卵管結紮(らんかんけっさつ)とは?メリットとデメリット、副作用は?

第二子以降を帝王切開するときに「卵管結紮(らんかんけっさつ)しますか」と医師に聞かれることがあるようです。「卵管結紮」という言葉を初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか。突然いわれても、戸惑ってしまいますよね。今回は、あまり聞き慣れない「卵管結紮」について筆者の体験談を交えながら医師監修の記事で解説します。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 卵管結紮(らんかんけっさつ)とは
  2. 避妊方法として卵管結紮を薦められる人もいる
  3. 卵管結紮はどのような手術方法になるの?
  4. どのくらいの費用が掛かる?
  5. 卵管結紮後、生理はどうなるの?
  6. 慎重に検討すべき卵管結紮のメリットは?
  7. 卵管結紮のデメリットは?リスクや妊娠の確率は?
  8. 体験談:卵管結紮の葛藤
  9. メリット・デメリットを踏まえてパートナーとよく話し合おう
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卵管結紮(らんかんけっさつ)とは

妊娠を防ぐ手術の方法は、母体保護法という法律で定められています。女性の避妊手術方法のひとつとして定められているのが「卵管結紮(らんかんけっさつ)」です。卵管結紮は、卵管避妊手術・卵管不妊手術という呼び方をする場合もあります。読み方が難しく、あまり耳馴染みのある言葉ではない結紮(けっさつ)ですが、医療分野では糸などで縛って結ぶことを指しています。

卵管結紮では、女性の卵管を糸などで縛って固定する方法の総称です。上図の赤い丸の部分を糸で縛ったり、ふさいだりすることで、パートナーとの性交渉で精子と卵子を出会わなくします。卵管結紮の方法は少しずつ異なるさまざまな方法が存在します。卵管の一部を圧迫して縛る、切断して縛る、電気やレーザー・薬などで焼いて閉鎖させる、一部を器具や薬でふさぐといった方法があります。

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筆者は二人目の帝王切開を行う前日に、突然医師から卵管結紮の説明を受けました。そのときに、卵管結紮とは避妊手術のひとつであることを初めて知りました。初めて聞く言葉ですし、医師の説明は難しい用語が多かったのを覚えています。

上の子も帝王切開で出産しており、今回の帝王切開は2回目になります。筆者の体質では、三人目の妊娠は子宮の負担となり、リスクが高いとのことでした。そのため、これ以上妊娠しないように、卵管結紮をしてはどうかと医師に言われたのです。数回の帝王切開を行う方は、医師から卵管結紮の説明を受けることが多いようです。

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避妊方法として卵管結紮を薦められる人もいる

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卵管結紮などの避妊(不妊)手術は、永久避妊方法のひとつです。名前の通り、基本的に元に戻すことはできないと考えて良いでしょう。不妊手術はあくまでも母親の生命と健康を保護するのが目的です。このため、母体保護法で実施する場合の条件が以下のように定められています。全ての人ではなく、以下条件に当てはまる人は医師から卵管結紮を提案される場合があるということになります。

一 妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼすおそれのあるもの
二 現に数人の子を有し、かつ、分娩ごとに、母体の健康度を著しく低下するおそれのあるもの

引用元:elaws.e-gov.go.jp

卵管結紮手術は、今後の妊娠や分娩によって生命や健康が脅かされる可能性がある人のみに提案される場合がある方法です。可能であれば他の避妊方法を検討してみても良いかもしれません。日本で許可されている避妊方法としては、経口避妊薬(ピル・OC)・子宮内避妊具(IUD)・コンドーム・殺精子剤・リズム法があります。若い場合や未婚の場合など、ライフステージと状況にあわせて考えることが大切です。年齢や状況にあわせて二人目、三人目といった家族計画を夫やパートナーと話し合ってみましょう。

卵管結紮はどのような手術方法になるの?

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卵管結紮手術にはさまざまな方法があります。お腹を切る・切らない(腟から手術を行う)、卵管を切る・縛る・ふさぐといった方法があり、どの方法になるかは病院や担当の医師、本人の希望や状況に応じて決定されるでしょう。

いずれも入院が必要な場合が多く、前もって手術日を決めて実施します。帝王切開手術と同時に卵管結紮を行う場合は、出産後の既定の入院期間で退院できる可能性が高いため、このケースの人が多いかもしれません。卵管結紮手術は、一般的に自然分娩であれば産後1日~3日ごろ、帝王切開手術の場合は同時に行われることもあるようです。

筆者の場合は帝王切開でのお産だったため、そのときに一緒に行うと説明を受けました。おへその少し下を1.5~2cmほど切開し、左右の卵管をピンセットで取り出し、糸で卵管を縛る処置が行われたようです。

どのくらいの費用が掛かる?

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卵管結紮術を治療目的ではない避妊目的で行う場合には自由診療となるため、病院に料金は確認しましょう。

帝王切開と同時に卵管結紮手術を行うと費用が抑えられるケースがあるという人がいるのは、帝王切開手術で用いられる処置・薬がに卵管結紮手術でも用いられるものがあれば、一度に手術を行うことで二重に費用を請求されないという考えからの意見かもしれません。一般的に、帝王切開と同時に行う場合は10,000円から50,000円程度、自然分娩後に入院中に手術を行う場合には100,000円程度、出産に関係なく入院手術を行う200,000円程度のケースが多いようです。ただしこれも手術単体の値段となるため他の薬代や処置代は別途かかります。

卵管結紮手術が医療保険・生命保険などの対象になるのか、気になる方も多いかもしれません。帝王切開手術も同様ですが、加入している保険により支払い条件は異なります。入院手術保障がある場合でも、出産直前の加入や日帰り入院、入院日数や手術の内容によって支払い対象外になることがあります。保険がおりるかどうかは、自分が加入している保険の対象を確認するようにしましょう。

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卵管結紮後、生理はどうなるの?

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卵管結紮は不妊に影響を与えるものであり、女性機能には影響を与えません。卵巣からの排卵やホルモンの分泌は行われるため、生理が起こります。このため、排卵痛や排卵出血(中間期出血)といった排卵にまつわる現象、腹痛や腰痛などの生理にまつわる現象といったものも残ります。「排卵された卵子はどこへ行くのだろうか」という疑問を抱く人もいるかもしれませんが、自然に身体に吸収されます。

卵管結紮後に生理に影響が出るのではないかと不安になってしまうかもしれません。帝王切開と同時に行なった場合には、産後の生理再開は3ヶ月から1年ほどかかるため、あまり心配する必要はないかもしれません。産後は、ホルモンバランスが元に戻るまで生理不順が続く人もいるようです。卵管結紮により生理がこない、不正出血があるといったことはないといえるでしょう。

卵管を縛ってしまうイメージから、筆者は卵管結紮を行うと生理はこないのかと思っていました。卵管結紮手術後も生理も排卵もあると聞いて、驚きました。

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慎重に検討すべき卵管結紮のメリットは?

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卵管結紮は、一度手術を受けたら基本的に妊娠はできないと考えなければいけません。このため、慎重に考えて結論を出さなければならない手術のひとつといえるでしょう。一方で、もちろん卵管結紮手術を受けるメリットもあります。望まない妊娠を防ぐことができる、比較的安全な手術である、帝王切開と一緒に行うことができるといったことがあげられるかもしれません。なかでも「避妊方法の中でも効果が高い」という点が一番の特徴といえるでしょう。絶対に妊娠しないと断言することはできませんが、他の避妊方法に比べると格段に効果が高い方法です。

卵管結紮のデメリットは?リスクや妊娠の確率は?

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卵管結紮は、効果が高い避妊方法のひとつである一方でデメリットも存在します。まずすべての避妊方法に共通していえることですが、100%確実に妊娠しないとはいえません。卵管結紮などの女性避妊手術では妊娠率0.5%という調査結果があり、他の避妊方法に比べると失敗率は非常に低いものになっています。ただし絶対に妊娠しないというわけではない点には注意が必要でしょう。

他のデメリットとしては、手術後には基本的には妊娠できない、出血や腹痛・麻酔の影響などでの合併症が起こる場合がある、術後にストレスからホルモンバランスが乱れて更年期障害のような症状が出る場合があるといったことがあげられます。「術後は妊娠できない」という点に関しては、選択肢として再建手術・体外受精といった方法はあります。ただし必ずまた妊娠できるという保証はないため、また妊娠したいと後悔しないように慎重に検討する必要はあるでしょう。

体験談:卵管結紮の葛藤

筆者はこの手術を行うかどうか、本当に悩みました。帝王切開を行う前日に医師から言われたため、考える時間もそれほどありませんでした。医師からは、次回妊娠したら子宮破裂の恐れがあるかもしれないという説明を受けていました。子どもはふたりと主人と決めていたこと、経済的なことなども考えると、もう妊娠するつもりは無かったのですが、女性としての機能を失ってしまうようなそんな複雑な気持ちになってしまいました。

いろいろ考えた末、この手術を受けませんでした。25歳で二人目を出産するときのことでしたが、卵管結紮をしない選択をして良かったのかどうか、正直10年経った今でも時々考えることがあります。でもあのとき、不安なまま手術を受けていたらもっと悩んでいたような気がするので、これで良かったと思っています。

「一度行ってしまったら元に戻すことはできないので、夫婦でよく話し合ってから決めるように」と、医師から説明を受けたときに何度も言われました。安易な考えで卵管結紮を決めてしまっては取り返しがつかないので、メリットもデメリット含めて夫婦でよく話しあう必要があるでしょう。

メリット・デメリットを踏まえてパートナーとよく話し合おう

家族計画は、ひとりでは答えを出すことができない大切な問題です。卵管結紮手術のメリットもデメリットも考えて、パートナーとよく話し合って結論を出すことをおすすめします。避妊方法は不妊手術以外にもさまざまなものがあります。医師と他の方法を試す可能性を探ったり、今後の妊娠・分娩での危険性はどのくらいなのかをよく説明してもらったりしながら考えると良いかもしれません。

必ずしもデメリットだけがあるものではなく、あくまでも母体の生命と健康を考えた上で提案されるものであることも検討の際には忘れないようにしてくださいね。

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