稽留流産って何?稽留流産の原因や症状、手術について

流産とは、妊娠22週までにさまざまな原因によって胎児が失われることを言います。頻度は全妊娠の約10~15%ほどといわれています。妊娠したら無事出産し、赤ちゃんに会いたい、と誰もが願うことでしょう。ただ、いざというときもあり、母体も守らなければなりません。稽留流産の基礎知識を持っておく必要はあります。

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目次

  1. 稽留流産とは?
  2. 稽留流産の兆候
  3. 稽留流産の原因
  4. 稽留流産の処置
  5. 稽留流産にならないために
  6. 稽留流産の術後の生活は?
  7. 流産経験者の85%は出産を経験
  8. 流産で絶望的にならないために

稽留流産とは?

稽留流産(けいりゅうりゅうざん)とは、妊娠しても子宮内で胎児が死亡してしまうものの、妊婦に症状が何もない流産のことを言います。出血や下腹部痛をまったく伴わない流産で、流産したのかどうかもわからないまま手術をしなければならない、という状態になることもあります。

妊娠反応があり、産婦人科での超音波検査によって、胎児の成長がみられないことから稽留流産と判断されることが多いようです。

稽留流産と判断された時点で子宮内容除去術をする病院もありますが、産婦人科によっては一週間程度、様子を見て、術前にもう一度超音波検査をして流産を確定して手術する場合もあります。また、自覚症状がないことから、流産が信じられない妊婦さんは、違う病院で検査してもらう人も多くいます。

稽留流産の兆候

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妊娠6~7週でも胎児が確認できない

赤ちゃんが超音波(エコー検査)で見え始めてくるのが、大体妊娠6週くらいからになります。それまでは卵黄嚢などで確認していたのが、実際に画像で見えてさらに心拍をエコーで確認できるのです。そのくらいになっても、エコー検査で胎児が確認できない、心拍が聞こえない、というときは、稽留流産の可能性があります。

自覚症状がない場合が多い

稽留流産は自覚症状がないことが多く、妊婦健診に行って心拍が確認できないことで発見されることがあります。一般的に流産といえば、お腹が痛くなって、大量の出血がして、というイメージがありますが、そういった症状のない流産もあるのです。出血やお腹の痛みもなく、突然診断されることが多いようです。

稽留流産の原因

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胎児の染色体異常

稽留流産の多くは妊娠初期に起こります。初期の流産の場合、胎児側の染色体の異常や受精卵の異常が多いとされています。

子宮組織の代謝が悪い

あくまでも否定できない、といった範囲のことですが、子宮代謝の問題もあります。冷えやストレスなどで全身の代謝が悪くなると、子宮内の代謝も悪くなります。そうなると、子宮内が温かく心地良いベッドではなくなるので、赤ちゃんの生命維持が難しい、ということになるのです。

妊娠してからも基礎体温をつけると、ひとつの目安になるかもしれません。

血行不良

冷えや運動不足、また水分摂取不足などで全身、および子宮が血行不良に陥ることはありますが、胎児の生命を脅かすほどの血行不良はよほどのことです。しかし、可能性としては否定できません。

稽留流産の原因は、現在でははっきりしたものはわかっていません。ほとんどが胎児側の原因で、母体側の原因があることは少ないようです。自分が悪いのではないかと不安や後悔をすることもあるかもしれませんが、自分を責め過ぎないようにしてください。

痛みや出血が少ないので、本当に流産したと信じられない場合も多いでしょう。自分のせいではないということをよく覚えておいてくださいね。

稽留流産の処置

子宮内容除去術

完全流産は、絨毛組織が自然に完全に排出された状態で、hCGも急速に減少して、月経や排卵が再開されます。完全流産では、手術は必要ありません。

不全流産や稽留流産は、大部分は排出されているか、もしくは胎児の心拍が停止している状態です。絨毛組織(母体と胎児の物質の交換の場となる部分、いわゆる将来の胎盤)が残っていると、hCGというホルモンの分泌が持続するため、次の排卵や妊娠ができません。それにより、手術で出す必要があります。絨毛組織を完全に取り除き、排卵再開を促し、次の妊娠に備えることが流産手術の目的になります。

自然流産を待つ

自然流産を待つという手段もあります。痛みや出血もありますし、いつ起こるかわからないのでリスクは低くありません。それでも手術を避けたい場合に選択されます。また、赤ちゃんが身体から出ていく感じを味わい、流産を自覚できたというコメントをしている人もいます。

いずれにしてもメリット、デメリットをよく考えるべきでしょう。

稽留流産にならないために

ウォーキングなどの適度な運動

身体を温める程度の適度な運動であれば、赤ちゃんの発育には良いといわれています。身体全体が温まり、血液循環も良くなることで、子宮内膜も良い状態に保ち、胎盤も安定することができます。しかし、過度の負担がかかる運動は流産につながってしまうこともあるので注意が必要です。あまり激しくなくても、ゴルフなどのように下腹に力が入ってしまいやすい運動も良くはありません。

カイロや腹巻で冷えを守る

下腹周囲を冷やさないことは、妊娠していないときでも女性にとっては大切です。特に妊娠時は冷えは大敵です。気をつけなくてはならないことはいろいろありますが、外気温の寒さだけでなくエアコンの寒さには注意が必要です。

なるべく冷やさないために、カーディガンを一枚羽織る、また生足は避けレギンスなどを履く、靴下は必ず履く、腰回りを冷やさないといったことが大切です。

ストレスをためない

何の病気でもストレスをためないことは大切ですが、妊娠中もできるだけリラックスしていたいものです。しかし、過度のストレスは本人の努力だけではどうにもならないこともあります。前述したように稽留流産は決して母親の問題は強くはありません。あまり考えすぎないようにしましょう。

身体を温めるのとストレス発散に身体を動かすのは、一石二鳥で良いですね。

稽留流産の術後の生活は?

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1週間は安静

手術直後は、麻酔の影響もあるのでしばらくはベッド上で安静にしています。一般的には2時間くらいすると、意識も完全に戻りトイレにも行けるようになります。日帰り手術を行っているところは数時間、そうでないところは翌日の退院となります。このとき、感染予防の抗生物質や痛み止め、子宮収縮剤などの内服薬が処方されるでしょう。

1週間は出血や感染などの危険を回避するため、できるだけ安静にします。寝たきりでいる必要はありません。あまり動かないのも血液循環が悪くなるので、適度な日常生活上の活動はします。ただ、激しい運動や動きは避けましょう。

性生活は術後2週間目くらいから

性生活は2週間くらいはあけます。そして、まだ子宮内の傷が完治していないですし、子宮内膜も不安定なので妊娠しないように、避妊しながらの方が好ましいでしょう。

次の妊娠は半年待つのが好ましい

術後1週間後の外来受診で異常がなく、2週間から4週間目くらいで次の月経がくれば、手術は良好に終了した、と判断します。妊娠は可能な状態になりますが、妊娠から流産、手術と子宮そのものと体内にそれなりの負担をかけていますので、全身状態や月経の状態がある程度安定する半年くらいは、妊娠は待った方がベターでしょう。

流産経験者の85%は出産を経験

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妊娠はするがその後流産したりする不育症は、実態はまだ不明な点も多いのですが、最新の研究によると「不育症でも85%は出産可能」とされています。不育症患者105人に対する追跡調査の結果、90%にあたる94人が最終的に妊娠、出産したという報告を出した大学もあります。

1980年代には、流産を3回したら100%妊娠できない、と考えられていましたがそうでないことがわかってきています。流産の原因のほぼ半数の51%が偶発的な胎児の染色体異常と考えられ、その他の原因として抗リン脂質抗体の陽性や、夫婦どちらかの染色体異常、子宮奇形、糖尿病や甲状腺疾患などの内分泌疾患などの原因が判明するケースが多くなり、まったくの原因不明のケースは18%でした。

このうち、抗リン脂質抗体陽性は治療法が確立しており、またその他の疾患に対しても妊娠可能な状態にするための原因疾患の治療を行えば、妊娠できていることがわかってきました。子宮奇形や染色体異常に関しても、確率の問題であるため治療なしで出産にいたっている可能性は相当数ある、との結果が出ています。

これらの分析結果から、不育症の方でも約85%は出産にいたっていると判断されています。

流産で絶望的にならないために

一度でも流産を経験すると、心身のダメージは計り知れないことでしょう。次に妊娠する勇気も持てないかもしれません。しかし、流産の原因も次第に細かく判明されるようになってきました。原因がわかる、ということは対処する方法がわかる、ということです。

原疾患に対する治療もつらいものかもしれません。しかし、諦めずにいれば85%は出産を経験できた、というデータを信じながら、妊活をしていきましょう。