精巣の役割や構造は?大きさの違い、しこり、痛み、腫れは病気?

精巣の役割や構造については、当事者の男性でさえ、知らない人も多いかもしれません。ここでは、精巣の役割や構造とともに、精巣に関する病気についてもお伝えします。精巣に痛みがあるときや、大きさに変化があるときなどは、どのような病気の可能性があるのでしょうか。

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目次

  1. 精巣とは?
  2. 大きさの違い、痛み、しこり、腫れの原因と治療法!不妊の可能性は?
  3. 抗がん剤などの治療を要する場合は「精液保存」を
  4. 気になることがあれば早めにかかりつけ医に相談を
  5. あわせて読みたい

精巣とは?

精巣が男性特有のものであることや、精子をつくる働きをしていることは理解していても、精巣の役割や構造がどのようになっているのか、詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。最初に、精巣の構造や役割、通常の大きさについてお伝えします。

精巣の構造

精巣とは、男性の生殖器(睾丸)を指します。精巣は、陰嚢中に左右ひとつずつあるのが特徴です。ふたつの精巣は線維性の白膜につつまれており、多数の小葉に分けられています。小葉には曲精細管という細い管があり、管の中では精子が作られているのです。

精巣の役割

広辞苑によると、精巣は「動物の精子を形成し、雄性ホルモンを分泌する器官」と定義されています。その定義の通り、精巣は精子をつくるだけでなく、男性ホルモンの分泌もしている器官です。

女性ホルモンの減少や対策はクローズアップされがちですが、男性ホルモンも同じように生活に大きな影響を与えるホルモンです。精巣で作られる男性ホルモンが減ってしまうと「うつ状態」や「性機能障害」などの症状を引き起こしてしまいます。性機能以外にも大切な役割を果たしているのが精巣というわけなのです。

精巣の通常の大きさは?

精巣は通常、楕円形の形をしています。正常な成人男性の精巣は、重さは8~8.5g程度、直径は4~5cm程度です。直径が4cm以下の場合は、思春期に起こる二次性徴の発達障がいの可能性も出てきます。

また、精巣の病気を患った際は、精巣の硬さや左右差、いつもと違う様子などで病気を発見することができます。男性は、時々でも入浴の際に自分の精巣の状態を確認するようにしましょう。

大きさの違い、痛み、しこり、腫れの原因と治療法!不妊の可能性は?

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精巣に気になる症状が現れたら、精巣の病気ではないかと疑いますよね。精巣の代表的な病気である「精巣炎」「精巣上体炎」「精索静脈瘤」「精液瘤」「精液がん」「陰嚢水腫」「精索捻転」について、それぞれの症状、原因、検査や治療、不妊への影響についてもお伝えします。

精巣炎

精巣炎は別名「睾丸炎」といわれます。精巣そのものに炎症が起きる病気で、赤い腫れ、激しい痛みを引き起こすので、見つけやすい病気のひとつです。ほとんどの場合は片側の睾丸だけに起こりますが、1割程度は両側に精巣炎が起こることがあります。

精巣炎は急性のものと慢性のものにわけられ、慢性のものは、ゆっくり腫れるのに対し、急性のものは急激に腫れます。急性精巣炎は、おたふくかぜが原因で罹患することがよく知られています。

検査は視診、触診で行われますが、おたふくかぜの症状が先行していた場合は、大きな判断材料のひとつとなります。おたふくかぜが原因とされる場合は、経過観察で自然と良くなります。精巣炎には、基本的に原因となる病気があるはずです。そのため、病気にあった治療を行えば、精巣炎自体は回復に向かうでしょう。

また、両側の精巣炎になった人は、両側の精巣の萎縮が起こって「無精子症」となり、不妊の原因となることがあります。急性精巣炎になった男性のうち、2~3割に不妊症の症状が現れるとされています。

精巣上体炎

精巣上体炎は精巣炎とよく間違われますが、精巣に隣接する精巣上体に細菌感染が起こって発症する病気です。精巣上体は精子を運ぶ部位であることから、たいていの場合、性病を引き起こすクラミジアや大腸菌などが原因で発症します。しかし、細菌だけでなく、他のウイルス感染症や外傷から引き起こされることもあります。

高熱が出て、陰嚢部の腫れや痛みといった症状が広範囲におよぶと、非常に危険な状態です。症状が悪化している場合は、治療のため、陰嚢の切開なども検討されます。

精巣上体炎の検査は、尿中の白血球や細菌の検出をすることで行われます。慢性のものと急性のものにわけられますが、急性の状態の治療がきちんと行われないと慢性化する可能性があるので、注意が必要です。

基本的には抗菌薬による治療がすすめられますが、慢性の場合は手術をしなければならないこともあります。そのため、早めに治療を行うことが大切です。悪化すると治療が困難になり、最悪のケースでは精巣摘出も考えられます。

また、精巣上体炎によって精子の通過障害などが起こると、不妊につながってしまうことが知られています。

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精巣上体炎は男性不妊につながる?精巣上体炎の原因と症状、治療法

精索静脈瘤

精索静脈瘤とは、精巣の静脈瘤へお腹から血液が逆流し、こぶ状に膨れる状態です。精索静脈瘤はあまり聞き慣れない名前ですが、一般男性の実に15%がこの「精索静脈瘤」であるとされているのです。

原因には、以下の3つがあげられます。

・血液の逆流を防止する「弁」の機能が何らかの原因で低下している
・左腎臓につながる左腎静脈が大動脈と上腸間膜動脈の血管にはさまれて狭くなり逆流してしまっている
・左内精静脈が左腎静脈にほぼ直角に合流している

検査は触診とエコーで行われるのが一般的です。こぶが立ちあがった状態でも確認できる程度よりも大きければ外科的処置を行い、確認できない程度小さい程度であれば内科的処置が行われます。

不妊症の男性の40%が精索静脈瘤を患っているため、精巣の病気の中では、精索静脈瘤はもっとも不妊への影響が大きい病気といえます。しかし、治療方法も確立されている病気でもあり、「男性不妊の原因の中でもっとも外科的に治療可能なもの」ともいわれています。正しい治療をすることできちんと回復するので、精巣が腫れるなどの症状があれば、早めに病院にかかりましょう。

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精液瘤

精液瘤は20~50代の男性に起こりやすい病気です。精巣上体にある精子を運ぶ管のどこかに閉塞が起こって精子が逆流し、精巣や精巣上体に精液の入った袋状のものができます。痛みなどはないため、偶然に発見されることも多いようです。

検査は、光を当てて中に溜まっているのが精子かを判断する方法と、針を刺して出てきた液体が精子であることを確認する方法があります。小さいものであれば経過観察となりますが、大きいものとなると手術の必要があります。精液瘤と不妊との関係はあまりないと考えられています。

精巣がん(腫瘍)

精巣がんとは、精巣にできる悪性腫瘍のことです。基本的に痛みがないので病気だと気付かず、他の器官に転移し、転移先のがん症状から精巣がんが発覚することが多くなっています。片側の精巣の腫れや精巣のかたさの変化で気づくこともあります。

検査は触診、血液検査、超音波検査で行われます。血液検査では「αフェトプロテイン(AFP)」「βヒト絨毛性ゴナドトロピン(β―hCG)」「乳酸脱水素酵素(LDH)」の3種類の腫瘍マーカーにより判断され、がんの場合は、生検を行って細胞の種類を確認します。

生殖細胞由来のがんであるかないかの「セミノーマ」と「非セミノーマ」にわけられ、セミノーマの場合は、放射線治療や抗がん剤による化学治療が効果的です。非セミノーマでがんの進行がステージ1の場合は、抗がん剤治療を行わずに経過観察を行うことが多くなっています。一般的には、セミノーマのほうが治療の効果が高いです。

また、精巣腫瘍の場合、罹患していない人よりも不妊率が高いといわれています。治療の際に使用される抗がん剤によって精子の能力が落ちる可能性が高いため、がん治療後に子どもを望むのであれば、治療前に精液保存をするという方法も検討しましょう。

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精巣がん(腫瘍)の症状、原因、手術、生存率について。痛みやしこりはある?

陰嚢水腫

陰嚢水腫とは、精巣と精巣を包む膜の間に液体が溜まり、陰嚢が腫大する病気です。新生児には高頻度で起こりますが、新生児や乳児の場合はそのまま様子を見ておくことで、成長とともに回復することがほとんどです。

しかし、大人の場合は、手術になることもあります。痛みはなく、無症状のことが多いのですが、腫れやふくらんだ感じがすることで受診する人もいるようです。

検査方法は、陰嚢に光をあてて陰嚢内に液体があるかを見るテスト、超音波検査と注射針での内容物の穿刺などです。穿刺吸引して内容液を外に出す治療が行われますが、何度繰り返しても水腫が治らない場合は手術し、精巣鞘膜を切除することもあります。

なお、陰嚢水腫は腫瘍とは違い、液体が溜まっているだけの状態なので、不妊との関係は薄いと考えられています。

精索捻転

精索捻転とは、精巣が栄養血管を軸にして回転する病気です。放置すると栄養血管が締め付けられて精巣が壊死してしまうので、非常に早期の治療が望まれます。精巣捻転の原因はまだ究明されていません。

症状は、精巣の急な痛みや腫れです。急性の精巣上体炎と区別がつきにくいともいわれていますが、精巣に痛みがある場合は、どちらにしても早めに受診しましょう。

精索捻転が疑われると、ドプラー超音波診断で検査されたのち、治療が迅速に行われます。症状が出てから4~6時間以内に手術が施されなければならず、24時間以上経過してしまうと精巣が壊死してしまうため、摘除が推奨されます。強い痛みや腫れなどがある場合はすみやかに受診してください。

また、精索捻転は治療が遅れると精巣摘出になり、精巣は残ったとしても精巣へのダメージが大きいので、不妊の原因となることが考えられます。

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精巣が痛い!子供の精巣捻転の症状と手術について。将来の不妊への影響は?

抗がん剤などの治療を要する場合は「精液保存」を

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抗がん剤などの精液に影響のある治療をする場合は、事前に「精液保存」を行っておくことで、将来子どもを持ちたいと考えたときの助けとなります。精液を凍結すれば、半永久的に保存することができるのです。費用は施設によりますが、基本的には初回時と凍結期間の更新毎(約1年程度)にかかることが一般的です。

まだ学生や若い男性だと、病気治療前に精液保存しておくことへの理解が薄く、費用が多少なりともかかることから断る人もいます。しかし、将来子どもを持ちたいと考えたときに、「あのとき精液保存をしておけば良かった」と後悔するのはつらいものです。精液保存ができる状況なら行うことをおすすめします。

気になることがあれば早めにかかりつけ医に相談を

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精巣の病気は、痛みがないものも多くあります。そのため、普段の精巣の状態を知り、大きさや固さに変化はないか時々自分自身で触ってみることも大切です。

急激に痛むような場合は、我慢せずにすぐに病院にいきましょう。精索捻転が原因の場合は、精巣をそのまま正常な状態で保つには4~6時間ほどの余地しかなく、時間との勝負になります。1日経過するとほとんどの場合、精巣が壊死してしまうという最悪の事態になってしまうのです。

精巣の病気の症状や治療法、不妊への影響はどのようなものなのかを理解することは、男性自身だけでなく、家族などの身近な人を大事にすることにつながります。女性も他人事と思わず、パートナーのためにも精巣の病気について知っておいてくださいね。

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