卵巣機能不全の原因と症状は?検査や治療方法は?不妊になる?

卵巣機能不全では無排卵月経や不正出血など、さまざまな症状が見られます。「妊娠には影響はないの?」と不安になる女性も多いことでしょう。ここでは、卵巣機能不全の妊娠への影響や、症状、治療法について詳しくお伝えします。近年注目されている漢方による治療についても解説しているので、ぜひご覧ください。

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目次

  1. 卵巣機能不全(POI)とは
  2. 卵巣の働きとホルモンの関係
  3. 卵巣機能不全と妊娠
  4. 卵巣機能不全の治療
  5. 似た名称の病気との違い
  6. 卵巣機能低下は早めの受診が必要
  7. あわせて読みたい

卵巣機能不全(POI)とは

卵巣機能不全(POI:Premature ovarian failure)とは、卵巣もしくは卵巣に働きかけるホルモン分泌システムに問題があるために、卵巣機能が低下している状態を言います。卵巣機能不全では、次のような症状が見られます。

・無排卵月経
・不正出血
・稀発月経
・無月経

通常、月経は25日〜38日の周期で定期的にやってきます。月経にはそれぞれの人の持つ周期(月経周期)があり、その周期にあわせて毎月ほぼ同じペースで月経があります。しかし、卵巣の機能が低下すると、月経を起こす力や月経のペースを維持する力が衰えるため、稀発月経や無月経といった症状が現れるのです。

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【症状】無排卵月経

月経は、受精卵が着床せずに不要になった子宮内膜が経血とともに流れ出ることを言います。何らかの原因で卵巣の機能が低下していると、月経は起こっているのにそもそも排卵がされていない「無排卵月経」の状態の場合があります。

無排卵月経かどうかは、経血の状態や月経中の体調などからは判断できません。毎月月経が起こっていると、何ら問題がないと感じている女性は少なくありません。妊娠を望む時期になって初めて不妊を疑い、発覚するケースもままあります。

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【症状】不正出血

卵巣機能が低下していたり、ホルモンバランスが乱れていたりすると、月経以外の理由で出血が起こりやすくなります。これを不正出血と呼びます。

不正出血には、大きく分けて「器質性出血」と「機能性出血」があります。器質性出血とは、卵巣や子宮、腟などの病気が原因で出血があることを言い、ポリープや腫瘍が原因となります。

機能性出血とは、ホルモンバランスが乱れているために起こり、卵巣や子宮などには明らかな病気がみつからない場合の出血を言います。拭いたときに付く程度の少量の出血から、生理のようにダラダラと続く出血まで程度はさまざまです。

月経によるものではない出血という意味で、無排卵月経も不正出血のひとつと考えられる場合もあります。卵巣機能不全での不正出血は、ホルモンバランスの乱れによる「機能性出血」です。

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【症状】稀発月経

正常な月経周期は25日〜38日と定められています。月経が毎月あっても、周期が39日以上ならば「稀発月経」と診断されます。稀発月経は、卵巣の機能が低下しているか、ホルモンが十分に分泌されていないことが原因として考えられます。

順調に排卵している場合もありますが、無排卵月経が続いているケースも多く、放っておくと無月経へと進行しやすい状態です。

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【症状】無月経

無月経とは、卵巣機能が低下して、月経が起こらなくなってしまう状態を言います。ほとんどが排卵も起っていない状態です。

無月経は、ホルモン分泌の問題との強い関わりがあり、ニキビ、体毛が濃くなる、腟の乾燥、性欲減退などの症状を伴う場合もあります。無月経は長期化すると、骨密度の低下などが更年期以降に生じるリスクが高くなるおそれがあるため、注意が必要です。

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卵巣機能不全の原因

卵巣機能が低下してしまう原因には、次のようなものがあげられます。

・先天性の染色体異常
・甲状腺などの自己免疫疾患
・抗がん剤などの化学療法
・視床下部・下垂体の機能異常

さまざまな原因があるものの、多くの場合は視床下部や下垂体の機能異常が原因です。視床下部や下垂体は身体に受けるストレスの影響を受けやすい部分でもあります。食生活の乱れや睡眠不足、過労、運動不足、無理なダイエットなどがストレスとなってホルモンバランスが乱れますが、
このとき、視床下部や下垂体の機能異常を起こしています。

また、卵巣腫瘍が原因で卵巣機能不全になることもあります。とりわけチョコレート嚢胞は、卵巣内で生理周期のたびに出血してしまうために、排卵をさまたげる一因となります。

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卵巣機能不全の診断

卵巣機能不全かどうかを診断するには、血液検査でホルモン値を調べる必要があります。検査では、主に次のような項目を調べます。

・卵胞刺激ホルモン(FSH)
・黄体化ホルモン(LH)

通常月経開始後、3〜7日後に検査します。卵巣機能が低下していると、卵胞刺激ホルモン値は上昇し(15以上)、黄体化ホルモンも上昇(10以上)します。また、生理終了後〜排卵期(卵胞期後期)に検査を行う場合には、次のホルモン値を参考にします。

・卵胞ホルモン(E2)
・卵胞刺激ホルモン(FSH)
・黄体化ホルモン(LH)

卵胞ホルモンが100pg/mL以上であれば、多くの場合卵巣機能は正常と診断されます。50pg/mL以下であれば高度な卵巣機能不全を意味します。卵胞刺激ホルモン値と黄体化ホルモン値がどちらも低ければ、脳の下垂体が原因で起こる排卵障害、反対に卵胞刺激ホルモン値と黄体化ホルモン値が高ければ、卵巣が原因で起こる排卵障害と診断されます。

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【検査項目】アンチミューラリアンホルモン(AMH)とは

卵巣機能不全が疑われる場合、アンチミューラリアンホルモン(AMH)値を調べることがあります。

アンチミューラリアンホルモンは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。抗ミュラー管ホルモンとも呼ばれます。

アンチミューラリアンホルモンは、不妊治療で近年注目されているホルモン値で、卵巣内に残っている卵胞の数を予測できると考えられています。アンチミューラリアンホルモン値の検査は、卵巣の老化具合を調べるのに有効といえますが、あくまで目安であり、このホルモンの値で妊娠可能かどうかなどを完璧に予想することはできません。

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セルフチェックと受診の目安〜基礎体温表を使って〜

卵巣機能不全は、稀発月経や無月経などの自覚症状があるものの、その他に痛みなど困る要因が少ないために放置しがちです。しかし、無排卵や無月経は、その状態が続くと治療が長期化しやすく、改善が難しくなる傾向にあります。

よって、卵巣機能の低下が疑われる場合や月経に問題が見られる場合には、早めに産婦人科を受診することが大切です。

月経や排卵に問題がないかどうかは、基礎体温表を使ってセルフチェックを行います。2〜3ヶ月継続して基礎体温表をつけてみましょう。グラフの波が2層にわかれていなかったり、体温がその日によってバラバラだったりするならば、排卵に問題がある可能性が考えられます。継続的に所見があるならば、2〜3ヶ月が受診の目安です。

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卵巣の働きとホルモンの関係

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卵巣の持つ2つの働き

卵巣には次のふたつの働きがあります。

・ホルモンを合成する
・卵胞を成熟させ、卵子として排卵する

卵巣機能不全では、通常これら両方の機能に問題が生じます。

卵巣とホルモンの密接な関わり

女性の生殖機能を司る女性ホルモンは、脳の視床下部や下垂体、卵巣と密接な関わりを持ちながら機能しています。

脳の視床下部は生理周期に応じて下垂体に働きかけ、性腺刺激ホルモンを分泌するよう促します。ゴナドトロピンとも呼ばれる性腺刺激ホルモンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の総称です。脳下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されると、卵巣は刺激を受けて卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌し始めます。卵胞ホルモンが分泌されると、その情報はまた脳へと送られます。

このように、脳と卵巣は互いに役割を分担しながらホルモンを分泌させているのです。

卵巣機能不全と妊娠

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自然妊娠は可能?

卵巣の機能が低下した状態である卵巣機能不全では、自然妊娠は難しいように思われます。しかし、自然妊娠の可否は卵巣機能の状態によって異なります。

たとえば、稀発月経状態でも自然に排卵があって、タイミング良く精子と授精できれば自然妊娠は可能です。一方、いくら周期的に月経があっても、無排卵状態ならば自然妊娠はできませし、その後無事に着床するためには排卵後の黄体ホルモンの働きも重要です。つまり、妊娠できるかどうかは「排卵の有無」が鍵となります。

人工授精・体外受精と卵巣機能不全

卵巣機能不全の程度や状態によって、不妊治療の内容は異なります。治療をしてもなかなか自然妊娠が見込めない場合や、カップルの年齢を考慮して早期に妊娠が望まれる場合には、人工授精や体外受精といった方法もあります。

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卵巣機能不全の治療

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投薬でホルモンバランスを整える治療が一般的

卵巣機能不全では、ホルモン剤などによってホルモンバランスを正常化させるのが一般的です。妊娠を望む場合には、卵巣が完全に機能を落としてしまう前に妊娠できるかが鍵となります。必要に応じて、排卵誘発を行います。また、月経周期を整える目的でカウフマン療法が選択される場合もあります。

ホルモン療法とは

ホルモンバランスを正常化させる目的で、ピルを服用する方法です。低用量のマーベロンや中用量のプラバノールなどを使用します。人によっては副作用が出やすくなるため、特に飲み始めには注意が必要です。

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カウフマン療法とは

カウフマン療法とは、ホルモン剤などを使って月経周期に応じた正常なホルモン分泌を促す方法です。正常な月経周期では周期前半に卵胞ホルモンが分泌され、後半には卵胞ホルモンと黄体ホルモンの両方が働いています。

カウフマン療法は、このホルモン変化を薬で作り出す治療法です。規則的な月経周期を取り戻す可能性が期待できますが、カウフマン療法自体には排卵を誘発する効果はありません。


治療方法の一例は以下の通りです。病院によって、使用する薬や方法には多少の違いがあります。

1.月経3日目からプレマリンを服用する(卵胞ホルモンの補充)
2.月経15日目からヒスロンを服用する(黄体ホルモンの補充)
3.月経24日目に服薬終了
4.数日後に月経が起こる

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排卵誘発剤の使用

早期に妊娠を望む場合や、卵巣機能低下度合いから自然排卵が見込めない場合には、排卵誘発を行います。排卵誘発には、軽度の排卵障害であれば服薬、重度であれば注射を用います。

排卵誘発には、次のような薬を使うのが一般的です。

・服薬:クロミフェン
・注射:hMG, FSH

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漢方の有効性

近年、卵巣機能低下の改善に漢方が注目されています。漢方薬は東洋医学の薬で、症状そのものの治療にも役立ちますが、長期的な服用によって体質改善が期待できます。

西洋医学は、異常がある点に着目しピンポイントにアプローチするのが特徴です。不妊治療でいえば、ホルモン療法や腫瘍の摘出などが該当するでしょう。一方、東洋医学では異常部分と体質の両面を総合的に考慮します。漢方薬はある特定の症状にのみ効くのではなく、周辺領域を含めた多様な症状に効くように生薬が配合されています。

漢方による不妊治療では、妊娠しやすい身体作り・コンディション作りが基本方針となります。卵巣機能不全には、月経異常や不妊に使われる「温経湯(うんけいとう)」が効果的といわれています。

生活習慣の改善

卵巣機能の低下は特定の病気や先天性異常が関係していることもありますが、多くは無理な生活習慣が引き金となっています。卵巣機能の低下に歯止めをかけ、少しでもホルモンバランスを正常化させるためには、生活習慣の見直しが必要です。

【ポイント】喫煙と卵巣機能の低下

近年の研究では、喫煙が卵巣機能の低下を促す要因になることが明らかになりました。喫煙をしている女性は、していない女性よりも血中の卵胞刺激ホルモン値が23%も高い結果が出ています。卵胞刺激ホルモン値の上昇は、卵巣機能の低下を知るひとつの指標です。

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【ポイント】ストレスが卵巣機能に及ぼす影響

現代女性はストレスを多く抱えているといわれます。ストレスは、精神的な疲労や不安感だけではありません。過食・拒食などの食生活の乱れ、不規則な睡眠時間、過労など肉体的なものもストレスの仲間です。

また、無理なダイエットによる減量も身体のストレスとなります。急激な体重変化はホルモンバランスの乱れを引き起こすのです。1ヶ月の体重減少量がもとの体重の5%を超えると月経が止まることは、よく知られています。

このように、心身のストレスはホルモンバランスの乱れと大きく関わっています。卵巣の機能はホルモンによって支配されているので、ホルモンバランスの乱れは卵巣機能の低下に直接的に関与します。卵巣の健康を守るためにも、ストレスをなるべく溜めない生活を心がけることが大切です。

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似た名称の病気との違い

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早期卵巣不全(POF)との違い

卵巣機能不全と類似した疾患に「早期卵巣不全(POF)」があります。早期卵巣不全は、40歳未満で無月経になることです。一般的に、女性の閉経は45〜56歳のあいだに起こるといわれています。

早期に閉経を迎える「早発閉経」は、43歳未満での閉経と定義づけられています。早発閉経は、人よりも早い段階で卵巣内の卵胞を使い切って閉経を迎えることを意味します。

一方、早期卵巣不全は、卵巣機能の低下によって続発的に無月経となることです。閉経ではないため、治療によって再び排卵できる可能性がわずかながらに残っています。妊娠を希望しない場合でも、早期に閉経すると血圧上昇や骨密度の低下のリスクとなるため、健康維持のためにホルモン補充を行います。

卵巣機能不全と早期卵巣不全は、卵巣機能の低下という点では同じです。卵巣機能不全の場合は、早期卵巣不全よりも改善の可能性が大きくなります。

黄体機能不全との違い

黄体機能不全とは、黄体ホルモンの分泌が弱いために受精卵が着床しにくい状態のことです。黄体機能不全も卵巣機能不全と同じように、女性ホルモンの作用によって引き起こされています。

卵子が排卵の際に飛び出したあとに残った殻は黄体化し、黄体ホルモンを出す働きを担っています。黄体化ホルモンは、着床しやすい環境を作ったり、妊娠を維持したりするのに重要な役割を担っているホルモンです。黄体化ホルモンの分泌が少ないと、子宮内膜の厚みが十分でなく、受精卵がやってきても着床しづらくなります。

また、黄体化ホルモンが十分に分泌されるには、卵子がきちんと成熟していなければなりません。卵胞の成熟が悪いのか、黄体からのホルモン分泌が悪いのかを見定める必要があります。

黄体機能不全は卵子と子宮に問題が生じる状態だといえます。卵巣機能不全も黄体機能不全も、ホルモン分泌に問題がある点では同じです。

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卵巣機能低下は早めの受診が必要

毎月の月経は女性にとって不快指数の高いものであるため、無月経や稀発月経の場合でも放置してしまう傾向にあります。しかし、無排卵や無月経は長期化すると改善までに長期を要し、より治療が困難となる可能性があります。

基礎体温グラフは、妊娠の有無だけでなく、女性の健康状態を図るのにも役立つセルフチェックの方法です。基礎体温グラフの波に異常や月経に所見がある場合には、早めの受診が解決につながります。

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