卵胞刺激ホルモン(FSH)の働き!基準値より高い・低いときの症状・原因・治療方法は?

「卵胞刺激ホルモン(FSH)」は、卵胞ホルモンの分泌を促したり卵胞を成長させたりする役割をもっています。また、卵胞刺激ホルモンが正常に分泌されていないと不妊になったり更年期障害の症状に悩まされたりと、女性の身体にも大きな影響を与えるのです。ここでは、女性の身体と密接な関係にある卵胞刺激ホルモンについて紹介します。

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目次

  1. FSH(卵胞刺激ホルモン)とは?その働きと身体の変化
  2. 月経周期と卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌の変化
  3. 卵胞刺激ホルモン(FSH)の検査方法と基準値
  4. 卵胞刺激ホルモン(FSH)の数値で不妊がわかる?
  5. 更年期の卵胞刺激ホルモン(FSH)の変化
  6. 卵胞刺激ホルモン(FSH)の数値を正常値にもっていく対策と治療方法
  7. 規則正しい生活で卵胞刺激ホルモン(FSH)を正常値に
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FSH(卵胞刺激ホルモン)とは?その働きと身体の変化

脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン

「卵胞刺激ホルモン」とは脳の下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンで、「Follicle Stimulating Hormone」の頭文字を略してFSHともいわれています。主に「卵胞ホルモン(エストロゲン)」の分泌を促す役割があり、月経後から排卵前の「卵胞期」にゆるやかに分泌される性腺刺激ホルモンです。

脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンは「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と「黄体形成ホルモン(LH)」があります。このふたつのホルモンが交互に指令を出すことによって卵巣に働きかけ、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が分泌されます。エストロゲンとプロゲステロンというふたつのホルモンが正常に分泌されることによって月経周期が整い、排卵が正しく行われることになります。

また、男性も同じように脳の下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌され、精子を形成するのに重要な過程である、精巣のセルトリ細胞に作用します。

原始卵胞を刺激して成長させる

卵胞刺激ホルモンは、卵巣に蓄えられた「原始卵胞」に刺激を与えて成長させる働きあります。原始卵胞とは卵巣内にある卵胞のもとになる細胞で、卵胞刺激ホルモンが卵巣に到達することにより、この原始卵胞のひとつが排卵に向けて成長を始めます。

女性は、胎児のうちから一生分の原始卵胞が卵巣に蓄えられているのです。

排卵に向けてエストラジオールを分泌させる

卵胞刺激ホルモンが分泌されて卵巣を刺激するのは、排卵に向けて「エストラジオール(E2)」を分泌させるためでもあります。エストラジオールとは卵胞ホルモンの主な成分でもあり、卵胞ホルモンが正常に分泌されているかを判定するためには、血中のエストラジオールを測る必要があります。

エストラジオールが分泌されると女性らしい丸みのある身体つきに変化し、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚くして卵胞の成長を促します。それだけではなく、骨・血管・脳・筋肉の形成・糖質や脂質の代謝の促進・自律神経の調整など、過ごしやすい身体を作る働きがあるのです。エストラジオールが分泌される期間は、心身ともに調子よく感じる方が多い時期でもあります。

月経周期と卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌の変化

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月経周期は月経期・卵胞期・排卵期・黄体期にわけられ、卵胞刺激ホルモンの分泌量はそれぞれ違ってきます。卵巣は主に卵胞を成長させる機能と性腺ホルモンを分泌させる機能があり、正常に働くかどうかは卵胞刺激ホルモンの分泌が大きく関わってくるのです。

月経期

「月経期」は黄体期に分厚くなった子宮内膜がいらなくなったと判断されると剥がれ落ち、経血として排出される時期です。いわゆる生理の期間ですね。卵胞刺激ホルモンの分泌が月経期後からゆるやかに上昇することで、排卵に向けて卵胞ホルモンが分泌されます。

卵胞期

「卵胞期」とは月経期が終わった直後から排卵までの期間を指し、生理周期が28日のサイクルなら「月経期」と「卵胞期」をあわせて14日程度となります。基礎体温でいうとちょうど低温期の時期ですね。

卵胞期の卵胞刺激ホルモンは、月経期から卵胞期にかけてなだらかに上昇しながら分泌されています。また、脳の下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌され卵巣を刺激することにより、10個~15個の原始卵胞が発育を始めます。そのうちのひとつが卵胞ホルモンの影響を受けて成長しはじめ、卵子となるのです。

卵胞ホルモンの分泌によって、子宮内膜が厚くなったりおりものが増えて子宮に精子が入りやすくなったりと、身体が妊娠に向けて変化する時期でもあります。

排卵期

卵胞ホルモンの分泌がピークになって脳下垂体から黄体形成ホルモンが分泌され、成熟した卵胞から卵子が飛び出すのが「排卵期」です。

排卵前の卵胞ホルモンがピークに分泌される時期には、卵胞刺激ホルモンの分泌は少し抑えられますが、排卵と同時に再び上昇します。ただし、排卵時は、黄体形成ホルモンの分泌の方がはるかに多く、卵巣は黄体ホルモンを分泌させる準備を始めるのです。

黄体期

「黄体期」は、黄体形成ホルモンで刺激を受けた黄体が黄体ホルモンを分泌し、体温を上昇させたり子宮内膜をふかふかにさせたりと、妊娠しやすい環境に整えられる時期です。この時期は主に黄体形成ホルモンの作用が大きいため、卵胞刺激ホルモンの分泌は抑えられているのが一般的です。

卵胞刺激ホルモン(FSH)の検査方法と基準値

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採血による検査

卵胞刺激ホルモンの検査は婦人科で行うことができ、検査方法は「採血」になります。日本産婦人科学会によると、卵胞刺激ホルモンが正常に分泌されているかどうかの検査は、月経周期の3~5日目の卵胞期初期に行われるのが一般的ですが、無排卵・無月経症と診断を受けている場合は、来院時に随時採血を行うようです。

卵胞刺激ホルモン(FSH)の基準値

日本産婦人科学会の「スパックーS」によるホルモン基礎分泌測定値を見ると、卵胞刺激ホルモンの正常値は、卵胞期で5.2~14.4mIU/mL・排卵期で5.6~14.8mIU/mL・黄体期で2.0~8.4mIU/mL・閉経期で26.2~113.3mIU/mLといわれています。

数値は高くても低くても不妊の可能性が高く、検査結果によって治療方法が異なってくることもあります。そのため、卵胞刺激ホルモンの分泌が基準値外の場合は、医師の告げる診断結果をもとに、医師やパートナーとどのように治療をしていくか話しあっていくことになるでしょう。

卵胞刺激ホルモン(FSH)の数値で不妊がわかる?

卵胞刺激ホルモン(FSH)が基準値より高い場合

卵胞刺激ホルモンの数値が基準値よりも高いことが採血検査で判明した場合「卵巣性の排卵障害」、20代前半で生理が終わってしまう「早発閉経」、高齢による「卵巣予備能の低下」などの機能障害が考えられます。

卵胞刺激ホルモンの数値が高い場合、主に卵巣の機能が弱っていると考えられます。卵巣の機能が低下していると、さらに卵巣を働かせようと卵胞刺激ホルモンが多量に分泌されるため検査結果が基準値よりも高くなるとされています。

卵胞刺激ホルモン(FSH)が基準値より低い場合

卵胞刺激ホルモンが基準値より低い場合も不妊の原因となっていることが多く、「下垂体や視床下部の機能の低下」や、無排卵月経を引き起こしやすい「高プロラクチン血症」、標準体重が15%以上低い「体重減少性無月経」などが考えられます。

また、卵胞刺激ホルモン(FSH)は正常でも黄体形成ホルモン(LH)が基準値よりも高い場合、「多嚢胞性卵巣症候群」が疑われます。多嚢胞性卵巣症候群も排卵障害と同じく不妊の原因となり、妊娠を望む場合は排卵誘発剤などを使用した治療が必要なこともあるので、医師と相談したうえで納得のいく治療法を進めていきましょう。

更年期の卵胞刺激ホルモン(FSH)の変化

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「更年期」とは、女性の閉経前の5年から閉経後の5年にかけて身体が移り変わる期間のことを言います。日本産婦人科学会によると、閉経の平均年齢は50歳前後です。個人差はありますが、45歳~55歳ごろまでの時期に更年期障害の症状を感じる女性が多いでしょう。

更年期や閉経間近は「卵胞刺激ホルモンが高くなる」

更年期や閉経間近の女性は、卵胞刺激ホルモンが高くなる傾向にあります。これは主に卵巣予備能の低下との関わりが深いからといって良いでしょう。年齢とともに起こる卵巣予備能の低下により、さらに卵胞ホルモンを分泌させようと卵胞刺激ホルモンの分泌が盛んに行われ、身体に病気ではない変調をきたすことが原因です。

更年期障害の症状

更年期障害の症状は個人差が大きいものです。主な症状としては、のぼせや火照り・脈が速い・動悸や息切れ・執拗な発汗・血圧が安定しない・頭痛やめまいなどがあげられます。精神的には、興奮気味になる・イライラや倦怠感・うつ・不眠などの症状があげられるでしょう。

また、男性も同じく40歳代後半で更年期障害はあるのですが、女性よりもホルモンの変化がゆるやかなため、老化現象の一部として気付かない方も多いようです。

卵胞刺激ホルモン(FSH)の数値を正常値にもっていく対策と治療方法

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何らかの原因で卵胞刺激ホルモンの数値が高い場合、基本的には婦人科での治療が一般的です。治療を行うと同時に、卵胞刺激ホルモンを基準値に持っていくために、生活面でも意識しておきたいことをあわせて紹介します。

カウフマン療法

「カウフマン療法」は、婦人科で行う治療のひとつです。卵胞刺激ホルモンの数値が基準値よりも高い場合、卵巣機能が低下してより多くの卵胞刺激ホルモンを分泌しようとします。不足している卵胞ホルモンと黄体ホルモンを補うことで、乱れていた月経周期・排卵周期を正常に戻すことを目的とした治療法です。

また、卵巣性の排卵障害においてはカウフマン療法によって排卵誘発の作用はありませんが、治療を行っていく段階でのリバウンド現象を利用して、3ヶ月〜6ヶ月間の治療後に自然排卵周期を期待できるでしょう。

鍼灸や漢方薬

東洋医学である鍼灸や漢方薬は、血液の循環を良くして自律神経を整える効果が期待できます。自律神経とホルモンはとても密接な関係にあるため、自律神経が整うことによって卵胞ホルモンと黄体ホルモンが正常に分泌されやすくなります。また、漢方などで身体の冷えを改善することで、卵巣などの臓器の機能も働きやすくなるでしょう。

ただし、鍼灸や漢方薬においても医師や専門家の正しい知識が必要です。特に初めて行う場合は、自己流ではなく専門の機関に相談し、ひとつずつ身体の不調を改善していくと良いでしょう。

ストレスを減らし生活習慣を見直してみる

女性ホルモンはとてもデリケートなものなので、日々感じるストレスによっても分泌が乱れやすくなるものです。そのため、規則正しい生活習慣を心がける必要があります。

生活面で完全にストレスを排除するのは難しいですが、特に睡眠には気を付けたいところです。夜の10時~深夜2時のあいだには、細胞を活性化させる成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは、同じ脳の下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの分泌にも影響を与えるので、健やかな卵子の成長のためにも夜0時までには布団に入って翌朝に備えましょう。

卵胞刺激ホルモン(FSH)が低い場合

卵胞刺激ホルモンの数値が基準値より低い場合も、婦人科での治療が必要となります。その原因はいくつかありますが、たとえば、「高プロラクチン血症」であれば血中のプロラクチン値上げる原因を探したり、をプロラクチンを下げるための薬を服用したりして、プロラクチンの値を下げていきます。ただし、薬の服用をやめるとまたプロラクチンの数値が高くなることがほとんどなので、妊娠を希望している場合は妊娠するまで服用をすすめられることも多いでしょう。

また、ストレスが原因で脳の下垂体の機能が低下していても、卵胞刺激ホルモンの数値が低くなることがあります。できる限りストレスを減らす必要がありますが、ストレスのすべてを排除するのは難しいことですよね。

そこで気を付けたいのは、まずは睡眠をきっちりととるようにして規則正しい生活を心がけることです。正常に成長ホルモンを分泌させるよう心がけ、女性ホルモンの分泌も整えていきましょう。

規則正しい生活で卵胞刺激ホルモン(FSH)を正常値に

卵胞刺激ホルモン(FSH)は女性の体の状態ととても密接な関係にあり、卵胞刺激ホルモンが乱れることで不妊の原因や更年期障害といった悩みを抱えやすくなります。卵巣機能が年齢とともに衰えるのは仕方のないことです。

しかし、機能低下の影響をダイレクトに受けるのではなく、生活習慣で気を付けられることは改善し、卵胞刺激ホルモンの分泌を基準値に持っていきたいとですね。

また、これから妊娠を望んでいる方もできるだけストレスフリーの暮らしを心がけ、卵胞刺激ホルモンの分泌を整えていきましょう。そのためにも、まずは早めの就寝を心がけ、規則正しい生活を送れると良いですね。

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