卵巣の主な病気は?種類や症状、不妊への影響は?

卵巣は「沈黙の臓器」といわれ、病気の自覚症状が出にくいとされています。卵巣では絶えず卵胞が細胞分裂を繰り返しているため、腫瘍ができやすい臓器です。腫瘍が良性か悪性かで治療方法は全く異なり、不妊への影響度も変わります。ここでは、多嚢胞性卵巣症候群や卵巣機能不全、卵管炎など、卵巣の代表的な病気を解説します。

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目次

  1. 卵巣とは?仕組みと働き、大きさは?
  2. 卵巣の主な病気・症状・原因・治療方法
  3. 卵巣腫瘍
  4. 卵巣がん
  5. 卵巣嚢腫
  6. チョコレート嚢胞
  7. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
  8. 卵巣機能不全
  9. 卵巣炎、卵管炎、子宮付属器炎
  10. 卵巣の病気と不妊の関係は?
  11. 病気以外で、卵巣の痛みや腫れがある場合は
  12. 卵巣の病気は腫瘍が最も多い
  13. あわせて読みたい

卵巣とは?仕組みと働き、大きさは?

卵巣は女性の持つ生殖器

卵巣は女性の生殖器のひとつで、卵管によって子宮とつながっている臓器です。左右にひとつずつ、子宮の上方よりやや背中側にあります。大きさは平常時約2〜3cm、人間の親指第一関節分くらいの小さな臓器です。子宮とともに、女性の生殖機能を担っています。

卵巣の働きと排卵の仕組み

卵巣は、卵子のもとである卵胞を成熟させ、排卵する役目を担う臓器です。

そもそも女性は、胎児期に約200万個の原始卵胞を持っていますが、卵胞数は胎児期に既にピークを迎え、産まれてくる頃には減少をはじめています。卵胞の数は、出生後増えることなく減少の一途を辿ります。生理が始まる思春期ごろには、約20〜30万個に減少しているといわれています。一回の生理周期で使われる原始卵胞は、約1,000個です。つまり、女性は、卵巣に貯蓄している原始卵胞を毎月少しずつ使っていることになります。
直前の生理が始まると、卵巣は次の排卵のために原始卵胞を発育させ始めます。発育した卵胞が直径5mm程度になると卵胞刺激ホルモン(FSH)を出し、さらに成長が進みます。直径8mmにまで達すると、今後は卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌し、黄体化ホルモン(LH)の分泌を促すのです。

卵巣内ではいくつかの卵胞が発育していますが、その中で最も優れた卵胞がひとつ選ばれ、直径21mm程度まで大きく発育します。卵胞が十分に成熟したら、排卵の準備は完了です。

直前の生理から約14日後、卵胞は黄体ホルモンの刺激を受けて自身の殻を破り、卵子となって卵巣の外に出されます。これが排卵という現象です。卵が飛び出た後の卵胞の殻は卵巣にとどまって「黄体」に変化し、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。子宮内膜では血液が充満し、卵子が精子と受精して受精卵が着床するのを待っています。

卵巣の主な病気・症状・原因・治療方法

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卵巣の主な病気には次のようなものがあげられます。疾患の名前を羅列しましたが、一部重複するものや厳密には分けられないものもあります。

・卵巣腫瘍
・卵巣嚢腫
・卵巣がん
・チョコレート嚢胞
・多嚢胞性卵巣症候群
・卵巣機能不全
・子宮付属器炎(卵巣炎、卵管炎) など

卵巣は、絶えず卵胞や卵子が細胞分裂を繰り返している場所でもあるため、腫瘍のできやすい臓器といわれています。卵巣の病気には腫瘍が多くあります。また、卵巣は腹部の奥まったところに位置しているため、「沈黙の臓器」と呼ばれるほど自覚症状が出にくい場所だといえるでしょう。

卵巣腫瘍

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卵巣腫瘍とは、卵巣にできた腫瘍のことをいいます。卵巣腫瘍には悪性と良性があり、卵巣腫瘍全体の約10%が悪性、その他90%は良性腫瘍です。良性か悪性かの区別がはっきりと付かない場合を境界悪性腫瘍といいます。

腫瘍が袋状(嚢胞性)の場合の多くは、良性です。反対に、腫瘍が塊(充実性)でできていたり、塊と袋状の部分でできていたりする場合には、悪性腫瘍や境界悪性腫瘍の可能性があります。腫瘍マーカーや画像診断等が判断材料となりますが、実際には手術をして病理検査を行わなければ、診断は確定できません。

通常時2〜3cmほどの卵巣は、腫瘍ができると大きい場合では20cm以上にもなることもあります。

卵巣腫瘍の自覚症状

初期の卵巣腫瘍は、自覚症状がほとんどありません。一般的に自覚症状が出始めるのは、腫瘍が直径5〜6cmを超えたころからです。この時期になると、腫瘍が他の臓器を圧迫するために下腹部に違和感を覚えたり、膨満感を感じたりします。

頻尿や便秘、むくみなどの症状が出ることもあり、腫瘍の増大とともに、お腹だけが徐々に出てきます。手足など他の部位には変化がないのに、お腹だけが異様にサイズアップするときには、注意が必要です。

卵巣腫瘍の原因

卵巣腫瘍の原因は、卵巣内に水や古い血液、脂肪などの分泌物が溜まることにあります。しかし、そもそも卵巣腫瘍がなぜ起こるのかについては、今の医学でははっきりとはわかっていません。メカニズムが判明していないため、腫瘍ができた場合は、腫瘍を取り除く外科的な治療法が中心となります。

卵巣腫瘍の診断方法

卵巣腫瘍の診断は以下のような手順で行われます。

1. 内診で卵巣の大きさ、形、癒着の有無などを診察する
2. 経腟超音波検査で卵巣や子宮の正確な大きさや内部の状態などを観察する
3. 場合によってはMRIやCTなどを活用し、周辺臓器との関係や腫瘍内部の状態を確認する
4. 良性か悪性かを判断する材料として、血液検査で腫瘍マーカーを用いる

卵巣腫瘍の治療方法【良性の場合】

腫瘍が大きい場合には、手術を行います。手術には、腫瘍のある方の卵巣と卵管を摘出する「附属器切除術」と、腫瘍のある部分だけを取り除く「卵巣腫瘍摘出術」があります。

本人が妊娠可能な年齢でかつ妊娠を希望している場合には、卵巣腫瘍摘出術が選ばれます。しかし、妊娠中には腫瘍のある卵巣が子宮との接続部でねじれる「茎捻転」を起こす可能性が高くなるため、注意が必要です。

妊娠中に茎捻転を起こしそうな大きさの腫瘍がある場合には、妊娠12〜16週の間に卵巣摘出手術を行います。腫瘍が直径5cm以下の大きさで良性だと確定できる場合には、定期的な経過観察で様子を見ることもあります。

卵巣腫瘍の治療方法【境界悪性腫瘍の場合】

境界悪性腫瘍とは、悪性と良性の中間的な腫瘍のことです。ガン化する手前の状態ではなく、悪性度の低いガン状態と考えられています。

境界悪性腫瘍は、手術で腫瘍を摘出するだけで完治できる可能性があり、将来妊娠を希望している場合には、腫瘍のある方の卵巣と卵管を取り除く方法が取られます。以後の妊娠を望んでいない場合には卵巣、卵管とともに子宮を摘出する場合もあります。

卵巣腫瘍の治療方法【悪性腫瘍の場合】

手術で腫瘍を取り除き、抗がん剤での化学療法を行います。卵巣悪性腫瘍は、抗がん剤が効きやすいがんだといわれています。なお、悪性の卵巣腫瘍は卵巣がんと同義です。

卵巣がん

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卵巣がんは、卵巣にできた卵巣腫瘍のうち、悪性のものをいいます。卵巣に関わる病気は、自覚症状がないことが少なくありません。卵巣がんも例外ではなく、進行した状態で発見される場合もあり、早期発見の難しいがんのひとつです。

卵巣がんの診断方法

卵巣がんは、悪性の卵巣腫瘍のことを指します。したがって、卵巣がんの診断方法は、基本的には卵巣腫瘍の診断方法と変わりありません。診断には以下のような検査を行います。

・内診で卵巣の大きさや形、癒着の有無を確認する
・経膣エコーで正確な卵巣の大きさや状態を確認する
・MRIやCTで、周辺臓器との関係や卵巣内部の状態を確認する
・血液検査の腫瘍マーカー項目で良性・悪性を予測する

しかしながら、初期の卵巣がんであれば腫瘍マーカーが陰性と出ることも少なくないといいます。卵巣は奥まった位置にある臓器のため、細胞も簡単には採取できません。また、画像診断の正確性も約75%にとどまっています。

よって、現段階では、5cmを超えた腫瘍を摘出し、検体を病理検査に回して良性か悪性かの確定をするのが一般的で確実な方法だとされています。

卵巣がんの治療

卵巣がんの治療は、がんの摘出手術と薬物療法の併用が基本です。

摘出手術では、がんの進行や再発を予防するため、最大限の摘出を行います。開腹手術が一般的です。腫瘍が悪性か良性かの判断がつかない場合には、術中に病理検査に回して速やかに診断を行います。また、手術後の検査結果で悪性だとわかった場合には、再開腹によってステージや転移の状態を診断する場合もあります。

卵巣がんは、抗がん剤治療が有効ながんの一つです。また、初期の卵巣がんであっても再発のリスクがあるため、手術で適切に腫瘍や卵巣を除去できたとしても、基本的には抗がん剤治療もあわせて行われます。

卵巣がんの危険因子と排卵の関係

卵巣がんには、リスク因子があります。

・遺伝的な因子
・動物性脂肪の過剰摂取や喫煙
・排卵の回数

特に、排卵の回数と卵巣がんは密接な関わりがあると指摘されています。一般に、排卵の回数が多ければ多いほど卵巣がんのリスクは上がります。そのため、妊娠の回数が多い、授乳期が長い、無排卵月経であるなどといったことは、卵巣がんのリスクを下げることにつながっています。また、経口避妊薬は排卵を抑制するため、結果的に卵巣がんのリスクを下げているともいわれています。

しかしながら、無排卵月経はホルモンバランスの乱れや不妊の面ではマイナスです。経口避妊薬にも副作用やデメリットがあるため、必ずしも良い面ばかりではないことも念頭に入れておく必要があります。

卵巣嚢腫

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卵巣嚢腫は、良性の卵巣腫瘍の中で、とりわけ卵巣が腫れて袋状になり液体や粘液が溜まった状態をいいます。

卵巣嚢腫の自覚症状

卵巣嚢腫は、基本的には卵巣腫瘍の仲間であるため、症状なども同じです。初期には人によって腹部膨満感・下腹部痛・頻尿などがみられますが、自覚症状がない場合の方が多い病気です。腫瘍の増大や癒着によって次のような症状が出てきます。

・腹部膨満感
・下腹部痛
・性器出血
・頻尿
・便秘
・腹水など

痛みなどの自覚症状がなくとも、腹部のみが異常に膨らんできた場合には注意が必要です。

卵巣茎捻転の危険性

腫瘍がねじれて壊死する卵巣腫瘍茎捻転が起きると、強烈な痛みを伴う炎症が起きます。茎捻転は婦人科の緊急疾患のひとつで緊急手術の適用となり、手術によって卵巣を全摘します。

卵巣は普段親指の第一関節ほどの大きさ(2〜3cm程度)しかありません。腫瘍が直径5〜6cm程度にまで達して初めて、違和感が出てきやすくなります。捻転や破裂が起きやすくなるのも腫瘍の大きさが5〜6cmに達してからです。

特に卵巣腫瘍茎捻転は、腫瘍が5〜6cm程度のときに最も起きやすいといわれています。激しいスポーツや性交渉には注意が必要です。

卵巣嚢腫の種類

卵巣嚢腫は、嚢腫に溜まった中身によって、次のように種類わけできます。

・漿液性嚢腫
・粘液性嚢胞腺腫
・皮様嚢腫
・チョコレート嚢腫

【卵巣嚢腫の種類1】漿液性嚢胞腺腫

サラサラとした黄色い水様液が溜まった状態です。多くは左右どちらか片方に発症します。卵巣嚢腫全体の約30%が漿液性嚢腫で、年齢を問わず発症します。

【卵巣嚢腫の種類2】粘液性嚢胞腺腫

嚢腫にドロドロ・ネバネバとした粘液が溜まった状態です。卵巣嚢腫の約10〜20%で、嚢腫がいくつかの部屋に分かれている場合が多いです。

【卵巣嚢腫の種類3】皮様嚢腫(成熟嚢胞性奇形腫)

脂肪とともに、毛髪、歯、骨、軟骨が嚢腫の中に含まれる珍しい状態です。この様な不思議な状態が起こる理由については、医学的に詳しく判明していません。近年の見解では、卵子同士が自家受精した、もしくは卵子が細胞分裂を繰り返す中で特定の形に成熟したと考えられています。

【卵巣嚢腫の種類4】チョコレート嚢腫

子宮内膜症が卵巣内に起こったものをいいます。卵巣にできた子宮内膜が月経のたびに出血するため、嚢腫内にはチョコレートのように茶黒い血液が溜まっています。20〜30代に多い嚢腫です。

チョコレート嚢胞

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子宮内膜症の一種で、子宮内膜が卵巣内にできた状態をチョコレート嚢胞といいます。茶黒い血液が嚢胞内に溜まっています。再発の可能性があり、将来0.7%の確率でがん化することもあるため、経過観察には注意が必要です。

チョコレート嚢胞の症状

チョコレート嚢胞の症状は子宮内膜症の症状と同様です。以下のような症状があげられます。

・ひどい月経痛
・不正出血
・経血量が多い
・下腹部痛
・腰痛
・排便痛

チョコレート嚢胞の診断

チョコレート嚢胞は、子宮内膜症の一種でもあり、卵巣嚢腫の一種でもあります。診断は、嚢胞内に血液がみられることが確定条件です。経膣プローブによるエコー検査や、MRIといった画像検査が判断材料です。

チョコレート嚢胞の治療

チョコレート嚢胞の治療は「経過観察」、手術によって嚢胞部分を摘出する「嚢胞摘出術」、嚢胞のある卵巣を取ってしまう「卵巣摘出術」の3つが柱です。

嚢胞がおよそ6cm以下で自覚症状が少ない場合には経過観察、6cmを超える場合や痛みなどの症状がある場合には嚢胞摘出術が適用されます。また、以後の妊娠を望まない場合や、閉経後には卵巣摘出術がすすめられます。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、卵巣の皮膜が硬いために、卵胞が成熟しきれずに排卵に時間がかかってしまう状態をいいます。女性の5〜10%は多嚢胞性卵巣症候群といわれています。

本来、女性の身体では、毎月排卵に向けて卵胞が20mm程度にまで成熟します。成熟した卵胞は卵子となり、残った殻が黄体へと変化して妊娠可能な状態を整え、役目がなければ2週間後に月経が起こる仕組みとなっています。しかし、多嚢胞性卵巣症候群では卵胞が成熟しきらないために、排卵障害が起きやすくなります。

多嚢胞性卵巣症候群の症状

自覚症状としては、次のようなものがあげられます。

・月経不順
・毛深い
・ニキビが出る
・軽度の肥満など

多嚢胞性卵巣症候群の診断基準

多嚢胞性卵巣症候群は次のような場合に診断されます。

・月経異常がある(月経周期が35日以上)
・卵巣に小さな卵胞がたくさんある
・血中の黄体化ホルモン(LH)値が上昇し、かつ卵胞刺激ホルモン(FSH)値が正常

エコーでは、卵巣内の卵胞の状態を確認します。片側の卵巣に2mm~9mmの小さな卵胞が10個以上見られる状態を「ネックレスサイン」と呼んでいます。

多嚢胞性卵巣症候群の原因

男性ホルモンが多いことが原因で引き起こされる病態ですが、そもそもなぜ男性ホルモン値が高くなるかについては、詳しくはわかっていません。

多嚢胞性卵巣症候群の治療

多嚢胞性卵巣症候群は、病気の詳しいメカニズムがわかっていないため、現代の医学では対症療法が中心となります。年齢とともに症状は重くなる傾向にあるため、妊娠を望む場合には早めの対処が必要です。

妊娠を希望する場合

妊娠を希望している場合には、次のような治療を行います。

・ホルモン剤で排卵を起こす
・肥満の場合は減量を推奨

【妊娠希望の場合の治療1】ホルモン剤での排卵誘発

第一段階は、クロミフェンという排卵誘発剤を試します。クロミフェンの内服で効果が見られなかった場合には、第二段階として排卵誘発剤の注射を行います。排卵誘発剤の注射は、hMG製剤とhCG製剤です。

多嚢胞性卵巣症候群で排卵誘発剤を注射して妊娠した場合、もともと成長過程の卵胞がたくさんある病気なので、約15〜20%の確率で多胎となります。副作用として、排卵後に卵巣が腫れる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起きる可能性があります。腹水のために腹部の膨満感や腹痛が起き、重症の場合には胸水や呼吸困難などの症状が出るため、入院治療が必要です。


多嚢胞性卵巣症候群では、卵巣内に成熟しきっていない卵胞が多数あるため、排卵誘発による卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こりやすい状態といえます。特に注射での排卵誘発は服薬よりも直接的なので、慎重な経過観察が必要です。

【妊娠希望の場合の治療2】肥満緩和のための減量

多嚢胞性卵巣症候群の方で肥満傾向にある場合、ホルモンバランスを整える目的で減量が推奨されることがあります。

妊娠を希望しない場合の治療

以後の妊娠を希望しない場合でも治療の必要があります。多嚢胞性卵巣症候群は、子宮内膜増殖症や子宮内膜がんを合併する可能性があるからです。経口避妊薬などの服用を行いながら、経過観察を行っていきます。

卵巣機能不全

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卵巣機能不全とは、卵巣の中の卵胞が成熟し、卵子として排卵される仕組みのどこかに異常があるために、排卵障害が起きている状態をいいます。卵巣機能が衰えている状態ともいえます。

卵巣機能不全の症状

卵巣機能不全の自覚症状としては、月経不順や無月経、不正出血があげられます。排卵の仕組みは、ホルモンの働きによって成り立っています。そのため、卵巣機能不全の場合には、ホルモンに関わりのある脳視床下部、脳下垂体、卵巣のいずれかまたは複数に問題があるとされているのです。

卵巣機能不全の原因

卵巣機能不全の多くは、はっきりとした原因は不明です。原因が判明しているものは、次の通りです。

・医原性のもの
・自己免疫異常によるもの
・遺伝性のもの
・特発性のもの

医原性とは、ひとつの疾患の治療などの医学的な処置や治療が原因で新たな疾患を引き起こすことを指します。放射線治療や化学療法などがあげられます。

卵巣機能不全の中でも、特に40歳未満で閉経してしまうことを「早発卵巣不全」といいます。早発卵巣不全は、甲状腺疾患、糖尿病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの自己免疫疾患との関係が指摘されています。

原因不明の場合には、生活習慣の見直しが必要です。卵巣機能の低下はホルモンバランスとの密接な関わりを持ち、ホルモンバランスは不規則な生活習慣や過労、ストレスなどによって左右されやすい性質があります。また、ダイエットでの減量が卵巣機能の低下を招く場合もあります。

卵巣炎、卵管炎、子宮付属器炎

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子宮付属器は卵管・卵巣の総称で、子宮付属器炎とは、卵管や卵巣で炎症が起きている状態をいいます。卵巣炎は卵巣で炎症が起きている状態、卵管炎は卵管で炎症が起きている状態をそれぞれ指します。

原因の多くは細菌感染で、大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、淋菌、クラミジアなどが原因菌です。性行為や、分娩・不妊治療などの子宮内を触る医療行為によって感染が起こります。

卵巣炎、卵管炎、子宮付属器炎の症状

自覚症状は下腹部痛から始まり、38〜39度の発熱や膿性のおりものがみられます。重症化すると吐き気や嘔吐などの症状が出ます。慢性化した場合には、発熱は伴わないものの、月経痛、腹痛、腰痛、排便痛、排尿痛などの症状が現れます。

卵巣炎、卵管炎、子宮付属器炎の治療

抗生物質や消炎剤の投与を行います。重症化や慢性化を避けるため、なるべく早い段階で治療を受けることが大切です。

卵巣の病気と不妊の関係は?

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卵巣に異常があるとき、不妊との関係を心配する声は少なくありません。卵子は排卵の役割を担っているため、卵巣の病気によって排卵障害が起きていれば、不妊要素となります。

卵巣腫瘍・卵巣嚢腫と不妊

卵巣腫瘍・卵巣嚢腫ともに、腫瘍があったからといって必ずしも妊娠できないわけではありません。卵巣の腫瘍は無症状であることが多く、健康診断や妊娠時の受診で初めて判明するケースも少なくありません。

不妊の原因となるのは、腫瘍が卵巣や卵管で排卵の邪魔をするときです。排卵障害は不妊の原因となります。

卵巣がんと不妊

卵巣がん(悪性の卵巣腫瘍)が見つかった場合、切除と抗がん剤治療が治療の柱となります。以後の妊娠を考えており、かつ転移や予後の心配が少ないケースには、片方の異常のない卵巣を残して温存し、妊娠の可能性を残す方法も考えられます。

妊娠中に卵巣がんが見つかったケースでは、先に妊娠・出産を終えてから治療に専念するか、母体の生命を優先させる場合か、状況を総合的に判断して診断が行われます。

チョコレート嚢胞と不妊

チョコレート嚢胞は子宮内膜症のひとつです。子宮内膜症が妊娠を妨げるひとつの因子であるのと同じように、チョコレート嚢胞も妊娠の可能性を下げることが明らかになっています。チョコレート嚢胞の重症患者の3年間の妊娠率は約5%です。よって、妊娠を希望する場合には、何らかの治療を行わなければなりません。

治療方法は、腹腔鏡下嚢胞摘出術でチョコレート嚢胞のみを摘出するのが一般的です。術後は約70%の確率で自然妊娠が可能です。

多嚢胞性卵巣症候群と不妊

不妊の原因としてよくあがるのが多嚢胞性卵巣症候群です。卵巣内に十分発育しきれない卵胞が多数ある状態のため、排卵障害が起こります。多嚢胞性卵巣症候群の約7割に排卵障害があるとされています。治療には、卵胞の成熟と正常な排卵を促すために、排卵誘発剤が使われます。

卵巣機能不全と不妊

卵巣機能不全は、卵巣機能が低下している状態です。無月経や無排卵月経が症状として現れているなら、ホルモンバランスを整えて卵巣機能を向上させなければなりません。

卵巣機能を正常化させるために、不足しているホルモンを投与するのが治療の柱となります。血液検査などにより、卵巣の機能低下を招いているホルモンはどれなのかを調べます。

卵巣炎等と不妊

細菌感染が原因で起こる卵巣炎や卵管炎、子宮付属器炎は、慢性化すると不妊の原因になることがあります。特にクラミジア感染症の場合には慢性化しやすいと考えられており、卵管の閉塞などによって排卵を妨げます。

急性・慢性ともに抗菌剤を投与して炎症の鎮静化を目指します。

病気以外で、卵巣の痛みや腫れがある場合は

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病気以外でも、ホルモンバランスによって卵巣に違和感を覚えたり、卵巣が腫れたりすることがあります。特に、排卵前後には卵巣は腫れやすくなっています。「機能性のう胞」や「黄体のう胞」といって、一時的に卵巣が肥大することもあります。

卵巣の病気は腫瘍が最も多い

細胞分裂を絶えず繰り返している卵巣は、腫瘍のできやすい臓器です。よって、卵巣の病気としては腫瘍や嚢腫が最も多くなります。種類や状態、良性・悪性などが細分化されており、種類や程度によって、妊娠の可能性も大きく変わります。気になる症状がある場合は、早めに受診してくださいね。

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