家庭で出来る性教育。家庭でしか出来ない性教育。

性教育とは「隠されるもの」でも「恥ずかしいもの」でもなく、何よりも「大切なもの」であるはずなのです。そして性犯罪の被害の低年齢化が進む現在、子どもに「知らなくていいもの」と隠すよりも、自分の身体を「ちゃんと知ること」、そして自分自身を「大切にする」ための性教育が家庭でも大切になってきます。

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目次

  1. 1時間目「自分の身体を知ろう」
  2. 2時間目「生まれたときの話をしよう」
  3. 3時間目「性をタブー視しない。させない」
  4. 4時間目「補講・セクシュアル・マイノリティーについて」
  5. まとめ

1時間目「自分の身体を知ろう」

お父さんやお母さんとお風呂に入る子どもたち。小さいうちから男女の身体の違いを知るチャンスです。目や手や足と同じように、胸や性器についてのお話もしてあげましょう。そして特に大切なことは「プライベートゾーン」と呼ばれる部分の話です。これは「口」「胸」「性器」のこと。ここは自分にとって非常に大切な部分であることをちゃんとお話してあげましょう。

まず、「自分以外の人にむやみに見せたり触れさせたりしない」逆に「誰にも見せられたり触れさせられたりしない」ということをしっかり教えてあげましょう。ただし、痒かったり痛かったりといった異変がある時はお父さんやお母さん、お医者さんに見せることはあるということも伝えてあげてください。

そしてもし、誰かがプライベートゾーンを無理やり触ろうとしたり、無理やり見せようとしたりする時には「いやだ」という意思を示すこと、相手が知らない人ならすぐにその場から逃げてくることをしっかり教えてあげましょう。そしてそういうことがあったらすぐに周りの大人に相談することも。

こういった話を「子供にはまだ早い」と片付けてしまう人もいるかもしれません。しかし、例えば性的虐待や性犯罪の被害に低年齢の子供が巻き込まれてしまう場合に、「これはおかしい」と本人が気付けることは大切なことです。そしてこの話をすることに「早すぎる」ことはありません。子供が自分の身体に興味を持ったとき、お父さんとお母さんの身体の違いに気がついたときには、是非、ちゃんと話してあげてください。

なんと、とても残念なお話ですが現代では子どもたちが成人するまでに女の子では2人に1人、男の子では4人に1人が性的虐待を受けているそうです。その加害者のほとんどが、実は元被害者でもあります。加害者は自分が被害に遭った時と同じくらいの年齢の子どもを狙うそうです。それもそのはず、きちんと性教育を受けている、性のことを理解している年齢の子どもたちには、危害を加えようとしても逃げられてしまったり逆に自分が捕まってしまう可能性が高くなります。ですが、まだ性的に無知な年齢であれば「何をされているのかわからない」で終わってしまうことを、加害者は身をもって体験しているのです。

2時間目「生まれたときの話をしよう」

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誕生日などの機会には、是非、生まれてきたとき、妊娠がわかったときの話を聞かせてあげましょう。

・お父さんとお母さんがどうやって出会って、どんな時に結婚を決めたのか
・子どもがお腹にいるとわかった時の気持ち
・出産の時、どんな様子でお父さんお母さんがどんな気持ちだったか

こういったことも親子で話をすることは大切なことです。妊娠がわかったときの喜びや生まれてきたときの大変さを知ることで自分自身の価値を知ることも出来ます。また、両親の結婚の馴れ初め話を聞くことで「結婚」や「愛」を身近に感じることができます。

自分を産んでくれた両親から「愛し合った人の子どもが産まれてきて幸せだ」ということを小さな頃から感じていれば、望まない妊娠を回避するという行動にも繋がりやすくなると思います。

3時間目「性をタブー視しない。させない」

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性に関わる質問を、それとは知らずに子供から向けられることはよくありますね。「そんなこと、まだ知らなくて良いの!」「もっと他に勉強することがあるでしょう」などと答えてはいませんか?でも、子供にとっては性的な質問とそうでない質問との間に興味の差はないのです。しかし、親からそう答えられているうちに性をタブー視する家庭の雰囲気が生まれてしまいます。ではいつ話すのでしょう?いざお年頃になってからそんな話を突然しようと思っても、相手も思春期で親の話をすんなりと受け入れてくれる時期ではないのです。

性をタブー視した家庭環境の中では、子どもたちは知りたい情報をネットなどのメディアから収集することになってしまいます。現在のメディアが流している性に関する情報は極めて子どもたちに悪い影響を与えるものばかりです。ほとんど裸同然の体、大げさなパフォーマンス、暴力やごく一部の性癖を大々的に取り上げているものなど、インターネットを始めとするメディアには「セックス」の既成概念だけが植えつけられています。子どもたちは純粋無垢で特にそういったものの影響を受けやすく、本来のリスペクトされるべき性の姿ではないものだけが頭に刷り込まれてしまいます。

情報が氾濫している時代だからこそ、家庭での正しい知識や教育が求められます。そしてそういった話を出来る家庭の雰囲気は子どもが幼い頃から培っていくべきものなのかもしれません。

親の世代は、むしろ「性をタブー視」して育ってきた世代。このギャップをまずは親が飛び越えなければいけません。実際にはどのように話をしたらいいのでしょうか。

親が性について正しい知識を持つ

まず子どもの性に対する質問に答えるためには、親が性についてしっかり学びましょう。親が適当に返事をしていれば子どもにも伝わりますし、間違った情報を教えてしまっては元も子もありません。今まで自分が考えていた性の常識が、実は非常識だったということもあるかもしれませんよ。

嘘はつかない

その時はその場をしのいでもいずれ本当のことはわかってしまいます。その時の子どものショックを考えたら、親に対する信頼がなくなってしまうこともあるかもしれません。性に限らず何事においても嘘はつかずに誠実に対応できる親でありたいですね。

逃げない

どんなに気恥ずかしい質問でも逃げてはいけません。子どもは親の態度で性へのイメージを作ります。親が「知らないな〜」「う〜ん、どうかなぁ??」と逃げていては「聞いてはいけないことなんだな」と認識してしまいます。それによって性は隠して表に出してはいけないものというイメージを持ってしまうこともあります。

怒らない

怒るのもいけませんね。「子どもがそんなことを知る必要はない!」と怒ってしまう親もいますが、「性は悪いことなんだ」「親の前で口に出してはいけないんだ」と思うようになってしまいます。性は汚らしいことでも、秘密にしておくことでもありません。いつでも気軽に、まるで学校での出来事や面白かったテレビの話をするような感覚で性の話をする必要はありません。いつでも質問をしてもいいけれどたくさんの人に言いふらしたり、誰にでもペラペラと話したりすることではなく、信頼できる大人にだけ話すことなんだということを教えてあげましょう。

4時間目「補講・セクシュアル・マイノリティーについて」

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世界中の様々な調査によって、現在セクシュアル・マイノリティの当事者は人口の3〜5%ほどいると言われています。例えば学校なら1クラスに1人はセクシュアル・マイノリティの当事者がいるということです。

最近ではTVの世界でもセクシュアル・マイノリティに属すると思われる人たちの活躍が目立ち、かつてほどの偏見はなくなってきているかもしれません。それでもそういった方々が「生きやすい世の中」とはいえない現状があります。

人を愛することも自分らしく生きることも、どんな人にとっても大切なことです。またたま恋愛の対象が同性であっただけ、たまたま生まれた時の性別がうまく適応できるものではなかっただけ。それでもセクシュアル・マイノリティの当事者にとって人を愛することも自分らしく生きることも難しいというのが現実なのです。

この問題に直面するのは、まさに親ではなく我が子のほうでしょう。これは、育て方や環境の影響よりも本来の生まれ持った「気質」的な部分で、なかなか変えることは難しい問題です。親が自分を責める必要もありませんが、子どもが自分を責める必要もないのです。どんな気質でも我が子は我が子です。難しい壁に子どもが傷ついている時にも、追い詰めるのではなく寄り添える親でいたいですね。

まとめ

今回は「性教育」というテーマに沿って、学校の授業のような流れでまとめてみましたが、実際に話す順番はこの限りでなくてかまいません。そして、何回も同じテーマの話をしてもかまいません。子供の成長に伴って、話す内容がより具体的になっていくこともあるでしょう。とにかく子どもと「自分の身体」や「愛」について、しっかり話すこと。子どもからも気兼ねなく話してもらえる関係を作ることが、家庭での性教育のポイントです。