女性ホルモン剤との正しい付き合い方!種類と効果、副作用は?

婦人科系の疾患の治療に使用される薬のひとつに、「女性ホルモン剤」があります。ホルモン剤というと身体への作用が強いイメージがあり、副作用が心配な人も多いのではないでしょうか。女性ホルモン剤は、正しく使用すれば女性のさまざまな病気の治療に役立ちます。ここでは女性ホルモン剤の種類や効果、副作用などを解説します。

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目次

  1. ホルモン剤とは?
  2. 女性ホルモン剤はどんな治療に使用される?
  3. 生理痛や生理不順の治療で使用されるホルモン剤
  4. 更年期障害の治療で使用されるホルモン剤
  5. 乳がんの治療で使用されるホルモン剤
  6. 不妊治療で使用されるホルモン剤
  7. ホルモン剤による治療を行う可能性があるその他の病気
  8. ホルモン剤の副作用は?
  9. ホルモン剤を使用するときはどんなことに気を付けるべき?
  10. 正しく使えば、女性の強い味方に
  11. あわせて読みたい

ホルモン剤とは?

ホルモン剤とは、人工のホルモンを配合した製剤のことを言います。女性ホルモンには、主にエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、女性ホルモン剤にはエストロゲン系のもの、プロゲステロン系のもの、両方を配合したものがあります。

女性ホルモン剤はどんな治療に使用される?

女性ホルモン剤は、生理痛(月経痛)や生理不順(月経不順)、不正出血、更年期障害、乳がん、子宮筋腫などの治療や不妊治療など、さまざまな治療に用いられています。疾患の種類や程度によって用いるホルモン剤の種類や効果は異なります。医師の指示に従って正しい治療を行いましょう。

生理痛や生理不順の治療で使用されるホルモン剤

生理不順の原因のひとつはホルモンバランスの乱れ

生理周期は、女性ホルモンの働きによって保たれています。エストロゲンやプロゲステロンの分泌量が少なかったりバランスが乱れていたりすると、生理痛がひどくなったり、生理不順になったりすることがあります。これらを解消するためにホルモン治療を行う場合があります。

生理痛や生理不順の治療でよく使用される「ピル」

生理痛や生理不順の治療では、女性ホルモン剤の一種である「ピル」がよく使用されます。ピルにはエストロゲンとプロゲステロンが両方配合されており、体内に排卵後と同じホルモンの状態を作り出すため、ピルを服用すると排卵を抑えることができます。

ピルは、生理の開始日から毎日1錠ずつ3週間続けて服用します。最後の1週間だけ服用を休み、その間に出血が起こります。このサイクルを毎月繰り返すため、生理周期が安定します。一般的に用いられているピルは、女性ホルモンの含有量が少ない「低用量ピル」で、女性ホルモンの配合比率の違いにより、1相性、2相性、3相性の3種類があります。

更年期障害の治療で使用されるホルモン剤

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更年期障害は、女性ホルモンの減少がきっかけで起こる

45歳~55歳くらいの期間(閉経前後の約5年間)は更年期と呼ばれ、更年期になると卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌量が低下します。更年期の女性ホルモンの減少がきっかけとなり、ほてりやのぼせ、発汗、頭痛、肩こり、うつ状態、骨密度の低下などの症状があらわれることを「更年期障害」と呼びます。

更年期障害の治療で使用されるホルモン剤の種類

更年期障害は多くの女性が経験する現象です。症状がひどい場合には、ホルモン剤を投与して治療を行うことがあります。エストロゲンやプロゲステロンを単体で用いる場合もあれば、両方を配合したものを使用する場合もあります。

乳がんの治療で使用されるホルモン剤

乳がんの治療では、エストロゲンを減らすホルモン剤を使う

ホルモン剤は、乳がんの治療にも使用されます。エストロゲンには、乳がんのがん細胞と結びついて増殖を促す作用があるため、乳がんの治療では、エストロゲンの分泌量を減らしたりがん細胞とエストロゲンの結合を阻害したりするホルモン剤を使用します。

乳がんの治療で使用されるホルモン剤の種類

乳がんの治療で使用されるホルモン剤の種類は、閉経前後で異なります。閉経前にはLH-RHアゴニスト製剤と抗エストロゲン薬、閉経後にはアロマターゼ阻害薬と抗エストロゲン薬が用いられます。LH-RHアゴニスト製剤は注射薬、アロマターゼ阻害薬は飲み薬で、抗エストロゲン薬は注射薬と飲み薬の両方があります。

不妊治療で使用されるホルモン剤

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不妊治療では、ホルモン剤で排卵や着床を促す

性交から排卵、受精、着床まで、妊娠が成立するまでには多くの過程があります。女性ホルモンの分泌が正常に行われていなかったり、排卵が行われていなかったりすると、これらの過程に異常をきたし、不妊につながってしまう可能性があります。そのためホルモン剤で足りないホルモンを補うなどして、排卵や着床を促す治療が行われます。

不妊治療で使用されるホルモン剤の種類

妊娠成立までのどの段階に異常があるかによって、使用するホルモン剤の種類は異なります。排卵しなかったり、排卵に障害があったりする場合には、「クロミフェン」などの排卵誘発剤を使用し、着床が上手くいかない場合には、プロゲステロン製剤を使用します。

また、子宮内膜症が不妊の原因となっている場合には、エストロゲンの分泌を抑えるホルモン剤を使用することがあります。

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ホルモン剤による治療を行う可能性があるその他の病気

上記の病気以外にも、子宮筋腫による月経困難症などの症状を和らげるために低用量ピルが用いられる場合があります。ただし、これは対症療法なので、子宮筋腫そのものを根本から治すことにはつながりません。

ホルモン剤の副作用は?

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ホルモン剤は、さまざまな病気の治療において効果を発揮する点はうれしいですが、副作用が気になってしまう人も多いかもしれません。女性用のホルモン剤には、どのような副作用があるのでしょうか。

不正出血になる

女性ホルモン剤の代表的な副作用のひとつに、不正出血があります。少量で問題がない場合がほとんどですが、量が異常に多かったり、長期間続いたりした場合には、医師に相談しましょう。

生理周期が長くなる

ホルモン剤を投与すると、体内の女性ホルモンの量が増え、子宮内膜が厚く保たれやすくなります。そのため子宮内膜がはがれ落ちるタイミングが遅くなり、生理周期が長くなる場合があります。生理がなかなか来ないと心配になるかもしれませんが、ホルモン剤の作用であれば、服用をやめると数日後に生理が来ます。

妊娠初期に似た症状があらわれる

体内の女性ホルモンの量が増えると、身体が妊娠しているときと似た状態になり、乳房のハリや頭痛、吐き気、食欲不振など、妊娠初期の症状と似た症状があらわれる場合があります。

太りやすくなる場合がある

女性らしい身体をつくる働きがあるエストロゲンや、水分を蓄える作用を持つプロゲステロンの働きにより、身体が若干丸みを帯びたり、むくみや体重増加といった症状があらわれたりする場合があります。

更年期障害と似た症状が出ることも

乳がんの治療では、エストロゲンの作用を抑えるホルモン剤が使用されるため、更年期症状に似た症状が出る場合があります。薬の種類によって具体的な症状は異なりますが、主な症状としては、ほてりやのぼせ、発汗、頭痛、肩こり、うつ状態、骨密度の低下などがあげられます。

これらの症状がひどい場合には、症状を抑えるために薬を併用したり、ホルモン剤の種類を変更したりすることが考えられます。決して無理はせず、医師に相談すると良いでしょう。

血栓症になる危険性がある

エストロゲンには血液を固まりやすくする働きがあるため、ホルモン剤を使用した治療を行うと、ごくまれに血栓症になる場合があります。肥満や喫煙など他の要因も加わると、発症のリスクが高まるといわれています。

血栓症は死につながりうる病気です。ホルモン治療中に激しい頭痛を感じた場合は、血栓症の危険性があるため十分に注意しましょう。

ホルモン剤を使用するときはどんなことに気を付けるべき?

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ホルモン剤による治療を始めるときには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。持病や体質によっては、ホルモン剤の治療をしてはならない場合や、慎重に治療を進める必要がある場合があります。

特定の病気の人は、エストロゲンを補充してはならない

乳がんや子宮体がん、静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)、急性血栓性静脈炎、心筋梗塞、冠動脈の動脈硬化などを発症したことがある人や、これらの病気を治療中の人、性器から原因不明の出血がある人は、エストロゲンを含むホルモン剤の投与を受けてはなりません。

ホルモン治療を開始する前に必ず検査を受け、これらの病気の危険性がないかを確認しましょう。治療中も、定期的に検査を受けることをおすすめします。

妊娠の疑いがある人は、ホルモン治療を受けてはならない

妊娠中にホルモン治療を受けると、体内のホルモンの量が急激に増え、母体や胎児に悪影響を与える場合があります。妊娠しているかどうかを確認してからホルモン剤を使用するようにしましょう。ホルモン剤の使用中に妊娠に気付いた場合には、すみやかに使用を中断し、医師に相談しましょう。

特定の年齢・体質の人は、慎重に治療を進めよう

肥満の人や60歳以上の人、重度の高血圧や慢性的な肝疾患の人、糖尿病、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症などになったことがある人は、ホルモン剤の作用によって病気が悪化してしまう可能性があります。医師と相談しながら慎重にホルモン治療を進めましょう。

正しく使えば、女性の強い味方に

ホルモン剤は、女性特有の疾患の治療に幅広く役立ちます。医師の指示に従って正しく使用している限りは、女性にとって非常に心強い味方です。薬の効能や副作用をしっかりと理解し、用法・用量を守って使用しましょう。

ホルモン剤を使用して身体に異変が生じたり、副作用がひどかったりする場合には、医師に相談し、治療法や薬の種類を変更してもらうなど対処してもらうと良いでしょう。

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