多胎妊娠とは?リスクや妊娠検査薬への反応は?産休は長く取れる?

双子や三つ子が生まれる「多胎妊娠」は、通常の妊娠と比べるとリスクが高いとされるハイリスク妊娠の一種です。多胎妊娠にはどのようなリスクがあるのでしょうか。妊娠検査薬への反応や産休の長さ、管理の方法についても気になりますよね。多胎妊娠の場合の妊娠中の経過や分娩について知り、心構えをしておきましょう。

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目次

  1. 多胎妊娠とは?
  2. 多胎妊娠はいつわかる?
  3. 多胎妊娠の種類は?
  4. 多胎妊娠の母体のリスクは?
  5. 多胎妊娠の胎児のリスクは?
  6. 多胎妊娠の妊娠検査薬への反応は?
  7. 多胎妊娠だと産休を長く取れる?
  8. 多胎妊娠と診断されたら安静第一で過ごそう
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多胎妊娠とは?

子宮内に胎児が複数いる状態

多胎妊娠は、子宮内に胎児が複数いる状態を指します。多胎妊娠になると子宮が増大するため、息苦しさを感じる人が多くみられます。多胎妊娠だと母体と胎児の両方に大きな負担がかかるため、高齢妊娠などと同様にハイリスクな妊娠であるといわれています。

不妊治療の影響で増加

不妊治療を行うと、自然妊娠と比べて多胎妊娠になりやすい傾向があります。排卵誘発剤で複数の卵子を排卵させたり、体外受精や顕微授精で複数の受精卵を子宮に戻したりするためです。多胎妊娠の数は近年増加傾向にあり、不妊治療の普及がその要因であると考えられています。

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分娩まで安静に管理

多胎妊娠と診断された場合には、分娩まで安静に過ごす必要があります。ケースによっては妊娠24週目以降に入院し、鉄分や葉酸といった栄養の摂取や合併症の予防措置などを行うこともあります。多胎妊娠はリスクが高い分、通常の妊娠のとき以上に身体の状態に気を遣い、厳重な管理をする必要があるのです。

多胎妊娠はいつわかる?

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多胎妊娠は妊娠初期の超音波検査でわかるのが一般的です。

多胎妊娠のリスクを大きく左右する絨毛膜(じゅうもうまく)・羊膜の枚数(=膜性)の診断は、妊娠週数が進むにつれて難しくなります。15週を過ぎると絨毛膜と羊膜が接着してしまい判断できなくなるため、妊娠10週前後が診断に最適なタイミングです。

種類によってリスクが異なるため、膜性診断をした後に分娩までどのように管理していくかを決定することになります。

多胎妊娠の種類は?

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多胎妊娠は、受精卵の数や胎児を包む絨毛膜・羊膜の数によって分類することができ、どの種類にあてはまるかによって母体や胎児のリスクが異なります。多胎妊娠の中でももっとも多い双胎妊娠(=双子)の場合について、分類の仕方を確認していきましょう。

一卵性か二卵性か

「一卵性」「二卵性」というように受精卵の数で分類する方法があります。ひとつの卵子が精子と受精し、受精後にふたつ以上の胎芽となることで双胎となるのが「一卵性」、同時にふたつの卵子がそれぞれ精子と受精して双胎となるのが「二卵性」です。一卵性の場合は胎児の血液型や性別が同じになりますが、二卵性では血液型や性別がばらばらになることがあります。

絨毛膜や羊膜が何枚あるか

胎児を包む膜の枚数(=膜性)で分類する方法もあります。以下の3種類に分類され、どの膜性かによってリスクの程度が大きく変わります。

1.一絨毛膜一羊膜双胎(MM双胎)
ひとつの胎嚢(たいのう)にふたつの胎児が確認される状態を「一絨毛膜双胎」と呼び、一絨毛膜双胎のうち胎児と胎児を隔てる壁がまったくないケースを「一絨毛膜一羊膜双胎(MM双胎)」と呼びます。MM双胎はもっとも厳重な管理が必要な多胎妊娠で、24週~26週以降は栄養摂取や薬の投与を行うために管理入院となるのが一般的です。

2.一絨毛膜二羊膜双胎(MD双胎)
ひとつの胎嚢の中に羊膜がふたつあり、それぞれの羊膜の中に胎児がいる状態を「一絨毛膜二羊膜双胎(MD双胎)」と言います。胎児と胎児を隔てる壁は薄い羊膜のみなので、MM双胎に次いでしっかりと管理する必要がある膜性です。

3.二絨毛膜二羊膜双胎(DD双胎)
ふたつの胎嚢があり、それぞれに胎児がいる状態は「二絨毛膜二羊膜双胎(DD双胎)」と呼ばれます。胎児間の壁が厚く、一絨毛膜双胎と比べると合併症などのリスクは低いといえるでしょう。二卵性の場合には必ずDD双胎になります。

多胎妊娠の母体のリスクは?

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通常はひとりしか生まれてこないはずのお腹からふたりが生まれるとなると、母体に相当な負担がかかることが想像できますよね。多胎妊娠になると、母体に対してどのようなリスクがあるのでしょうか。一般に、以下のような単体妊娠の場合にも考えられる症状があらわれる確率が高まったり、症状が強くなったりする傾向があるといわれています。

流産・早産

多胎妊娠によって子宮が大きくなりすぎると、子宮の収縮が起こりやすくなり、流産や早産となるリスクが高まります。双胎妊娠の約40~50%が早産になるといわれています。下腹部痛や不正出血、破水といった早産の兆候に十分注意しましょう。

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母体貧血

胎児が多くなると、母体の中を循環する血液の量も単胎妊娠のときと比べて多くなります。胎児を育てるために鉄(Fe)の需要が増えると「鉄欠乏症貧血」になる可能性があります。

軽度の場合は無症状ですが、ひどくなると顔面蒼白やめまい、息切れなどの症状があらわれ、母体や胎児に影響をおよぼすことも考えられます。定期的に血液検査をするとともに、食生活を整え、鉄分をしっかりと摂取することが大切です。

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妊娠高血圧症候群

多胎妊娠で母体内を循環する血液量が増加すると、循環機能や肝機能にとって大きな負担になります。こうした身体への過度の負担から、多胎妊娠では妊娠高血圧症候群やHELLP症候群を発症する確率が高くなるといわれています。

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羊水過多症

胎児が増えることで、羊水が800mLを超える「羊水過多症」となるリスクが高くなります。羊水過多症になると、子宮が大きくなってお腹の張りや呼吸困難、頻尿といった症状があらわれます。必要に応じて子宮収縮抑制剤を投与したり、入院して安静状態を保ったりすることになるでしょう。

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微弱陣痛

多胎妊娠で子宮の壁が伸びすぎて子宮の収縮(陣痛)が弱くなる「微弱陣痛」になる可能性もあります。分娩がスムーズに進行するためには適度な強さの陣痛が必要なので、微弱陣痛になると分娩がなかなか進まず長時間待機する必要が出てきます。ケースによっては子宮収縮剤を投与するかもしれません。

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弛緩出血

子宮が収縮しにくい状態になることで、胎盤が剥がれた場所の止血ができず、胎盤娩出後に「弛緩出血」という以上出血が起こることも考えられます。弛緩出血が起こると、暗赤色の血液がみられるとともに、貧血やショックといった全身症状があらわれます。

弛緩出血の疑いがある場合には、必要に応じて子宮収縮薬の投与や子宮底のマッサージ、手やガーゼによる子宮の圧迫、子宮内にバルーンを入れて止血する「子宮内バルーンタンポナーデ」を行います。出血性ショックが起こった場合には手術を行うこともあるでしょう。

多胎妊娠の胎児のリスクは?

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お腹の中にいる胎児にとっても、多胎妊娠はハイリスクな妊娠です。妊娠中と分娩時においてそれぞれどのようなリスクがあるのか見ていきましょう。

双胎間輸血症候群

胎児に届く血液の量のバランスが不均衡になり、「双胎間輸血症候群 」になるリスクがあります。双胎間輸血症候群になると、血液量が多い胎児側では羊水過多となり、うっ血性心不全などの合併症の危険性が高まるのに対し、血液量の少ない胎児側では羊水過少となり、胎児の成長が妨げられます。どちらの胎児も胎児機能不全に陥る可能性があり、最悪の場合死亡にいたることもあります。

双胎一児死亡

妊娠中期以降に片方の胎児が死亡した場合、圧力の関係で生きている胎児から血液が大量に流出し、脳障害になったり死亡したりしてしまうことがあります。胎嚢がひとつである「一絨毛膜双胎」のケースのみで見られます。

胎位異常

胎児が絡み合って分娩の進行が妨げられる「懸鉤(けんこう)」と呼ばれる状態になるなど、胎位に異常がみられる場合があります。

両方の胎児が娩出方向を向いているときは通常の腟を通しての分娩となりますが、それ以外の場合では帝王切開となる可能性があるでしょう。第1児は経腟分娩、第2児は帝王切開をというケースもみられます。三つ子以上の場合には、胎位異常や低体重児となる確率が高いため、帝王切開で娩出するのが一般的です。

胎児奇形

多退妊娠では、胎児の一部の器官の大きさや形態に異常が生じる「胎児奇形」のリスクも単体妊娠と比べると高くなります。奇形は超音波検査で発見されます。

胎児発育不全

胎児の発育が通常よりも遅れる「胎児発育不全」のリスクも考えられるでしょう。妊娠30週頃までの超音波検査で、胎児の推定体重を出すことによって胎児発育不全かどうかが診断されます。全妊娠の8%~10%程度を占め、多胎妊娠以外にも高齢妊娠、飲酒、喫煙、肥満などリスクの高い妊婦の妊娠ではよくみられます。

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多胎妊娠の妊娠検査薬への反応は?

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妊娠したかどうかを確かめるために多くの人が使用する「妊娠検査薬」。多胎妊娠の場合、妊娠検査薬への反応は通常の妊娠と異なるのでしょうか。

多胎妊娠でも、基本的には単胎の場合と同じように妊娠検査薬に反応します。通常の検査薬なら生理予定日の約1週間後から、早期妊娠検査薬では生理予定日3日前から確認できる場合が多いでしょう。

ただし、フライングなどで検査のタイミングがずれてしまうと、正確な反応が出ずに「陰性」となってしまうことも考えられます。妊娠初期症状を確認するとともに、必ず病院で確定診断を行いましょう。

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多胎妊娠だと産休を長く取れる?

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妊娠すると、一般的には出産予定日前の6週間と出産の翌日から8週間は休業することができます(労働基準法第65条)。産前休業は本人の申請により取得しますが、産後休業は本人の意思に関係なく休業となります。多胎妊娠の場合、産休の期間は異なるのでしょうか。

多胎妊娠は母体にとっての負担が大きいため、しっかりと管理する必要があります。ハイリスクな妊娠であることが考慮され、労働基準法では多胎妊娠の場合には通常は6週間の産前休業を14週間まで取得することができると規定されています。通常の妊娠の場合と同様に、本人が職場に申請する必要があります。

多胎妊娠であることがわかった場合には、早めに職場に報告しておくと手続きがスムーズに進むかもしれませんね。

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多胎妊娠と診断されたら安静第一で過ごそう

多胎妊娠では、通常の妊娠以上に栄養管理や体調管理が重要になります。多胎妊娠と診断された場合には、さまざまなリスクがあることを踏まえてしっかりと体調管理や心の準備をしたいですね。

無理せずに休息をとりながら安静に過ごすとともに、鉄分や葉酸といった妊娠時に需要が増える栄養素をしっかりと摂取しましょう。気になる症状があればすぐに病院に行き、適切な治療を受けてください。

通常の妊娠よりも長く取得できる産前休業の制度も活用し、できるだけ安心した心持ちで分娩に備えられると良いですね。

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