精液検査の方法!費用と時間は?自宅検査・病院検査の違いは?

WHOの調査では、不妊カップルには約半分の割合で男性にも不妊の原因があるとわかっています。最近は、結婚前に男女ともにブライダルチェックをするカップルも増えつつあります。精液検査の費用は、数回検査で市販キット1,500〜8,000円、病院での検査なら5,000〜10,000円以内です。気になる検査内容や方法を紹介します。

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目次

  1. 精液検査とは
  2. 自宅できる精液検査の方法は?キットはどこで購入する?
  3. 病院での検査方法と費用
  4. 市販のキットと病院検査の違いは?
  5. 検査結果の標準値と見方、注意点
  6. 精子の状態別治療法・対処法
  7. 精液検査は検査したい項目と検査の必要性に合わせて
  8. あわせて読みたい

精液検査とは

精液検査は、1度の射精で得られる精液の全量を使って行う検査です。精液の質を調べます。

近年の調査で、不妊の原因は男女ともに半々だとわかってきました。WHOは、不妊症の原因調査結果を次のように示しています。

・女性のみに原因がある41%
・男性のみに原因がある24%
・男性・女性ともに原因がある24%
・原因不明11%

男性側にも不妊の原因があるケースは、全体の48%。(24%+24%=48%)つまり、不妊に悩むカップルの約半数は、男性側にも原因があります。

男性不妊の原因は、勃起障害(ED)や膣内射精障害などの「性機能障害」と「精液の問題」のふたつに分けられます。精液検査は、精液の問題を調べる方法です。検査結果は、妊娠への近道を知る一助になり得ます。

精液検査でわかること

一般的な精液検査でわかるのは、次の4種類です。

・精液の量
・精子の数・濃度
・精子の運動量
・精子の形状

受ける検査方法や場所によって、上記の4種類(基本項目)に+αで項目が追加されます。

検査を受ける場所・方法

精液検査の方法は大きく分けてふたつにわかれます。

・病院での検査・診察
・市販検査キットによるセルフチェック

病院で検査を受ける場合には、一般的には男性不妊専門外来を設けている泌尿器科を受診します。パートナーが産婦人科や不妊専門クリニックで治療を受けているなら、同じ病院で検査する方法もあります。市販検査キットは、自宅で気軽に検査ができますが、一部は結果を自分で判断することになります。


病院での検査・市販検査キットでの検査に関わらず、検査方法には次のような共通点があります。

・2〜5日(各検査で異なる)の禁欲期間が必要
・複数回検査が望ましい

禁欲期間は、精液の全量検査のために必要です。また、精液の状態は体調やストレス、環境などによって左右されやすい性質を持ちます。より正確な値を得るためには複数回検査が望ましいとされています。

自宅できる精液検査の方法は?キットはどこで購入する?

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市販検査のメリット

市販の精液検査は、病院受診よりも気軽にトライできるところがメリットです。わざわざ病院にいく手間も時間もかかりません。検査費用以外の診療費がかからないのもメリットです。購入もネットが主となり、簡単です。

男性の中には、精液検査のために病院へ行くことに抵抗感がある人もいます。市販の精液検査なら、検査のための射精を強要される精神的負担も軽減できます。また、本格的な妊活を前に一度簡単にチェックしておきたい人にもおすすめです。

市販検査キットのタイプと購入方法

市販の精液検査キットは、大きく分けて次の2種類にわかれます。

・自分で結果を判断するセルフチェックタイプ
・専門の検査技師が検査結果を判断がするタイプ

セルフチェックタイプは、目視で行う従来のキットの他にも、スマホを使って確認するキットも販売され始めました。検査方法は、各キットによって違いがあります。使用する際には説明書をよく読んで検査をしましょう。

また、セルフチェックタイプの検査キットはあくまで簡易検査です。医学的な根拠とはならない点に注意しましょう。より詳細な検査を望む場合は、病院受診がおすすめです。

【自分で確認】家庭用精液検査キット

家庭用精液検査キットは、理科の実験のように、スポイトで採取した検体を顕微鏡で拡大して検査するセルフキットです。

「ドクターズチョイス精液検査キットB」や「MicraFirstStep (セルフ精子チェック顕微鏡キット)」の名前で販売されています。米国製で海外からの輸入になるため、手元に届くまでの日数には余裕を持っておきましょう。取り扱い説明書は日本語で表記されています。

キットには、測定ガイド付きの顕微鏡、スポイト、プレパラート、生理食塩水などがセットされています。精液の量、精子の運動率・運動量、精子の数が測定できます。

【郵送で臨床検査技師が診断】OES精液検査

近年人気を集めているのが、OES精液検査です。OES精液検査は、自宅で採取した検体を郵送し、OESの臨床検査技師が検査をするサービスです。自宅でのセルフチェックの欠点である「正確性に欠ける」部分をカバーできる検査といえます。

OES精液検査では、精液の量、精子の数・濃度、精子正常形態率が測定できます。検体採取後から1時間以内に測定する精子の運動率、精子生存率、PHは、検査の性質上測定できません。

利用の際には、OESのホームページから注文をします。検査キットが自宅に配送されるので、キット内のビニル袋に検体を採取し、返信用の封筒で送付します。検査は検体到着後その日のうちに行われ、検査結果はメールで送られてくる仕組みです。

国内で検査キットの配送や検査が完結するため、迅速に検査結果を得られます。

【スマホでより手軽に】「TENGA MEN'S LOUPE」「seem」

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「不妊の原因が男性にもあるということを意識していない層に“気づき”を与えたい」との思いで開発されたのが、「TENGA MEN'S LOUPE」です。スマホカメラを使ってセルフチェックを行います。スマホ世代の若年層にターゲットを当てた商品といえるでしょう。

キットには、採取用カップ、スポイト、ルーペ、検査用プレートなどがセットされています。検査は、検体を乗せたプレートとルーぺをスマホカメラに装着して行います。スマホのカメラ機能を使うことで顕微鏡などの専用用具が要らず、検査コストが抑えられています。

検査結果は「精子の有無」と「精子が運動しているかどうか」の2項目のみですが、低価格で簡易検査をしてみたいと考える人には適した商品でしょう。

また、リクルートホールディングスからはスマホアプリを使って診断ができる検査キット「seem」が販売されています。内容物は、採取用カップ、棒、顕微鏡ルーペ、検査チケットです。

seemの特徴は、アプリ内で自動的に検査結果が測定できるところ。精子の濃度と運動率が簡単に測定できます。

どちらもAmazonなどのネット経由で購入が可能です。seemは全国のビックカメラ店舗でも購入できます。

市販検査キットにかかる費用

市販の精液検査キットにかかる費用は、キットによって差があります。検査の内容や方法を考慮しながら、必要なものを選んでください。

精液検査キットの参考価格は以下の通りです。

・MicraFirstStep 2回分(6,800円 税別〜)
・OES精液検査 3回分(7,800円 送料別)
・TENGA MEN'S LOUPE 4回分(1,500円 税別〜)
・seem 1回分(7,538円〜)

病院での検査方法と費用

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検査の流れ

病院での精液検査は、以下の手順で行われます。

1. 問診
2. 視診・触診
3. 院内の採精室で採取
4. 30分〜1時間以内に検査
5. 検査結果

1. 問診

過去の病歴や手術歴、治療中の病気の有無、服用中の薬、普段の勃起や射精の状態、夫婦生活に関する事柄などを問診します。病院では、精液そのものの検査だけではなく、男性の身体の状態を総合的に判断して妊活に活かします。

2. 視診・触診

問診を元に、診察室で視診と触診を行います。陰嚢や精巣の状態を確認します。精巣上体の有無や大きさ、しこり、精管の有無、太さ、精索静脈瘤の有無などを確認します。

3. 院内の採精室で採取

院内の採精室で、専用の容器に精液を採取し、全量を検体として提出します。採取後の検体の時間経過と温度等の環境を管理するために、原則的には病院内で採取します。

ただし中には、自宅で採取したものを病院へ持参する検査スタイルをとる病院もあります。採取環境が気になる場合は、あらかじめ確認しておくと安心できます。

4. 30分〜1時間以内に検査

より正確な検査結果を得るために、採取後30分〜1時間以内に検査が行われます。精液検査には、検体が「液化」と呼ばれる変化が起こる必要があります。採取後の液化を待ち、確認が取れればすぐに検査が開始されます。

5. 検査結果

病院での精液検査では、以下のような項目の結果が得られます。

・精液の量
・精子濃度
・総精子数
・前進運動率
・総運動率
・正常精子形態率(厳密な検査法で)
・白血球数

WHOの発表する基準値を参考に、数値の多少を比較します。精液検査で異常所見があった場合には、ホルモンなどの内分泌検査や、染色体検査・遺伝子検査、泌尿器科系の診察などを行います。

病院での精液検査にかかる費用

精液検査は、健康保険の適用範囲です。自己負担額や病院の規模にもよりますが、費用はおおよそ1,000円程度で検査を受けられます。ここにその他の診療費などが加算されます。

精液検査は、検体の状態が日によって左右されることから、2〜3回検査を行うのが望ましいとされています。複数回検査の事情を踏まえても、5,000〜10,000円以内で詳細な検査結果が得られます。

市販のキットと病院検査の違いは?

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市販の精液検査キットと病院の精液検査では、検査の正確性・信頼度に大きな差がみられます。

しかし、生殖能力に特に問題がない男性の場合、市販の精液検査キットで十分必要な結果が得られる場合もあります。知りたい情報やカップルの状況にあわせて検査方法を検討すると良いでしょう。

検査にかかる手間・時間や精神的負担

手軽で簡単な市販の精液検査キットは、検査の手間や時間を大幅に短縮することができます。また、女性が大多数を占める産婦人科の待合で待つ気恥ずかしさや、検査結果を案じるストレス、採精室で検体を採取しなければならないストレスなどを感じずに済みます。

一方、病院での検査は信頼できる検査結果が得られるものの、検査にはある種の覚悟が必要で、かつ手間も労力もかかります。

検査で診断できる範囲

検査結果は、病院での検査の方がより多くの結果項目が得られます。従って、単純に精液検査だけを比較しても、市販キットよりも病院での検査の方が優れています。

加えて、病院での検査では診察をともないます。不妊の原因は、「精液に問題がある場合」と、勃起障害(ED)や膣内射精障害、精巣の問題など「性機能障害による場合」の2パターンがあります。

市販の検査キットでは、不妊の原因2パターンのうち、精液の問題しか判断がつきません。病院での検査なら、精液の問題と性機能障害の両面から異常がないかどうかを診断してもらえます。

検査にかかる費用

検査にかかる費用は、選んだ市販キットによって病院検査との比較結果が異なります。

たとえば、MicraFirstStepやOES精液検査を選んだとします。
・MicraFirstStep 2回分(6,800円 税別〜)
・OES精液検査 3回分(7,800円 送料別)

病院での精液検査は2〜3回で初診料などを含めて概ね5,000〜10,000円の範囲内です。費用の差はさほどありません。同様の費用で、医療的に信頼できる結果を得たいのか、かかる手間や精神的負担を軽減したいのかでどちらが得なのかは異なるでしょう。

もし、精子の有無や精子の運動の有無のみの簡易検査で十分だというのなら、低価格で検査可能なTENGA MEN'S LOUPE 4回分(1,500円 税別〜)があります。医療的根拠はなくとも、手軽に自身の目でまずは精子の状態のみを確認しておきたいというニーズにはあっているといえるでしょう。

検査結果の標準値と見方、注意点

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精液検査の基準値と妊娠

精液検査の標準値はあくまで精液検査をした人の結果を集めて得られた数値であって、結果そのものが生殖能力を表すものではありません。

たとえば、検査結果が十分標準値をクリアしていても何らかの理由で妊娠につながらない場合もあります。反対に、基準値を下回っていても妊娠の可能性は十分にあります。

結果の数値よりも、結果を踏まえてどう行動するかが大切です。本格的な妊活中ならば、カップルで十分に話しあって、今後の方針や方向性を定めましょう。

【結果項目】精液の量

1回の射精で得られる精液の量の最低標準値は 1.5mLです。精液の全量が基準値を満たさない場合、採取時に検体を十分に採取できなかったことの他に、射精管の閉塞や先天性両側精管欠損症、部分的な逆行性射精などが考えられます。

【結果項目】精子の数・濃度

精子濃度の最低標準値は、1,500万/mL以上。総精子数は一回の射精につき、3,900万以上が基準となっています。

精子の数によって、「乏精子症」や「無精子症」などの診断名がつきます。

【結果項目】精子の運動性

精子の運動性の項目では、精子に膣内・子宮内を前進していく能力があるかどうかを調べます。サンプル化した精液に含まれる精子を次の3つに分けて数を測定します。

・前進運動精子(直進的に前進する)
・非前進運動精子(ぐるぐる回っている、少ししか動かないなど)
・不動精子(動きが見られない)

最低標準値は、運動精子(前進運動精子+非前進運動精子)が全体の 40%以上、もしくは前進運動精子が全体の32%以上となっています。

【結果項目】正常精子形態率

正常な形をした精子が精液中にどれくらいの確率でいるかを数値にした項目です。精子は「正常形態精子」と「異常形態精子」に分けられます。正常形態精子の特徴は次の通りです。

・頭部がうちわ型でひとつ
・頸部がまっすぐになっている
・尾部が1本で折れ曲がったり切れたりしていない

正常精子形態率の最低標準値は、4%以上です。

【結果項目】精子生存率

精液中の精子がどれだけ生存しているのかを数値にしたものが精子生存率です。検査では、染色液で色付けされた精子の数を測定します。赤く染色された精子は膜が破れて死滅した精子とみなされます。

精子生存率の最低標準値は、58%以上です。

精子の状態別治療法・対処法

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精液検査の結果を元に、今後の妊活の方針や方向性を考えます。方針や方向性を決める際には、カップルの十分な話しあいや合意が不可欠となります。

【正常値の場合】タイミング法

精液検査で特に問題がみられず、女性側にも大きな問題がなかった場合はタイミング法で妊活を続けます。正常値だったといえども、精液の状態は体調やストレス、環境などで左右されがちです。

妊娠の確率を上げるためには、女性側だけではなく男性側のコンディション維持・向上も大切です。精子の質や運動率を向上させて、卵子と受精しやすくしましょう。

精子の質や運動率は、食生活や睡眠・運動といった日常生活の要素に左右されます。特に、肥満や飲酒は精子濃度を低下させるといわれています。また、肥満・飲酒・喫煙は精子の運動率を下げる恐れがあると指摘されています。

性生活でいえば、禁欲期間の長期化は精子の質や濃度にあまり貢献しないことが知られています。定期的に生産と排出を繰り返してサイクルを循環させる方が、結果的に精子の質を上げることにつながります。

【精子が少ない場合】人工受精・体外受精

精子の数が少ない状態(1,500万個/1mL以下)を「乏精子症」といいます。乏精子症の中でも、原因となっているのが精索静脈瘤の場合、手術の必要性があるかどうかを判断します。

血液検査でプロラクチン量を調べ、標準値を少し下回る程度なら人工授精、数百万を下回る値なら体外受精を検討します。

【精子がほとんど動かない】生きている精子で顕微受精

精子の運動率が悪い状態を「精子無力症」といいます。精液中の精子がほとんど動かない状態を特に重症精子無力症と呼び、次のふたつに分類します。

・精子不動症
・精子死滅症

精子不動症の場合には、生きている精子を取り出して顕微受精することで妊娠の可能性があります。また精子死滅症でも、数回の射精から精子を探したり、精巣を切開したりして採取し、顕微受精を行います。

【無精子】閉塞性無精子症の治療・精管の治療など

昔は「無精子症」というと第三者からの精子提供で人工授精、養子縁組の選択肢しかありませんでした。しかし、現在は研究が進み、無精子の状態でも実子を持てる可能性が広がってきています。

無精子症は次のふたつのパターンにわかれます。

・閉塞性無精子症
・非閉塞性無精子症

閉塞性無精子症とは、精巣で精子が作られているものの、精管を通って外に出られない状態をいいます。無精子症の約2割が閉塞性無精子症、後の8割が非閉塞性無精子症です。閉塞性無精子症の場合には、精管の治療を行います。

非閉塞性無精子症の場合でも、わずかな数の精子や精巣上体から精子の元になる細胞が採取できれば顕微受精できる可能性があります。

精液検査は検査したい項目と検査の必要性に合わせて

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精液検査といわれると、身構えてしまう男性は少なくありません。自分に生殖能力があるのかどうかを調べるのは覚悟のいることでもあります。

精液検査は大きく分けて「病院での検査」と「市販キットでの検査」があります。どちらで検査するのかは、カップルの状況によって変わるでしょう。

たとえば、本格的に妊活を始めたカップルや結婚前にブライダルチェックを済ませておきたいと考えるカップルにとっては、病院での検査が安心です。また、なかなか妊娠しない理由を探っているカップルにとっても、病院検査の方が正確な診断が得られます。

反対に、自分に生殖能力があるのかを気軽に知りたい男性や妊活を意識し始めたばかりのカップルには、手間や精神的な負担の少ない市販キットでの検査が向いているといえます。

費用にはそれほど大きな差はありません。検査したい項目や検査の必要性に合わせて選ぶと良いでしょう。

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