについても夫婦で考えておきましょう。

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