更新日:2017年08月28日

前置胎盤・低置胎盤とは?出血する?治る確率は?帝王切開になる?

「前置胎盤」とは、胎盤が子宮口を覆うようにくっついてしまうトラブルです。予兆なく大量出血するリスクがあり、妊娠中は安静が必要です。また、自然分娩は基本的に不可能で、陣痛が来る前に帝王切開を行います。ここでは、「前置胎盤」とよく似ている「低置胎盤」とともに、原因、診断の時期、治る確率、出産の管理方法について解説します。

監修 : mamanoko 医師・専門家
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前置胎盤・低置胎盤とは?

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胎盤は母体とお腹の赤ちゃんをつなぐ命綱です。胎盤のトラブルは母児の命にかかわることがあり、事前に症状やリスクを知っておくことが大切です。

胎盤のトラブルの中に「前置胎盤(ぜんちたいばん)」と「低置胎盤(ていちたいばん)」があります。発症頻度はそれほど高くありませんが、特に前置胎盤は大量出血のリスクを伴い、母体死亡率も低くありません。

前置胎盤

胎盤は通常、子宮の上のほうにくっつきますが、何らかの理由で子宮口を覆うようについてしまうことがあります。これを「前置胎盤」と言います。前置胎盤はつく位置によって3種類にわけられます。胎盤が子宮口を完全にふさいでしまっている「全前置胎盤」、子宮口の一部を覆っている「部分前置胎盤」、胎盤の縁が子宮口に少しかかっている「辺縁前置胎盤」です。

前置胎盤の分娩は基本的に帝王切開となり、妊娠37週の終わりまでに行なうのが望ましいとされています。

前置胎盤の発生頻度は全分娩の0.3~0.6%といわれています。また、前置胎盤のうち5~10%は、胎盤が子宮と癒着してスムーズに剥がれなくなる「前置癒着胎盤」となる可能性があります。

低置胎盤

「低置胎盤」は、胎盤が子宮の下のほうにくっつき、胎盤の端が子宮口の近くにまでおよんでいるものです。「胎盤の端から子宮口との距離が2cm以内」が低置胎盤と診断される目安です。胎盤が子宮口にかかっていない分、低置胎盤のほうが前置胎盤よりもリスクは少なく、自然分娩が可能な場合もあります。しかし、胎盤と子宮の距離が近くなるほど、帝王切開の確率が高くなるようです。

低置胎盤は「前置血管」という胎児の血管の異常を合併することがあります。前置血管は、臍帯(さいたい)と胎盤をつなぐ胎児の血管が、臍帯内のワルトン膠質(こうしつ)に保護されていない状態を指し、破水などをきっかけに血管が破れると、胎児死亡につながります。前置血管がみられた場合、予定帝王切開となります。

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前置胎盤・低置胎盤の原因

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前置胎盤・低置胎盤の原因とメカニズムはまだはっきりとわかっていません。しかし、何らかの理由で子宮内膜が傷ついたり、炎症が起こったり、子宮内腔が変形したりすると、前置胎盤と低置胎盤を発症しやすくなると考えられています。

前置胎盤と低置胎盤になりやすいリスク因子には以下のものがあります。

□流産手術や人工妊娠中絶の経験がある
□帝王切開の経験がある
□子宮の病気の手術を受けたことがある
□子宮筋腫
□経産婦
□高齢出産
□喫煙習慣

近年、妊娠・出産の高齢化や不妊治療の普及、帝王切開の増加などにより、前置胎盤と低置胎盤の頻度も増えています。

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前置胎盤・低置胎盤の症状は?出血する?

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前置胎盤は初期症状として、腹痛を伴わない突然の出血がみられる場合があります。これを「警告出血」と呼びます。

出血は、子宮の収縮や子宮下部の伸展、子宮口の開大によって、子宮胎盤血管が断裂して起こります。そのため、症状があらわれるのは、お腹が大きくなって張りやすくなる妊娠28週以降が多いようです。

出血は最初のうちは少量で、自然に止まることが多いのですが、不規則的に繰り返し起こります。妊娠末期になるほど量が増え、大量出血するリスクも高まります。しかし、妊娠末期になっても出血がみられない場合もあります。

低置胎盤は前置胎盤と同様、少量の出血が突然起こり、だんだんと量が増えたり長時間続いたりする場合がありますが、前置胎盤に比べて症状があらわれる可能性は低いとされています。

妊娠中期以降に不正出血がみられたら、すぐに産婦人科を受診するようにしましょう。

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前置胎盤・低置胎盤はいつわかる?

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前置胎盤・低置胎盤は経腟超音波(エコー)検査で胎盤の位置を確認して診断します。妊娠中期に前置胎盤・低置胎盤が疑われても、妊娠の経過とともに、子宮が大きくなって胎盤の位置が上方にずれ、子宮口から離れていくことがあります。そのため、経腟エコーによる確定診断は妊娠24週以降が望ましく、31週末までに行います。

前置胎盤の妊婦さんのうち、帝王切開を経験したことがある方は、癒着胎盤を合併する確率が高いことから、MRI検査をして癒着の有無を調べることもあります。ただし、癒着胎盤を分娩前に確定診断することは難しく、前置胎盤では癒着胎盤の合併を常に考慮に入れる必要があります。

なお、前置胎盤の可能性がある場合、内診による診断は禁忌となっています。 指で胎盤の裏側をこすることで、大出血のリスクがあるためです。

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前置胎盤・低置胎盤が治る確率は?

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前置胎盤・低置胎盤と診断された場合でも、胎児の成長とともに子宮の頸部が伸びてお腹が広がり、胎盤の位置が改善される場合があります。

日本産科婦人科学会によると、妊娠15~19週に前置胎盤と診断され、その後も出産するまで前置胎盤だった確率は12%でした。この確率は妊娠20~23週は34%、妊娠24~27週は49%と、妊娠週数が経過するごとに上がっていきます。つまり、前置胎盤と診断される妊娠週数が早いほど、最終的に前置胎盤でなくなる例が多いということです。

妊娠週数の早い時期に前置胎盤が疑われても、多くは治りますので、不安になりすぎないようにしてくださいね。

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前置胎盤・低置胎盤の治し方は?帝王切開になる?

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治療法はなく安静にする

前置胎盤や低置胎盤に有効な治療法はありません。突然の大量出血や早産のリスクがあり、基本的には安静にすることになります。

前置胎盤で出血がみられない場合、妊娠32~34週頃から入院し、安静にしながら予定帝王切開に備えます。出血がある場合はただちに入院となり、止血に努めながら胎児が成熟するまで妊娠の継続を図ります。しかし、出血多量だったり胎児の状態が良くないと判断されたりすると、胎児が未成熟で低出生体重児になる可能性があっても、緊急帝王切開を行なうことになります。

低置胎盤の場合も、妊娠30週頃になると、突然の出血に備えて出産まで入院する場合があります。

前置胎盤は予定帝王切開

前置胎盤や低置胎盤になると、胎児が頭を下向きに保ちづらく、逆子になりやすくなります。また、陣痛が始まって子宮口が開くと、大量に出血するリスクがあります。そのため、前置胎盤は妊娠37週末までに予定帝王切開を行います。前置胎盤の平均分娩週数は34~35週だとされています。

帝王切開時には大量出血が予想されるため、ICU(集中治療室)やNICU(新生児特定集中治療室)が整備された大学病院や総合病院での入院・手術が望ましいとされています。入院中は、自分の血を輸血用にストックしておく「自己血貯血」を行って大量出血に備えるほか、子宮収縮抑制薬を投与して早産を防ぎます。

分娩時、癒着胎盤を合併していたり、胎盤が剥離(はくり)した部分から大出血したりして、止血が困難な場合には、母体を守るために子宮を摘出する可能性があります。

低置胎盤は自然分娩も可能

低置胎盤は、妊娠36~37週の時点で、胎盤の端から子宮口までの距離が2cm以内の場合には帝王切開となります。低置胎盤で自然分娩が可能なケースもありますが、分娩時に大出血する危険性も高いです。そのため、自然分娩を行う際でも、緊急時にすぐに帝王切開に切り替えられるよう準備しておきます。

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前置胎盤・低置胎盤で気をつけること

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前置胎盤や低置胎盤と診断されたら、早産にならないよう安静に過ごすことが大切なため、運動や性行為は控えるようにします。仕事も無理のない範囲で行い、重いものを持ったり、長時間立ちっぱなしになったりする業務は行ってはいけません。場合によっては、医師に休職するよう指示されることもあります。

前置胎盤や低置胎盤は、腹痛や吐き気といった症状があらわれないため、周囲にリスクが伝わりづらいです。しかし、だからこそ、自分やお腹の赤ちゃんを守るためにも、大量出血などのリスクを家族や職場の人によく説明し、理解してもらいましょう。

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リスクを知ったうえで心穏やかに過ごそう

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前置胎盤や低置胎盤は予兆なく大量出血するのが怖いところです。しかし、リスクをしっかりと把握し、緊急時のことを想定しておけば、いざというときもパニックにならずに済むかもしれません。

早い時期に前置胎盤や低置胎盤と診断された場合、妊娠後期になると胎盤の位置が上がり、改善される可能性もあります。過度に不安にならず、医師の指示をきちんと守りながら、心穏やかに過ごせると良いですね。

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