妊娠初期の中絶とは?痛みはある?手術の方法・リスク・費用を解説

さまざまな理由から、妊娠初期で中絶を選択する女性もいます。不安で誰にも相談できないという人もいるでしょう。中絶を検討している場合は、まずは中絶の知識をつけ、リスクを受け止めることがスタートラインとなります。妊娠初期の中絶はいつまで可能なのか、中絶の手術内容や費用、中絶をするリスクについて解説します。

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目次

  1. 中絶とは
  2. 妊娠初期の中絶の流れ
  3. 妊娠初期の中絶の方法
  4. 妊娠初期の中絶のリスクと後遺症は?
  5. 妊娠初期の中絶の費用
  6. 中絶薬(中絶ピル)は使える?
  7. 心身に負担がかかる中絶。慎重に判断して
  8. あわせて読みたい

中絶とは

中絶は、自然流産などによる「自然妊娠中絶」と人工的な手段によって意図的に行う「人工妊娠中絶」に区別されます。ここでは人工妊娠中絶について解説していきます。

母体保護法で定められている

中絶とは、胎児や胎盤、羊水などを人工的に体外に排出することを言います。中絶手術は誰でも受けけられるわけではなく、「母体保護法」という法律で適応できる患者が定められています。

母体保護法第14条では、中絶が適応されるケースを以下のように定めています。

・妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
・暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

つまり、望まない性行為による妊娠や、妊娠や出産が母体の命に関わる場合、産むのが経済的に不可能な場合に中絶が選択肢となります。

この適応条件は、指定医師が判断します。一般的な医療行為は、患者の求めがあれば医師は拒むことができませんが、中絶に関しては医師の判断が最優先となるようです。

同意書が必要

母体保護法上、中絶手術では手術を受ける本人とそのパートナーの同意が必要になります。病院が用意する同意書に記入し、提出する義務があるのです。

しかし、中絶を選択する女性の多くはデリケートな問題を抱えている場合も少なくありません。パートナーである相手と連絡が取れなかったり、胎児の父親が誰かわからなかったりするケースもあります。そういった可能性をふまえ、母体保護法では例外が認められています。

配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の同意だけで足りる。

どうしても配偶者と連絡が取れない場合は、本人の同意だけで手術を受けることは可能です。母体保護法の中絶手術の同意に関しては、年齢に関する記述はありません。つまり、法律上は「未成年は必ず保護者の同意が必要」というわけではないのです。

ただし、多くの病院では後々のトラブルを防ぐため、未成年が人工手術を希望する場合は保護者の同意も必要であることが多いようです。

中絶手術が受けられる期間

法律では、中絶が可能な時期は妊娠21週6日までと定められています。22週を超えた場合は、母体の命を救うための緊急避難行為となります。中絶手術の方法や身体への負担は、時期によって大きく変わってきます。

妊娠初期に行う「中絶初期手術」は、妊娠11週6日までを指します。一般的に、身体に負担が少ない中絶時期は妊娠6週~7週(生理が遅れて2週間ほど)といわれています。もちろん、まったく負担がないとはいえませんが、まだ胎児も小さく、入院する必要がない場合が多いようです。

妊娠9週を経過してから中絶した場合、身体への負担が大きくなるといわれています。胎児がある程度成長している時期であり、子宮口を開くなどの処置が必要になる可能性もあります。週数が増えるほど、身体だけではなく、精神的・経済的な負担も多くなっていきます。

妊娠12週から22週未満までの「中期中絶手術」では、さらに身体への負担が大きくなるといわれています。薬で強い陣痛を起こして人工的に流産させるため、痛みが強く、たいていの場合は入院が必要です。

妊娠初期の中絶の流れ

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中絶前の検査

中絶前には、さまざまな検査が必要です。まずは、正常妊娠かどうかに加え、正確な週数が医師によって確認されます。中絶可能な週数の場合は次のステップに進み、手術の内容やリスク、同意書のことなどが説明されます。心配なことや不明なことはしっかりと事前に確かめておきましょう。

手術前の検査として、血液検査と内診検査をする病院が多いようです。血液検査でエイズ・梅毒・B型肝炎、内診検査で淋菌感染・クラミジア感染などの有無を調べます。これらに感染している状態で中絶手術をすると、手術後に腹膜炎になってしまう可能性があるからです。

病院側で、胎嚢(胎児が入っている小さな袋)が妊娠5週以降の大きさとなる日程を計算し、中絶手術日を決定します。あまりに早い段階での手術は、子宮の壁に傷をつけたり、胎児が小さすぎて子宮に取り残したりしてしまうおそれがあるためです。

同意書を用意する

手術日が決定し予約をとった後、病院から同意書が渡されます。病院が指定するときまでに記入して提出します。同意書では、自分とパートナーの住所、氏名、生年月日を必ず本人が書く必要があります。パートナーと連絡が取れなかったり、同意が得られない理由があったりするときは、病院に事前に伝えておきましょう。

手術前日~当日

麻酔をかけるため、手術前日の夕方以降は食事ができません。飲み物に関しては、当日の手術前は飲むことができなくなります。喉が渇いても口をゆすぐ程度にしましょう。絶食絶飲の方針や時間は病院によって異なるため、きちんと注意事項は聞いておきましょう。

病院によっては、手術前日に「ラミナリア」という特殊な棒を子宮の入り口に挿入し、手術までそのままにすることがあります。子宮頸管が広がり、手術がしやすくなるからです。しかし、この前処置には痛みが伴うため、初期手術では行わない病院も多いようです。

手術後は入浴できないこともあるため、身体を清潔にして早めに就寝し、安静にしてください。また、手術前日に必要な書類の準備をしておくと安心です。

手術当日は、マニキュアを落とし、アクセサリー類を外す必要があります。出血の可能性があるので、生理用のショーツやナプキンを持参すると良いでしょう。

妊娠初期の中絶の方法

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中絶手術の方法は大きく分けてふたつです。医師や病院の方針で決定されますが、安全性やリスクに関してはほぼ差がないといわれています。

掻爬(そうは)法

掻爬(そうは)法は、ハサミ状の器具を使い、手によって子宮の中身を掻き出す手術法です。日本では多くの医師がこの掻爬法を用いています。

器具がシンプルなため、感染のリスクが少ないといわれています。ただし、子宮筋腫などのトラブルがあると、手術に時間がかかることもあります。

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吸引法

吸引法は妊娠初期の中絶手術のひとつです。筒状の金属棒を子宮内に入れ、妊娠組織を吸いとります。医師の技術や経験はあまり関係なく、ミスをする危険性は比較的少ないといえるでしょう。手術時間が比較的早いのもメリットです。

ただし、機器の洗浄や滅菌に手間がかかるといわれ、1日に可能な手術の数は少なくなります。管理体制がしっかりしている病院を選ぶと良いでしょう。

手術時間

妊娠初期の中絶手術は、日帰りで行われることがほとんどです。吸引法か掻爬法かにもよりますが、手術自体は5分~20分くらいで、麻酔から覚めるまでに2~3時間ほどかかります。

手術後は、経過を見るためにしばらく休息を取ります。数時間観察して問題がなければそのまま退院になります。

手術の痛み

妊娠初期の中絶手術の場合、麻酔を使っているので手術中はほぼ痛みを感じないようです。ただし、麻酔から早く覚醒したときに、子宮収縮によって生理痛のような鈍い下腹痛がする場合はあります。数時間経過した退院時には、痛みはほとんどないことが多いようです。

人によっては、子宮内にたまった血液が出る影響で強い腹痛や発熱を起こす場合があります。一時的な症状のため、抗生剤などで解消されることがほとんどですが、痛みが続くようであれば早めに医師に診てもらいましょう。

術後の過ごし方

手術の当日は、なるべく安静に過ごしたいものです。帰宅時は、自転車や自動車を自分で運転しないほうが良いでしょう。当日からシャワーをしても大丈夫といわれていますが、入浴は手術後の健診で異常がないことが確認できてからにしてくださいね。

医師の方針にもよりますが、手術の翌日からデスクワークなどの軽い仕事なら問題ないといわれています。1日中立っていたり荷物を持ち上げたりするようなハードな仕事は、しばらくは避けるようにしましょう。

性行為は出血が止まり、医師の検診で問題がなければ可能ですが、手術後でも妊娠は可能です。そのため、子どもを作るつもりがない場合には避妊を忘れないでくださいね。

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妊娠初期の中絶のリスクと後遺症は?

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妊娠初期の中絶は比較的身体への負担は少ないといわれていますが、リスクも存在しています。医師も手術前には必ずリスクの説明をします。後遺症やリスクはしっかりと理解しておきましょう。

子宮内に妊娠組織が残ってしまう

中絶手術が終了した後でも、胎盤の一部や胎児の組織などが子宮内に残ってしまう可能性があります。これは「遺残(いざん)」と呼ばれ、子宮内感染を引き起こしたり、出血が持続したりする可能性があります。

ほとんどの産婦人科では、手術が終わった1週間前後に超音波検査によって子宮腔内の遺残の有無を確認しています。遺残が確認された場合、もう一度手術をやり直すこともあります。

子宮内が傷つく

中絶手術では、大きな力を加えて無理に子宮頚部を広げる必要があります。この拡張で、子宮の筋肉には小さな損傷ができるといわれています。また、手探りで子宮内をかき出すため、器具が子宮の一部を引っかけて傷つけてしまう可能性があります。手術の前処置で、ラミナリアを入れる際に子宮内を傷つけることもありえます。

子宮に傷がつくと、炎症を起こしたり、出血が起こったりすることがあります。また、悪い菌が入りやすくなり、感染症のリスクが上がります。中絶感染症にかかった場合、将来的な不妊症の原因になることがあるようです。

子宮内に穴があく

中絶手術は目で作業を確認できません。そのため決して確率は高くありませんが、鉗子類で子宮に穴を空けてしまう可能性があります。妊娠子宮はとても軟らかくなっているため、穴が開きやすい状況下ともいわれています。

子宮に穴が開いた状態は「子宮穿孔(しきゅうせんこう)」と呼ばれ、起こってしまった場合は開腹手術などの処置が必要となります。子宮穿孔の確率は低いといわれていますが、ゼロではないことを知っておきましょう。

出血

手術後1~4週間は、不正出血がみられることが多いようです。出血の量や時期には個人差があり、手術直後に出血がなくても、数日経って急に出血するケースもあります。

子宮の中にたまった血液が流れ出ることが原因といわれていますが、子宮に傷ができた場合など、合併症の可能性も考えられます。痛みがひどい場合や多量の出血が数日続く場合は早めに受診しましょう。

麻酔によるアレルギー

中絶手術では静脈性全身麻酔を事前に行なうことが多いです。中絶に限らず、麻酔には副作用やアレルギーなどのリスクがあります。麻酔の副作用として多いのは、吐き気や嘔吐、頭痛です。

人によっては寒気や発熱が起こることもあります。麻酔薬が体質的にあわない場合、アレルギーが起こることもあります。じん麻疹が出る程度から、血圧が低下したり呼吸が一時的に止まったりなどさまざまです。

精神的な後遺症

中絶手術後の後遺症のひとつに、精神的なストレスや心の病気があります。中絶後遺症候群(PAS)と呼ばれ、フラッシュバックなどのPTSDの症状が現れることもあります。

中絶の罪悪感や後悔から、精神的に不安定になったり怒りやすくなったりするケースも見られ、不安感や不眠症に悩む人もいます。メンタルケアを行っている病院を選んだり、カウンセリングをしたりと、精神的な後遺症の対策も考えておきましょう。

妊娠初期の中絶の費用

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中絶の費用は、妊娠初期・中期に関わらず保険は適用されません。妊娠週数や妊娠歴によって手術方法や入院の有無が異なり、初期の妊娠中絶手術費用のほうが比較的安くなります。

手術の前の初診、診察、血液検査などに1万円~2万円ほどかかります。手術費用は病院によって異なりますが、一般的には12万円~20万円ほどといわれています。事前に費用を病院に確認しておきましょう。

また、手術後のアフターフォローは重要です。費用の安さだけで病院を選ぶのは避け、信頼できる医師がいる病院や、医療設備が整っている病院など、自分が安心して手術を受けることができる病院を探しましょう。

中絶薬(中絶ピル)は使える?

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薬を使った中絶において、海外で用いられているのが「ミフェプリストン(RU486)」です。1980年代にフランスで開発され、中絶薬と呼ばれています。ミフェプリストンは、妊娠を維持するために必要なプロゲステロン(黄体ホルモン)の作用を抑制し、妊娠が継続できない状態にします。

日本では、中絶薬は倫理上の問題と副作用の点から、未承認となっています。販売や譲渡は薬事法によって禁じられているため、ネットなどの通販で買うのも法律違反となります。また、中絶薬を使って堕胎する行為は「自己堕胎」とされ、刑法上で処罰の対象となるので使用しないでください。

心身に負担がかかる中絶。慎重に判断して

中絶を決断するためには、人それぞれいろいろな理由があります。しかし、妊娠している週数が経過するほど、身体や精神的な負担は大きくなるといわれています。中絶のリスクをしっかりと受け止め、慎重に判断していきましょう。

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