ホルモン補充周期を解説!スケジュールや移植の時期、出血について

ホルモン補充周期は、凍結していた胚を移植する周期のひとつです。体外受精で培養した胚を移植する場合、より妊娠しやすいタイミングを図ることが大切になります。ホルモン補充周期の概要を解説しながら、妊娠しやすいタイミングはいつか、メリットやデメリット、副作用はあるのか、ほかの周期法との違いはなにか、そんな疑問にお答えします。

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目次

  1. ホルモン補充周期とは?
  2. 胚移植に関連する周期
  3. ホルモン補充周期のスケジュールは?移植はいつ?
  4. ホルモン補充周期の副作用は?出血がある?
  5. ホルモン補充周期のメリット・デメリットは?
  6. ホルモン補充周期に関する体験談
  7. ホルモン補充周期で妊娠の可能性を広げよう
  8. あわせて読みたい

ホルモン補充周期とは?

ホルモン補充周期は、不妊治療の生殖補助医療(ART)で胚を凍結保存している人に関係してくる周期です。

体外受精では採取した卵子や精子を体外で受精させ、受精卵が分割を起こし胚となった状態で子宮に戻します。新鮮な胚を使う場合、採卵と胚移植はひとつの周期で行われます。一方で、凍結している胚を融解し子宮に戻すときには、採卵する周期と移植する周期が異なります。

凍結融胚を移植する際には、自然な排卵のあるなしにかかわらず、子宮内膜が着床に適した状態に育っていなければなりません。そのためホルモン剤を使用して架空の排卵を起こし、子宮内膜を育てる方法がとられることがあります。この治療法をホルモン補充周期(法)と言います。凍結融胚を移植する周期には、ほかに排卵誘発周期と自然周期があります。

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胚移植に関連する周期

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ホルモン補充周期

子宮内膜は生理が終わってから排卵までのあいだにエストロゲンのはたらきで増殖し、排卵後はプロゲステロンが作用して着床に適した状態に維持されます。

ホルモン補充周期ではエストロゲンと同じはたらきをするエストロゲン製剤(卵胞ホルモン剤)と、プロゲステロンの作用を持つプロゲステロン製剤(黄体ホルモン剤)の2種類を使用して、自然の生理周期と同じように子宮内膜を育てていきます。

ホルモン剤で周期を管理するため移植の日程が調整しやすく、黄体機能不全があったり排卵に問題があったりする場合にも適した治療法です。

排卵誘発周期

排卵誘発周期は、排卵誘発剤を使用して排卵を安定化させる周期です。胚移植のときは着床に適した子宮内膜を必要とするため、排卵誘発剤を使用して確実な排卵を促します。

体外受精の治療では、採卵を行うために排卵誘発剤を使って良質な卵胞を育てますが、このときの周期も排卵誘発周期と呼びます。

排卵誘発を行う際は、その人の症状や身体の状態にあわせ薬の種類や量が調整されます。排卵誘発剤には経口薬と注射があり、使う薬によって来院の頻度が異なります。月経不順や子宮内膜が薄い方に適した方法で採卵と一緒に行うことが可能ですが、排卵誘発剤の使用により卵巣過剰刺激症候群が起こる可能性もあるため注意が必要です。

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自然周期

自然周期とは、ホルモン剤に頼らずに自然な生理周期の中で採卵や胚移植を行うことを言います。経口薬や注射を使用しないため、通院回数は少なく済む利点がありますが、空卵胞であったり採取できる卵胞がひとつだったりと、新鮮胚の移植までたどり着かない可能性も多くなります。

またホルモン剤を使わずに自然な周期の中で排卵を確認することから、月経不順がある人には不向きです。子宮内膜を育てるためのホルモン剤は使用しませんが、排卵を促すためのhCG注射や、胚移植後の黄体ホルモンを補充を行うケースもみられます。

ホルモン補充周期のスケジュールは?移植はいつ?

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生理開始~エストロゲンの補充

ホルモン補充周期で使われるのは結合型エストロゲン製剤(プレマリン)、エストラジオール製剤(ジュリナ)などの経口薬と、エストラーナやエストロジェルといった経皮吸収タイプのエストロゲン製剤です。生理の1~2日目から薬剤の使用を開始し、エストロゲンを補充していきます。

テープタイプのエストラーナは下腹部もしくは臀部(でんぶ)に貼り、2日ごとに交換します。薬の用量や種類は、症状や身体の状態によって調整するのが一般的です。

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生理開始12~14日に超音波検査・血液検査

生理開始から12~14日は、一般的な生理周期の排卵期に相当します。この時期に超音波検査を行い、子宮内膜が十分な厚みに達しているか確認します。着床に理想的な厚みは8mm以上で、7mm以下だと子宮内膜は十分に育っているとは言えません。超音波検査では卵胞のサイズも調べ、自然排卵が起こる可能性がないかをチェックします。

また血液検査でエストロゲンの血中濃度を測定することもあります。検査の結果、子宮内膜が十分に成長していなかったり、血中のエストロゲン濃度が低かったりした場合は、薬の追加や胚移植の延期が検討されるのです。

架空の排卵日を設定

超音波や血液検査で異常がみられず子宮内膜が十分に発育しているときは、架空の排卵日を設定しプロゲステロンの補充を開始します。ホルモン補充周期の排卵日は、プロゲステロンの補充開始日となります。

設定日からプロゲステロンを補充

排卵日を設定したら、その日からプロゲステロンの投与を開始します。プロゲステロン製剤は経口薬、腟錠、注射などさまざまな種類があります。2016年に販売が開始されたウトロゲスタン腟用カプセルや、体温上昇作用がないデュファストンなどが使われています。

凍結胚移植

性交による自然妊娠の場合、受精卵は分裂を繰り返しながら5~6日目に胚盤胞と呼ばれる状態に成長し、6~7日目に子宮に到達します。受精卵が子宮に到達するこの時期に、子宮内膜は着床に最適な時期を迎えます。

受精卵が着床するのに最適な時期を着床の窓と呼んでおり、最近の研究ではこの時期と少しでもずれていると子宮内膜と胞胚の機構がかみ合わず、着床しづらいことがわかってきています。

凍結融胚を移植するときも、着床の窓に合致するよう日程が調整されます。一般的にはプロゲステロンの補充から数えて5日目に、胚盤胞の状態の凍結融胚を移植することが多いようです。

ホルモン補充周期の副作用は?出血がある?

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不正出血が起こることがある

エストロゲンとプロゲステロンは、絶妙なタイミングで分泌がコントロールされ、子宮内膜を増殖・維持しています。ホルモン補充周期ではホルモン剤でエストロゲンとプロゲステロン量を調整していますが、なんらかの影響でホルモンバランスが乱れると、プロゲステロンが作用せずに子宮内膜が剥がれ落ちることがあります。

剥がれ落ちた子宮内膜が体外に排出されると、不正出血の症状としてあらわれます。場合によってはホルモンの補充期間を見直したり、胚移植を中止したりする必要が出てきます。不正出血が起こったときは、子宮内膜の状態を確認するためにも医師に報告するようにしましょう。

皮膚の症状

貼り薬にかぶれて、皮膚症状があらわれることがあります。また経口薬でもホルモンバランスの変化により、皮膚に発疹やかゆみ、かぶれの症状が出ることが報告されています。

皮膚症状が出る場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。投与量や薬剤の種類の変更が検討されることがあります。

乳房の張りや吐き気があることも

ホルモン補充周期法では、女性ホルモンが増えることで乳房の張りや乳房痛などが起こることがあります。消化器系の不調もみられ、ときに吐き気や腹痛、食欲不振などの症状があるとされています。

ホルモン補充周期のメリット・デメリットは?

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ホルモン補充周期のメリット

ホルモン補充周期はエストロゲン製剤とプロゲステロン製剤を使用し、子宮内膜の周期を整えながら架空の排卵日を設定するため、移植日がずれにくいというメリットがあります。

薬の投与は自宅で行えるものなので、治療を始めてからの通院回数は、子宮内膜の状態を検査する日、移植の日、妊娠確認の日と少なくて済むのも利点です。移植が確実に行われる可能性が高いこと、着床率も高くなることから、凍結融胚を移植する際には多く採用されています。

ホルモン補充周期のデメリット

ホルモン補充周期では生理開始の2日目からホルモン剤を毎日使用し、妊娠成立後も6~9週ころまではホルモン剤を継続する必要があります。また、ホルモン製剤は不妊治療への使用が認可されていないことも多く、保険適用外となるとケースがあります。

一般的に使われる結合型エストロゲン製剤(プレマリン)の薬価は1錠18.6円ですが、エストラーナテープ0.72mgは1枚106.2円です。自由診療によって医療施設ごとに薬価が設定されている薬もあります。使用する薬によっては、肉体的な負担と経済的な負担があることを理解しておきましょう。

費用を抑えたい場合は、自然周期や排卵誘発周期を選択したほうが良い場合もあります。いずれも年齢や身体の状態による判断が必要です。不安や疑問があるときは、治療前にしっかりと医師と相談してください。

ホルモン補充周期に関する体験談

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筆者はホルモン補充周期の胚移植で妊娠にいたりました。ホルモン補充周期は毎日のように服薬や貼り薬をしなければならず、大変でした。

幸い副作用などはなかったのですが、貼薬のかぶれかゆみがかなりひどかったです。立ち仕事で汗もかいていたことも関係しているかもしれません。しかしその努力の分だけ、身体も応えてくれた気がします。

ホルモン補充周期で妊娠の可能性を広げよう

ホルモン補充周期は凍結融胚の移植の際に、よく選択される治療法です。肉体的、時間的な制約が多い不妊治療において、通院回数が少なくて済む点や確実に移植が行える点が評価されています。連続周期で治療に臨めるのも、年齢にリミットがある妊活においては魅力と言えそうです。

しかし、排卵誘発周期や自然周期と比較して、妊娠率に大きな差は認められていません。胚移植に取り組む際には、年齢や生活環境などを十分に考慮して、自身のスタイルに見合った方法で妊娠の可能性を広げていきましょう。

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