エストリオールとは?腟錠もある?効果と副作用は?

卵胞ホルモン剤のエストリオールは、エストロゲンの不足を補う薬です。更年期障害や腟炎の治療などに使われているエストリオールの処方や効果、服用することで起こる副作用について解説します。

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目次

  1. エストリオールとは?
  2. エストリオールの効果は?
  3. エストリオールの副作用は?
  4. エストリオールの飲み方は?
  5. エストリオ―ル使用上の注意点は?
  6. エストリオールのメリットとデメリットを理解しよう
  7. あわせて読みたい

エストリオールとは?

エストロゲン(卵胞ホルモン)の一種

エストロゲンは卵胞ホルモンとも呼ばれるホルモンです。思春期を迎えるころに卵巣からの分泌量が増え始め、乳腺の発達や骨の形成に影響を与えます。

大人になって性成熟期を迎えると、エストロゲンは卵胞から大量に分泌されるようになります。妊娠に向け子宮内膜を厚く成長させたり、腟粘膜に弾力と潤いを与えたり、腟内の粘液量を調整したりというはたらきをするのです。

規則的な生理周期では、エストロゲンは生理周期の中で生理が終わるころから徐々に分泌量が増え、排卵前にピークを迎えます。エストロゲンの分泌量が最大となったのをきっかけに下垂体からは黄体化ホルモン(LH)が分泌され、排卵が誘発される仕組みです。エストリオール製剤は、なんらかの原因でエストロゲンが不足しているときに、不足を補う薬として処方されます。

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経口薬と腟錠がある

エストリオールには飲み薬として処方される経口薬と、腟から挿入する腟錠のふたつのタイプがあります。エストリオール錠は複数のメーカーから、有効成分の含有量が異なる製品が発売されています。

薬価はそれぞれで異なります。代表的なものでポーラファルマ社製のエストリオール錠1mg「科薬」が9.8円、富士製薬工業製のエストリオール錠1mg「F」が10.9円です。腟錠では富士製薬工業製のエストリオール腟錠0.5mg「F」が19.4円で、腟錠のほうが経口薬よりも高い設定となっています。

エストリオールの効果は?

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腟炎や子宮頸管炎の治療

普段の腟の内部は、子宮頸管や腟壁などから分泌される粘液や液体で、うるおいが保たれている状態です。うるおいが保たれた腟内は、腟の中を酸性にして清浄に保つ乳酸桿菌が活動しやすい環境です。

ところがエストロゲンが不足してくると子宮頸管からの分泌液が減ってしまい、細菌に感染しやすくなります。エストリオールは腟の環境を戻し、細菌感染による腟炎や子宮頸管炎を治療するために使われます。

子宮頸管炎や腟炎は、慢性化すると卵管や卵巣に上行感染を起こすこともあります。卵管炎まで発展すると、不妊症となる可能性も高まります。腟に違和感があるときは、放置せずに早めに医師による診察を受けましょう。

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子宮腟部びらんの治療

子宮の入り口付近は腟の最奥部分に接していて、子宮の端が腟の中に入り込んでいます。腟の中にまで伸びている子宮の端を子宮腟部と呼び、子宮腟部びらんはこの部分が赤くただれたようにみえる状態のことを言います。

赤くみえるのはほとんどが生理的現象で、本当にただれているわけではありません。そのため仮性びらんや偽びらんと呼ばれることもあります。とくに重い症状がなければ治療の必要はありませんが、おりものが増えたり不正出血があったりするときは薬による治療がすすめられます。

更年期障害の治療

女性は50歳ころに卵巣の中の卵胞がなくなり、生理が永久的に停止します。いわゆる閉経です。更年期障害は閉経を含む前後の10年間のことを指すため、おおむね45歳ころから55歳ころまでの期間となります。

更年期では卵巣機能が衰え、エストロゲンの分泌も低下します。身体にはさまざまな変化があらわれ、エストロゲンのはたらきでうるおいを保っていた腟粘膜が縮んだり、動脈硬化の発症が増えたりするのです。

また、卵巣からのエストロゲンの分泌停止は下垂体の混乱を招き、結果として更年期では自律神経が乱れがちになります。のぼせやイライラ、不眠や多汗などの不快症状が出るのは自律神経の乱れによるもので、エストリオールを服用することで不快症状を緩和する効果があります。

骨粗しょう症の治療

骨はカルシトニン(CT)、副甲状腺ホルモン(PTH)、活性型ビタミン D(VD)という3つのホルモンが骨を新しく作る骨芽細胞(こつがさいぼう)と古い骨を壊す破骨細胞(はこつさいぼう)にはたらきかけ、古い骨を壊して新しい骨に作り替える新陳代謝を繰り返しています。

3つのホルモンはカルシウム調節系ホルモンと呼ばれ、骨の新陳代謝の場面でそれぞれ別のはたらきをしています。カルシトニンはカルシウムの血中濃度が低下したときにカルシウムを骨から放出するようにはたらき、副甲状腺ホルモンは骨の放出を抑える作用があります。活性型ビタミン Dは腸管からカルシウムを吸収し、カルシトニンを抑制するなどの作用を持ちます。

エストロゲンはカルシウム調節系ホルモンと密接にかかわりながら、カルシウムが放出されるのを抑えたり、カルシウムの腸管吸収を促したりして骨を保護しているのです。骨粗しょう症の治療現場では、エストラジオールを投与することで、エストロゲンの骨保護作用が発揮されると期待されています。

エストリオールの副作用は?

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血栓症(重大な副作用)

エストリオールの作用は穏やかではありますが、重大な副作用としてエストリオールを含む卵胞ホルモン剤の長期使用では、頻度は不明ながらも副作用として血栓症が起こることが報告されています。

エストロゲンはタンパク質のひとつであるグロブリン合成を促すはたらきがあります。合成されるたんぱく質の中には、血液を固める要素を持つタンパク質も含まれています。さらに、血液凝固を抑えるタンパク質を低下させる作用も持つため、血栓症にかかったことがある人や家族に血栓症の人がいるときは特に注意が必要です。

その他の症状

卵胞ホルモン剤の使用ではアレルギー反応として発疹やかゆみが出たり、不正出血やおりものの増加がみられたりということが報告されています。また、吐き気や嘔吐、食欲不振も副作用として起こる可能性がある症状です。

乳房の痛みや張った感覚、めまいやだるさなども起こることがあるため、副作用症状を感じたら早めに医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

エストリオールの飲み方は?

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1回0.1~1.0mgを1~2回服用

腟炎や子宮頸管炎、子宮腟部びらんや更年期障害の治療では、1回0.1~1.0mgを1日1~2回服用します。骨粗しょう症の場合は1回1mgを1日2回服用することとされています。

エストリオールは通常とは異なる量や頻度で処方されることがあります。年齢や症状にあわせ、医師が判断して調整を行います。処方された量に対して疑問や不安があれば、医師に相談するようにしましょう。

飲み忘れたら気づいたときか次の回に

卵胞ホルモン剤は食前や食後の服用に規定がなく、食事のタイミングにとらわれずに、決められた容量を定期的に服用していくことが大切になります。

そのため、飲み忘れに気がつたときはその場ですぐに服用するようにしましょう。ただし、次の回の時間が近いときは1回分を飛ばして、次のタイミングのときに1回量を服用します。まとめて2回分を服用しないようにしましょう。

医師の指示に従おう

女性らしさを保つ女性ホルモンを「ずっと維持しておきたい」と願うこともあるかもしれません。しかし、身体から分泌されている成分とはいえ、エストロゲンを過剰に摂取することは好ましいことではありません。

アメリカでの臨床試験では、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤の連続投与や卵胞ホルモン剤の長期使用が乳がんや卵巣がんのリスクを高めると報告されています。服用に際しては、必ず医師の指示に従うようにしましょう。

エストリオ―ル使用上の注意点は?

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妊娠中や授乳中は使用しない

妊娠中や授乳中の使用に関しては、安全性が確立されていません。エストリオールの投与は避けましょう。動物に対する実験結果では、妊娠直後の着床障害がみとめられています。

特定の病気の患者は使用しない

乳がんや子宮内膜がんなどのエストロゲン依存性悪性腫瘍がある場合、乳がんにかかったことがある人は使用を禁止されています。重度の肝障害や肺塞栓症、血栓塞栓症などにかかっていたり、過去にかかったことがある人への投与も禁じられています。

また、未治療の子宮内膜増殖症や性器不正出血の原因が確定していない人も、使用はできません。いずれの疾患も症状が悪化したり、症状の出現を促してしまう危険性があります。

一部の人は慎重に使用する

子宮筋腫や子宮内膜症がある人、家族が乳がんにかかっている人や乳腺症など乳房に異常がある人は、慎重な投与が求められます。

肝臓に障害があったり、腎臓、心臓に疾患があったりすると症状が悪化する恐れがあります。また、てんかんや糖尿病の人は症状が憎悪する可能性があります。いずれも症状に対する管理を行いながらエストリオールを服用しましょう。

思春期前の子どもや、骨の成長が終わっていない時期に投与すると成長が停止する可能性があるため注意が必要です。

エストリオールのメリットとデメリットを理解しよう

エストリオールは身体に不足しているエストロゲンを補足し、加齢による身体の変化を抑えてくれるはたらきがあります。その一方で、卵胞ホルモン剤の使用は悪性腫瘍などを発症するリスクや、血栓塞栓症による重篤な副作用が報告されているのも事実です。

薬を使用することによるメリットとデメリットを十分に理解し、医師の診察を受けるようにしましょう。受診の際にはこれまでかかった病気や家族・親戚の病歴もできる限り把握しておくと、薬によるリスクを避けることにつながります。

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