妊婦が使ってはいけないアロマ・使えるアロマはどれ?
妊娠中のリラックス方法として、アロマテラピーを検討している妊婦もいるでしょう。専門家でも意見が分かれますが、アロマには妊婦が使ってはいけないとされているものもあります。アロマテラピーの定義や期待できる効果、妊婦が使用する際の注意点を紹介します。
目次
妊婦のアロマテラピーへの関心は高い
リラックス効果を得るために、寝る前や入浴時にアロマテラピー(アロマセラピー)を楽しむ方法は人気を集めています。アロマ成分を配合した美容ケア商品も昨今では多く販売されていますよね。
妊娠前から利用している人であれば、妊娠中もさまざまな場面でアロマテラピーを行いたいと考えるでしょう。陣痛が始まってから出産までのあいだのリラックス法として、アロマテラピーを検討する妊婦は多いともいわれています。
ただしアロマテラピーに使用する精油の種類によっては、妊婦には使ってはいけないとされるものがあります。妊婦がアロマテラピーを行う場合には、専門店で相談しながら購入すると良いでしょう。
アロマテラピーとは?

「アロマテラピー」は、気軽に使用できる「リフレッシュ法」というイメージが強い人もいるのではないでしょうか。オイル単体だけでなく、アロマ加湿器(アロマディフューザー)やアロマミスト、アロマキャンドルなど、さまざまな形でアロマテラピーを行うことができます。公益社団法人アロマ環境協会は、アロマテラピーを以下のように定義しています。
引用元:www.aromakankyo.or.jpアロマテラピーは精油を用いてホリスティックな観点から行う自然療法※ である。
アロマテラピーの目的は以下の通りである。
• 1. リラクセーションやリフレッシュに役立てる。
• 2. 美と健康を増進する。
• 3. 身体や精神の恒常性※ の維持と促進を図る。
• 4. 身体や精神の不調を改善し、正常な健康を取り戻す。
※ 自然療法 人間が本来もっている自然治癒力を高めることにより、病気を未然に防ぐ、治癒を促す、体質を改善するなど健康の維持、増進を図ること。
※ 恒常性 体内の変化や環境の変化にかかわらず、体内環境を一定の範囲で維持するしくみ。
エッセンシャルオイルとも呼ばれる精油は、植物の葉や花、果物などから抽出した自然由来の「香りの素」になるものです。抽出素材によって香りが異なり、美容・健康促進や虫よけと期待できる効果も変わります。精油を用いて香りを楽しんだり、オイルと混ぜてマッサージに用いたりして活用できます。
アロマオイル・精油・キャリアオイルの違い

巷には、さまざまなアロマ関連グッズが存在しています。美容目的のアロマグッズやリラックス目的のアロマグッズ、スプレータイプやオイルタイプのものもあります。シャンプーやハンドクリームなど、身近な日用品にもアロマによるリラックス効果を謳っているものがありますよね。
アロマテラピーを始めることを検討しているときに悩ましいのが、オイルタイプの商品の購入です。「精油(エッセンシャルオイル)」「キャリアオイル(ベースオイル)」「アロマオイル」といったさまざまな名称のオイルがアロマコーナーに置いてあるため、迷ってしまうかもしれません。
精油(エッセンシャルオイル)
公益社団法人アロマ環境協会は、以下のように定義しています。天然の素材から抽出されたオイルで、香りを楽しむためならそのまま利用できます。肌につけられる状態にするには、別途キャリアオイルが必要になります。
引用元:www.aromakankyo.or.jp精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である。各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となるものである。
キャリアオイル(ベースオイル)
マッサージなど肌に触れる使い方をする場合には、精油をキャリアオイル(ベースオイル)と呼ばれる化粧用の植物油と混ぜて使います。精油を肌にぬることができる状態にするためのオイルです。
アロマオイル
もっとも判断が難しいのが、「アロマオイル」と呼ばれているものです。精油(エッセンシャルオイル)をアロマオイルと呼んでいる商品もありますが、天然素材ではないものが含まれているオイルである場合もあります。購入時には成分を確認すると良いでしょう。
妊婦が期待できるアロマによる効果

アロマの効果としてはリラックス効果が有名ですが、他にも妊婦への効果が期待できるものがあります。不眠症の緩和やむくみ、腰痛、鼻づまりの緩和といった、妊娠中のマイナートラブルへの効果があるアロマがあります。虫よけ予防として使うことができるアロマもあります。
子宮収縮効果から臨月前の妊婦には使ってはいけないとされるものもありますが、臨月以降であればお産を促進するアロマとして使えるようになるものもありますよ。
妊婦のアロマ使用法

マイナートラブルの緩和
腰痛や冷え、肩こり、むくみの緩和を目的として使用する方法があります。アロマの効果を得たいときには、精油とキャリアオイルを混ぜたものを足湯に混ぜる、マッサージに使用する、といった方法で試してみてくださいね。
ひとつのリラックス法として
妊婦は、妊娠による身体・心の変化によって不安を抱えやすくなります。アロマミストやアロマキャンドルなどを用いて、良い香りに包まれたリラックスできる環境の中でゆっくりするのも、たまには良いかもしれませんね。
妊娠線マッサージ
精油とキャリアオイルを混ぜたもので、妊娠線予防のマッサージを行うのも良いでしょう。肌の状態によって使用に適した精油は変わるため、専門店で相談してから購入するのが良いでしょう。
お産の促進
子宮収縮効果により、妊娠後期前には禁忌とされるジャスミンやクラリセージは、専門家の指導の下であればお産準備として使用することができるようになります。ただし、お産の促進効果があるアロマは自己判断で使用するのは危険です。
妊婦は使ってはいけないアロマがある

「妊娠中には使ってはいけないアロマがある」という話を耳にしたことがある人もいるでしょう。天然素材から抽出されているもののため、妊婦に危険なものはないだろうと考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、アロマに用いられる天然素材の成分の中にも、妊娠中は注意が必要になるものがあります。なぜ妊婦のアロマの使用には注意が必要なのでしょうか。
「妊婦への使用を禁忌としている精油」があります。妊娠中の週数によって使用してはいけないとされているものでは、グレープフルーツやカモミール・ローマンがあります。禁忌とされている理由は精油の成分によりますが、子宮収縮作用や不眠への影響があげられます。
妊娠初期はアロマを避けるべきだといった意見もあるため、妊娠中は医師や専門家とよく相談してからアロマを使用しましょう。
妊婦が使用できるアロマ、使用できないアロマ例

アロマは薬とは異なり、禁忌の基準は明確に定められていません。一定の時期以降は使用可能なアロマ、妊娠期間を通して使用禁止とされるアロマに対しては、専門家によって意見が異なる場合もあります。かかりつけの医師や専門家と相談しながら、自分の妊娠の経過や体調に合わせて、アロマの使用を検討してくださいね。以下は使用可・不可の例となります。
使用できるアロマ
リフレッシュ目的であれば「マンダリン」「スイートオレンジ」「ローズウッド」「ユズ」「真性ラベンダー」が良いといわれています。どれも用法・容量を守る必要はあります。ラベンダーは使用の可否についての意見が分かれるため、専門家に相談してから使用してくださいね。
妊娠週数によって使用できないアロマ
「クラリセージ」「クローブ」「ジャスミン」「ジュニパー」「パルマローザ」は、妊娠週数によって使用できないとする意見があります。ただし専門家により意見が異なる場合もあるため、よく相談してから使用しましょう。
使用できないアロマ
神経の刺激により不眠になる可能性がある「アンジェリカ」は控えたほうが良いとする意見があります。分娩を促進するアロマのひとつである「アニス」には強力な効果があるため、妊婦には禁忌であるともいわれています。他にも妊娠の経過や体調によって、使えないアロマもあります。
妊婦がチェックしておきたいアロマのその他注意点

妊婦全般にかかわる注意点だけでなく、自分の状況に応じて注意点を確認してから、アロマの使用を検討しましょう。
高血圧や糖尿病、感染症などの治療を受けている場合や薬を服用している場合には、医師や薬剤師とよく相談して使用する必要があります。アロマをマッサージオイルや入浴剤として肌に触れる形で使用する場合には、パッチテストで一度確認してから使用しましょう。
また、においには好みがあります。人によっては、自分の好みではないにおいで吐き気やめまいといった症状が現れることもあります。おかしいなと感じたら、すぐに使用を中止しましょう。高齢者や乳幼児への使用にも注意が必要です。
専門家の指導の下、安全にアロマを使おう
気軽にリフレッシュできるアロマは、ハンカチや洋服に少しだけ香りをつけて利用したり、手作り化粧品として使用したりすることもできます。妊娠中は利用する精油の種類に注意は必要ですが、さまざまな方法で活用することができるのは魅力的ですよね。相談できる専門店で購入し、必要であれば医師とも相談してくださいね。