子どもの斜視の原因と症状、治療法は?斜視は遺伝する?

黒目の位置が左右、上下に別の方向を向いているように見える斜視。斜視にはさまざまな種類と原因があります。子どもの斜視について、気になる症状や治療法などを紹介します。

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目次

  1. 斜視とは
  2. 斜視の原因
  3. 斜視の症状
  4. 斜視の種類
  5. 乳児期の偽内斜視(ぎないしゃし)とは
  6. 斜視の治療法
  7. 斜視は遺伝する?
  8. まとめ

斜視とは

斜視とは、右目と左目で同じ方向を見ようとしているのにもかかわらず、黒目の方向がそれぞれ違うところを向いている状態を指します。子どもの場合は自分で症状に気づいたり周囲に訴えたりすることができないため、まわりの大人が気づいてあげることが重要です。

特に乳幼児の斜視は、まれに網膜芽細胞腫などの悪性腫瘍によって引き起こされているケースもあるので注意が必要です。

斜視の原因

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乳児期に見つかる斜視の多くは原因不明であり、斜視の種類ごとに原因は異なります。眼球内や脳の病気が原因で斜視が起こることもあるので、気になる症状があれば眼科専門医を受診しましょう。

特に、乳幼児期に発症する網膜芽細胞腫(網膜に発生する悪性腫瘍)は、斜視をきっかけに見つかることも。早期に気づいて治療をすれば命は助かることが多いです。

目を動かす筋肉や神経の異常

目を動かす筋肉や神経の異常によって斜視の状態になることがあります。非共同性斜視と呼ばれますが、子どもではほとんど見られません。

両眼視の異常

人はものを見るとき、右目と左目でそれぞれ見た像を脳内で合わせてひとつの像として見る働きがあり、これを両眼視と呼びます。生まれつき両眼視ができない場合や発達上の異常があると斜視になることがあります。

両眼視の異常は、生後6ヶ月以内に見つかる乳児内斜視の場合に多く、弱視をともなうこともあります。

病気や怪我による視力の低下

病気や怪我などで一時的に片目の視力が低下したとき、両眼視ができなくなることで斜視になる可能性があります。

遠視

遠くのものから近くのものに視線を移すときは、ピント合わせの調節にともなって両目の眼球は内側に寄ります。遠視の人は屈折の調整が難しく、近くのものを見るときには調節の力がより強く働くため、両目が内側に寄り、調節性内斜視になります。

近くを見ているときには内斜視になりますが、遠くを見ているときやぼんやりしているときには斜視にならないのが特徴です。2歳頃に気づくことが多く、メガネをかけることで矯正できます。

斜視の症状

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斜視になると、視覚でとらえているものの奥行や立体感がつかみにくい状態になります。ある程度症状が強くなるとふつうは違和感を感じるものですが、斜視の状態に慣れてしまうとその状態がふつうだと感じてしまい、斜視であることに本人が気づかないこともあります。

大人でものが二重に見えるという症状がある場合は、脳にできた腫瘍や糖尿病、バセドウ病など何らかの病気が原因になっていることもあるため、医療機関を受診するようにしましょう。

子どもは自覚症状がないことが多いので、眼球の位置の異常に周囲の大人が気づいてあげることが大切です。

斜視の種類

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内斜視

内斜視とは、両方の黒目が内側に寄っている状態を指します。子どもの内斜視では、生まれてから生後6ヶ月頃までの赤ちゃんに起こりやすい乳児内斜視、遠視が原因で起こる調節性内斜視、網膜芽細胞腫や視神経膠腫などによる斜視(外斜視の場合もあり)があります。

外斜視

外斜視とは内斜視の逆で、両方の黒目が外側に向いている状態を指します。外斜視の種類としては、黒目がつねに外側を向いている恒常性外斜視、疲労が蓄積したときなどに症状が表れる間欠性外斜視があります。子どもの外斜視の90%は間欠性外斜視です。

上下斜視

上下斜視とは、片目の視線が見つめる対象のほうを向いているときに、もう片方の目の視線がそれと同じではなく上方または下方へずれている状態を指します。乳児内斜視と合併で現れることがあります。

乳児期の偽内斜視(ぎないしゃし)とは

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乳児の顔の構造上の問題

月齢が低い赤ちゃんは、実際には斜視ではないのに、顔つきによって斜視のように見えることがあります。鼻が低く目頭の皮膚が余っているため、黒目が内側に寄っているように見えるのです。これを偽内斜視(ぎないしゃし)と呼びます。

成長とともに自然に治る

斜視ではないのに斜視に見える偽内斜視は、成長とともに赤ちゃんの鼻が高くなるにつれて自然に改善されていくケースが多く、これによって赤ちゃんの目の機能に悪影響を与えることはないとされています。

斜視の治療法

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メガネをかける

遠視が原因で起こる調節性内斜視の場合、遠視用のメガネを着用することで矯正が期待できます。

しかし、メガネをかける時期や頻度によっては斜視が改善されないケースもあります。斜視の種類や症状によっては手術を要する場合もあるので、早めに医師に相談しましょう。

遮蔽法(しゃへいほう)

片目の視力の低下が原因で斜視になっている場合や斜視とあわせて弱視の傾向がある場合は、遮蔽法(しゃへいほう)という治療方法をとることがあります。遮蔽法では視力が高いほうの目を特殊な眼帯で覆うことによって、弱いほうの視力の発達促進を試みます。

プリズムレンズ

斜視の人には、眼科医からプリズムレンズが入ったメガネを処方されることがあります。プリズムレンズには、レンズを通った像の位置をずらして見せる機能があります。斜視によってピントが合わない場合などに処方され、斜視だけではなく目の疲れを改善する効果も期待できます。

両眼視機能訓練

眼科に通い、両眼視機能訓練を受けることも効果的です。両眼視機能訓練を行う期間は、個人差はあれ1~3年の間が最も多く、ある程度の期間通院する必要があります。しかしその分、斜視を改善できる効果も期待できます。

特に3歳以下の子どもの場合は、全体の約80%が改善されると言います。根気よく続けられる人におすすめの方法です。

注射法

目の中の筋肉が眼球を引っ張りすぎてしまう場合、その筋肉を麻痺させる目的でボツリヌス毒素を注射する方法です。比較的新しい治療法として知られています。

外科的手術

調節性内斜視以外の治療方法は、外科手術が基本になります。乳児内斜視には早期の手術がすすめられていますが、最近では2歳以降に手術を行うことも増えています。

弱視や両眼視機能はあまり改善されないことも多いですが、目の位置に関しては90%のケースに改善がみられます。

斜視は遺伝する?

間欠性斜視については遺伝によるものもあるといわれます。しかし、親が斜視だからといって必ずしも子どもが斜視になるわけではありません。浸透率(遺伝によって現れる確率)はそれほど高くないからです。また、斜視そのものではなく、斜視を引き起こす因子が遺伝するともいわれています。

まとめ

斜視はさまざまなことが原因で起こります。早期に発見して治療を受けることで改善されるケースも多いため、異常を感じたらすぐに眼科を受診するようにしましょう。
小さい子どもの場合は本人は症状に気づきにくいので、周りの大人がよく観察してあげてくださいね。