排卵検査薬の正しい判断方法とは…?薄い陽性が続く、陰性のまま高温期に入る場合についても解説!
自宅で手軽に排卵が予測できる排卵検査薬ですが、判定ラインが薄かったり、陰性もしくは陽性が続いたりと、自分で結果を判断することが難しい場合があります。はっきりと陰性、陽性に分かれなかったときや基礎体温と異なる結果が出ているときは、どのようなことが考えられるのかをまとめました。
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目次
排卵検査薬のしくみ
黄体形成ホルモンの増加をとらえる検査薬
排卵検査薬は、排卵前に分泌量が増加する「黄体形成ホルモン(LH)」をとらえるための検査薬です。LH量の上昇を「LHサージ」といい、この兆候をとらえると検査結果は陽性反応を示します。
通常「LHサージの開始から約36時間以内に排卵する」といわれているため、陽性反応が出た直後から翌日までのあいだにタイミングをとることで、妊娠の確率を上げられるのです。
「偽陰性」と「偽陽性」に注意
偽陰性とはLHサージが起こっていても陰性を示すこと
保存状態が良好で、使用期間内でもある排卵検査薬で正しく検査をしても、実際の状態と異なる検査結果が示されることがあります。
ひとつは「偽陰性」と呼ばれるもので、本来はLHサージが起こっていることから陽性反応を示すべきとものが、陰性結果となっていることを指します。この場合は、生理周期やLHの分泌量が関係していることが多いです。その際には、検査方法を見直し、次の生理周期で検査をやり直すと陽性反応を示すことがあります。ただし、複数周期検査をしても陽性反応が得られない場合は、別の理由が考えられます。
偽陽性とはLHサージが起こっていなくても陽性を示すこと
「偽陽性」とは、LHサージが起こっていなくても何らかの理由により、陽性反応が出てしまう状態です。この場合は、生殖器に何らかの原因が認められることが多いです。そのため、検査期間中ずっと陽性が続く場合は、早急に医師による診察を受けるようにしましょう。
「偽陰性」となる理由
月経周期と検査開始日が合っていない
排卵検査薬では、次の生理開始予定日から17日前を検査開始日としています。しかし、月経周期が不規則だったり、次の生理開始日を間違って計算したりしていると、本来の月経周期から検査開始日がずれてしまうこともあるのです。
排卵日がずれている
排卵はおおむね、生理開始日から14日目に起こるとされています。しかし、人によっては必ずしもこの時期に排卵が起こるとは限りません。ホルモンのバランスが崩れていたり、体調が悪かったりすると排卵日がずれこんでしまうこともあります。明らかなストレスを感じているとき、体調不良のときはそれぞれの問題に対処し、心身ともに健やかな毎日を送れるよう心がけたいものです。
LHサージが短い
LHサージは通常48時間持続するため、1日1回の採尿でもLHサージをとらえることができます。しかし、まれにLHサージが24時間以内で終わってしまうことがあります。LHサージが短いと、1日1回の検査ではなかなか兆候をつかむのが難しいですね。
黄体形成ホルモンが低い
LHサージが起きたといえる黄体形成ホルモンの尿中濃度は、一般的に20mIU/mLを超えたときです。LHの基準値は卵胞期で1.8~10.2mIU/mL、排卵期で2.2~88.3mIU/mLとなっており、その濃度は格段に上昇しているのがわかります。しかし、もともと黄体形成ホルモンの分泌量が低いと、LHサージが起こっていても排卵検査薬で設定されている検出濃度まで届かないことがあるのです。
検査薬の感度が低い
日本製の排卵検査薬の場合、LHサージをとらえる検出感度は30~40mIU/mLです。LHの尿中濃度が低く、LHサージが起こったとされる20mIU/mLを超えていても、30mIU/mLに届いていないと陽性反応は示しません。この場合、検出感度が20~25mIU/mLのものがある海外製の排卵検査薬を使うと、陽性反応を得られることがあります。
また、LHの分泌量が正常なのに、検査薬が原因で陰性となったことも考えられます。保存方法を間違っていたり、袋が開封された状態だったりすると、判定結果に影響を及ぼします。決められた使い方や保存方法を守り、正確な結果が得られるようにしましょう。
海外製品はほとんどが個人輸入というかたちで販売されています。これは国内で販売の許可が得られていないためで、サイトによっては正規メーカーの模造品や、粗悪品が届くおそれもあります。通販で購入する場合は、購入前に問い合わせをするなどして対応を見極め、レビューなども参考にしながら、信頼できるサイトを選んでくださいね。
「偽陽性」となる理由
妊娠中や妊娠状態にあった
妊娠状態にあるときに分泌されるホルモンは「ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)」といい、LHとは異なるものです。しかし、この2つは構造が似ているため、まれにhCGに誤反応してしまうことがあります。これを「交差反応性」といい、妊娠中や分娩後、流産後などではLHサージがなくても陽性を示すことがあるのです。
最近の排卵検査薬は誤反応を抑えるための対策が取られていますが、海外製品などでは対応が遅れているものもあるようです。
絨毛性疾患や内分泌障害などの疾患がある
「絨毛性疾患」とは子宮内部に起こる異常で、絨毛がブドウの房状に変化する胞状奇胎や絨毛がんを指します。また、内分泌障害には多嚢胞性卵巣や排卵障害など、治療が必要となる疾患が原因と考えられる場合もあるのです。
不妊治療の薬を使っている
不妊治療などで使われる薬剤の中には、排卵検査薬で陽性を示す成分が含まれているものやLHサージを引き起こすものがあります。薬剤を用いた不妊治療を行っている際には、医師や薬剤師と相談してから排卵検査薬を使用すると良いでしょう。
閉経に差し掛かっている
女性は45歳から55歳くらいになると「更年期」に差し掛かります。更年期になると卵巣機能の衰えとともにエストロゲンの分泌が低下しますが、一方で、卵胞刺激ホルモン(FSH)とあわせてⅬHの分泌量は増加するのです。そのため、閉経前になると、排卵検査薬では陽性反応が現れます。
なお、年齢が45歳前だからといって油断はできません。早期閉経が見られることもあるため、連続して陽性反応が出たときは注意が必要です。
「偽陰性」を示した際の対処法
陰性でもおりものや下腹部痛があったときは検査の準備を
LHサージが現れなくても、排卵予定日前にトロンとした水分量の多いおりものが出たときは、これから排卵が起こる可能性が考えられます。射精した精子は女性の体内で3日間前後は生存しているため、その日のうちか翌日には検査を行うようにしましょう。
また、排卵が予測される時期に下腹部痛が起きたときは、排卵が起きたのかもしれません。卵子は排卵後24時間しか生きられないため、できるだけ早く検査を行うことをおすすめします。
陰性が続いたときは次の生理周期で再検査しよう
検査期間中ずっと陽性が現れず陰性だった場合は、月経周期がずれている可能性があります。月経周期がずれている場合は、次の生理開始予定日から新たな検査開始日を割り出し、検査をはじめからやり直すようにしましょう。
複数周期で陰性が続いたら医師に相談を
検査日を変えてやり直しても陽性が現れないときは、LHの分泌以外にも原因が潜んでいるかもしれません。正確な理由を探るためにも、陰性が続いたときは医師に相談するようにしましょう。また、陽性が現れて適切な時期にタイミングをとっているのに妊娠に至らないという場合も、産婦人科を受診することをおすすめします。
「偽陽性」を示した際の対処法
陽性反応が短いときは1日2回の測定でチェック
ほとんどの排卵検査薬では、より正確な判定を得るために1日2回の排卵検査が推奨されています。朝と夜の2回検査をすることで、LHサージが短くても、上昇時もしくは下降時がとらえやすくなりますよ。1回の検査で判定が難しかった場合は、次の月経周期の際に1日2回に増やして検査をすると良いかもしれません。
陽性が連続したときは早めに医師の診察を受けよう
陽性が48時間を超えて長く検出される場合は、早急に治療を要する疾患が隠れているケースが見受けられます。健康を大きく損なうおそれもあるため、なるべく早い段階で医師に診てもらいましょう。
排卵検査薬以外で排卵日を知る方法
唾液による排卵チェック
こちらは、唾液の形の変化から排卵周期を確認する方法です。排卵期の唾液の構造は、卵胞期や黄体期の構造と異なり、シダ状に結晶化します。この変化を利用し、排卵をチェックします。
検査用具はリップのような形状で、重さはわずか16gです。電池は不要で専用クリーナーで洗浄すれば、半永久的に使用が可能です。朝のうちに唾液を採取して、昼のあいだ乾燥させたら、夜にチェックするという使い方もでき、忙しい女性にもおすすめです。
オギノ式による排卵日計算
「オギノ式」とは、明治期に女性の排卵期について研究を行った産婦人科医・荻野久作博士の理論をもとにした、受胎調整法のひとつです。こちらは、月経周期に基づいて妊娠できる日を予測するものです。
月経周期は、排卵を挟んで「卵胞期」と「黄体期」に分かれますが、黄体期の期間は約14日間と一定しています。このことから、月経周期の最終日から14日をさかのぼった日を排卵日として予測します。たとえば月経周期が27日の場合、「27-14=13」となり、月経開始から13日目に排卵があると考えられるのです。
基礎体温の記録
基礎体温を記録することは、女性の身体のリズムを知るうえで、最もポピュラーな方法といえるでしょう。基礎体温は卵胞期のあいだは低温で、排卵期を迎える際に最低値を記録し、排卵が終わると高温期に移行します。
体温が2層に分かれないときは、無排卵月経や黄体機能不全の疑いもあります。しかし、基礎体温はそのときの体調や、測定時に安静にできていたかどうかなどが数値に響きやすいのも、事実です。少々根気がいりますが、基礎体温のみや排卵検査薬のみで調べるのではなく、並行して同時に行うことが理想的です。
女性周期管理アプリの活用
インターネット上では生理開始日や基礎体温などを記録して、次の生理開始予定日や排卵日を予測できるアプリがいくつも配信されています。計算方法によって、アプリごとに導き出される生理開始予定日は異なることもあります。自分の体調の変化も織り交ぜながら、使いやすいアプリを選ぶようにしましょう。
最近では、Bluetoothや専用リーダーを使って、女性体温計からのデータを受け取って管理するサービスも登場しており、複合的な管理がしやすくなりました。
おりものの変化
おりものは、月経周期に合わせてその性状が変化します。分泌量が増えるのは排卵前で、精子を奥まで送り届けるため、潤いのある卵白のようなトロンとした状態になるのが特徴です。排卵が終わると分泌量は減り、白く粘り気のある状態に変わります。こうした周期をとらえることで、身体の中の変化がわかりやすくなりますよ。
排卵痛や胸の張りなどが起こることも
排卵痛とは、排卵時の出血が腹膜を刺激して起こるもので、ときに生理痛のような痛みを訴える人もいます。こうした身体の不調が現れるのには個人差があり、まったく感じない人もいれば黄体期のあいだずっと続くという人もいるので、自分はどのようなタイプに当てはまるのか注意深く観察するとリズムがつかみやすくなりますよ。
医療機関では超音波卵胞計測が可能
排卵にいたる卵胞の大きさは、直径約20mmです。卵巣の中で徐々に成長し、排卵の時期を待っています。卵胞がしっかり育っているかどうかは、産婦人科による超音波卵胞計測で確認できます。腟内に超音波の器具を挿入して卵胞の大きさを測定しますが、発育状況が確実にわかるため、排卵について不安がある方は一度産婦人科を受診してみてはいかがでしょうか。
陰性なのに基礎体温が高温期を示す原因は?
測定方法の誤り
排卵検査薬で、LHサージが起こっていないことを表す「陰性」だったにもかかわらず、基礎体温が高温期を示す場合、基礎体温の測り方に問題があったことが原因と考えられます。基礎体温はその日の体調やストレスの影響を受けやすく、計測する前に動いてしまっても一気に体温が上昇します。翌日以降の測定方法に注意して、検査を継続しましょう。
風邪症状による微熱
黄体期による高温状態は14日間持続しますが、発熱の期間がそれに満たない場合は風邪症状を疑いましょう。ただし、生理開始予定日から1週間過ぎても微熱が続くようなら、妊娠初期に見られる微熱の可能性もあります。妊娠検査薬も併用して、原因を探ってみてください。
黄体化未破裂卵胞なども考えられる
通常、直径20mm前後に成長した卵胞は、LHによる刺激で排卵が誘発されます。しかし、成長しても排卵されずにそのまま黄体へと変化する卵胞もあり、これを「黄体化未破裂卵胞」といいます。これにより、排卵されなくても黄体ホルモンは分泌されることから、基礎体温は高温期を示すこととなるのです。
このような中で排卵検査薬が陰性だったことを放置してしまうと、身体の中で起こっている異変に対処することができません。黄体化未破裂卵胞はクラミジア感染や子宮内膜症、卵巣嚢腫などが原因となることがあり、放っておくと今後の月経周期にも影響を及ぼしかねません。そのため、早急に医師による診察を受けて次の月経に備えましょう。
排卵検査薬の結果に不安があるときは、医師に早めの相談を
排卵や月経は、周期などのおおまかな基準が決まっているとはいえ、実際には個人差がとても大きいものです。「この日にはこうなる」という目安に、当てはまらないこともあるかもしれません。自分では判断が難しいとき、また結果に疑問が残るときは迷わず医師や薬剤師に相談してみましょう。
信頼できる医師に出会えることは、今後の妊娠生活の中で大きな力となります。医師に相談する際には、事前にこの医師はどのような治療を行っているのか、患者との向き合い方はどんな様子かなどを調べてみると、安心して相談できそうですね。