てんかんの発作が起きた時の対処方法!原因や症状まとめ
子どもに多い病気のひとつに、小児てんかんがあります。小児てんかんは突然発作を起こすので、周りの人は注意が必要です。目の前で小児てんかんの発作が起きたときはどのように対応すれば良いのでしょうか。また、小児てんかんになる原因、具体的な症状についても簡単に知っておきましょう。
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目次
てんかんとは
てんかんはさまざまな年齢、性別、人種で起こり、発作を繰り返す脳の病気です。小児期の0歳から15歳未満までに起こるてんかんを小児てんかんと言い、その症状や発作頻度、予後はさまざまです。成長にともない自然に治ることも多いですが継続して治療が必要なものもあり、一生の付き合いになることもあります。
てんかんの原因
てんかんが起こる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
人間の脳は、身体中に張り巡らされた神経に電気信号をつかってさまざまな命令を下したり、情報を処理する役割があります。脳神経から電気信号が過剰に発信され、興奮と抑制のバランスが崩れてしまうことで、てんかん発作が起きます。この発作を何度も繰り返す場合に、てんかんと診断されます。なぜそのようなことが起こるかには、大きく分けて2つの原因が考えられます。
脳に興奮しやすい素質がある場合(特発性てんかん)
特発性てんかんは、脳にけいれんを起こしやすい素質があるものの、その他の脳の異常がなく発達や運動機能にも異常がありません。新生児期から成人期までどの時期に発症するか、どんな発作かによりいくつかの型にわけられます。ほとんどの特発性てんかんは多因子遺伝、つまり多くの素因や外的因子が偶然に一致することによりけいれん発作を起こしやすくなると考えられています。
脳に病気があるために脳が興奮しやすくなる場合(症候性てんかん)
脳の形成異常や分娩時の低酸素、脳腫瘍や血管腫、外傷などいろいろな病気が原因になります。症候性てんかんではさまざまな程度の知的障害や手足の麻痺などを伴うことがあります。検査で異常がなくてもてんかん外科手術で開頭すると脳の瘢痕や萎縮、形成異常が見つかることもあります。
てんかんの発作・症状
それでは、小児てんかんの発作とは、具体的にどのような症状なのでしょうか。発作の種類は大きく部分発作、全般発作、それ以外の分類不能なものの3つにわけられます。
部分発作
脳の一部分のみが異常興奮するので、身体の一部分のみに運動、感覚異常が見られます。意識障害を伴う場合とそうでない場合があります。大きく以下の3つにわけています。
1.意識障害のない単純部分発作
2.意識障害を伴う複雑部分発作
3.部分発作から全般性 強直・間代発作へ移行する発作
全般発作
最初から脳全体が発作を起こします。一番多い発作は全般性強直・間代発作と呼ばれ、全身の筋肉が緊張してがくがくと痙攣します。他にも欠神発作といって10〜30秒程度ぼうっとした状態のみで終始するものもあります。
分類不能
発作の詳細が十分にとらえられない場合は分類不能としています。
てんかんの対処法
小児てんかんの発作が起きたときはどのように対応すれば良いのでしょうか。
とにかく落ち着く
初めててんかん発作を目にすると、あまりに激しかったりつらそうだったりして、対応するどころか心配でパニックになってしまうものです。てんかん発作は数十秒から数分で収まることがほとんどです。まずは落ち着いて様子を見ましょう。
気道の確保
決して指やタオルを口に入れないようにしてください。てんかん発作で嘔吐した場合は、嘔吐物がつまらないように横向きにして気道を確保して対応しましょう。
安全の確保
てんかん発作は突然起こります。てんかん自体で後遺症が残ることはまれで、意外と多いのが事故による怪我です。外であれば車が通らない安全な場所へ誘導し、家のなかではストーブなど周囲の危険なものから遠ざけましょう。
てんかんの発作の前兆と誘因
前兆症状はいつも同じ症状であることが多い
てんかんの発作が起こる前に何かしらの前兆があれば、年長児であれば対応もしやすくなります。
誘因
また発作の起こりやすい時間帯や誘発させる要因がはっきりしているものもあります。たとえば、起きているときのみ発作が起こってしまう型、寝ているときに起きやすい型、関係なく起こってしまう型もあります。全般発作を持つ特発性てんかんは、睡眠不足時、疲労時に発作が誘発されやすく、起きがけにおきやすい特徴を持っているため、普段から規則正しい生活を送ることが大切です。
てんかんで生活上気を付けること
小児てんかんは、日常生活で気をつけなければならないポイントがいくつかあります。
入浴,水泳
入浴や水泳は誰かが付き添うようにしましょう。入浴中に発作が起きたら溺れてしまいます。年齢的にひとりで入りたいという場合はお湯を少なくして鍵を閉めずに、何かあればすぐに駆けつけられるようにしておくなどの対応をしてください。入浴中は声をかけながら様子を見ましょう。
テレビやゲーム
テレビやゲームなどの強い光の刺激で発作が誘発される人もいます。かといってまったく禁止してしまってはストレスがたまってしまいます。部屋を明るくして離れる、短い時間にするなどの制限をして対応しましょう。
適度の刺激
小児てんかんの子どもには保護者はもちろん周囲の大人がどうしても過保護な対応となりがちです。たしかに発作は怖いですが、子どもの社会性や心の発達をうながすためには適度の刺激も必要です。規則正しい生活や、薬の管理、無理をしないスケジュールなどの工夫をしながら他の子と同じ生活をさせ、できるだけ見守る形で対応しましょう。
不安を感じたら迷わず病院へ
小児てんかんは長期に渡って付きあうことになります。毎日張りつめた状態でいつ発作が起こるかわからない状況というのは、本人はもちろん見守る保護者側の心労やストレスは計り知れません。いつもと様子が違う、対応に自信がないなど不安に感じる場合はすぐに病院へ行きましょう。病院側との連携がスムーズになれば少しでも安心感につながるはずです。