【体験談】自閉症スペクトラムの子育て〜2-3歳代はどんな日常生活?〜

2〜3歳になるとイヤイヤ期と表現される時期がやってきます。自閉症スペクトラムの子供は発達に偏りや遅れがある為に、イヤイヤ期が遅れて来たり、本人にとって不快なことが多い為、気難しさがパワーアップします。そんな2~3歳の自閉症スペクトラムについて、筆者の体験談をご紹介します。

75943

目次

  1. 2歳代後半【多動・衝動性と集団生活への道】
  2. 3歳代【継続ーコミュニケーションの質的差異】
  3. まとめ

2歳代後半【多動・衝動性と集団生活への道】

外出する機会も増え、自分の足でスタスタと歩けるようになる時期でもあり、世界が広がってくる頃です。我が家の息子の場合ですが、2歳後半から加配ありクラスの保育園に通い始めました。

当然ながら先生の指示がなかなか通らず、家でも朝の準備から習慣についても全くやる気もなければ大パニックを起こす程拒否し、多動ありの息子は朝から部屋中を走ってとにかく落ち着きが無く、『普通に歩いているのを見た事ないね』と夫と話すくらい常にダッシュ状態でした。

朝の様子

毎朝大忙しの息子は、食事中はイスをガタガタしたり、スプーンを器や机に叩き付けてガンガン音を出し続けたり、1口食べてどこかに行ったり、それはそれは激しい状態でした。ギャーーーー!!!と言う叫び声や激しい物音でご近所中に響くようなけたたましい音を我が家から発している時期でもありました。

まるで部屋に台風や竜巻が発生してぐるぐる部屋中を駆け巡っているような、息子が通った後は何かが破壊されグチャグチャになっている…と言った具合です。

顔を洗うことも歯を磨くこともトイレに行くことも断固拒否で恐がり、部屋に置いたオマルにも座れませんでした。穴の開いたものに座ることに抵抗があったのか、水を流す大きな音が怖かったのか、トイレの匂いがダメだったのか、どんなに楽しい雰囲気でトイレに誘っても、ネットや本で見たあらゆるトイレの誘い方をやってみたものの、数ヶ月は誘うだけでひっくり返って大パニックになっていました。

トイレトレーニングは難しいことも

Image

発達障害のある子のトイレトレーニングは難しい場合もあるそうです。「こんなことが?」と思うようなことが気になってしかたないことも。

・便器にお尻がつけられない。
・トイレの壁や床が他の部屋と違って怖い(視覚的不安や恐怖)
・トイレの様子(水が流れる・穴が開いていて水がたまっているなど)が怖い。
・トイレの使い方になじむ時間がかかる(新しいことに抵抗があるため、なじむまで不安)。

理由が分かれば対処法も

その子にとってのさまざまな理由からトイレが怖いものであった場合、その理由が分かってしまえば対処法もいろいろあります。

例えば…
・お尻を便器につけられないなら和式トイレでさせてみたらできた。
・トイレの床や壁の雰囲気が怖いなら、子どもに書いてもらった絵を壁一面に貼ったら怖がらなくなった。
・トイレに水がたまっているのが怖いなら、水のない便器にしておき、済んだらバケツで流すとできた。
・トイレの使い方になじんでいないなら、親が毎回ついていき、細かい動作を全て口にして実況中継してあげるとできた。

理由が分かり、その不安を取り除いてあげると問題なくできるようになることも多いのです。

我が子の保育園でのトイレの様子

保育園では2〜3歳の在園児はすでにトイレで用を足せる子が半数程いて、息子もそれを見てか先生の誘導のおかげか、保育園のトイレに入ることは出来るようになりました。3歳代でやっと男性用の便器でなんとか立って用を足せるようになりましたが、洋式トイレにはなかなか座れず相変わらずオムツをぶら下げていました。

保育園での様子

人見知りの無い(人の認識が薄く、物に興味がある)息子は保育園に行っても泣くことは無く、私が「バイバイ」と言っても見向きもしない日が多く、目新しいものに興味津々でした。1分たりともじっとしていられず、最初は部屋中を駆け回っていたそうです。

発達障害の勉強をされている加配の先生がついてくれていたのでとても理解があり、しっかりと対応して下さっていましたが、集団生活に入るとお友達との違いがよく分かり、療育園に転園すべきか迷う程みんなの中で浮いているのが良く分かりました。

じっとしていられないので、並べない、待てない、座ってられない、のないないずくし。でしたが、先生方の手腕やお友達の影響でこれらも少しずつ出来るようになって行きました。

【理解されにくい発達障害】自閉症スペクトラムの子育て【体験談】
Article link iconhttps://mamanoko.jp/articles/12161
Image
【理解されにくい発達障害】自閉症スペクトラムの子育て2
Article link iconhttps://mamanoko.jp/articles/12714
Image

3歳代【継続ーコミュニケーションの質的差異】

Image

3歳代前半にやっと家族の呼称を言うようになりました。「パパ、ママ」と言う認識を持ってくれたのか、そういう名前の人だと思ったのか、保育園の先生の名前も少しずつ言えるようになりました。言葉もどんどん増えて、いきなり文章を話すような事もありましたが、その文章も一方的な話や単語の語録の質に他の子との違いがありました。

自閉症スペクトラム児でよく見られる“オウム返し”も頻繁に披露していました。
先生「お名前は?」→息子「おなまえは?」
先生「何歳?」→息子「なんさい?」

年齢も名前も単独では覚えていましたが、このようなオウム返しも見られる時期でした。

言葉のキャッチボールが成り立たない

3歳後半になってくると物の種類の名前や会社名、商品名のロゴばかり覚えていて、「これは◯◯!」とか「◯◯銀行あった!」など一方通行な話が多かったです。こちらが何か返答してもしら〜っとしていたり無視だったり突然違う話を始めたり…。会話のキャッチボールが成り立たないのです。

普通に返答できることもありましたが、「おやつ食べる?」に対して「食べる!」など「◯◯に出かける?」「はい!」「行く!」程度のコミュニケーションは取れるようになっていました。

自己中心的な行動が増えてきた

自分が出す大きな音に対しては何もないのに、外部からの大きい音に対しては「うるっさーーーーい!!!」と叫んで耳を塞いだり、自己中心的と思われる行動が増えて来ます。

3歳前に“自閉症スペクトラム”と診断される

1歳代から大人の言葉を理解してはいるようでしたが、指示が通らないことや制止もきかないようなことがよくあり、1人目の子供と言うこともあったので当時は「子育てって本当に辛いな」と思うだけで暗いトンネルの中でさまよいもがいている状態でした。

3歳前にやっと病院での検査を受けることができ、先生も太鼓判を押すような勢いで「“自閉症スペクトラム”と言う発達障害です」と診断されました。知的な遅れはありませんでした。

診断を受けることのメリット

Image

診断を受けることによるメリットは、障害名やその子の特徴にあった書籍が探しやすいこと、対応の仕方が学べること。何か分からないことがあってぼんやりふわっとした状態では対応しきれなかった私自身の為にはすごく大きなメリットでした。

保育園や保険師さん、臨床心理士さんとの連携が深まり、何より保育園の先生にも説明がしやすく、対応も理解して頂けます。先生方はプロなのでどの先生もある程度の知識はありますが、保育園全体で共有して頂き、どのクラスの先生も息子の名前を覚えて下さっていました。話しかけても完全無視な息子にでも毎日毎日いろんな先生が朝から声掛けをしてくれていたこともあり、すごく成長したと実感しています。

療育施設でも指導を受ける

保育園と同時に療育施設の個別療育でも指導を受け、感覚統合のトレーニングや日常生活でのアドバイスを頂いています。

療育とは

障害のある乳幼児や児童に対して医学的な診断や個別指導を行うことです。社会的に自立した生活を送れるよう、外部から援助を受けることができます。

感覚統合とは

周りの人とコミュニケーションをとったり、体を上手に動かすときには、いろいろな感覚情報を脳が無意識のうちに処理をしています。「感覚」には固有感覚・前庭感覚・触覚・視覚・聴覚などがあるのですが、これらを整理したりまとめたりする脳の働きを感覚統合と呼びます。

子供は通常、身体や手先を使った遊びの中で脳との連携を鍛え、自然といろいろなことが出来るようになるものです。生まれつき器用な子もいますが、“器用”と言うのは指先や手足、身体の動かし方と脳との連携がうまく取れていて、脳から指先や手足に指示を送り、身体の神経がその指令を正常に処理できている状態です。

発達障害のある子は、手先が不器用だったり身体の使い方がぎこちない子がいます。(逆に抜き出て器用で運動神経が発達した子もいます。)それはその脳からの指令がうまく届いていなかったり、いろいろな神経が同時に指令を受けて混乱状態になっているという場合もあるそうです。

他にも上記のような感覚を処理する能力を鍛えるトレーニングがあります。その感覚を正常に処理するトレーニングをすることを“治療”と“教育”から文字を取った【療育】と言う言葉が生まれたそうです。

人がたくさんいるところで遊ばせるのが困難だった

子供はたくさんの経験と身体を使った遊びをすることが大切だと思いますが、自分自身が経験したこれまでの育児の中で、自閉症スペクトラムの我が子を普通の遊びに誘うことや、いろいろな所へも遊びに連れて行きましたが、とにかく人がいる場所で遊ばせることがとても困難でした。

こちらから見れば些細なことでパニックを起こして暴れたり、周りのお友達や保護者の方にも迷惑を掛けますし、ものすごく気も遣い、何をするにも疲労困憊でした。毎度のことながら『もう二度と行きたくない』と言うオチで、子供のために…と思って出掛けても、帰りにはイライラして子供につい当たってしまったり、楽しく遊ばせてあげたいのにそれ自体がとても難しいことでした。

まとめ

2〜3歳になり保育園に入ると、同じ世代の子どもたちがたくさんいることや、先生方や発達障害を勉強されているプロの保育者の指導のおかげで随分成長しました。家庭で育児をしていると、とてもではありませんがノイローゼになるようなことが毎日起きます。

発達障害のある子どもと健常と言われる子どもの育児の困難さは格段に違います。診断を受けた頃、発達相談の臨床心理士さんに「お母さん、今までよく頑張って来られましたね」と神妙な面持ちで言われたときには唖然としました。続けてその方に「普通の子育てはここまで大変ではないです」と言われ、なんとも言えない気持ちになったことは一生忘れないと思います。

そして、下の娘が生まれ、普通の子育てってちょっと楽しいかも…(あくまで息子の尋常ではない大変さがあったからこそ言えることです)と思える程でした。自閉症スペクトラムでも会話が出来始めると少しずつではありますが、落ち着きを見せ始め、行動にも変化があります。やはり言葉や会話の大切さを実感するのがこの時期ではないかと思います。