卵巣とは?正常の大きさや位置、病気の種類、手術方法は?

「卵巣は卵子を作る場所」という大まかな知識はあっても、実際どのような形をしていてどこに位置しているのかなど、詳しいことはあまり知られていないかもしれません。たとえば卵巣に異常が見つかったら、それはどのような病気なのか。どのような検査・治療を行うのか。気になる卵巣の機能や、卵巣の病気などについて紹介します。

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目次

  1. 卵巣とは?仕組みや働きは?
  2. 卵巣と子宮の正しい位置は?
  3. 卵巣の正常の大きさはどれくらい?生理周期による変化は?
  4. 卵巣の検査方法は?
  5. 卵巣が腫れている?原因は?
  6. 良性、卵巣嚢腫の場合は?
  7. 悪性、卵巣がんの場合は?
  8. その他の卵巣の病気は?
  9. 卵巣の病気を防ぐ方法とは?
  10. 卵巣は沈黙の臓器!自己判断せずに定期健診を
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卵巣とは?仕組みや働きは?

卵巣とは、女性が持つ生殖器のひとつ

卵巣とは、卵子を作りだして放出する役割を持つ、女性にある生殖器のひとつです。卵巣はふたつあり、長さ数センチのソラマメのような形をした臓器です。卵巣の中には、原始卵胞というまだ未成熟な卵子が無数に詰まっています。

ホルモンを分泌する器官でもある

卵巣は卵子を排卵するだけではなく、ホルモンを分泌する内分泌器官としても機能しています。卵巣から分泌されるホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)です。

それぞれ、妊娠や出産などにかかわりの深いホルモンであり、女性ホルモンとも呼ばれます。

卵巣と子宮の正しい位置は?

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子宮の位置はおへその下

子宮は、おへそから指三本分くらい下に位置しています。だいたい、鶏の卵くらいの大きさです。

よく保健体育などの授業で見る図などでは、お腹に対してまっすぐ直立しているようなイメージがありますが、横から見ると少しうなだれるようにお腹側に傾き、骨盤内に収まってるのが普通です。

卵巣は子宮の左右に

卵巣は子宮の左右にそれぞれひとつずつ位置しています。これも正面から見た平面図では真横にあるようなイメージですが、実際は子宮の少しうしろの方にあり、繊維の束状のような靭帯で子宮からぶら下がっています。

卵巣の正常の大きさはどれくらい?生理周期による変化は?

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通常の卵巣の大きさ

卵巣は、通常時はだいたい2~3cmくらいの大きさをしています。大きさのイメージは、ソラマメや親指の第一関節くらいを思い浮かべるとわかりやすいです。

排卵時に腫れて見えることも

生理周期のホルモンの影響により、エコーなどの検査で卵巣が腫れたように見えることがあります。原因は、排卵後に卵巣の中に残った黄体(排卵後の卵胞)にあり、腹痛やお腹の張りを感じることがあります。

卵胞は排卵時に2cmくらいの大きさになるため、これが腫れに見えることがあります。生理周期による卵巣の大きさの変化は自然なものなので、次の生理までに収まれば問題はありません。

排卵期が終わっても腫れがひかなかったら?

黄体による腫れは排卵にともなう一時的なものであり、次回の月経までに自然に縮小します。もし次回の生理直後に再度検査をおこなっても腫れが引いていなかった場合、何か他の病気が隠れていないかを調べる必要があります。

卵巣の検査方法は?

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まずは問診や内診、画像検査を行う

お腹の張りや下腹部痛など、何らかの症状がある場合、問診で痛みなどの様子を尋ねられます。その後、触診や内診で大きさや硬さなどを調べます。

さらに詳しくみる必要が出てきた場合、超音波検査で腫瘍の有無などを調べ、CTやMRIなどを行うこともあります。画像検査は悪性腫瘍などの識別にも役立ちます。

異常が見つかればさらに詳しい検査が必要

腫瘍があり、良性か悪性かを見極める必要がある場合、血液検査をして腫瘍マーカーを調べます。悪性(卵巣がん)であることを示す血中の物質があるかを検査し、良性か悪性かの判断を行います。

悪性の疑いが濃厚であれば、腫瘍を切除する手術が必要になります。切除した部分の細胞を調べ、悪性と判断されればがんの治療を行います。

卵巣が腫れている?原因は?

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女性ホルモンの分泌や排卵にかかわる、女性にとって非常に重要な臓器である卵巣。腹部の奥にあるため、少々の腫れでは気付かないことが多く、「沈黙の臓器」とも称されています。卵巣の腫れを「卵巣腫瘍」と言い、腫れてしまう原因はさまざまです。

卵巣腫瘍には、早急に切除が必要なものや治療の必要がないものまで、種類は多々あります。女性の身体において大切な役割を多々担う場所であり、排卵のたびに損傷と修復を繰り返すため、腫れる原因がたくさんあるのも仕方がないことなのかもしれませんね。

卵巣の腫れは、それ単体で発見されることより、子宮系の検診などをきっかけに見つけられることが多いといわれています。卵巣の腫れの原因は、「ホルモンの影響」や「炎症」、「何か嚢胞など液体状の物がたまっている状態」などが考えられます。

症状は悪性度によって、おおまかに「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」と「境界悪性腫瘍」の3つに分けられ、内診や超音波検査、血液検査、CTやMRIの画像検査などで良性か悪性かの判断を行います。

良性、卵巣嚢腫の場合は?

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卵巣にできる腫瘍には「良性」と「悪性」と「境界悪性」がありますが、その多くは「良性」です。割合でいうと、良性が9割を占めるといわれています。「良性」というと治療の心配のない軽いもの、というイメージを抱いてしまいますが、良性腫瘍だけでもたくさんの種類があり、中には悪性に変化してしまうものも存在します。

良性腫瘍の中で最も多いのは「卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)」で、卵巣の中に分泌液などがたまってしまう状態を指します。卵巣嚢腫の中でも、多いのは「漿液性嚢腫(しょうえきせいのうしゅ)」と「粘液性嚢腫(ねんえきせいのうしゅ)」と「皮様嚢腫(ひようのうしゅ)」の3種類です。

漿液性嚢腫は、サラッとした水のような液体がたまり、粘液性嚢腫はドロッとしたネバネバの粘液がたまります。皮様嚢腫は発生頻度の高い腫瘍で、人間の組織に似た成分を含むことが特徴です。表皮や毛髪や脂肪、骨や軟骨などの体内にある組織が、卵子の何らかの理由による細胞分裂により、中途半端な状態で卵巣内にできてしまう症状です。

悪性、卵巣がんの場合は?

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卵巣の悪性腫瘍は、卵巣がんといわれています。手術により摘出する必要があり、術後は残った腫瘍やがん細胞を消滅させる目的で、抗がん剤による化学療法を行うことが一般的です。

卵巣がんは比較的抗がん剤による治療の効果が高いといわれており、手術によってできる限りの腫瘍を取り除き、がん組織の種類によって有効な薬を選択します。

卵巣がんは症状が出るのがかなり遅く、進行してから初めて発見されることが少なくありません。お腹が張る、頻尿、体重減少などが自覚症状としてあらわれますが、これらは他の病気にも当てはまることが多いため、卵巣がんをすぐに連想することは少ないといわれています。

卵巣がんの診断はまず腫瘍を発見することが最初で、その後に詳しい画像診断や血液診断などが行われますが、良性か悪性かの診断正確度は75~80%程度です。そのため良性かと思われる腫瘍でも、5cmを超える大きなものは手術で切除して、組織が良性か悪性かの判断を行うことを推奨されることがあります。

その他の卵巣の病気は?

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その他の卵巣の病気は、チョコレート嚢胞やルテイン嚢胞、卵巣出血や卵巣妊娠などがあげられます。

チョコレート嚢胞は子宮内膜症が卵巣に生じているときに発生する症状です。卵巣にできてしまった子宮内膜から月経のたびに出血が起こり、たまった血液が入った嚢胞を形成します。これが時間とともに茶褐色のチョコレートのように変化します。子宮内膜症の治療による生理の停止で縮小を図るか、手術による治療が必要な場合もあります。

ルテイン嚢胞は、妊娠初期に起こることがある症状です。ルテイン嚢胞が作られる原因は、妊娠時に分泌されるホルモンであるHCGが卵巣を刺激することにあります。妊娠15週くらいには自然と縮小することが多いです。

卵巣出血は、何らかの理由により卵巣から出血を起こす症状です。最も多い要因が「黄体出血」と呼ばれるもので、排卵期の後の性交などの刺激で排卵後に卵胞内の血管が破れてしまうことで起こります。一般的にはあまり重症化はありませんが、下腹部痛があり、激痛とショック状態を起こすこともあるため、開腹手術を要す場合があります。

卵巣妊娠は子宮外妊娠のひとつで、受精卵が卵巣に着床してしまい、ある程度成長した状態を言います。妊娠継続は不可能で、卵巣を部分的に切除する手術を行うことがあります。

卵巣の病気を防ぐ方法とは?

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性行為はコンドームを付けて行う

性行為を介して何らかの細菌などに感染し、卵巣の病気を引き起こすことがあります。コンドームを着用することにより、性行為による感染を大幅に防げます。

妊娠を望まないとき、妊娠を望んでいてもタイミング的に妊娠の可能性が薄いときなどは、コンドームを使用するようにしましょう。

陰部を清潔に保つ

卵巣は、卵管・子宮・子宮頸管を通して、一番外側にある腟につながっています。陰部を不衛生にすることは、腟を通して内部へ細菌などが感染してしまうリスクを高めます。

入浴をして陰部を清潔に保ち、トイレットペーパーのふき方は前から後ろにするなど、陰部に細菌が侵入しないようにしましょう。

とくに生理中は、血液を介して細菌が繁殖しやすくなります。ナプキンやタンポンなどの生理用品はこまめに交換し、細菌を繁殖させない環境を心がけましょう。

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定期的に検診を受ける

卵巣は体内の奥深くに位置するため、腫れなどの異常があっても、表面的にはなかなか変化に気づくことができません。定期的な検診による早期の異常発見が何よりも重要になってきますので、積極的に検診を受けるようにしましょう。

検診に対して恐怖を抱くかもしれませんが、腫瘍が発見されない限りは、痛みのない検査方法がほとんどです。病状が悪化してからの検査ではなく、なるべく早く異常を見つけられるように定期的な検査を行いましょう。

生活習慣を改善する

卵巣に限らず、生活習慣の改善はありとあらゆる病気を防ぐ方法です。過度の飲酒や喫煙癖、ストレスや塩分の高い食事などが、あらゆるがんのリスクを高める要因といわれています。また、ストレスの要因として、睡眠の質の悪さもあげられます。

喫煙癖のある人は禁煙をし、お酒はほどほどに楽しみ、野菜中心の和食をもとにした食生活を行いましょう。十分な睡眠をとり、適度に身体を動かすことも大切です。

卵巣は沈黙の臓器!自己判断せずに定期健診を

自分ではなかなか異常に気づきにくい卵巣の病気ですが、定期的に検診を受けることでいち早く異常を発見できます。妊娠を望む女性には特に大切なことなので、怖がらずに検査を受けるようにしましょう。

また、陰部を清潔に保つ、生活習慣を改善するなどの予防法など、普段からできることを意識するようにしましょう。卵巣の病気だけではなく、あらゆる病気を防ぐために有効なことなので、普段の生活習慣として改善していきたいですね。

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