体外受精のリスクとは?母体の健康や赤ちゃんの障がい、流産にかかわる?

日本でも数多くの子どもが体外受精で誕生しています。しかし、実際に体外受精をした人以外は、体外受精とはどのようなものでどのようなリスクがあるのか知らない、という人も多いのではないでしょうか。ここでは「体外受精のリスク」の面を中心にお伝えします。

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目次

  1. 体外受精とは?リスクはある?
  2. 体外受精による母体へのリスクは?
  3. 体外受精で障がいや自閉症のリスクは高まる?
  4. 体外受精のリスクを下げる方法はあるの?
  5. 体外受精のリスクを知りつつも前向きに取り組もう
  6. あわせて読みたい

体外受精とは?リスクはある?

以前よりも耳にする機会の増えた「体外受精」という言葉。大きなリスクが伴うのでは、というイメージを持っている人も少なからずいるのではないでしょうか。漠然とした不安を持っている人もいるでしょう。実際に体外受精とは何なのでしょうか。どのようなリスクがあるのでしょうか。しっかりと知っていくことで、その不安を少しでも減らしていきましょう。

体外で卵子と精子を受精させる方法

そもそも体外受精とは、体外で卵子と精子を受精させる方法です。自然の中において「受精」は、卵巣から排卵された卵子と、女性の体内に入ってきた精子が、卵管内で出会い、そしてその精子と卵子が融合することです。

しかし、卵子や精子、または体内に受精できないなんらかの原因があると、卵子と精子はうまく受精できず、不妊につながるというわけです。そんなとき、受精を補助する行為として、排卵前の卵子を体外に取り出し、精子と受精させて、その受精卵を子宮内に戻す方法のことを「体外受精」と言います。体内で起こっている融合を体外で起こしている、と考えてもらうとわかりやすいでしょう。

日本生殖医学会によると、体外受精による出生児は世界で400万人を超えたといわれています。日本では、2012年の1年間で、32万回以上の体外受精が行われ、3万7千人の赤ちゃんが誕生したと発表されています。

世界では、初期に体外受精が行われた子どもたちもどんどん成人してきているのです。そのため、長期的視野でリスク面があれば、浮き彫りになってくる時期でもあります。

妊娠する確率は約20~40%

日本産婦人科学会の発表によると、2011年には新鮮胚を用いた体外受精では移植当たりの妊娠率が21.3%、凍結胚を用いた移植当たりの妊娠率は34.2%となっています。ただ、体外受精で妊娠する確率は、年齢や病院ごとで20~40%程度の幅がでるので、一概にこの割合で妊娠するとは言えません。

体外受精のリスクを知ろう

体外受精はリスクが0ではありません。しかし「リスク」といっても、市販薬をひとつ飲むことにもリスクはあります。怖がりすぎず、正しく知ることが大事ではないでしょうか。リスクを夫婦で正しく知ったうえで、治療に当たれると良いですね。

体外受精による母体へのリスクは?

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最初に、母体のリスクをお伝えします。体外受精によってもたらされる母体のリスクはどのようなものがあるのでしょうか。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

体外受精のリスクとしてよく知られているものは、「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」です。不妊治療が進めば進むほど、不妊治療で用いられることの多い「排卵誘発剤」の副作用としてのOHSSが起こることが考えられます。OHSSは、卵巣刺激によって、卵巣が膨れ、ときには胸水や腹水にもつながる病気です。

OHSSは、35歳以下の若い女性、やせ型の女性、ネックレスサイン(卵巣内の卵胞が数珠上になっている)の女性、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人に発症しやすいといわれています。それらに該当する人は医師とよく相談して体外受精を決めてください。

採卵時の出血

採卵する場合に出血などが起こることがあります。採卵後は1時間ほど安静にしておくと良いでしょう。出血が多い場合は、入院安静になることもあります。

細菌感染

体外受精の採卵は、細い針で卵胞を刺して、卵子を吸引するため、まれに細菌感染を起こすことがあります。細菌感染を防ぐためにも、採卵当日の入浴は控え、シャワーなどにして様子を見ましょう。

体外受精で障がいや自閉症のリスクは高まる?

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体外受精で生まれる「赤ちゃん」にはどのようなリスクがあるのでしょうか。

障がいや自閉症のリスクは自然妊娠と変わらない

障がいや自閉症のリスクが高まると思われていますが、実は、障がいや自閉症のリスクは自然に妊娠するときと変わりません。ただ、自然妊娠と同じように、親が高齢になればなるほどやはり流産率や障がいなどを持つリスクは高まります。

それは、加齢に伴い、卵子の染色体異常が増加する傾向にあるためです。卵巣にある卵子の元となる原子卵胞は、女性が生まれる前から体内にあり、生理が始まれば毎月排出されて減る一方で、増えることも新しくなることもありません。そのため、やはり年齢によるリスクは、体外受精であっても関係なく高まるといわれています。

多胎妊娠のリスクがある(4~5%程度)

2012年の日本産婦人科学会の発表によると、受精卵をひとつだけ子宮に戻しても、双子や三つ子が生まれる確率が通常の2倍になることが分っています。多胎妊娠は、流産や早産を引き起こしやすく、母体にも負担が大きくなります。

また、周産期における死亡率も多胎妊娠では高くなることがわかっています。最近は医療も進み、多胎妊娠でのリスクは低下しているもののやはり、リスクが普通の妊娠に比べてあるということは知っておきましょう。

体外受精のリスクを下げる方法はあるの?

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母体、子ども、それぞれのリスクを知っていただいた体外受精。そのリスクを下げる方法はあるのでしょうか。

リスクが完全になくなることはない

治療の過程で起こることなので、リスクを100%予防することは不可能です。しかし、そのリスクを自分でわかって覚悟をしたうえで、そのリスクを少しでも減らす努力をできないわけではありません。

卵子や精子、子宮の状態を良好に保つ

普段から夫婦で規則正しい生活をし、卵子、精子、子宮の状態を良好に保っておきましょう。体外受精で受精卵ができたとしても、子宮に戻してうまく着床できないときもあります。着床しても流産という悲しい結果になってしまうことも少なからずあります。

ホルモンバランスが崩れていたり、血流が悪かったりすると、子宮は受精卵にとってあまり良い状態とは言えません。バランスの良い食事、適正体重、規則正しい生活など、生活を整えることから始めましょう。また、「冷え」は着床の敵であるといわれています。身体を冷やすことのないように気を付けてくださいね。

異変があるときはすぐ医師に相談

体外受精をして少しでもおかしいな、ということがあれば、かならず医師に相談しましょう。採卵時の出血や細菌感染など、すぐに対処ができれば、母体のリスクを少しでも減らすことができます。

体外受精のリスクを知りつつも前向きに取り組もう

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体外受精にはさまざまなリスクがありますが、リスクばかりに気を取られていて、体外受精を迷い、タイミングを逃す結果になってしまうのはさけたいですね。

どのような方法でも、年齢上昇により流産、障害などさまざまなリスクが上がっていきます。そのため、妊娠を考えたら、リスクを知りつつ、前向きに取り組むことが大事です。

世界でも、体外受精で生まれた子どももどんどん成人しています。ちなみに、体外受精で妊娠した子どもであっても、その子どもが不妊症になるというわけではないといわれています。そのように、長年、体外受精が続いてきた中で良い結果も出てきているのです。

体外受精をして、体調がすぐれない、または出血があるなど、気になる様子がある場合は、すぐに担当の医師に相談しましょう。また体外受精自体に対して不安がある場合も、医師に相談してみてくださいね。

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