無痛分娩のメリットとデメリットは?自然分娩との違いは?

陣痛を和らげながら出産することができる「無痛分娩」。日本でも徐々に増えているものの、全分娩に占める割合はまだ10%程度といわれ、選択を悩む方が多いかもしれません。無痛分娩は、痛みの軽減のほかにどんなメリットがあるのでしょうか。麻酔の副作用や重大事故につながりかねないリスクといったデメリットとともに解説します。

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目次

  1. 無痛分娩は自然分娩とどう違う?
  2. 無痛分娩のメリット
  3. 無痛分娩のデメリット
  4. 無痛分娩に向いていない人は?
  5. メリットとデメリットを両方知ろう
  6. あわせて読みたい

無痛分娩は自然分娩とどう違う?

大きな違いは痛みの軽さ

無痛分娩と自然分娩との大きな違いは、無痛分娩ではお産の痛みを和らげながら出産できるという点です。

お産の痛みは、赤ちゃんを押し出そうと子宮が収縮して起こる陣痛と、赤ちゃんの頭によって腟や外陰部、肛門周囲が押し広げられる分娩時の痛みにわかれます。無痛分娩では麻酔薬を注入することでこの痛みを軽減します。

無痛分娩は自然分娩に比べて痛みが軽いですが、麻酔で眠ってしまうことはありません。意識はしっかりあるため、自然分娩と同じように自分でいきみ、赤ちゃんの誕生の瞬間を実感することもできます。

硬膜外麻酔が一般的

無痛分娩の麻酔の方法には、「硬膜外麻酔(こうまくがいますい)」と「点滴麻酔」があります。硬膜外麻酔は背骨の脊髄に近い硬膜外腔に麻酔薬を注入する方法で、点滴麻酔に比べて鎮痛効果が高く、赤ちゃんへの影響もほぼありません。そのため、無痛分娩が浸透している欧米では硬膜外麻酔が主流だといわれています。無痛分娩がまだ普及していない日本でも、無痛分娩といえば、最近はこの方法が一般的なようです。

計画分娩になる

無痛分娩は一般的に、あらかじめ分娩日を決め、陣痛促進剤などでお産を進める「計画分娩」になります。硬膜外麻酔による無痛分娩の一般的な流れは以下の通りです。

1.分娩予定日前日に入院し、麻酔のカテーテルを挿入したり、子宮口を広げる処置を行ったりします。

2.当日、陣痛促進剤を点滴で投与し始めます。陣痛に耐えられなくなった時点で麻酔薬の注入を開始。麻酔は15分程度で効いてきます。

3.子宮口が全開大になり、赤ちゃんの頭も下りてきたら、分娩台で出産します。

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無痛分娩のメリット

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落ち着いてお産に臨める

出産前のストレスを緩和できる点も、無痛分娩のメリットのひとつです。自然分娩の場合、出産が近づくにつれて、お産の痛みを想像してしまい、不安や緊張が高まるかもしれませんが、無痛分娩の場合は比較的リラックスして過ごせるでしょう。

また、無痛分娩は自然分娩のように陣痛を待つのではなく、分娩予定日に人工的に陣痛を起こす計画分娩がほとんどです。事前に出産日が確定していると、上の子がいる場合は預け先を確保したり、パパが会社にお休みを申請したりと計画を立てやすく、家族みんなが落ち着いて出産に臨めるというメリットがありますね。筆者は自然分娩で、いつかいつかとドキドキしながら出産を待っていたので、分娩日が決まっていれば良かったなと感じています。

ただし、陣痛や破水が計画した分娩予定日よりも前に来てしまうケースもあり、その場合は緊急入院して分娩することになります。いつ出産となっても良いように、つねに心の準備はしておきたいですね。

痛みを軽減できる

「ダンプカーがお腹の上を走るような痛み」「身体が引き裂かれるような痛み」などさまざまに表現される陣痛。一説には、指の切断に匹敵するほどの痛みだといわれています。そうした強烈な痛みを和らげられるのが、無痛分娩の大きなメリットでしょう。

陣痛による痛みや、痛みに伴うストレスは、場合によっては分娩を長引かせ、赤ちゃんにも悪影響をおよぼしかねません。無痛分娩はそうしたリスクを減らす効果も期待できます。

無痛分娩を選んだママの中には、出産後、「無痛分娩ならばまた子どもを産みたい」と思う人が多いようです。出産は「つらく苦しいもの」ではなく、楽しい思い出になったとの体験談も聞かれます。出産に対してポジティブなイメージが増すのは、出産をまだ経験していないプレママにとっても心強いのではないでしょうか。

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赤ちゃんへの酸素量が減らない

ママがお産の痛みに耐えているあいだは、赤ちゃんに届く酸素が減るといわれています。これは、母体が強い痛みを感じると、身体の中で「カテコラミン」という血管を細くする物質が増え、赤ちゃんへの血流が少なくなるためだと考えられています。

通常、赤ちゃんへの酸素の量が多少減る分には問題ありません。しかし、妊娠高血圧症候群などで赤ちゃんへの血流がもともと減っている場合、自然分娩を行うと、お産の痛みを感じることの影響により、赤ちゃんへの酸素量が少なくなりすぎるというリスクがあります。

その点、無痛分娩で痛みを軽くすれば、赤ちゃんへの血流が保たれて、酸素量が減らずに済みます。したがって、妊娠高血圧症候群の妊婦さんは医師に無痛分娩をすすめられることが多いようです。

また、無痛分娩は陣痛中に母体が消費する酸素量が少なくて済むともいわれています。そのため、心臓や肺にトラブルを抱えている妊婦さんにとっても、身体への負担を軽くできるメリットがあります。

産後の回復が早い

無痛分娩は自然分娩よりも産後の回復が早いといわれています。痛みで体力を消耗しなくて済み、出産時の疲労が少ないからです。痛みが強いと身体が過度に緊張して、産後に全身筋肉痛になることも多いですが、無痛分娩はリラックスした状態でお産ができるため、筋肉痛もあまりないようです。

出産という大仕事を終えてからも、ママには24時間体制の子育てが待っています。産後の回復が少しでも早くなるのはありがたいですよね。

高齢出産のリスクを下げる

無痛分娩は高齢出産のリスクを下げるともいわれています。一般的に高齢出産では産道が伸びにくいため、お産が長引いて難産になる恐れがあるのですが、無痛分娩で痛みを和らげることで産道の緊張がほぐれ、スムーズに出産しやすくなります。

また、年齢を重ねるにつれて体力は低下する傾向にあるため、高齢での出産や子育ては思った以上に厳しいといわれますが、無痛分娩なら体力を温存しながら出産できるメリットがあります。

無痛分娩のデメリット

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対応している病院が少ない

無痛分娩は、麻酔科医がいて、医療設備も整っていなければ行えません。そのため、無痛分娩に対応している病院はまだまだ少ないのが現状です。日本産科麻酔学会によると、日本で硬膜外麻酔による無痛分娩を実施している病院は約250にとどまります。

住んでいる地域によっては、近隣に無痛分娩対応の病院がなく、そもそも無痛分娩を選択肢に入れられないという妊婦さんが多いでしょう。たとえ病院があったとしても、予約がいっぱいということもあるようです。

費用が高い

無痛分娩は、麻酔薬や陣痛促進剤などを使って処置をする分、自然分娩よりも費用が高くなります。医療機関によって大きく異なりますが、通常の分娩費用に約3万~15万円加算されるケースが多いようです。

無痛分娩を行う病院の中には、リッチな入院食や手厚い授乳指導など、産後ケアやママへのサービスに力を入れている病院も多く、出産費用が合計100万円を超えるケースもあります。

麻酔が効かないことがある

痛みの感じ方には個人差がありますし、麻酔薬の量や濃度、カテーテルの状況などによって麻酔の効き方も変わってくるため、「思った以上に痛かった」というケースもあるようです。また、いきむタイミングがわからないといった場合に、麻酔薬の濃度を薄めるなどして敢えて麻酔が効きすぎないようにすることがあります。

分娩予定日よりも前に自然陣痛が始まってしまった場合は、急きょ入院して麻酔薬を投与しても、麻酔が十分に効く前に出産となる可能性がないわけではありません。

吸引分娩や鉗子分娩の確率が上がる

無痛分娩を行うと、子宮口全開大から出産までの「分娩第2期」が長引きやすいといわれています。これは、麻酔薬の影響で妊婦さんがいきむ力が少し弱まるためだと考えられています。

赤ちゃんがなかなか下りてこず、分娩第2期が著しく長くなると、器具を使って赤ちゃんを引っ張り出す「吸引分娩」や「鉗子分娩(かんしぶんべん)」を行う確率が上がります。

麻酔の副作用

無痛分娩の際、麻酔科医は重い合併症などが生じないよう、細心の注意を払って処置を行います。それでもなお、麻酔薬の一般的な副作用があらわれる場合があります。

例えば、硬膜外麻酔が排尿をつかさどる神経を麻痺させることから、尿がうまく出せないといった排尿障害が起こります。そのため、麻酔が効いているあいだは管を通して尿を出す措置をとります。退院時まで症状が続くことはまれです。

また、硬膜外麻酔に医療用麻薬を組み合わせて使うと、約50%の割合で皮膚にかゆみが生じます。ほとんどの場合、治療の必要がない程度のかゆみですし、麻酔が切れると症状も治まることが多いようです。

これらの他、発熱や血圧低下といった副作用があらわれることがあります。

死亡事故につながるリスク

無痛分娩は安全性に十分配慮して行われますが、重大な事故につながるかもしれないリスクがあります。

無痛分娩では一般的に陣痛促進剤を使用しますが、この陣痛促進剤が強く効きすぎると、子宮が過度に収縮して、胎児機能不全や子宮破裂を引き起こす場合があります。こうした事態を防ぐため、分娩監視装置で陣痛の間隔や胎児の心拍を確認しながら、陣痛促進剤の投与量を慎重に調節します。

一方、硬膜外腔にカテーテルを入れるときに硬膜が傷ついてしまうことが約1%の割合で起こります。傷ついた箇所から脳脊髄液(のうせきずいえき)が漏れると、頭痛の症状が出ますが、多くは1週間以内に治まるといわれています。

また、非常にまれですが、硬膜外麻酔のカテーテルが誤って血管や「脊髄くも膜下腔」に入り、麻酔薬が注入されてしまうことがあります。最悪の場合、死亡にいたる重大な事故ですが、麻酔科医はこうした事態が起こらないよう、細心の注意を払って麻酔の処置をしています。万が一、誤注入があった場合は、人工呼吸などの措置を迅速に行う必要があります。

無痛分娩に向いていない人は?

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無痛分娩は希望すれば誰でも行えるわけではありません。背骨が変形していると、麻酔のカテーテルを挿入するのが困難なため、無痛分娩ができません。背中の神経に病気がある場合や、麻酔にアレルギーがある場合も、麻酔薬を投与できないため対象外となります。

一方、カテーテルを入れるときに先端が血管をこすると血の塊や膿(血腫)ができることがあるのですが、血液が固まりにくい体質の妊婦さんはこの血腫が特にできやすいといわれています。血腫が大きくなると、神経を圧迫するようになり、下半身麻痺などが後遺症として残るリスクがあるため、無痛分娩を受けられません。

妊娠前からいわゆる肥満体型であったり、妊娠期間中に体重が10kg以上増えたりした妊婦さんについても、麻酔の効果が十分にあらわれず、処置を断念せざるを得ないことがあります。

さらに、これは無痛分娩に限らず自然分娩にも言えることですが、帝王切開で出産したことがある方は子宮破裂などのリスクがあるため、無痛分娩ではなく帝王切開をすすめられるケースが多いようです。

メリットとデメリットを両方知ろう

無痛分娩は欧米ではすでに安全性が確立されていますが、日本ではまだまだ普及しておらず、選択をためらう方が多いのではないでしょうか。命に関わるほどのリスクが全くないわけではありませんが、お産の痛みやストレスを軽減してくれて、産後の回復が比較的早い分、赤ちゃんのお世話により注力できるというメリットもあります。

「お腹を痛めずに産んでよいのか」と悩む妊婦さんもいるかもしれませんが、無痛分娩を経験したママたちは、お産の痛みと愛情の深さとはまったく関係なかった、と口を揃えて言っていますよ。

無痛分娩を検討する際は、メリットとデメリットの両方をしっかりと理解することが大切です。その上で、自分自身の心や身体の状態をよく見つめて、納得のいく答えを出せると良いですね。

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