フォリスチムで妊活!排卵誘発の効果と副作用、自己注射の使い方は?

排卵障害の治療で、メジャーになってきたフォリスチム。注射タイプの排卵誘発剤で直接卵巣に働きかけることで、高い効果を発揮します。製造方法が異なるため、これまでのゴナドトロピン注射よりも純度が高く、安定した効果が見込めます。在宅で自己注射できるため注目されています。フォリスチムの費用や副作用を解説します。

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目次

  1. フォリスチムとは
  2. フォリスチムの排卵誘発の効果・妊娠率は?
  3. フォリスチムの副作用は?
  4. フォリスチム注射(フォリスチムペン)の使い方は?
  5. フォリスチムの薬価は?
  6. フォリスチム使用上の注意点は?
  7. フォリスチムを正しく服用して不妊治療をすすめよう
  8. あわせて読みたい

フォリスチムとは

排卵を誘発する注射

フォリスチムは、「フォリトロピンベータ」を主成分とする排卵誘発剤です。FSH(卵胞刺激ホルモン)を補充するゴナドトロピン製剤のひとつで、これまでの尿由来のものとは違い、バイオテクノロジーを活用した遺伝子組み換え型の製剤となっています。卵巣に働きかけ、LH(黄体形成ホルモン)と協力して卵子を成熟させます。

フォリスチムのメリットは、純度が高く、製品ごとの効果が安定していることです。また、種細胞を培養することで、原材料の制限がなくなるため、安定した供給も可能となります。海外では「プレゴン」という製品名で10年以上前から販売されており、日本でも不妊治療においてメジャーな薬となりつつあるようです。

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自己注射もある

フォリスチムのもうひとつの特長として、医療機関で適切な教育を受けた人は在宅で自己注射が可能な点があります。もともと、ゴナドトロピン製剤の注射のためには、病院に連日通う必要がありました。日常生活に支障が出ることもあり、不妊治療の負担を少しでも軽くするために在宅自己注射の導入が望まれていたのです。

フォリスチムは、水溶液製剤なので溶解の必要がありません。カートリッジを専用ペン型注入器にセットするだけで、すぐに皮下投与が可能です。また、注射量も細かく調整することができます。必要となるものは、専用ペン型注入器、専用注射針、フォリスチムのカートリッジです。

自身で注射する場合、医師の十分な指導や、徹底した管理のもとで行う必要があります。廃棄物の処理にも気を遣わなくてはいけません。しかし、長い通院が不要となり、時間や費用が節約できるなど、多くの利点があるといわれています。

フォリスチムの排卵誘発の効果・妊娠率は?

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無排卵月経や稀発月経の治療に役立つ

本来、排卵期になるとFSH(卵胞刺激ホルモン)が分泌され、卵巣のなかの原始卵胞を刺激し、そのうちのひとつが成長をはじめます。フォリスチムは、このFSHを補い、同様の働きをします。投与されると、卵巣を刺激して卵子を成熟させ、排卵を促します。

クロミッドなどの内服薬は、脳に働きかけてFSHの分泌を促しますが、フォリスチムは注射によって直接卵巣を刺激します。そのため、飲む排卵誘発剤よりも、より強い排卵誘発効果が期待できます。

フォリスチムはさまざまな排卵障害に有効といわれています。たとえば、生理があっても排卵されていない「無排卵月経」の治療や、生理周期が一般より長く、排卵が遅くなりがちな稀発月経などの治療に役立つとされています。

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体外受精で複数の卵子を排卵させる

フォリスチムは、排卵障害の治療のほか、体外受精における採卵のサポートにも使用されています。体外受精とは、採取した卵子と精子を受精させ、受精卵を子宮に戻して着床を促す治療です。

体外受精の成功率をあげるには、質の良い卵子を複数採取することが重要です。そのため体外受精では、採卵の前に排卵誘発剤を用い、数個の卵子を成熟させるのが一般的です。

フォリスチムの臨床データでは、体外受精の女性に投与した際、採卵数の平均は12.7個であり、肺移植実施後の妊娠継続率は22.9%となっています。これは「複数卵胞発育のための調節卵巣刺激」には有効な数字であり、さまざまな病院で処方されています。

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フォリスチムの副作用は?

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卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

フォリスチムに引き続いてhCG製剤を投与すると、卵巣が過剰に刺激されて腫れあがり、腹水がたまるなど、さまざまな症状を引き起こすことがあります。これを「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」とよび、重度なものだと入院する必要があります。

自覚症状としては、下腹部の痛み、腹部の膨満感、吐き気などがあります。血管内の水分が腹水にかわるため、喉の渇きや、乏尿にも注意しなくてはいけません。このような自覚症状がでたときや、急激に体重が増加した場合はすぐに医師に相談しましょう。超音波検査や血液検査で、卵巣腫大の有無は確認できます。

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血栓塞栓症

フォリスチムの副作用のひとつに、血管に血のかたまりが生じ、炎症や閉塞などが起こる「血栓塞栓症」というものがあります。OHSSが重症化すると、血管の水分が失われて、血栓塞栓症となる可能性があります。

また、OHSSが認められなくても、重度の肥満や、過去の既往歴によっては、静脈・動脈血栓塞栓症のリスクが高くなるといわれています。血栓塞栓症の症状としては、血を吐く、吐き気、胸の痛み、腹痛、知覚の麻痺などがあります。気になる症状が出てきたら、すぐに医師に相談しましょう。

流産

人工授精や体外受精などの生殖補助医療を受ける場合、流産率は一般の女性よりは高くなります。フォリスチムは体外受精の際に使われることもあるので、流産の危険性は理解しておかなくてはいけません。

流産が副作用となる確率は、フォリスチムで約0. 3%といわれています。自覚症状としては、下腹部の痛みや性器からの出血があります。

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子宮外妊娠

体外受精などの生殖補助医療をうける女性は、自然妊娠と比べると子宮外妊娠の可能性が高くなります。子宮外妊娠とは、受精卵が本来の子宮以外の部位に着床し、発育した状態です。

医療機関で、超音波断層法検査をすることで、子宮内妊娠を初期に確認できます。フォリスチムによる子宮外妊娠の確率は0.1%ほどなので、他の排卵誘発剤と比べて特別高いわけではありません。自覚症状としては、下腹部の痛みや不正出血があります。また、人によっては気を失うこともあるようです。

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多胎妊娠

ゴナドトロピン製剤を用いた不妊治療では、双子などの多胎妊娠の確率があがるといわれています。自然周期では、「主席卵胞」とよばれるひとつの卵胞のみが成熟し、そこから卵子がひとつ排卵されます。そのため、基本的には単体妊娠であり、多胎妊娠の可能性は1%以下といわれています。

排卵誘発剤を使った場合、複数の卵胞が成熟して排卵するので、多胎妊娠の確率があがるようです。フォリスチムの多胎妊娠の確率は、29. 0%ほどといわれています。多胎妊娠では、流産や早産、妊娠高血圧症候群のリスクも高まります。

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フォリスチム注射(フォリスチムペン)の使い方は?

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体外受精では1日1回×4日間

体外受精のため卵胞を複数発育させる場合、フォリスチムを連日注射する必要があります。使用されるのは「フォリスチム注75」「フォリスチム注150」などで、一般的に一日150IUか225IUを4日間続けて投与します。

その後は、医師が卵胞の発育を検査しながらフォリスチムの容量を調整し、6~12日間続けます。超音波検査で16〜20mmほどの卵胞が3個以上確認されたら、hCG剤によって、さらに排卵を誘発し、採卵に備えます。

無排卵・稀発排卵の治療では1日1回×7日間

排卵障害の治療としては、一般的に50IUを月経3~5日目から7日間続けて注射します。「フォリスチム注50」や「フォリスチム注75」が処方されることが多いようです。 その後は卵胞の大きさを確認しながら、容量を医師が調整します。

反応が悪い場合は7日間ごとに25IUずつ増量していきます。18mm以上の卵胞が超音波の検査で確認されたら、hCG製剤の注射で排卵を促します。タイミング療法では、排卵にあわせて性交するように指導されます。

注射し忘れたら

在宅でフォリスチムを注射する場合、うっかり打つのを忘れてしまうこともあります。その場合、二回分を一度に注射することは、過剰に卵巣を刺激するため禁止されています。

基本的には、気づいたときにすぐに1回分を注射します。次に使用する時間が近い場合はその回は使用せず、次の時間に1回分を注射することが推奨されます。しかし、医師の判断にもよりますので、安易に自分で決めつけず、気づいたときに医療機関や医師に相談しましょう。

フォリスチムの薬価は?

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自己負担で3,500~7,000円程度

フォリスチムは、基本的に体外受精など生殖医療に使用される場合は保険適用外です。フォリスチムの薬価は、一番フォリトロピンベータの含量が少ない「フォリスチム注50」で約3,000円となっています。

他にも「フォリスチム注50」「フォリスチム注75」「フォリスチム注300IUカートリッジ」「フォリスチム注600IUカートリッジ」などの種類があり、同じ濃度で含量が変わっています。含量が多いほど、薬価もあがり、高いものですと7,000円ほどになります。病院で治療を受ける場合、これに注射手技料が加算され、さらに200~300円ほどかかります。

排卵障害の治療では保険適用

一般的に、不妊治療においては、排卵障害の治療や検査には保険が適用されます。フォリスチムも、排卵障害の治療のために排卵の誘発を行うという目的については保険適用となります。

保険が適用されると3割負担となるため、フォリスチムの費用は1,000円~2,000円程度となります。しかし初診料や検査料、注射手技料などが別途かかることになります。病院によって費用の幅があるため、事前に確認してみましょう。

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自己注射の場合は指導料も加算

在宅で注射する場合、医師に注射方法や廃棄物の処理などの指導を受けなくてはいけません。一般的に、 在宅自己注射の導入前には、入院や週2~3回以上の外来によって、医師による十分な教育期間を取る必要があります。

この場合、自己注射指導料や手技確認が加算されるので、4,000~5,000円程度の費用がかかります。そのぶん、通院の時間や交通費がかからなくなるので、メリットも大きいといえるでしょう。

フォリスチム使用上の注意点は?

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一部の病気の患者は使用できない

乳がんや子宮内膜がんなどのエストロゲンに関連した悪性腫瘍がある人や、その疑いがある人はフォリスチムは使用できません。フォリスチムはエストロゲンの増減にも関わるため、腫瘍の悪化をまねく恐れがあるからです。また、理由不明の不正出血がある場合も、悪性腫瘍の可能性があるため、同様に使用できません。

OHSSではないのに、卵巣腫大がある場合もフォリスチムは投与されません。卵胞を刺激するため、症状が悪化してしまう可能性があるからです。

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妊娠している人は使用できない

妊娠している人や妊娠の可能性がある人は、フォリスチムの使用はできません。臨床試験などで、まだ妊婦への安全性が確立していないからです。胎児への影響もわかっていないので、妊娠中は使用禁止となっています。

そのため、フォリスチムを使っているときは定期的に病院で検査をし、妊娠の有無を調べる必要があります。

子宮内膜症や子宮筋腫の人は慎重に使用

子宮内膜症とは、本来、子宮内にしか存在しない組織が、子宮以外の場所にできる病気です。フォリスチムはこの子宮内膜症を悪化させてしまう可能性があるので、まずは治療をしてからの投与が望ましいとされます。

子宮筋腫がある人も注意が必要です。子宮筋腫とは、子宮にある良性の腫瘍のことです。子宮筋腫は女性ホルモンに関係しているので、フォリスチムによって子宮筋腫が大きくなる可能性があります。

家族に乳がんになった人がいる場合や、乳がんの既往歴がある場合も、再発の可能性があるので慎重に使用しなくてはいけません。

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飲みあわせは医師に確認

フォリスチムには、併用に注意しなくてはいけない薬が存在します。現在、他の薬を服用している場合や、フォリスチム治療中に新しい薬を処方された場合は、必ず担当の医師に確認しておきましょう。

たとえば、クロミッド(クロミフェンクエン酸塩)とフォリスチムの併用は、卵胞への刺激が増強する可能性があるので注意が必要です。ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬との併用は、逆に卵胞反応を弱めてしまうこともあるようです。hCG製剤との併用もOHSSの可能性が出てくるので、医師によく相談、確認しておきましょう。

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フォリスチムを正しく服用して不妊治療をすすめよう

フォリスチムは、純度が高く、効果が安定した排卵誘発剤です。自宅で注射できるので、連日病院に通う必要もなく、不妊治療の負担を軽くしてくれます。

便利な反面、使用方法や副作用には十分に注意しなくてはいけません。わからないことや心配なことは医師にしっかり確認し、フォリスチムを正しく使用していきましょう。

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