卵子凍結保存の方法や費用は?メリットデメリットとは

高齢出産のリスクは高く、卵子の老化が進むために妊娠率は激減します。妊娠率の低下に備え、若い時期に卵子を凍結する人は年々増えているようです。しかし、凍結した卵子で必ず妊娠できるわけではありません。がん治療者や、妊娠の時期を調整したい人にとっては大きなメリットがありますが、しっかりとデメリットも把握しておきましょう。

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目次

  1. 卵子凍結保存とは
  2. 卵子凍結保存にかかる平均的な費用は?
  3. 卵子凍結保存の年齢制限は?独身でもできるの?
  4. 卵子凍結保存を希望するのはどんな人?
  5. 卵子凍結保存のデメリットは?
  6. 将来を見据えて卵子凍結保存を検討してみよう
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卵子凍結保存とは

卵子凍結保存とは、その名の通り、将来のために卵子を凍結して保存する方法です。日本でも、さまざまな医療機関が卵子の凍結保存を採用しています。具体的にはどのような方法がとられているのでしょうか。

卵子凍結保存の技術はどんなもの?

受精卵の凍結方法は、急速凍結法(ガラス化保存法)と緩慢凍結法があります。日本では、ガラス化保存法の凍結が一般的なようです。マイナス196℃の液体窒素で、排卵直前の成熟した卵子を凍結保存します。

生物の細胞活動はマイナス190℃で止まるため、何十年も状態を変化させないままで保存することが可能です。未受精卵を凍結保護剤で処理し、保存液ごとガラス化させることで、細胞が傷つかずにすみます。凍った卵子を溶かす際は急速融解法を用い、液体窒素内から常温に移して培養液中で融解させ、精子と顕微授精させます。

どのような順番で保存する?

卵子凍結保存の際には、健康状態や年齢などの適性検査がまず行われます。卵子凍結のリスクなどもしっかり把握しなくてはいけません。検査をクリアした後、卵子を一度にたくさん採取するために排卵誘発剤を使用します。少ない量をこまめに採取すると、身体に負担がかかり、費用もかさむので効率が悪いのです。

こうして排卵を促し、いくつかの卵子を採取します。卵巣に針を刺して採取するので痛そうですが、麻酔を使用することも可能です。

また、採取した卵子は成熟したもののみが保存できます。状態の良いものから順にランクをつけることもあります。採取した卵子が劣化しないうちに液体窒素で瞬時に凍結させ、凍結保存が完了となるのです。

卵子凍結保存にかかる平均的な費用は?

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病院によって異なる

基本的に、卵子の凍結保存は自由診療となるため、病院によって費用は異なります。初診から採卵、凍結保管までに50万円~80万円ほどかかることが一般的なようです。費用は、採卵が成功したかどうか、卵子をいくつ保存するのか、麻酔を使うかどうかによっても変動します。

また、費用に加え、ほとんどの病院では1年ごとに更新料がかかります。いろいろなパターンがありますが、卵子1個あたり1万円~2万円ほどです。卵子の生存率や着床率を考えると、赤ちゃんを妊娠するためには10個以上の卵子が必要といわれているので、年間の維持費用もそれなりにかかってきますね。

保険の対象になる?医療費控除はつかえる?

卵子の凍結は、保険の適用外で自費となるため、かなりの高額になることもあります。それでは、医療費控除はどうなのでしょうか。不妊症の治療費や人工授精の費用に関しては、医療費控除の対象となります。

そのため、卵子凍結の費用も不妊治療の一環と考えれば、医療費控除が受けられます。病院に行くためのタクシー代や、排卵誘発剤の費用なども対象になります。卵子凍結は一般的に費用が10万円を超えることが多いので、確定申告のためにしっかりと領収書などは取っておきましょう。

現在は、卵子の凍結に国の補助金などはありませんが、地方自治体では独自の助成があることも。まずはお住みの地方自治体の補助金などをチェックしてみてはいかがでしょう。

卵子凍結保存の年齢制限は?独身でもできるの?

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卵子の凍結に関しては、日本では法律の定めはありません。しかし、一般社団法人である日本生殖医学会が、「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドライン」を定めています。今後は、このガイドラインが病院などのひとつの指針となるでしょう。

卵子の採取は40歳未満

法律での決まりはありませんが、日本生殖医学会のガイドラインによると、卵子凍結保存の対象として40歳以上は推奨できないとされ、成人女性に限られています。そのため、多くの病院では、卵子凍結の採取年齢を40歳までとしています。それは、卵子の老化と関係しているのです。

精子とは違い、卵子の元は生まれる前から一定数が備わっており、年齢を重ねるごとにどんどん減少していく一方です。そのため、卵子は年齢とともに老化し、質が下がります。35歳を超えると染色体異常が増え、妊娠率が減少し、流産率が上がってしまいます。

よって、たとえ冷凍保存する前提であっても、卵子は若いうちに採取して保管しておくことが推奨されています。

受精卵の移植は45歳未満

日本生殖医学会のガイドラインでは、凍結保存した未受精卵子などを使用するとき、45歳以上の方では推奨できないとしています。冷凍保存した卵子は顕微授精で精子と受精させ、受精卵となります。受精卵を子宮に移植させることの限界が、45歳までというわけです。

卵子凍結を実施している病院では、45歳の誕生日を迎えると、保存していた卵子を破棄するところが多いようです。これは、妊娠・出産の安全性に問題が出てくるからです。若い卵子を使ったとしても、安全に妊娠できる期限は45歳と考えると良いでしょう。

卵子凍結保存を希望するのはどんな人?

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若い年齢の卵子を保存したい

卵子は、加齢に伴って老化してしまいます。精子と違って新しく生まれることはなく、卵巣で眠る時間が長くなればなるほど、質も悪くなっていくのです。卵子の老化は30歳頃から緩やかに始まり、35歳を超えると急に加速してしまいます。卵子の老化が進むと流産率は上がり、出産率が激減します。

女性の社会進出が進み、晩婚化も進んでいます。多くの人が、若いうちに結婚・妊娠できるわけではありません。流産しにくい若い卵子を取り出して凍結保存することで、自分なりのライフプランを形成することができます。

不妊治療の一環として

不妊治療で体外受精を選択したときは、成功するまで何度も採卵を行わなければなりません。これは、身体への負担や費用の大きさ、精神的な負担が伴います。卵子凍結保存することで採卵の回数を減らし、負担を軽減することができます。

また、なかなか治療が進まず、卵子の残り数が少なくなってしまったり、卵子の老化が進んでしまったりすることもあります。治療がうまくいかなかったときの保険として、まず卵子凍結保存を選ぶ夫婦もいるようです。

病気ですぐに妊娠できないとき

がん患者の方は、放射線治療や抗がん剤の影響で、排卵が機能しなくなってしまいます。罹患した際にも、卵子凍結保存で保管しておいた卵子を使って妊娠の可能性を高めることができます。

厚生労働省の調査によると、治療前に卵子を凍結保存しておくことで将来的に妊娠の可能性のあるがん女性患者は、年間5,000人以上とされています。しかし、実際には数百件しか凍結されていません。今後は、卵子凍結保存に対応できる病院の需要が高まっていくといわれています。

卵子凍結保存のデメリットは?

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卵子が老化するという事実が一般的になり、凍結保存という選択肢を選ぶ人は増えてきています。しかし、どんな方法にも、必ずリスクやデメリットは存在します。

多額な費用が必要

卵子の凍結は保険がきかず、いろいろな検査や維持費が必要なため、費用が高額となってしまいます。また、1年ごとに更新料がかるので、パートナーがなかなか見つからないと、より多くの費用がかかってしまうことになります。

途中で何らかのトラブルがあり、費用が払えなくなってしまうと、せっかく採取した卵子がそのまま破棄されてしまうことにもなりかねません。無事に妊娠できるまでは、常に費用のことを念頭に置く必要があります。

採卵時のリスク

排卵誘発剤を使用するので、副作用がおこる可能性があります。卵巣刺激ホルモン注射の副作用としては、吐き気やむくみなどがあります。非常にまれですが、「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」という症状がおこることも考えられます。採卵後にお腹が張ったり、急に体重が増えたりした場合は、必ず医師に相談しましょう。

また、採卵時に卵巣や腟内壁から出血することも珍しくないのです。ほとんどは問題ない範囲ですが、出血多量となった場合、手術にいたる可能性もあります。

妊娠できない可能性も

たとえ若いうちに採卵した卵子であっても、必ず受精、着床できるわけではありません。そもそも、採卵前の段階で染色体異常などがある可能性はゼロではないのです。

また、凍結や融解の過程で一定の確率で卵子が変性してしまうこともあります。さらに、保存している病院が天災や火災などにに遭うことも考えられます。こういった場合は、補償などはされません。

さらなる問題は、適切な時期にパートナーにめぐまれるかどうかです。凍結した卵子は精子と顕微授精する必要があるため、必ず病院で治療を受けなければなりません。精子提供者は、婚姻関係が前提であり、体外受精の許可も必要になります。

将来を見据えて卵子凍結保存を検討してみよう

高齢出産に備えておきたい方、病気ですぐに治療を始めなければならない方にとって、卵子の凍結はとても魅力的なものです。しかし、卵子を凍結したからといって必ずしも妊娠につながるわけではありません。費用が高額であることに加え、将来のパートナーの理解も必要になってきます。メリットやデメリットを十分に考え、ひとつの可能性として検討してみてはいかがでしょうか。

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