体外受精のショート法、ロング法、アゴニスト法を解説!スケジュールや採卵数は?

体外受精では妊娠率を高めるため、良質な卵子を複数採卵することが重要となります。そのために行われる排卵誘発法に、アンタゴニスト法、アゴニスト法があります。卵巣を刺激する注射と併用して、点鼻薬や注射で卵子を成熟させていく方法です。それぞれのメリットやデメリット、採卵できる卵子の数を解説します。

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目次

  1. 体外受精の排卵誘発法とは?身体への刺激は?
  2. 体外受精のショート法
  3. 体外受精のロング法
  4. 体外受精のアンタゴニスト法
  5. 体外受精の方法はパートナーや医師と話し合って決めよう
  6. あわせて読みたい

体外受精の排卵誘発法とは?身体への刺激は?

体外受精とは、子宮内から取り出した卵子と採取した精子を体外で受精させ、受精卵を子宮に戻して妊娠を試みる、不妊治療のひとつです。体外受精の成功においては、成熟した良質な卵子を複数採取することがとても重要になってきます。

そのため、体外受精では採卵手術に先立って卵巣を刺激し、排卵を促すのが一般的です。これを排卵誘発法と呼びます。

注射や経口薬など、排卵誘発法にはさまざまな種類があり、採卵できる卵子の数や身体への負担が変わってきます。妊娠に関連するホルモンの分泌や年齢、これまでの治療状況を医師と確認し、ベストな方法を選ぶことが大切です。

完全自然

完全自然排卵周期法は、そのままの生理周期に沿って排卵を予測し、体外受精を行う方法です。原則として、排卵誘発剤は使用しません。身体への負担が少なく、通院回数も少なく済むというメリットがあります。薬剤を使わないので、治療費も安価です。

しかし、排卵の時期がピンポイントで特定しにくいというデメリットがあります。自然な生理周期では、基本的にひとつの卵胞しか成熟しないので、採卵数もひとつとなります。また、排卵そのものに問題があるときは、完全自然排卵周期法は使えません。

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低刺激

卵巣への刺激が低いものとしては、クロミフェン法、セキソビッド法などがあります。このふたつは、経口剤を服用する排卵誘発方法です。クロミフェンやセキソビッドは、女性ホルモンであるエストロゲンの働きを抑え、脳下垂体からホルモンを出すことで卵胞発育を促します。軽度の排卵障害によく処方される排卵誘発剤です。

注射よりも卵巣や卵子への刺激が穏やかなため、副作用も少ないといわれています。通院する回数が少なく、身体への負担も低いですが、クロミッドは長く服用すると子宮内膜が薄くなるなどの副作用もあります。

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中刺激

卵巣への刺激をある程度調整できる方法として、hMG/FSH注射による排卵誘発があります。hMG注射はFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が含まれ、FSH注射はFSHのみが含まれています。投与量を増減することで、刺激の度合いは調整できます。

経口剤のようにホルモンの分泌を促すのではなく、直接卵巣を刺激します。そのため、排卵誘発力はより強くなり、場合によっては注射にクロミッドを併用することもあります。採卵数が多くなる可能性が高いのがメリットですが、OHSSなどの副作用には注意が必要です。

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高刺激

卵巣により高い刺激を与えるのが、hMG/FSH注射に加え、GnRHアゴニストやGnRHアンタゴニストを併用する方法です。GnRHアゴニストは点鼻薬で、前周期から準備をするロング法と、投与してすぐの性腺刺激ホルモン大量分泌を利用したショート法に分かれます。

GnRHアンタゴニストは、セトロタイドやガニレストという注射薬を併用し、予定より早い採卵を防ぎます。採卵のスケジュールコントロールがしやすく、複数の排卵が可能ですが、副作用や身体への負担も大きくなるため、注意が必要です。

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体外受精のショート法

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ショート法は、hMG⁄ FSH注射に加えて、アゴニスト(点鼻薬)を使用する方法です。アゴニストは、服用した直後の数日間リバウンド現象を起こすため、性腺刺激ホルモンが大量に分泌されます。性腺刺激ホルモンの働きによって、短時間で卵胞を育てることが可能です。

ショート法に適している人

クロミフェンなどの経口剤を服用する方法よりも、多くの卵子を採取したい場合、ショート法が選択肢となります。仕事があって通院が難しく、自己注射が不可能な人にも適しています。ただし、ある程度卵巣予備能が保たれていることが必要になってきます。

ショート法のスケジュール

ショート法の主なスケジュールは以下の通りです。

1.生理初日から11日間、アゴニスト点鼻薬を使用
2.生理3日目から9日間、hMG/FSH注射を併用
3.生理11日目にhCG注射で排卵を促す
4.生理13日目が採卵予定日
5.採卵日から黄体ホルモンを補充
6.次の生理予定が過ぎ、妊娠したかどうかが判明

ショート法のメリット

治療が短時間で済むので、長期の通院が難しい人にはメリットとなります。採卵までの平均的な通院回数は、9~13回といわれています。また、短期間に注射が集中しているので、全体的な排卵誘発剤の使用量が減り、身体への負担も軽く済むでしょう。

フレアアップとよばれる現象によってホルモンの大量分泌が期待できるため、良質の卵子を複数採卵できる可能性が高まります。ショート法による平均採卵数は、8~9個といわれています。

ショート法のデメリット

ショート法では排卵前にhCG注射を使用するため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる可能性があります。また、一時的にホルモンが大量分泌され、身体に悪影響を与えることも考えられます。他にも、短時間に多くの誘発剤を使用することで、脳下垂体が回復するまである程度の時間が必要となります。

体外受精のロング法

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ロング法もショート法と同じく、hMG⁄ FSH注射に加えてアゴニスト(点鼻薬)を使用しますが、ロング法では採卵予定の前周期からGnRHアゴニスト製剤点鼻薬を使用します。長期にわたって排卵誘発剤を使うことでFSHとLHの分泌を抑え込み、採卵をコントロールすることができます。

ロング法に適している人

治療期間が長くなるため、年齢の若い人や、卵巣予備能に問題のない人が適しています。仕事などがあり、採卵予定日をなるべく特定したい人にも向いています。また、卵胞が成熟する前にLH分泌を開始してしまう体質の人の場合は、第一選択肢となります。

ロング法のスケジュール

ロング法の主なスケジュールは以下の通りです。

1.採卵予定周期の前周期高温期中ごろから19日間、アゴニスト点鼻薬を使用
2.生理3日目から9日間、hMG/FSH注射を併用
3.生理11日目にhCG注射で排卵を促す
4.生理13日目が採卵予定日
5.採卵日から黄体ホルモンを補充
6.次の生理予定が過ぎ、妊娠したかどうかが判明

ロング法のメリット

FSHやLHを完全に抑制してから排卵誘発剤を開始するので、卵胞の発育が均一になり、安定した成熟が見込めます。採卵できる卵子の数も多く、平均7~8個といわれています。また、採卵予定前に排卵してしまう可能性がほとんどないので、スケジュールも立てやすくなるでしょう。

ロング法のデメリット

排卵を抑制するため、卵胞成長のための排卵誘発剤の使用量が多くなります。そのため、費用負担が上がり、通院数も多くなります。ロング法の平均的な通院回数は11~15回です。

また、長期にわたって卵巣を刺激し、hCG注射も使用するため、OHSSになる可能性が他の方法よりも少し高くなります。計画的に採卵するため、前周期の避妊も必須です。

体外受精のアンタゴニスト法

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アンタゴニスト法は、ショート法やロング法と違って点鼻薬を使いません。hMG/FSH製剤と併用してGnGHアンタゴニストを注射し、採卵のタイミングを調整する方法です。

アンタゴニスト法に適している人

他の排卵誘発方法を試して何度か失敗している人は、アンタゴニスト法が選択肢となります。ショート法で複数の卵胞が発育しなかった人でも、アンタゴニスト法であれば卵胞が成熟する可能性があります。また、卵子の成熟にhCG製剤ではなく、アゴニスト点鼻薬が使えるため、OHSSの既往歴がある人でも治療が可能です。

アンタゴニスト法のスケジュール

アンタゴにスト法の主なスケジュールは以下の通りです。

1.生理3日目から9日間、hMG/FSH注射
2.生理6日目、10日目、11日目にアンタゴニスト注射
3.生理11日目にhCG注射かアゴニスト点鼻薬で排卵を促す
4.生理13日目が採卵予定日
5.採卵日から黄体ホルモンを補充
6.次の生理予定が過ぎて、妊娠したかどうかが判明

アンタゴニスト法のメリット

アンタゴニスト法は、排卵のコントロールがしやすいので、採卵日を調整できるのがメリットのひとつです。また、アゴニスト法のようにFSHやLHの抑制をしないので、卵胞が発育しやすくなります。平均的な採卵数は、6~7個といわれています。

卵子成熟にhCGを使用しなくて済み、ロング法と比較すると誘発剤の使用量も少ないため、OHSSの発症リスクが下がるのもメリットです。

アンタゴニスト法のデメリット

アゴニスト法と比べると、予定前に排卵する可能性が少し上がるため、スケジュール調整力は下がります。また、アンタゴニスト製剤は高額なので、卵胞発育が遅い場合は費用が高くなるのがデメリットです。

体外受精の方法はパートナーや医師と話し合って決めよう

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アゴニスト法やアンタゴニスト法は、排卵誘発法の中では高刺激のため、身体への負担は比較的重くなります。一方で、たくさんの卵子を採卵できるので、体外受精の成功率は高くなります。医師やパートナーとよく相談しながら、年齢や卵巣予備能、ホルモンの分泌を考慮し、自分に合ったベストの選択をしていけると良いですね。

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