高齢出産にはどんなリスクがある?母体と赤ちゃんへのリスクとは

女性の生き方も多様化し、「○歳までに産まないといけない」という風潮も薄れてきました。そのことで高齢出産が増えてきましたが、出産リスクも増えました。今回は高齢出産のリスクとともにメリットについてもお伝えします。

46218

目次

  1. 高齢出産とは
  2. 高齢出産による母体へのリスク
  3. 高齢出産では染色体異常が起こりやすい
  4. 男性が高齢の場合もリスクがある
  5. 高齢出産のリスクを減らす方法
  6. 高齢出産にはメリットもある
  7. 出産年齢についてはパートナーとよく話し合ってみて

高齢出産とは

「高齢出産」とは、35歳以上で初めて出産することをさします。これは日本産婦人科学会で定義されているものです。この35歳という年齢ですが、平成3年から新たに定義された年齢で、それ以前は「30歳以上」が高齢出産と言われていました。

2人目や3人目の出産が35歳以上であっても、「高齢出産」とは定義されていませんが、最近では、初産婦・経産婦を区別することなく年齢だけに注目する動きになってきているようです。

また、50歳以上で妊娠・出産する「超高齢出産」という言葉もあります。近年の科学の進歩で、凍結卵子やホルモン剤などを使用して、閉経後でも妊娠出産も可能となりました。しかし、可能というだけで、リスクが低いわけではないのです。

高齢出産による母体へのリスク

Image

妊娠率が下がる

一般的に一周期ごとに自然妊娠する確率は20%だと言われています。しかし、これを年齢別に見ていくと、25歳~30歳では25~30%、35歳で18%、40歳で5%、45歳で1%と、年齢を追うごとに自然妊娠する確率は極端に低くなっていきます。

これが、「高齢出産」でのリスクの一つ。女性の妊娠する力は、37歳くらいまで徐々に下がっていき、37歳を過ぎると、その低下するスピードもアップ。原因は「卵子の老化と減少」。卵子の年齢は実年齢と同等であり、卵子の数は加齢するごとに減少するのです。

妊娠高血圧症候群になりやすい

高齢出産では、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)になるの発生率も高くなります。妊娠高血圧症候群は、高血圧、尿たん白、むくみなどの症状が現れることで、その症状を放置してしまうとさらに悪化し、胎児の発育にまで影響を及ぼします。さらに、母親の腎臓や肝臓にも障害を引き起こすこともあるので、十分な注意が必要です。

妊娠高血圧症候群を引き起こす確率は、34歳以下の妊婦さんでは約11%程度ですが、高齢出産の妊婦さんでは30%もの確率で発生することが分かっています。

流産・早産・難産のリスクが上がる

流産とは、妊娠22週までに胎児が何らかの理由で亡くなってしまうことであり、早産は、まだ十分に育っていない妊娠22~36週で赤ちゃんが生まれてしまうことを指します。

高齢出産では、この流産、早産ともに起こるリスクが高まります。全年齢では10~15%ほどの流産率も、高齢出産では20~25%程度となっています。また、体力も低下しているので、難産の確率も高まりますが、これは個人差も多いものです。

常位胎盤早期剥離が起きやすい

子宮に引っ付いているはずの胎盤が、なんらかの原因で胎児が出る前に子宮からはがれてしまうことを「常位胎盤早期剥離」といいます。「常位胎盤早期剥離」は、全体で1%にしか起こりませんが、なかでも起こりやすいのは「妊娠高血圧症候群」の妊婦さんたちです。「妊娠高血圧症候群」は、高齢出産で怒りやすい症状の一つなので、「常位胎盤早期剥離」も高齢出産の一つのリスクととらえられているのです。

40代の妊婦の死亡率は20代の20倍

妊娠は病気ではありませんが、妊娠出産では赤ちゃんの身体にも自分の身体にも、何が起こるのかわかりません。20代の妊婦の死亡率を1とした場合、30~35歳では約5になり、40代の妊婦さんでは20となります。特に妊娠前から「子宮筋腫」「肥満」「高血圧」「糖尿病」などの病気がある場合には、危険が伴いやすくなります。妊娠前に、まずは、自分の身体が健康かどうかということもよく考慮してくださいね。

高齢出産では染色体異常が起こりやすい

Image

人間の身体には22組44本の染色体があります。この染色体にすこしでも異常があれば、発達遅延、知的障がいなどの影響が現れます。「ダウン症」「エドワーズ症候群」「バトー症候群」などが代表的な染色体異常の症状の名称です。高齢出産では、この染色体異常が起こりやすくなります。

妊娠には、卵子と精子が必要なのですが、この卵子か精子に染色体異常があると、当然、胎児にも染色体異常が現れます。染色体異常は精子にも表れますが、悲しいことに、卵子のほうが染色体異常が現れる確率は高くなります。

と言うのも、精子はいつも新鮮なものを作り続けられているのですが、卵子の方はそうではありません。卵子は、母親が胎児の時からずっと体内にあるので、年齢分、卵子も年を取っていくのです。そして、環境や身体の影響を、卵子は受けますので、その母親が40歳で妊娠したとすると、40年分の環境の影響を受けているのです。そのため、染色体異常は精子にも起こりますが、精子より卵子のほうが、より染色体異常が起こりやすいと言われているのです。

男性が高齢の場合もリスクがある

流産する可能性が高くなる

Image

しかし、女性ばかりでなく、男性が高齢の場合も当然リスクはあります。まず、「流産する確率」です。これは女性同様、男性が高齢の場合も流産の確率が上がります。男性が45歳より高齢の場合、25歳未満の男性と比較すると、自然流産の確率は約2倍となると言う統計もあります。

子どもが子宮頸がんになりやすい

米カリフォルニア州の公立学校教職員を対象とした研究では、30~34歳の男性から生まれた女性は、父親が25~29歳で生まれた女性と比べて、子宮内膜がんのリスクが25%高かったことが分かっています。

しかし、この研究では、父親が20歳未満で出生した女性についても調べていて、その場合、父親が25~29歳で出生したケースと比較して、乳がんになる確率は35%高く、卵巣がんでは約2倍となるという高い結果が出ました。精子にも「適齢期」というものがあるのかもしれないですね。

子どもが自閉症になる可能性が高くなる

アメリカの研究では、30歳以下の男性と比較して、40歳以上の男性の方が、自閉症の子供が生まれる確率が6倍高くなるという驚くべき報告もあります。自閉症などの発達障がいに関しては「これが原因だ」というものが分かっていないだけに、男性の高齢リスクには注目されています。

高齢出産のリスクを減らす方法

晩婚化の今、すこしでも高齢出産のリスクを下げたいと願う人は多くいます。それに関しての研究も進んできており、少しずつですが、高齢出産でも、リスクを低めることができる方法が分かってきました。

Image

野菜中心の食生活

高齢出産のリスクを減らす食事は、塩分控えめで、高たんぱく低カロリーの食事です。炭水化物は多く撮りすぎず、できるだけ野菜を中心とした食生活を心がけましょう。特に、野菜でも、根菜は身体を温める効果もあるので、おすすめです。温野菜も、栄養価が高く、たくさんの野菜を一度に取れるのでおすすめです。

太りすぎも痩せすぎも避ける

高齢出産では、まずは体調管理が一番大事になります。体重を気にするあまり、痩せすぎになるのもいけませんし、太りすぎも高血圧や糖尿病のリスクがあります。太りすぎず、痩せすぎず、自分が一番楽な体型でいることが高齢出産のリスクを減らすことにもつながります。

高齢出産にはメリットもある

Image

経済的負担が少ない

色々書きましたが、高齢出産はデメリットばかりではありません。メリットもたくさんあります。まずは「経済的負担が少ない」ということです。出産時には、ある程度の地位や収入が予想されるので、お金がなくて、子どもにやらせてあげたいことをさせてあげられない!ということもありません。

子宮がんのリスクが減る

南カリフォルニア大学の研究ですが、最後の子を30代や40代で出産すると子宮がんのリスクが下がることが分かりました。最後の子を25歳までに出産した人と比較すると、35~39歳の出産で32%のリスク減、40歳以上では44%もリスク減していると言うのです。これは、高齢出産の大きなメリットの一つかもしれません。

マタニティブルーになりにくい

マタニティブルーとは、ホルモンバランスの変化による軽いうつ状態なのですが、高齢出産ではマタニティブルーになりにくいことが分かっています。育児や今後に対する不安がマタニティブルーに表れやすくなると言われていますので、高齢出産では、若年層に比べて、しっかりとした考えがあることで、育児や今後に対する不安感が少ないのが原因かもしれません。

生活リズムを改善しやすい

高齢出産では「リスクが高い」ということが浸透しているだけに、高齢出産を迎える妊婦さんは、食生活や生活リズムの改善に真摯に取り組みます。そのことが習慣化し、その後も、健康的に暮らしていくことのできる人が増えているのです。

出産年齢についてはパートナーとよく話し合ってみて

デメリットばかりが取り沙汰されがちな高齢出産ですが、最近では、科学的にもメリットがあるという部分も見えてきました。子宮がんのリスクが減ると研究には驚きますよね。

しかし、もちろん高齢出産ならではのリスクも見逃せません。それも踏まえて、自分のライフプランを、パートナーとよく話しあってみましょう。意外に、話をしないと、相手がどのような年齢で妊娠出産をのぞんでいるのかわからないことが多いものです。

もちろん、赤ちゃんは授かりものなので、自分の希望通りにはなかなかいかないことも多いですが、その時々で話し合うことで、自分たちの家族のカタチが明確になってきますよ。