受精卵(初期胚や胚盤胞)のグレードと妊娠確率の違いとは?〜体験談あり〜

体外受精を受けると、お医者様から「受精卵」について説明されます。「初期胚」「胚盤胞」などと異なる呼ばれ方をしたり、グレードという言葉が出てきたり、難しい言葉も多いですよね。ここでは、受精卵の種類、グレードと妊娠確率の違い、胚移植の方法について、医師監修の記事で詳しく説明していきます。

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この記事の監修

目次

  1. 受精卵とは
  2. 受精卵のグレードとは?
  3. グレードによって妊娠の確率が違う?
  4. 初期胚の移植
  5. 胚盤胞の移植のメリットとデメリットは?
  6. その他の胚移植
  7. 体外受精の体験談
  8. まとめ
  9. おすすめ書籍
  10. あわせて読みたい

受精卵とは

受精卵(Fertilized egg)とは、卵子と精子が融合して生まれた細胞のことです。大きさは約1mmになります。受精後、受精卵は時間をかけて細胞分裂を繰り返し、子宮内へ着床できる状態へと変化します。

着床するまでに8回以上分割すると言われています。受精後1~2日目で受精卵が2~4つの細胞に分かれ、「初期胚」と呼ばれるようになります。更に5~6日目には「胚盤胞」と呼ばれる状態まで分裂が進みます。この後、6~7日目に胚盤胞の状態で、子宮内膜に接着し、子宮内膜に潜り込んで着床が成立します。

体外受精では、この受精卵を適切な時期に適切な状態で子宮内に戻すことが、妊娠の確率を左右すると言われています。

受精卵のグレードとは?

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初期分割胚のグレード

初期胚は、グレードの数が小さいほど良い受精卵です。グレードは1~5まで分類されています。分割の均等さと、細胞の壊れている部分(フラグメンテーション)がどの程度あるかに応じて、グレードが決まります。 具体的には下記のように分類されています。

グレード1:分割が均等で、フラグメンテーションがない
グレード2:分割が均等で、フラグメンテーションが10%以下
グレード3:分割が不均一で、フラグメンテーションが10%以下
グレード4:分割が不均一で、フラグメンテーションが10~50%
グレード5:分割が不均一で、フラグメンテーションが50%以上

胚盤胞のグレード

胚盤胞は、初期胚とは反対に、グレードの数が大きいほど良い受精卵です。グレードは1~6まで分類されています。グレード1~3までは成長段階の違い、グレード3以上は「内細胞塊」と「栄養膜」の状態の違いでさらにA~Cの3段階に分けます。例えば「5AB」なら内細胞塊の状態が良く(A)、栄養膜の状態が普通(B)という意味です。「5AA」が最もグレードの高い状態です。

グレードによって妊娠の確率が違う?

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初期胚の妊娠の確率

グレードの定義が分かったら、気になるのは妊娠の確率ですよね。病院や年齢、子宮の状態によっても妊娠の確率は変わります。初期胚での妊娠成功率は、20%程度と言われています。初期胚のグレード3までは、十分妊娠する可能性があると言えます。

胚盤胞の妊娠の確率

胚盤胞にまで到達する確率は30%程度ですが、到達できた場合、グレードが上がるほど妊娠率は高まると言われています。胚盤胞の培養期間は5~6日目までで、それ以上になると妊娠率は大きく落ちます。日本IVF学会では「胚盤胞の発生段階と内細胞塊及び栄養外胚葉の評価が妊娠成績に与える影響について」という論文で、以下の妊娠成績を発表しています。

       培養5日目  培養6日目
グレード4  58.4%   37.3%
グレード3  41.7%   24.0%
グレード2  35.0%   8.1%
グレード1  18.1%   14.3%
全体合計   47.4%   26.7%

初期胚の移植

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初期胚の移植は、体外受精の手法が確立した当初から行われています。現在最も多くの病院で行われているのが、3日目移植、つまり8分割の胚の移植です。受精ができれば8分割程度までは分割が進むことが多いので、移植自体がキャンセルになる確率は胚盤胞に比べて少ないでしょう。しかし、着床までに子宮内で分割が止まってしまう可能性はあります。胚盤胞に比べて、初期胚は分割のどの段階で問題があったのか見極めることが難しいとされています。

胚盤胞の移植のメリットとデメリットは?

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妊娠確率だけを見ると、初期胚よりも胚盤胞の移植のほうがメリットが大きそうです。胚盤胞の移植のメリットとデメリットを整理してみましょう。

胚盤胞移植のメリット

◯より質の高い受精卵を選べる
◯着床時期に併せて移植できる
◯1個の胚でも、初期胚移植に比べて着床率が高い

胚盤胞移植のデメリット

◯胚盤胞に育たず移植がキャンセルになる可能性がある
◯培養費用が発生する(病院による)

これらを考慮に入れたうえで、どこまで培養して移植するかを検討してみるとよいでしょう。

その他の胚移植

単に初期胚や胚盤胞を移植する方法の他に、以下のような胚移植方法のオプションを持つ病院もあります。希望する場合は、実施している病院で相談してみましょう。

二段階胚移植

2個以上の受精卵を準備します。まず4分割の段階で初期胚移植を行います。この受精卵が刺激となり子宮が着床のために変化します。残りの受精卵が胚盤胞まで分割したら、更に子宮の中へ移植します。

凍結融解胚移植

受精卵を初期胚または胚盤胞の状態で一旦凍結し、子宮内の環境を整えてから移植を行う方法です。日本産婦人科学会の2010年発表の体外受精実績では、新鮮胚を用いた場合の出生に至る確率は15.9%に対して、凍結胚を用いた場合は22.4%です。

SEET法(シート法)

まず受精卵を5日目の胚盤胞まで培養し、凍結保存します。この時に、受精卵を培養するのに用いた胚培養液も別に凍結します。そして移植を行う周期に、あらかじめ凍結しておいた胚培養液を解凍して子宮内へ注入します。この物質により刺激を受け、着床しやすい状態へ変化します。その2~3日後に胚盤胞を1個移植します。

体外受精の体験談

筆者も体外受精体験者です。採卵2回目で、初期胚グレード3の8分割胚移植で妊娠しました。

上記のように受精卵のことを勉強すると、やはり胚盤胞まで育てた方がよいのではと当初は思っていました。しかし、実際には採卵1回目で、すべての受精卵が2~4分割で成長が止まってしまい、移植自体がキャンセルになってしまいました。

その後、お医者様と相談して、誘発を見直して再度受精卵を採卵し、2回目はまず初期胚での移植となりました。それでも、移植した受精卵は子宮の中で頑張って育ってくれて、無事着床しました。確率はいろいろな考え方がありますが、ご自身の体や受精卵の状態にあわせて、ベストな選択を考えて実行していくことが大切ではないかと思います。

まとめ

受精卵には初期胚・胚盤胞があり、それぞれグレードが分かれており、それに合わせた移植の方法があります。妊娠に至る確率は、年齢・子宮の状態・受精卵の状態によって様々なので、一緒に取り組んでくれるお医者様と相談して、一番納得のいく方法で移植し、受精卵の力を信じて引き出していくことが大切です。

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